その夜、探偵社の会議室にて社員は集まっていた。
本来は入社試験を如何にするかという会議だが、腑に落ちない顔をするものも多い。
「結局、敦君のことを社長に報告したら、入社試験の許可は下りたのだけど」
「乱歩さんとあの小僧どもの繋がりが分からん」
議題そっちのけで社員たちが頭にめぐらすのは、この探偵社の大看板――江戸川乱歩のことである。
「乱歩さんも社長も、あの子たちがいた組織についてはご存じだったみたいですね」
「でも、かなり気に喰わないって様子だったよ。誘拐されたこととか追手のこととか話したら珍しく殺気立ってたし」
「あ、あの社長がですか……」
別の仕事があって虎探しには加わらなかった谷崎が太宰の言葉に顔を青ざめた。
普段、探偵社の長として己の感情を律する御仁がそんな感情を顕わにするなんて。福沢自身が武道の達人であるだけ、想像するのも恐ろしい。
「『魔女』って言ってたけど、いったい何者なのかねぇ」
「ああ、目ぼしい組織にも聞いたことがない」
手がかりと云えるのは、鏡花の言った魔女なる存在。福沢の態度からして、決して正道を歩む人物ではないだろう。
因縁があるとしても、二人と社で最も付き合いの長い与謝野でさえ知らないとなればお手上げである。
頭を悩ます調査員たちに、お茶を配っていた谷崎の愛妹――ナオミが首を傾げて云った。
「もう直接お訊きになられたら如何ですの?お仕事に関わる大事なことなのですから、乱歩さんも教えて下さるんじゃないかしら」
「僕がなんだい?」
ナオミの口から乱歩の名が出た丁度その時、当人が会議室の扉からひょいと姿を見せた。
渦中の人物の突然の登場に一同の視線が集まる。普通の人間なら居心地の悪さに身じろぎをするだろう注目に、乱歩は特に気にもかけずぐるりと会議室の面々を見回し理解できない阿呆を見る目で後輩を見た。
「ええー……。君ら、こんな遅くまで居残ってそんなことで無い頭無駄遣いしてたのかい?」
流石は探偵社の主軸。一目見ただけで、何を話していたのか分かってしまったらしい。
「ははは、面目ない」と太宰は笑顔で答えた。「しかし、私達は何も野次馬根性でああだこうだしていた訳じゃあないんです。新人たちを追う連中のことや、本人たちの素性など、謎が多すぎるので、困っているんですよ」
「ふーん」
役者のように芝居がかったように喋る太宰に、乱歩は興味などないとばかりに持っていた駄菓子を食む。
「まあ、社長に訊かなかっただけマシか。社長、あのヒトのこと蛇蝎の如く嫌ってるから。ただでさえ報告聞いただけでも機嫌悪いのに、そんなことしたら僕でも手に負えないよ」
何でもない事のように乱歩の云った言葉に、場の空気が固まる。十年以上社長と付き合いがある乱歩ですら手に負えないとまで言わしめるなど、尋常ではない。
ぎりぎりの危ない橋を渡っていたのでは?と、報告に行った太宰と国木田は冷や汗を垂らした。
乱歩はそんな空気の変化も意に介さず、適当な椅子を引き出し差し入れられたものの誰も手を伸ばしてなかった机上の肉まんを一つ取り、「あーん」と頬張った。それを見たナオミが乱歩のお茶を用意しに一度下がる。
「と云っても、僕も社長も『魔女』の事自体は詳しく知らないんだよね。組織としての連中を知りたければ明日あの子たちに訊けば?」
「では」話す気になったらしい乱歩に、代表して太宰が問いかける。
「乱歩さんと『魔女』の繋がりは?」
「あの娘と同じさ。ま、僕の場合は両親が死んだあとに攫われたのだけれど」
乱歩はそう言って、過去の記憶に思考を落とした。
********
真っ黒い女だった。全身黒を纏い、肌だけが消しゴムのように白かった。顔の造形は一般的に美しいのだろうが、十三歳の乱歩はちっともそう思わなかった。
乱歩が両親を失い、途方に暮れていた時。
辛うじて父の生前の言葉に従い警察学校の門を叩こうと田舎から出てきた時分だった。一体どこで目を付けられたのやら、気付けば乱歩はとある山中のお屋敷に誘拐されていた。
西洋風の屋敷。しかしこの規模はまるで絵本の中の城と云ふ方がイメージが近いだろう。丁寧に手が入った緑豊かな庭園。重厚な扉を潜れば、真紅の絨毯がふかふかと足を受けとめた。天鵞絨のソファは驚くほど滑らかで、乱歩は意味もなく手で摩ってその感触を楽しんだ。
そして、屋敷の奥に連れられてあの女と会ったのだ。
女主人は己を魔女と名乗った。そこには弟子だの下僕だのという人間が何十人もいて、皆女に傅いていた。
女は、「お前を弟子にするわ」と云った。
「いやだ」乱歩は拒絶した。
乱歩の天才的な頭脳は、この女たちが決して善良なる市民ではないことをたちどころに見抜いた為である。
そのつれない返事に何が面白いのか、『魔女』はからからと玉を転がす様に笑った。
女は異能力者であった。当時の乱歩は異能力の存在を知らなかったので、「なるほど、やはり魔女とは妙な力を持っているのだなあ」と子供らしい素直さで納得したものである。
女の異能。それは、異能力者を目にする機会が増えた今でも他と一線を画す特異な力であると認めざるを得ない能力であった。
異能力――××××××。
異能を持たぬ人間に異能を発現させる能力。
魔女は、己の異能を使い、集めた孤児に異能を与え、人知れず異能力者の一大勢力を作り上げていたのである。乱歩のことも、弟子とは言うが異能力を発現させて部下にする為に連れてこられたのだ。
しかも、やっていることは傭兵稼業であるが、派遣先が犯罪者だろうがテロリストだろうがお構いなしの組織である。父が警察官という正義の徒であった乱歩は、父に顔向け出来ぬような真似は出来ぬと余計に突っぱねた。
魔女はなにが面白いのか、言うことのきかぬ乱歩をそれでも序列一位の首席の地位を与えた。屋敷にいる限り、自由以外のなんでも手に入った。温かい寝床と豪華な食事が言われずとも用意された。
女は乱歩を手中に収めているだけでも満足なのか、毎日一時間共に過ごすだけで後は自由に過ごすことが出来た。ただ、屋敷から出る許可は決して下りなかった。
当然だろう、こんな所でこんな連中の仲間になる気は皆無なのだから。そうと分かっていて易々と逃がす程愚かではない。
しかし、いくら魔女が乱歩を閉じ込めようと、乱歩の前にとっては児戯に等しい。
手始めに、乱歩はその類稀なる頭脳で284通りの脱出計画を立てた。
そして、当初の目的だった父の知己を訊ねて警察学校に入った。が、数日後に退学。その日のうちに屋敷に連れ戻された。
逃げ出したというのに、魔女は乱歩に弟子になることを拒絶された時のようにまたからからと玉のように笑って迎えたのだから、乱歩はこれはまた馬鹿にされているなあと感じた。
確かに、一時逃げることは安易だろう。しかし、魔女には各国に根を張る人脈と情報網がある。隠れることなく表の世界で堂々暮らしてれば所在はすぐに突き止められるだろうし、追手を警戒して裏社会になんて入るなんてそれでは本末転倒。
所詮乱歩の逃走生活は魔女にとっては子供の家出以下のお遊びでしかないのだ。
それでも、乱歩は屋敷からの脱走を繰り返した。警察学校がダメならと就職活動を始めた。
幸い、政府の就労活動支援枠に当てはまったので、援助を受け乍ら仕事を片端から受けた。その気質で何度も馘首になったけれど、それでも続けたのは意地になっていたと言ってもよいだろう。
魔女は魔女で、乱歩が一般の社会に馴染めないことを身を以って思い知らす狙いもあったのか、相変わらず閉じ込めはすれど、しばらくは様子見して仕事を辞めさせられた頃に連れ戻された。迎えに来る弟子たちは、最初こそ泡を喰って連れ戻しに来たというのに、数を重ねるとまるで当たり前のような態度で迎えに来た。
そして、21回目の脱走。乱歩は年を重ねて14歳になっていた。
とある会社に事務員見習いの面接に向かった先で、乱歩の運命は大きく変わる事となる。
その話は語るべくもないだろう。乱歩は福沢の下で名探偵の才を開化させ、探偵双人として名を馳せた。
忘れていたというか、忘れてしまいたかった連中が再び出てきたのは、福沢と暮らし始めて半年ほどのことである。
乱歩が一人になる隙を見たのだろうが、駄菓子屋の帰りに魔女の弟子たちが現れた。どいつもこいつも、表情を固くして乱歩に屋敷に帰ってくるよう告げる。
乱歩は口の中で買ったばかりのどんぐりあめを転がしながら、弟子たちを観察した。魔女は乱歩が表の世界で食い扶持を得て、自分から縁を切ろうとしたのが気に食わないのだろう。随分不機嫌になって、弟子にも当たり散らしてるらしい。あの女そういう処有る。
うんうんと内心頷きながら、乱歩は誘拐された。当然だが、乱歩は全くの非戦闘員なので、傭兵業もこなすような相手に逃げ切ることも叶わない。それに、どうしても取り返したい荷物がまだ屋敷に残っているはずなのだ。
魔女は乱歩に異能を与え弟子にしたいのであって、超推理という異能を発現させた乱歩には契約が行えない。まあ、怒った魔女は生まれながらの異能力者の構成員・下僕として扱使おうとするかもしれないが、それまでにきっと福沢が異変を察して迎えに来てくれるだろう。
己が異能力者だと疑わない乱歩は気楽に考えていた。
乱歩の失態は、この時逃げなかった事。例え逃げ切る可能性が低くとも、形振り構わず福沢に助けを求めるべきだった。そして、魔女の己への執着を理解し切れなかった事。しかし、当時十四歳の少年であった人生経験の浅い乱歩では仕方ないとも言える。
再会した魔女は、乱歩の四肢の骨を折った。
ひたすらに乱歩を暴行する魔女の、なんと醜い様か。
女はその美しい顔を嫉妬に歪ませ、手足を砕くだけで飽き足らず、顔を胴を肌という肌を嬲った。
全身に激痛が走るなか、鉄の枷で吊り上げられた乱歩の首を絞め乍ら、女は発狂する。
「許さない、許さない!私から逃げるなんて、許すものか!」
顔を殴られた時に切った口内から滲む血を端から垂れ流しながら、意識が遠くなる。
このまま殺されるかもしれないと、酸欠になりながらぼんやり思ったその時、魔女の居室の扉が弾き飛んだ。
「乱歩!!!」
常はぴっちりと着付けられた衣服が少し乱れている。どんなに乱闘が合っても、崩れたことなど見たことなかったのに。
駆けこんで来た福沢に、場違いにも乱歩はそう思った。
「貴様っ!」
ボロボロの姿で首を絞められている乱歩に福沢は女を投げ飛ばそうとするが、女腐っても傭兵組織の長。ひらりと飛び上がり、福沢を避ける。
福沢は女を警戒しつつ乱歩の怪我を確認し、言葉を失った。
酷い姿だった。全身に紫の打撲痕が痛々しく広がり、手足が尋常じゃなく腫れているのは骨が折れているためか。擦り傷も深いものから浅いものまで数えきれない。それに、もしかしたら肺も傷ついているかもしれない。浅い呼吸を繰り返す乱歩に、福沢は感じたことの無い怒りが燃え上がるのを覚えた。
「っ、ふく、……ざぁ……さん」
「……帰るぞ、乱歩。すぐ医者に行こう」
それでも養い子には優しい声音で、少しでも安心させようと語り掛ける。鉄枷の鎖は叩き割り、乱歩を抱えあげた。
しかし、一歩踏み出した福沢に魔女が立ちはだかる。
「逃がさないわ、盗人が」
「盗人だと……?」
元々険しかった福沢の顔が、身に覚えのない盗人呼ばわりに更に険しさが増す。
「乱歩は私の物。それを我が物顔で連れ回して。もう十分良い思いさせてやったでしょう。乱歩を返して」
「……貴様と乱歩がどのような関係かは知らぬ。しかし、幼い子供にこのような拷問を加え、剰えモノ呼ばわりするような所にこの子を渡すつもりはない」
魔女の言い分に、福沢は腕の中の乱歩に障らぬよう抱く力を強めた。それに応えるように、乱歩が福沢の懐を柔く掴む。それを乱歩の意志と受け取った福沢は、より鋭い視線で魔女を睨みつけた。
「邪魔立てするなら容赦はせん。押し通るまで」
「ふざけないで。私が先よ。私が先に見つけたのよ。誰にも渡すものかっ」
静かに怒りを迸らせる福沢に対して、魔女が喚き散らす。
乱歩はそれを聞きながら、痛む口や頬の筋肉を無視して喋り出した。
「何度も……言、ったけど。……僕、は。貴女の、弟子にはならない。今日、は。父上、と……母上の、位牌を返して、貰いに来た」
途切れ途切れの乱歩の言葉に、福沢が驚きに目を見開いた。
亡くなった両親の位牌。その存在を乱歩から聞いたことはなかったが、それでも乱歩にとってそれがどれだけ大切なものであるかは理解できる。
乱歩が自らそんな大事なものを手放すとは考え難い。
「亡き両親のご位牌を、子供から取り上げたのか……!?」
信じられぬ外道。
この奔放な乱歩が決定的な逃亡に着手しなかったのは、それが理由だった。
この組織に誘拐されてすぐ、乱歩は荷物の中から位牌が無くなっていることに気が付いた。それがどこにあるか、乱歩はすぐに察した。魔女の居室で、乱歩への質とするために手元へ隠し持っていたのだ。
背に腹は変えられない。両親そのものがそこにいる訳ではないのだと、幼い無力な乱歩は自分に言い聞かせて諦めた振りをしていたが、いつだってその存在が心に引っかかっていた。
その心残りを果たさんと目的をもって魔女と相対するも、女は口を開く隙も与えず暴行したのだ。
「そんな、そんなもののために……?」
「そんなものだと!?貴様っ、位牌はどこにある!」
呆然。
魔女が力なく呟いた言葉に、福沢は我慢が利かず激昂した。しかし、福沢の怒声も魔女に効くことはなかった。
女は何処か期待していたのだ。もしかしたら。もしかしたら、迎えの弟子たちに大人しくついて来たのは、魔女の元へ戻ってくるつもりだったのではないかと。
理性では自分を捨てて福沢の元へ行ったのだと理解していたが、それでも、心のどこかで都合のいい幻想を抱いていた。
それが砕かれ、魔女は正気を失った。
支離滅裂な言葉を叫び、福沢を誹り、乱歩を詰る。滅茶苦茶に殴り掛かろうとして、避けられ、受け身も取らず床に倒れ込む。
将に狂人。福沢は眉間の皺を深め、埒が明かないと乱歩に声をかけた。
「乱歩、位牌は何処にある」
「壁に、掛けられ、た……。薔薇の絵、の後ろ……。隠し戸棚の、矢絣柄の風呂敷に……」
それを聞いた福沢は即座にその絵画を視界に捉え、一足飛びで絵を壁から引き剥がす。その中には、確かに濃藤色の矢絣柄の風呂敷の包みがあった。
福沢がそれを取ろうとしたその時、髪を振り乱した魔女が再び襲い掛かる。
――ガッ
「しまった!」
魔女は間一髪の差で福沢よりも先に包みを奪ってしまう。
焦った福沢が手を伸ばすまえに、魔女は驚きの行動をとった。
「こんなものっ」
「やめろ!!」
包みを床にたたきつけたばかりか、魔女はそれを踏みつけたのだ。いったいどんな力を込めたのか、位牌はバラバラに砕かれてしまった。
とっさに福沢は腕の乱歩の顔を見た。この子供が傷ついてないか確かめようとしたのだ。考えれば、目の前で両親の位牌を踏み壊されて傷つかないはずがないのだが、反射的に子供の傷を確認しようと、敵から目を背け乱歩へ向けた。
乱歩の顔を見た瞬間、福沢は己の忍耐が切れるのを感じた。
福沢は頭で考える前に魔女を突き飛ばした。このままだときっと何度も踏みつけにされていただろう。魔女は数メートルも離れた壁が崩れる程の勢いで激突した。
腕の乱歩に響かぬようにそっと膝をついて風呂敷を持ち上げた。不幸中の幸いは風呂敷の上で砕かれたので、破片も全て回収できたことだろうか。
福沢は包みを袂へ仕舞うと、今度こそ帰ろうとする。
「どうして」
「なぜ私ではないの」
静かな嘆きが、福沢の背に投げつけられた。
ここに至って、福沢は理解した。簡単なことだ。魔女は、福沢に嫉妬していた。乱歩が福沢を盲目的なまでの慕う様や、まるで子が親にするようにべったりと甘える姿に。
ここで初めて、魔女が――女が、乱歩を一人の女として愛していたことに気が付いた。
しかし、だからといってそれがなんだというのだろう。
愛は免罪符には成り得ない。このような暴虐、決して許されるものではないのだ。
乱歩が魔女の気持ちに気付いていれば違ったというのだろうか?幼い乱歩は女の気持ちに気が付かなかったのは罪だといえるだろうか?
そんなわけがない。子供の乱歩は大人によって庇護され、養育される権利がある。世の中そういかぬこともことも多いが、乱歩の尊厳と自由を踏みにじった女に向ける同情などありはしない。
乱歩を抱えたまま、屋敷の出口に福沢。
しかし、組織は、魔女は二人をただで返す気はなかった。
魔女の弟子――すなわち、魔女によって異能を発現させた精鋭部隊。
そして、下僕(スレイブ)と呼ばれる、隷属の印によって支配された生まれながらの異能力者の奴隷衆。
それらが魔女の命令により、一斉に福沢へ襲い掛かった。
それぞれが傭兵としてプロの戦闘員を自負する強者たちである。いくら福沢とて、満身創痍の乱歩という荷物を抱えたまま無事に帰れるはずがない――という、魔女の考えは即座に裏切られた。
男はただ強かった。そして、なによりも怒っていた。鬼神の如き威で、武力で、異能も武器も罠も全て破壊した。
何十人もいた襲撃者は悉く戦闘不能に陥り、組織最大の汚点として語り継がれる事となった。
********
乱歩は当時を思い返して、あのあと大変だったなあと内心呟いた。
特に、両手足の骨折。そのせいで福沢に随分手間をかけてしまった。あと喋り辛いと思っていたら、顎の骨も罅入っていたらしい。
数か月の完全介護生活。申し訳ないやら情けないやら。福沢は熱心に看てくれていたが、この時ばかりは思春期の羞恥心勝っていた。
「まー僕は連中の仲間になる気、さらさらなかったからさあ。何度も逃げ出してるうちに社長のとこに来て、また誘拐された僕を社長が助けてくれたんだよね」
拷問だのなんだのの話は除いて、当たり障りのない内容を話す。魔女の異能だとか、組織については鏡花たちのほうが詳しかろうし、そっちで説明してもらおう。
まだ疑問は残っていながらも、一応は納得して見せた調査員一同に激励を残しつつ、乱歩は会議室を後にした。