私、魔術師です   作:みえふぁ

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感謝される魔術

 以前完成させた乾燥魔術が、ようやく魔術一覧に載ることとなりました。まだ2週間ほど先の話ですが、これで公的にこの魔術を使うことができるようになるのです。

 

 我々の研究の甲斐あって、何とか三級以上の魔術師ならば使用可能、という程度の難易度に落ち着かせることができています。第三級魔術師とは、「魔術師として食っていくならば、最低でも三級は」と言われるくらいの立場です。魔術師としてようやくひとり立ちできる基準、と言ったところでしょうか。

 理想としては、簡易魔術か、その一歩手前くらいまでには簡略化したかったのですが……。仕方ありませんね。なんなら、最初は「二級じゃなきゃ無理じゃない?」というレベルだったものを、魔術開発未経験者だけでここまで簡略化したのですから、頑張った方です。

 後のことは、その道の方々に任せておきましょう。

 

 そんな三級以上の魔術師はそれなりの数います。ギルドの中で偉そうに歩いていたら、その人はだいたい三級以上です。乾燥魔術を使いたい人の元に、ギルドから魔術師が派遣される、といった形になるんじゃないかと思います。

 私は好きじゃないので避けていますが、ギルドからの魔術師派遣は、結構人気の仕事です。いつもある依頼で、危険は少なく、報酬もまあ悪くない。花形とまではいいませんが、魔術師以外にはできない、大事な仕事ですからね。

 私も暇だったり、家賃も危うしというときには受けます。でもやっぱり性にあわないというか、しょっちゅうやりたい仕事とは思えないのですよねえ。

 

 ギルドの友人に、シトラという魔術師がいるのですが、彼女は「直接感謝されると、人の役に立っていると思えて嬉しい」と言っています。そう口にする彼女の笑顔と言ったら、眩しくてとても正面からは見られませんでしたよ。

 ところが、こういう話を聞いた後に派遣依頼を受けると、仕事を終えた後の「ありがとうございました」が何だか心地よく感じるのだから、不思議なものです。

 乾燥魔術は開発者だから勝手は分かるし、転移でぱっぱと移動できるのだから、今後はこの手の依頼を受ける機会も増える、かもしれません。気分次第ですね、こればかりは。

 

 一応、仕事じゃなくても、魔術で感謝されること自体はあるのです。

 特にこの時期は、私を見つけ次第、冒険者どもが指さす開かれた口に、お望み通り氷を放り込んでやらねばなりません。気分は雛に餌付けする親鳥です。

 彼らも基本礼は言って行くので悪い気はしませんし、だから私も応えてやっているのですが……。書いていると都合のいいように使われている気がしてきましたね。今後の態度次第では、石なんか放り込んでやってもいいかも知れません。

 (エスメラ)

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