私、魔術師です   作:みえふぁ

43 / 46
見誤らぬよう、ご用心

 先日、ワイバーンの討伐依頼を受け、無事達成し、帰ってこられました。

 舐めてかかるにはあまりにも危険な魔物なので、しっかり緊張感を持って相手することが大切です。

 私は過去に、慣れてきた頃に舐めてかかって痛い目を見た経験があります。幸運なことに五体満足なままで済みましたが、冒険者やそれを目指す方々は、どうかお気をつけて。

 

 さて、そんなワイバーン討伐依頼、実は結構数が多いんです。半端に人里に近い場所に住み着かれると、田舎の方の村では対処の仕様がない。

 ギルドの掲示板で見る分には「またワイバーンかあ」という感覚ですが、村の人々にとっては、一生に一度あるかどうかという程の一大事。

 ゴブリンを筆頭とした、作物を荒らす馴染みある手合いならいざ知らず、ワイバーンへの対策なんて、用意が無くて当たり前です。

 

 というのも、用意したくてもできないのです。何せ相手は空飛び火を吐く翼竜。村人では戦いようもなく、対抗できる設備など、片田舎には何処にもない。

 結局、一番安く済む方法が「冒険者への依頼」となるわけです。騎士隊も大繁殖でもされない限り「冒険者の仕事だろう」と動きませんし。いや、動かれてしまうと仕事が減って困るので、冒険者としては嬉しいのですが……。ねえ?

 

 逆に、ゴブリンなどは村で十分対処が可能なので、身近な脅威の割には、なかなか依頼が少ないものです。これは、実際冒険者になるまで知りませんでしたねえ。私は一応、田舎の出なのですが。

 結果として、ゴブリンの依頼は、手に負えなくなった大きな群れの討伐ばかりとなります。「ゴブリンはドラゴンよりも強い」などとも言われ(さすがにドラゴンには劣ると思いますが)、こちらも舐めてかかると命を落としかねません。

 

 さて、そんなワイバーンの討伐依頼は、基本的には報酬がお高めになります。時期にもよりますが、危険度に見合った、十分な額と言えるでしょう。

 

 実は、この依頼を受ける二日前の飲みの席、四人いた冒険者仲間の一人が、近いうちに結婚すると発表したのです。

 すると、ただの下品な冒険者の集まりだったそこは、突然祝いの席と化しました(下品なまま)。

 ちびちびと安酒を啜っていたはずが、飲めや歌えやと大盛り上がり。どんどんと酒を注文し、支払いを終えてみれば、文無し冒険者五人組の出来上がりです。

 

 とりあえず、当面のお金だけは確保せねばということで、その面子で高額なワイバーン討伐に出かけた、というわけです。

 もちろん、討伐の準備にだってお金がかかります。私はギリギリ足りましたが、中には借金をしているような者もいました。

 

 正直、ワイバーン討伐に同行せずとも、私に限って言えば、まあどうとでもなりました。他に仕事がありますから。

 しかし、冒険者一本で生きてる彼らはそうもいかないわけで……。刹那的な生き方は好きですが、さすがに少し心配になるというものです。

 特に、結婚するらしい彼のお相手の方。大丈夫ですか?ちゃんとついて行けますか?なかったことにするなら今のうちに……。

 (エスメラ)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。