やっとです。乾燥魔術の開発が大方終わりました。
残りは細かい部分を修正したり、まとめたりするだけです。面倒ではありますが、締め切りまでは幾らか余裕がありますから、ようやくゆっくりできそうです。
今回集められた魔術師の方々には、本当に助けられました。
こんな未熟者の指示も嫌な顔一つせず(少なくとも表面上は)聞いてくれたおかげで、おおよそ滞りなく済みました。
最初の方に顔を出していなかったのは、それを嫌ったのもあります。「こんな若造の言うことなんぞ、聞いてられるか!」なんて怒鳴られたら、恐くて泣いてしまうかもしれませんもの。
実際のところは怒鳴るどころか、冷静に意見をくれたりもして、有難かったです。
一応、研究の落ち着く頃に飲みに誘ったりもしたのですが、それはだいたい断られてしまいました。
これが冒険者ギルドなら、複数人で無理やり連行して潰れるまで飲ませるところです。
しかし、ここは魔術師ギルド。誘って断られたのですから、「あらそう」で済ませました。せっかく助けてもらった人たちに、嫌な思いもさせたくありませんでしたし。
でも一人だけ、誘えば結構来てくれる人もいて。チームの中で唯一年下だった、エイシャちゃんです。
彼女、誘うたびに乗ってくれるものだから、年上の私からの誘いだと断りにくいのかな?と思い至ります。
これが冒険者ギルドの男相手なら「来たくないんなら来なくていいわよ」とそのまま素直に言える。
しかし、やはりここは魔術師ギルド。妙な誤解を生まぬよう、回りくどくても言葉は選んだ方が良い。ああ面倒くさい、私が冒険者ギルドに入り浸っている理由の一つです。
「今から飲みにいくけど、来る人いる?」
「はいはい!」とエイシャちゃん。仕事終わりなのに元気です。
「体とか大丈夫?この頃ずっと付き合ってもらってるし……」
誘いが断りにくかったのなら、ここで「それもそうですね、じゃあ……」と断ってもらえるかな、というつもりで言ってみました。
これに対してエイシャちゃん、
「問題ありませんよ!それに、酒場なんてなかなか行けませんから、行けるだけ行くことにしているんです!」と。
なるほど、確かに酒場という場所は、女性だけでは行きづらい。かと言って信頼できる男性と行くというのも、その「信頼」とやらが、どこまでもつでしょうか。
そして私は、ちょっとした事情からその手の男が寄ってきません。彼女にとって私は、酒場に行く上でいい虫よけだったようでした。だから、今私と関わりのあるうちに、「行けるだけ酒場に行こう」となったみたいです。
そういうことなら、私としても遠慮する理由はありません。誘えるだけ誘って、そのたびに寄ってくる、かわいい妹分に余計なちょっかいをかける虫を睨みつけます。
正直、冷水ぶっ放すくらいしたい気持ちはありましたが、喧嘩沙汰になったらエイシャちゃんに迷惑ですしねえ。
お店にも迷惑?酒場なんだから、向こうもそれくらい慣れっこですよ、大丈夫大丈夫。私も何度か、あそこの店主に衛兵さん呼ばれましたし。
店主さん、ある意味冒険者よりもよっぽど強かですよ。
(エスメラ)