私、魔術師です   作:みえふぁ

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充実してはいるのです

 他の冒険者の例にもれず、今の私の財布もそれなりに潤っています。

 いやあ、こうも懐に余裕があると、やはり安心感が違いますねえ。だからといって貯金する気にはなれないのですが。

 

 両ギルドとも落ち着いてきましたし、無理に稼ぐ必要もないので、気になった依頼だけ受けているような日々です。

 とは言え、私はぐーたらと過ごしていられる人間でもありません。趣味半分ですが、ちゃんとやることはやっていますとも。

 

 まず、前々から進めていた、乾燥魔術の開発がある。

 これはもともと、洗濯物を乾かすために作ろうとして始めたものでした。ですが、この話を総合ギルド日報に載せて数日してから、職工ギルドから話があったのです。

 何でも「ものを乾かす」という技術は、向こうではかなりの価値があるらしく。木材然り、煉瓦然り、塗装然り、これがあるだけで効率がグンと上がるものや工程が、幾つもあるらしい。

 そのため、職工ギルドも協力するので、魔術の開発をより精力的に行ってほしい、という内容でした。

 

 いやあ、これはさすが想定外でした。おかげで現在は、ギルドの魔術師数人と一緒に開発に当たっているという状態です。何だか大きな話になってしまいましたよ。

 これでは、「家事の救世主」より先に「職人の救世主」になってしまいそうですねえ、とこぼしたら、ギルドマスターから「救世主?お前が?」と鼻で笑われてしまいました。

 

 こうなったら意地でも「救世主」で定着させてやろう、うん。

 読者の皆様、もし私が研究を完成させた暁には、救世主と、そう呼んでください。

 なんなら日報の編集者に、救世主で載せてもらえるように話を通しておきますか。

 

 そんな乾燥魔術と並行して、攻撃術式の開発も始めました。こっちはオマケ程度ですが。

 先の戦争で使われた魔術の中で、ちょっと気になったものがありました。それと、自分が過去に行っていた研究とを組み合わせて、ちょっと色々試しています。

 まだ理論も組み立てきれていないような話なのですが、何となく、面白そうな気がするのです。面白そうと思った先には、大抵面白いものが転がっているものです。

 いつの話になるかは分かりませんが、完成をお楽しみに。

 

 そして、居候先のお兄ちゃんへの魔術講座も、不定期で開催中。

 彼は物覚えが良くて、今のところは滞りなく進んでいます。魔術の素質はそこまででしたが、まあ簡易魔術を使う分には十分だったので、このままなら、ちゃんとした冒険者になれるんじゃないかなあ。

 私が魔術試験を受けてから月日も経ったのですが、案外覚えているものだなと、教えながら自分を見直しましたよ。

 

 そして、空いた時間で原稿を書いているというわけです。

 これまでと比べれば穏やかな生活ですが、たまにはこういうのも、悪くないものですね。

 しかし、そろそろ何か、刺激が欲しくなってきました。どっかの手頃なドラゴンとかが、国に攻めてきたりしないかなあ。

 (エスメラ)

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