「ん、やっぱり銀行を……」
「だからダメだってシロコ先輩!この金運が上がる壺さえあれば…!」
「あはは……」
「み、皆さん…」
「今の若い子は元気だねぇ〜」
「ホシノも充分若いだろ。俺たち同い年だぞ?はい、銀行強盗もその類の壺もダメです」
後日訪れたのはアビドス高等学校。俺を出迎えたのは対策委員会の面々──小鳥遊ホシノ、十六夜ノノミ、砂狼シロコ、黒見セリカ、奥空アヤネの五人だった
「色んなところに行ったけど……割と一番のじゃじゃ馬ここかも…」
「セリカ、イフ先輩が困ってる」
「私!?」
「どっちもだよ…ははは」
そのままいつも通りの話し合い……雑談?がしばらく続いた
─────────────────
「いや〜悪いねぇ。毎回面倒見に来させちゃって」
「気にすんなよ、約束だろ?『アビドスの借金はお前らだけの力で返す。俺はその途中でやらかさないように見張る』……ってやつ」
あの後、セリカはバイトに、シロコはライディングに行った為話し合いは終了となり、俺はホシノと共に校内を歩いていた
「で、今どこに向かってんの?」
「体育倉庫だよ。いいものがあってさー」
「いいもの?」
「そ、いいもの」
ニヤリ、という擬音が似合いそうな笑みを浮かべるホシノ。正直あまりいい予感はしない……
「ここか……って埃やば!」
「長居は無用だね。さっさと済ませようか」
ホシノは体育で使うマットの山に近づき、その中の一つを引き抜いた
「羽毛……なるほど、アビドスがこうなる前の品か」
「これこれ、これが欲しかったんだよ〜」
「取ったなら早く出よう。あと埃払ってから使えよ」
「むむむ、意外とおっきい……手伝ってくれない?」
「いいよ」
「いやー年だね〜」
「だから同い年だろって」
二人でマットを引きずりながら外に出て、埃を払ってからマットを運ぶ
「で、これ何に使うの?」
「ついてからのお楽しみだよ」
ホシノに連れられてやってきた場所は、腐るほどある空き教室の一つだった
ホシノは机をどかしてスペースを作ると、マットを置いてその上に寝転がった
「ふかふかだ〜」
「腰痛めるぞ」
「いいじゃん。それよりほら、こっち来て座ってみなよ。気持ちいいよ」
手招きするホシノの隣に座ってみる。確かに体育用のマットとしては柔らかいのかもしれないが……
「ベッドぐらいなら別に……」
その先の言葉を言いかけて、止めた
ホシノが幸せそうに微笑んでいたからだ。普段見せているような飄々とした感じの笑い方ではない、心の底から嬉しそうな……
「……そうだな、悪くない」
「でしょ?」
二人だけの空間。誰の邪魔も入らない。そんな時間がゆっくりと流れていく
「借金はどうにかなりそうか?」
「おかげさまで、いつかね」
「……あぁ、いつかな」
「そっちはどう?大人になれそう?」
「いつかなれるよ。……何て言い続けて、もう三年以上経ってるけど」
苦笑しながら答える。俺はまだ大人にはなれていない。きっと、今日も無理だ
だけど──無力に打ちひしがれるのは、もう御免だ
「諦められないんだ。今日はダメでも……いつの日か…って」
「……うん、いい目してる」
寝ているホシノの頭に手を乗せる。ホシノはまた嬉しそうに笑うと、そのまま目を閉じた
「おやすみ、起きた時の腰の痛みは覚悟しておけよ」
「……はは、その時はイフにマッサージでも頼もうかな」
驚く程早く寝息が聞こえてきた。トントン、と指先で叩いても反応が無い為、寝ているのは確実だ
「……お疲れか」
そう結論付けて、俺はホシノを見守る
「……必ずなるよ、大人に」
もういない、彼女の顔を思い浮かべながら
「だから──見ててくれ、ユメ先輩」
きっと、この楽しい日々の中で、俺たちは成長しているはずだから
─────────────────
翌日────
セイアが、死んだ
評価も真っ赤。感想も2件頂いて嬉しいンゴねぇ…がっつり曇らせていくからみとけよみとけよ