乾燥魔術の開発があるため、最近は討伐の仕事ができていません。
一応、私はこの開発の責任者ですから、数日いなくなるということは、あまり好ましくないのですよね。
実は、初めの頃はそんなことお構いなしに、バンバン外へ出ていました。
そもそもは一人で勝手に進めていたものなのだから、そこまで付き合う義理があるとも思えず。
それに、研究については大した経験もない。私がいなくて困ることがあるとも思えませんでした。
しかし、私が久しぶりに顔を出してみると、想像以上に進んでいません。
いや、進歩が全くないわけではなかったのですが、あくまで部分部分に進みがあるだけ。全体としての動きは牛歩といって良い。
何事かと思ったのですが、どうやら今回ギルドから使わされて来た彼ら、魔術開発の経験がほとんどないようでした。四人中三人年上だったので、これは予想外でした。
乾燥魔術の開発自体は、実はそこまで技術的に高度な話にはなりません。
主な課題は、どのような効果を、どの程度の規模に収めるか、というところ。そこから先の、簡易魔術への落とし込みなどは、また後で誰かがやることです。
つまり、経験豊富な魔術師でなくとも、作れるには作れてしまう。そこで、開発に携わって来なかった人間の丁度よい練習台として、ここが選ばれたのでしょうね。
ただ、私はそこまで想定していませんでした。こういうのって、事前に集められた人たちの経歴ぐらい、調べるものなのかな?
私なんかいなくてもへーきへーき、と油断していたところでこの事実が発覚したものですから、どうしたものかと悩んでしまいました。
明確に定められているわけではありませんが、一応締め切り日時のようなものが存在します。悠長に構えたり、我儘を言っている場合ではなくなったのです。
また、開発のこの進み具合。ばらっばらで足並みの揃っていないこの感じは、間違いなく、彼らを率いるリーダーがいなかったことが原因でしょう。そしてそのリーダー役は、本来責任者である私がやらねばならないことでした。
正直、愕然としました。え、私がまとめなきゃいけないの?好き放題言いながら、人に付いて行くことしかしてこなかった、私が?本当に?
色々不安どころの心境ではありませんでしたが、何を思ってもやらなきゃいけないことに変わりはありません。
そんなわけで、最近はある程度のまとめ役もしています。慣れないことばかりですが、案外楽しいものです。
とは言え、たまには外に出ないとストレスがたまるので、状況を見ながら討伐依頼も受けています。我慢した分、爽快感が違いますね。
依頼を受けながら転移で顔を出すことも、一応可能ではあります。ですが、せっかく外にいるのに研究のことを考えるのは嫌だったので、やっていません。
色々思われるかもしれませんが、まあ、締め切りには間に合いそうなので、許してください。
(エスメラ)