片手間に研究を進めていたはずの攻撃魔術ですが、突然大きな進展がありまして。乾燥魔術より先に大枠が出来上がってしまいました。
まだ細かい調整は必要なのですが、その気になればこのままでも使えそうですね。なんたって攻撃用ですから、対象の方へと飛んでいけば、最低限それで良いのです。
まあ、攻撃魔術なんて単純なものですから、こういうこともありますよねえ。研究者から興味を持たれにくいのも、研究しがいのあるような、奥深さがないからだそうです。
その上、特に対魔物戦においては、魔術だけでは決定打になりにくい。実用性がイマイチなんですね。
当然ですがほとんどの魔物は、水やら石やら飛ばされただけで、致命傷なんて負ってくれません。いや、目にでも当たれば効果はあるでしょうが、早々当たりません。
そして、致命傷を与えられるような魔術は、同時に難易度も高いことがほとんどです。代表的なところですと、雷、風刃、岩砲あたりでしょうか。簡易魔術版もありますが、簡単には習得できないでしょう。
少し話が逸れますが、その点、火魔術は本当に楽。火を出すのは難しくありませんし、飛ばせば素直に飛んでいき、どこに当たってもだいたい一緒ですからね。
私を危険人物であると、一方的に決めつけ、思い込んでいらっしゃる方々には、この辺も考慮して頂きたいものです。素晴らしく効率的なのですよ?積極的に使わねば損というもの。
とは言え、火が周囲に危険を及ぼすのもまた事実。
こうなると「わざわざ魔術使わなくても、刃物で刺すなり斬るなりした方が早いんじゃない?」となるわけです。
実際、魔物と相対したときの魔術の使い道は、注意をひきつけたり、隙を作ったりするくらいです。もちろん大事な役割なのですが、トドメは刃物が一般的ですね。それか弓矢。
もちろん、冒険劇のように、魔術で魔物を蹴散らすことも可能です。ですが前述の通り、それができる魔術は難易度が高い。
ここで登場するのが、魔術で魔物を屠ることに異様な執着を見せる、我らが(?)トミダ君です。
風刃の簡易魔術だって、彼が主導で作ったものなのです。空気を圧縮して飛ばすとかいう、難易度が高い上に危険極まりないあの魔術ですよ?それをああも単純な形で安定させられるとは、初めて目にしたときは、それはもう驚きました。
それでも、簡易魔術の中では十分難しい部類に入ります。でも、元の複雑さを考えれば、あの程度の難易度に落ち着いていることがおかしいのです。
ちなみにこれは下らない小話なのですが、実は魔術は口から放つと安定します。
理由は単純で、口もと、より正確に言えば頭部の方が、魔力をよく伝えるからなんですね。ほら、原始魔術を使う魔物や子どもは、だいたい口から撃っているでしょう?
ただ、口を開きっぱなしにして魔術を使うというのも、何だか間抜けです。それに顔の近くで発動すると、例えば火であれば単純に危ないですし、視界がふさがれれば、むしろコントロールが悪くなります。なので専ら、手から使うものになっているのです。
口からの方が効率良いのに、多くの魔術師は「品がない」などと言って、避けているんですよ。全く非合理的な方々ですねえ。
これは、以前私がギルドで喉が渇いた際、面倒だったので口元で水魔術を使って、その水をそのまま飲んだときの言い訳になります。
はい、これは私も、さすがに下品だったかなと反省しております。
(エスメラ)