魔術師以外からはあまり知られていませんが、魔術師ギルドには第一団から第六団までの、ギルド直属グループがあります。
ギルドの管理のもと、研究から討伐チームの編成、遠方支部への派遣など、仕事は多岐にわたります。
とは言え、研究は国の研究チームの方が進んでいるし、魔術の必要な討伐だって、騎士隊や一部の冒険者がいれば十分。魔術師団は、実際にはあまり活躍できていないのが、これまでの現状でした。
しかし三日前、魔術師ギルド第二団から、不老の魔術についての研究結果が発表されたのです。
第二団は、経験を重ねた熟練の魔術師で構成されています。その彼らが、不老の魔術という、技術面でも実用面でも注目度の高い術式の研究を、大きく前進させた。
当然、魔術師、特にギルド所属の者は、大いに喜びました。
私も一通り目を通しましたが、これは結構とんでもないものだと思います。
不老の魔術には、高い医学的な知識が求められるのですが、それらの理解がどの程度必要になるのかは、これまで明確ではありませんでした。
今回の研究は、魔術師にとっては専門外となるその医学的知識を検討し、厳選し、必要となる知識を丁寧にまとめたものだったのです。
本当に、とんでもない。何がとんでもないって、完全に専門外の情報をここまで効率的に絞ってある。一体どれだけの時間と手間を費やしたことでしょう。想像するだけで眩暈がします。
これは流石のギルドマスターだって真似できません。あの人、「不老の術式を組み上げるときは、良く分からなかったから医学書の知識を片っ端から詰め込んだ」と言っていたので。
それでも医学の勉強を滅茶苦茶頑張らなければいけないのは変わりませんが、不老を目指す魔術師にとっての最大の障害は、手の届きうる範囲に収まりました。
これからは、早ければ四十歳前には不老の魔術を習得している魔術師だって、出てくるかも。私もちょっと、本腰入れて勉強始めようかな。
しかし、こうなると絶対に面倒くさいのが、すでに高齢となった状態で不老を手に入れられた方々です。特に女性。
比較的若いうちに不老の魔術を修めた魔術師が、ネチネチグチグチと嫌味を言われる姿が目に浮かぶようです。
何なら、現在もギルドマスターがネチネチグチグチ言われているのを目にすることがあるくらいです。
確かにマスターは、若い姿を保ったまま不老となった唯一の魔術師です。でもあの人、中身おじいちゃんか、頭おかしい女の子かの二択ですよ?嫌味の言い甲斐もないと思うのですが……。
(エスメラ)