大人になりたい少年の話   作:かゆ、うま2世

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疑惑、追及

 

 

 

「あれ……?」

 

 

いつものように、風紀委員として不良生徒を取り締まった帰りのこと。いつものベンチに、イフの姿を見た

ただ呆然と、どこかを見つめている──いや、そうではなく、頭に包帯を巻いている。私はともかく、イフが頭に傷を負ったのならば、それは問題だ

 

 

「イフ!」

「……ヒナ?」

 

 

私の姿に、驚くような表情を見せた

 

 

「何でここに…」

「ここはゲヘナ。そんな事よりも、それどうしたの?」

「……あぁ、これか」

 

 

一瞬だけ目を逸らしてから、すぐに私へと向き直る

 

 

「ちょっと色々あって、何ともないから心配するな」

「……そう」

 

 

いつもとは違う、どこか濁ったような瞳。それだけじゃない。明らかに声と雰囲気に覇気が無い。まるで、抜け殻のようだ

 

 

「あ、それよりも最近どうだ?忙しかったりしない?何か困ったりとかはしてないか?アレなら手伝うけど」

「別にいつも通り。手伝いはいいから、ゆっくり休んで」

「っあ……そ、そうだな。ごめん」

 

 

謝る必要は無いのに。本当に、普段の彼とは明らかに様子が違っている

 

 

「……それじゃ、アビドスに行ってくるよ。あんまりヒナの時間を取るのも良くないしな。何かあったら先生を呼べよ、何とかしてくれるから」

「……」

 

 

その言葉に、何故か胸がざわついた。何かがおかしい。何かが───

 

 

「……待って」

「ん?」

 

 

思わず、呼び止めてしまった

 

 

「あ───」

 

 

何を言えばいいのかわからない。そもそも、どうして呼び止めたのかすら、自分でも理解できていない

 

 

「えっと、その───いつも、ありがとう」

「……急にどうした?らしくないぞ?」

「……」

 

 

私も、そう思う。でも、今言わないといけない気がした。このまま彼を行かせてはいけないと、私の心が叫んでいる

でも、どうやって引き止めればいいかわからない。そして、結局───

 

 

「……ヒナ?」

 

 

抱きつくことで、精一杯だった

 

 

「どうかしたのか?」

「その…私はイフの事、信頼してる。だから……もし、もし何かあったなら、私の事頼って───」

 

 

抱きついたまま、上にある顔を見て───言葉を失った

真顔だった。感情も感じなければ、目に光も無い。ただ、じっとこちらを見ているだけだった

 

 

「──あ、その…」

 

 

思わず、手を離して距離をとる。気まずくて、まともに顔を見られない

 

 

「……うん、ありがと、ヒナ」

 

 

それだけ言って、背を向けて歩いていく。一度たりとも、振り返らずに

 

 

「……大丈夫かな」

 

 

一人になった途端、不安に襲われる。彼は強い人だと知っている。それでも、今の彼の姿はあまりにも痛々しくて、見ているだけで辛かった

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「うへ、いいタイミングで来たね〜。濡れなくてよかったじゃん」

「………」

 

 

窓の外を見ながら、彼に話しかける

三年前から始まったこの時間、いつしか──待ち遠しいものになっていたこの時間

雨音を聞き流しながら、空き教室の机に二人座る。何処にも行かずに、ここに居てくれる事が、今はただただ嬉しい

 

 

「おーい、聞いてる?」

「───あ、悪い。少しぼーっとしてた」

「まぁ、そういう日もあるよね〜。ていうか、頭どうしたの?」

「……ちょっと、色々あって」

「へぇ、イフが怪我するなんて、よっぽど大変だったんだね〜」

「……そう、だな」

 

 

……薄々気づいてはいたが、どうも元気がない。雨のせいではないはずだ。彼が、ここまで落ち込んでいるのは──あの時以来だ

 

 

「手首も、その時に?」

「あー…これは料理中に切った」

「ふぅん……」

 

 

いつも通りのやり取り。いつもと同じ雰囲気。だけど、そこに違和感がある

 

何より目が最悪だ。赤くて、異質──例えるなら、蛇のような目に、一切の光が宿っていない

 

 

「雨降っちゃったし、止むまではここにいなよ」

「……別に、邪魔なら帰るぞ」

「邪魔じゃないよ。イフがいないとおじさん寂しいし」

「……」

 

 

何も反応しない。やっぱり、何かがおかしい

 

 

「……ねぇ、何があったの?」

「…………」

 

 

返事が返ってくるとは思っていなかったが、予想以上に沈黙が続く。やはり、話すつもりは無いらしい

 

 

「イフ」

「───ッ!」

 

 

肩に手を置くと、ビクッと震える。その彼の頬を両手で掴み、無理矢理視線を合わせる

 

 

「話せない?」

「いや……別に何も無かったし」

「そう……じゃあ、聞かせてもらうけど」

 

 

真っ直ぐに目を見つめながら、私は言った

 

 

「何で、そんな目になってるの?」

「……っ!?」

 

 

心底動揺したように、私の手を無理矢理振り解いた。こんな反応は初めてだ。動揺を隠しながら、また語りかける

 

 

「ちょっとちょっと、本当にどうしたのさ?」

「……何でもない。もう帰る」

 

 

立ち上がって帰ろうとする彼の腕を掴む

 

 

「待って待って!まだ話は終わってないって」

「放せ」

「嫌だって。ほら──泣いてる」

「……え?」

 

 

自分の手で涙に触れてから、ようやく気づいたようだ。自分が涙を流している事に

 

 

「話すだけでも、楽になるよ?」

「っ───」

 

 

もう一度、私の顔を見る。それから、目を逸らして俯く。それでも──話す事は無かった

 

 

「……何もないよ、帰る」

「……意地張っちゃってさ、大人らしくないよ」

 

 

昔からのお決まり──というより、禁じ手のようなものだった。これを言うと彼は怒るから。でも、今日だけは使わせてもらった

 

 

「……あぁ」

 

 

あんな答えが返ってくるなんて、思いもせずに

 

 

「辞めたんだ、そういうの」

「───え?」

 

 

何を言われたのか、理解できなかった

頭が真っ白になり、思考が停止する

 

ただ、雨の中歩いていく彼を、見送ることすら出来ずに眺めていた




とりあえずイフ君の精神をぶっ壊すことに成功したので、パッと頭に浮かんだバッドエンドifを書いていこう

1.誰かと共依存ルート
精神ボコボコの理由を完全に理解した上で本編以外の展開でイフ君に関わると発生する。相手はトキヒナホシノが一番確率高めだが、顔が広いので乱数によっては別の人もありえるかもね。因みにキヴォトスは滅ぶ

2.イフ君自殺ルート
先生が居るので皆が曇る以外は何の問題もない。トキヒナホシノも問題解決の為に動いてる時は大丈夫だから順調に最終編までいける。だけどあらゆる人がイフ君の事をふと思い出しては曇るし、三人は立ち直れない

3.先生ズブズブルート
ボロボロになったイフ君が心の底の欲望に従うと発生する。皆を助ける為に鍛え上げた圧倒的なフィジカルをフル活用して先生をレイプなり監禁なりして手元に置く。キヴォトスが滅んだ後、自分のやった事を理解して泣きながら先生に謝る
でも先生も怒れないの、可愛いね
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