超能力?そんなの(ヾノ・∀・`)ナイナえっあるの? 作:黎火
「う"ぅ"ー髪の毛鬱陶しいー」
「切りに行けばいいじゃん」
「そう君、それができれば苦労しないよ」
休日特にやることもなかったので、まひろに家に訪れたらこれである。
こいつが人と接するの恐れているから引き籠りになっているのは知っているが、
散髪ぐらいは普通に行って欲しい。
「散髪ぐらいどうにかなるだろ。特に人と話すわけでもないし、
『髪の毛の長さはこれでいいですか』って聞かれたりするぐらいだろ?」
「そ、それでも嫌なものは嫌なの」
「どうして人と接するのをそんなに怖がるんだよ。あれか?
実は人の汚い心が読めますとかそういう感じか?」
「そ、そうなんだよ!実はこの私、中読まひろは超能力者なのだ!」
引き籠りの原因に超能力を挙げるやつは、もしかしてこいつぐらいじゃないんだろうか。
いやまひろは察する能力は高かったが、
それが超能力ならもっと、こう、残念な感じにはならないと思う。
まぁ実際人の考えが分かるってなったら辛そうではあるが。
「おう、じゃあ俺が今何を考えてるか当ててみろ」
「うぇ!?え、ええっと・・・
晩御飯の献立、とか・・・?」
「違う、いや考えてはいるけど。俺が今一番に思ってるのは、
どうして俺の幼馴染はここまで自堕落なんだってこと。」
「じ、自堕落って」
「掃除はしない、風呂にも毎日入るわけじゃない、カーテンは閉めっぱなし。
洗濯物は溜め込むわ、本は無造作に散らばってるわ」
「う"う"ぅー、・・・そう君酷い・・・。」
「大体コンビニは行けるじゃんか。美容院、とは言わないが、散髪屋ぐらいならいけるだろ。
そこまで遠いわけでもない。」
「ち、違うよぉ。散髪屋とかはなんていうか周囲に人がいるから・・・。
コンビニはすぐに入ってすぐに出られるし・・・」
言いたいことは分らんでもないが・・・。
というか百歩譲って引き籠りはいいとしても、この堕落っぷりはいただけない。
引き籠りと家事をしないというのは別問題なのである。
それにだ、
「俺そろそろテスト期間だからな。
お前の世話とかする余裕なくなるぞ。」
「うん・・・」
そんな寂しそうな顔をしてもダメなものはダメなのである。
というかこんな時にまで甘やかしてたらこいつのためにならないのだが・・・
「じゃあテストが終わったら一緒に行くか、散髪屋」
「うぇ?!」
「俺も髪の毛伸びてきて鬱陶しいしな。テスト終わったら行こうと思ってたんだ。無理にとは言わないが」
まひろは真剣に考えこんでいる。
昔は一緒に学校に通えていたのだからできる、と考えたい。
ただ無理はさせたくはない。
「手・・・」
「手?」
「手を握ってくれるなら、行く」
小学校の頃からまひろは良く手を握ってきた。
基本暗い顔をする彼女は、手を握っている間は少し穏やかな顔をしていたように感じたから
悪い気はしなかった。
少し嬉しかった。昔のまひろに戻ったような気がするからだ。
「う、うむ、いいぞ。それくらいなら、うむ」
ただ小学生の頃ならまだしも今は高校生である。
さすがに恥ずかしい。
中学生の頃でもかなり恥ずかしかった。
同級生にからかわれたこともあったな・・・。
まひろは恥ずかしくないんだろうか。
◇───◇
まだ学校に通っていた頃
そう君と一緒にいるうちに気付いたことがあった。
そう君の手を握ると、周囲の人の心の声が聞こえなくなる。
初めは気のせいだと思っていたけれど何回か試すうちに確信に変わった。
私は手を握ってと、そう君に何回もお願いした。
その度に、そう君はどんな時でも断らず手を握ってくれた。
中学生になると恥ずかしそうにしていたけれど、それでも私に答えてくれた。
今思うと、凄く迷惑だっただろうなぁ・・・。
テスト期間後の約束の後、一人で考えていた。
久しぶりの外、不安がないと言えば嘘になる。
怖い気持ちもある、だけど──
それ以上に、昔に戻れたみたいで嬉しかった。
ただ昔と違うのは、なぜかその光景を考えるだけで
顔が熱くなることだった。
「そう君とお出かけ・・・うへへへぇ」
若干気持ち悪い声も漏れてるし。