私、魔術師です   作:みえふぁ

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 巨大悪魔の討伐が終わり、とりあえず一安心といったところです。

 討伐隊には私も参加していたので、またまた財布が潤ってしまいました。まあ、ここのところ慣れない仕事ばっかりだったし、一回思いっきり遊んできますかねえ。

 

 しかし、その討伐作戦ですが、どういうわけか肝心のデカ悪魔退治には参加できず、私は道中に出くわす魔物の対処を任されました。

 悪魔をぶっ飛ばして大活躍し、この日報にでかでかと私の名前が載ったりしないかなあ、などと思っていたのですが……。役割を聞かされたときは、何だか力が抜けてしまいました。

 とは言え、悪魔発生地域の魔物なんて、悪魔にも劣らないほど危険です。それらを相手に見事大活躍して見せれば、日報の表紙に載ることだって夢ではない。

 

 そして、自分で言うのもあれですが、結構な活躍でした。それもあって討伐隊はほとんど損失なく、巨大悪魔のもとへ辿り着けたのですから、魔術師一人が果たした仕事と思えば大したものでしょう。

 では、なぜ私の名前が今日の日報でこの枠の中にしかないかと言うと、禁術を使ったからです。

 下手に公表すると禁術の詳細が漏れかねないから、そこら辺はもうガチガチに規制されている。使えって言われたから使ったのに、理不尽ですねえ。

 

 おかげで、翌日に作戦成功を報じた日報にも私の名前はどこにもありません。

 一応、活躍を全く載せないのも可哀そうだと思われたのか「ギルド所属の魔術師が魔物を相手に~」みたいなことが書いてありました。まあ無いよりはマシですが、名前ぐらい載せてくれてもいいでしょうに。

 

 それでも、私のせっかくの大活躍の証拠です。ぜひ当日の紙面を読んでみてください。

 掲示板に貼られた当日のものしか読んでいないだとか、もう捨てちゃったよって方は、ギルドの書庫にでも行ってください。一月分は保管されているはずです。

 そこにもなかったら、今度は総合ギルド日報編集部に行けばいい。絶対にあります。

 そこでもないと言われれば、私の元まで。この仕打ちを忘れぬためにも、この日の紙面は一生保管するつもりですから。

 

 口止め料と言わんばかりの報酬も貰いましたから、断固抗議などという気はありませんが、不満は残るものです。

 お金がほしいんじゃなくて(ほしいですけど)、せっかく頑張ったのだから、もうちょっと褒めてほしい。ちやほやされたい、うん。

 しかし、この事情を知る人は多くなく……。お金は出しますから、奢りだと言って強引に飲みに誘い、そこで愚痴を聞いてもらったり、慰めのようなお褒めの言葉を頂く毎日です。

 

 さて、ここまで読んだあなたは、たった今「事情を知る人」となったわけです。言いたいことは分かりますね?

 何も、取って食おうってわけじゃありません。酔った女の話し相手になるだけで、好きなだけタダで酒を飲める。結構なことではありませんか……。

 (エスメラ)

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