超能力?そんなの(ヾノ・∀・`)ナイナえっあるの? 作:黎火
「僕の運命よ、選ばれし者たちにのみ神が与えた呪いと祝福、
可能性を秘めながらも人間の在り方に縛られる力を信じるか」
「いや信じてない」
超能力のことかな?超能力のこと言ってるんだよね?
多分そうだと信じよう、うん。
「信じられないのは無理もない。
その事実を知るのは選ばれし者、組織に選ばれた人間のみなのだからな」
「組織云々はよく分からないが、選ばれし者じゃない俺に喋っても大丈夫なの?」
「ふふふ、心配するな。お前は僕の運命なのだから。」
「人に聞かれると誤解されそうだから、運命呼び止めない?」
片目に眼帯をした少女、送川(おくりがわ) ルカは微笑みながらブランコをこいでいる。
俺は、ある日急にこの中二病な少女に付きまとわれるようになった。
いきなり、「運命よ、どうか僕との逢瀬に付き合ってはくれないか」、
とか言われた時は正直怖かった。
新手の詐欺かなんかじゃないかと疑いまくったもんである。
「というかこんな夜中に何してるんだよ」
「つい先程まで使命を果たしていたところだ。如何せん退屈そのものであったがな。
それ故か僕のこの眼はまだ生贄を求めている。
お前はどうなのだ運命よ、お前はまた世間に己が時間を払っているのだろう。」
「え、ああ、うん。バイトだな。今日は特別遅かっただけだよ。如何せんお客さんが多かったしな。
まぁその分お金は貰えるから文句なんてないんだけど。」
「僕が恩寵を与えよう」
「いや自分の事は自分でやりたいし。自分より年下の少女に養ってもらうほど、落ちぶれちゃいないし。」
別にお金に困ってるわけではない。いや、余裕があるわけでもないのだが。
お金はあればあるほど嬉しいが、別に年下の少女に求める程がめつくはないのだ。
「して、その手に持っているものは何だ」
「あぁ、これ?」
手にしているビニール袋を掲げる。
「遅くまで残業してくれたお礼って、店長さんが多めにくれてさ」
「ほうほう。して僕の運命よ、先ほども言ったが使命を果たしたものの生贄を僕は欲している。
とても欲している。」
「まぁ友人(?)のよしみだし少しぐらい分けるぞ」
「おお!さすがは僕の運命だ!」
中二病でがめついとか、中々いい性格してるなこいつ。
まぁちょっと多いので一人で処理しきれるか不安だったのだ。
渡りに船というやつである。
玉ねぎ、にんじん、ジャガイモを一つずつ渡す。
「なんだその微妙な顔は」
「うれしいが・・・僕は元よりあるものを昇華させることは出来ない」
「あー、料理できないのか。
・・・家、来るか?俺も晩御飯まだだし」
とはいってももう少しで深夜である。
こんな夜に年下の少女を、自分の家に誘う発言はさすがに自分でも不味いと思う。
「あー、ごめん今のはや「本当かい!?」」
めっちゃ嬉しそうな顔してるんだけど(困惑)
◇───◇
この僕、送川(おくりがわ) ルカは超能力者である。
生まれた時から、人に『線』が見えた。
そして『ずれろ』と思うと、その『線』に沿って、物がずれた。
気持ち悪かった。あるゆるものに『線』が見えて、それがずれて壊れる。
建物も猫も、犬も、人間も。
少しでも気を抜くと、ずれて壊れる世界で生きていくのが、あまりに辛かった。
その能力のせいだろう。両親は僕を病院に預けて、それっきり迎えに来なかった。
代わりに来たのは黒ずくめの人間だ。
そして僕は、『殺しの道具』として調整された。
組織は僕を重宝してくれた。
ただしそれは人間としてではなく、道具としてだ。
僕を見る目は畏怖に染まったものばかり。
酷く無機質な生活が続いた。
四方を壁に囲まれた窓のない部屋で、時間通りに提供される味気ない食事を食べ、
時間通りに訓練をして、時間通りに眠る。
初めての殺しの時、不思議と何も思わなかった。
目の前に転がる死体をみて何も思わなかった。
その時から、『自分は偶々人間に似ている怪物』なんじゃないかと思うようになった。
それからしばらくして、殺し屋として裏社会で有名になり始めた頃だ、斎木颯真に出会ったのは。
僕はその能力と、教育された仰々しい振る舞いで注目を集めていた。
それもあってか色々な仕事が舞い込んできた。
仕事が無いよりはいいが、忙しいのはイライラする。
彼と出会ったのは仕事の最中だった。
仕事が終わり、路地裏から出るところを彼に見られた。
「君、大丈夫か」
そう言葉をかけられて、自分に返り血が付着してることに気付いた。
めんどくさいことになった。
幸い周囲に人影はない。
もうこの際、死体が一つ増えても問題はないだろう。
そう思い、眼帯を外した。
調整のおかげで、今は片目を封じれば能力もON/OFFの切り替えができる。
そして彼を見た。
その時のことは今でも覚えている。
月明かりに照らされる彼の体のどこにも『線』は見当たらなかった。
困惑で周囲を見つめた。
他のものにはしっかりと『線』が入っていた。
もう一度彼を見つめる。
やはりどこにも『線』はない。
自分でも気づかないうちに彼の手を握っていた。
彼は酷く困惑しているようだったが、そんなの関係ない。
彼を知りたい。彼をもっと見ていたい。この壊れやすい世界でただ一人壊れない彼と──
「運命よ、どうか僕との逢瀬に付き合ってはくれないか」
彼と一緒にいることで僕は人間という実感が得られる。
◇───◇
「運命よ、このハンバーグは美味しいな!
それはそれとして実は僕はピーマンが弱点なのだ」
「ったく、仕方がない。代わりに食べてやるから。」
最初の頃は「僕は人間じゃない」とか言ってたけど
好き嫌いで、一喜一憂するのは十分人間っぽいと思う。
中二病のセリフって難しい