超能力?そんなの(ヾノ・∀・`)ナイナえっあるの?   作:黎火

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引きこもりの幼馴染が超能力者とか(ヾノ・∀・`)ナイナイ

「超能力って信じる・・・?」

「いや信じてない。」

 

なんかどこかでそんな会話最近したな。

テレビで特集か、ネットでバズったかなにかあったんだろうか。

 

「というかほら、カーテンと窓ぐらい開けろよ。暗いしなんか湿っぽいぞ。」

「ううぅ・・・眩しいぃ」

「ほら、布団からもいったん出る」

「や”だあ”ぁぁーま"だ眠い”ー」

「ずっと寝てるようなもんでしょうが。

そんなんじゃ一人で生きていけないぞ」

「養ってー・・・」

 

幼馴染の中読(うちよみ)まひろは、引きこもりである。

元々インドアで人付き合いが上手な方ではなかったが、ここまで自堕落な感じになるとは思ってなかった。

とはいえ、こういう風に寝っ転がりながら雑談出来るだけでも、引き籠りになった直後よりは全然ましだ。

 

引き籠りになった直後の彼女は本当にひどかった。部屋から一切出ようとせず碌に返事もしない。

毎日通い詰めて少しずつ会話をしていくようにして、ようやく今の状況になった。

 

「うへへー」

「なんだよ変な笑い声して」

 

作った弁当を彼女と一緒に食べる。

まひろは本当においしそうに食べてくれるので、作っている側も嬉しくなる。

 

「やっぱり、そうくんは優しいなーって」

「・・・なんか甘えられてるのもあってか、ちょろいって言われてるような気がするんだが」

 

その後は雑談したり、ゲームしたりしながら少し時間をつぶした。

気付くとそろそろバイトの時間だった。

 

「じゃあ俺、そろそろバイト行かなきゃいけないしいったん帰るわ」

「・・・うぅ」

 

まひろはいつもこんな感じだ。俺が帰るとなると寂しそうな目でこちらを見つめてくる。

 

「また会いに来るから心配するなって。」

「本当・・・?」

「本当だって。お前が引き籠りをやめるまでは定期的に会いに来るから」

 

中学3年生の頃、一度だけ彼女を見捨ててしまった。

当時色々あったとはいえ、彼女にきつく当たってしまった。

その時のまひろの表情を覚えている。

あからさまなショックを示すのではなく、どこか何かが抜け落ちたようなそんな顔。

多分彼女が引き籠りになってしまったのはそれが一因でもある。

まひろが、俺がどこかに行こうとすると不安がるのはそれが原因だろう。

そして俺が彼女の引き籠りに責任を感じる原因でもある。

 

◇───◇

 

私、中読(うちよみ)まひろは超能力者である。

いつからかは覚えてないが、自然と人の心を読むことが出来た。

その人が本心では何を思っているかが、嫌でも頭の中に流れ込んできた。

他人が何をしゃべっていても、同時に流れてくる本心にかき消される。

 

頭の中にノイズが流れ込んでくる感覚で、とても嫌だった。

気付けば、人と接することを避け始めていた。

表面の態度と本心の乖離を受け入れることが出来なかった。

そんな私が、中学校までは世間というものに何とかしがみついていけたのは、

斎木颯真という人間がいたからだ。

 

彼と最初に出会った時のことは今でも覚えている。

小学生の頃から既に人付き合いを避け気味だった私に話しかけてくれた。

本当に驚いた。

近くにいると聞こえてきてしまうはずの本心が彼からは聞こえてこなかったからだ。

彼との何でもない会話が心地よかった。

本当の事が分からないことが、これほど安心できることだなんて初めて実感できた。

 

その日から私は、彼と会うために学校に通うようになった。

自分が普通の人間なのでは、と思わせてくれるのは、彼だけだったからだ。

斎木君と一緒にいる間だけ私は普通の人間になれた気がした。

 

そう、だから──

気付けば彼に、斎木颯真という人間に、依存するようになっていた。

多分無自覚だったんだろう。

 

「鬱陶しいんだよっ・・・・!」

 

そう言われたとき、何かが抜け落ちる感覚がした。

彼に依存していると自覚したのはその時だったと思う。

 

後々、周囲の会話から、斎木君の父親が死んで、同時期に母親が重い病気で入院することになってしまったのを知った。

身内の不幸で精神的に不安定になっていたのはすぐに察することが出来た。

 

私は、斎木君のことも考えず、自分が人間らしくあるために彼を利用していただけだった。

自己嫌悪で一杯だった。

同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。もう彼に迷惑をかけるわけにはいかない。

だから、努力した。彼がいなくても誰かと接することができるように。

 

でも、私は、私が思っている以上に、斎木君に依存していたんだと思う。

 

気付けば、自分の部屋に引き籠るようになっていた。

彼無しで周囲と接するよう頑張ろうとするが、すぐに助けを求めてしまいそうになる。

でも、彼のことを考えてその思いを抑える。

ということを繰り返して、気づいたら疲れてしまっていた。

 

どうして生きていくのに、こんなに頑張らなければいけないのかという思いが私を支配していた。

 

引き籠り始めて少ししたぐらいだろうか。

斎木君が訪ねてきた。

私は彼に今すぐにでも会いたかった。でも

 

「鬱陶しいんだよっ・・・・!」

 

あの時の、超能力なんてなくてもわかる、本心から漏れ出た言葉が邪魔をする。

私は、彼の邪魔になってしまう。

そう考え、彼の言葉に答えなかった。

 

でも、気付いたらある日彼を部屋に入れていた。

私はどんなに弱い人間なんだろう。

耐えられなかった。自分の理性よりも甘えたいという本能が勝っていた。

 

ああ、、、でも毎日訪ねてきた彼も悪いと思う。

こんなの甘えろと言われているようなものだ。

大体、彼の本心なんて分からないのだ。

なら今の態度が本心だと思って──

 

◇───◇

 

「甘えさせてー」

「もう十分甘えてるでしょうが」

 

ちゃんと引き籠り卒業できるんだろうかこいつ?

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