超能力?そんなの(ヾノ・∀・`)ナイナえっあるの?   作:黎火

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クラスの王子様が超能力者とか(ヾノ・∀・`)ナイナイ:2

テストまであと2週間だが、今のところ順調に勉強は進んでいる、と思いたい。実際、今日の授業は復習を兼ねたものだったが前よりもはるかに理解できている。このままいけば今回の数学はそこまで悪い点数にはならなさそうだ。

うむ、図書館での自習はやっぱり集中できる。静かな空間だし、家よりも誘惑が無いから──

 

「隣、いいかな」

「た、小鳥遊さん・・・うんだ、大丈夫だよ」

 

前言撤回、ある意味一番厄介な誘惑来たな。いや嬉しくない訳ではないんだが。こんな美人さんが近くにいてくれて嬉しくない男はいないと思う。小鳥遊美麗さん、クラスメイトなのだが最近妙にキョリが近い。実際よく絡んでくるし、話すことも前よりも多くなった。あと変な噂は流れてるし・・・

というか他にも席は空いてるんですけど。

 

「小鳥遊さんも自習?」

「そうだよ、家では色々誘惑が多いからね。家ではどうしても捗らないんだよ」

「そうなんだ、少し安心した」

「安心?」

「いや、ほら小鳥遊さんって周囲からは優秀とか完璧みたいなイメージで語られることが多いから。

なんというか高嶺の花というか、前までは接しづらい感じが少しあったというか」

「・・・ふーん。君の中で私はそういうイメージだったんだ」

 

なんか意地悪しそうな顔してるんですけど。

でも変なことは言ってないはずだ。実際最近小鳥遊さんと接してみて感じたのは、思っているよりも親しみが持ちやすい人という印象だった。未だによく分からない部分はあるがそれでも悪い人ではないとは思う。

 

「実はこんな素の姿を見せるのは君の前だけ、って言ったらどうする?」

「えっ」

 

顔を近づけて耳元で急に囁かれると心臓に悪いんですけど!というか小鳥遊さんに心許されるようなことした覚えはないんですけど(困惑)

というか・・・

 

「やっぱり普段は演じてたりするんですか?」

「どう思うんだい斎木君は」

「分かんないですよ。ただ、そうだと」

「そうだと?」

「あんまり嬉しくはないかなって」

「嬉しくない、か。何故そう思うんだい?大体の人は演じてると思うけど」

「いや、そうですけど・・・なんというかそれでも素が出せる部分っていうのがあるでしょ?

隠すべき本音とかはあるけど、それはそれとして言える本音もある。ただ小鳥遊さんはなんというか本当にすべてを演じきってるみたいな感じがあってなんというか。なんて言えばいいのか分からないですけど、うん。」

 

自分でも何言ってるかよく分からないが、彼女を初めて見た時にそう感じた。演じていて素の自分を見せない人、それが彼女への第一印象だった。というかこれよく考えれば本人に言うべきじゃないな・・・。ちょっと撤回しないと

 

「あはは、なんて、今のは気にしな──」

「いいや、気にすることにさせてもらうよ。こんなことを言われるなんて初めてだ」

 

なんか食い気味に返答来たなぁ・・・。というかこれだいぶやばい失言したっぽいな・・・。彼女にとっては相当コンプレックスな部分だったらしい。気を悪くさせてしまったのなら謝らないと。

 

「あの、小鳥遊さん。ごめ──」

「謝ったら許さないよ」

 

なんでぇ(困惑)?いやというか顔怖い。こんなに真剣な小鳥遊さんは初めて見たと思う。というかこの人同時にどこか楽しんでないか?

 

「あぁそうだ、もし申し訳ないと思ってるなら」

「お、思ってるなら?」

「私と『デート』してくれないかな。勿論テストが終わった後に」

「・・・はい?デート?あのデート?」

 

多分あのデート以外ないけど俺の知らないデートの可能性があるので一応聞いてみる。というかこの人すっごく悪いこと考えてる顔してるぞおい。

 

「恋人同士がするデートだよそれ以外あるのかい?」

「ですよねー。いやというか小鳥遊さんと俺別に恋人関係でも何でもないですよね?」

「おや、学校では今『斎木颯真と小鳥遊美麗は倦怠期』という噂でもちきりじゃないか」

「マジで脈絡もない噂なんですけどぉ・・・」

 

マジでどこから出てきたんスかねその噂・・・。このせいで視線集めまくってるので気疲れするのが悩みだ。

 

「じゃあ連絡のために連絡先交換しようか」

「デート確定なの⁉」

「そうか、君は申し訳ないと思ってないんだな・・・。私はさっきの言葉をこんなにも気にしてるのに」

「わ、分かりましたよ!」

 

そんな悲しそうな顔で言われると断れなくなる俺ってもしかしてちょろいのでは?

 

「じゃあ連絡先を交換しようか」

「モウドウニデモシテクダサイ・・・」

 

小鳥遊さんは連絡先が登録されたのをご満悦な表情で確認している。もう彼女が満足してるならそれでいいや。

 

「これでよしっと、じゃあ勉強しようか」

「勉強の件まだ残ってたんですね」

「勿論、それが一番の目的だからね」

 

なんだかんだ真面目な人だと思う。この後2時間ぐらい小鳥遊さんと勉強をしたのだが、うむ、やっぱりめっちゃ優秀だ。自分が悩んでいると横から丁寧に教えてくれるし、しかも分かりやすい。だけどさ・・・うんめっちゃ近いよねキョリ。教えてくれるのはいいんだけど隣まで来るし。その際、長い髪をかき上げるときとか嗅いだことないいい匂いするもん。自分でも自分がキモイと思ってるけどめっちゃドキドキするんだから仕方が無いったらない。

 

「じゃあ、そろそろ帰ることにするよ」

「ありがとう小鳥遊さん、勉強教えてくれて」

「いいや私も他人に教えることでさらに理解できたからお互い様かな」

 

小鳥遊さんのおかげであんまり理解できていなかった部分を理解できたので、本当に有意義な時間だった。小鳥遊さんには感謝しなければ。

 

「ああ、そういえばさっきの」

「さっきの・・・なんです?」

「素の姿を見せるのは君の前だけ、あれ案外嘘じゃないよ」

 

小鳥遊さんが去っていった後も彼女のいた場所を見つめ続けていた。それほどまでに今の彼女の顔は、なんというか、ありのままの感じがしてとても魅力的だった。

 

◇───◇

 

噂が流れてから彼と交流する機会が増えた。彼と接してみて分かったのは、彼がよくいる一般的な年相応の男子だということだった。超能力が効かないとなると、それなりに変わったところがあるのではと考えていたのだが。

よくいるたいして珍しくもないただの常人。それが彼だった。だから彼は私にも普通に接してくれている。確かに私がからかえば反応は見せるが、それだけだ。普通に雑談をしてくれて冗談でも笑って流してくれる。私が魅了をかけた人間は、私の言葉を大真面目に受け取るのに、彼はそれを何ともない言葉だと捉える。

私は斎木颯真という人間の前では、超能力者でも、学園のアイドルでもない、ただの小鳥遊美麗という一人の人間でしかないと理解するのにそう時間はかからなかった。

 

ただ不思議と嫌な気はしなかった。むしろ心地良さすら感じている。

 

 

─安心した

─あんまり嬉しくはないかなって

─すべてを演じきってるみたいな感じがあって

 

図書室で勉強中の彼を見つけて話してる際中、彼はそう言った。

よく分からない感情が胸を埋めた。苦しいが不快ではないこの気持ちは感じたことが無いものだった。

結局帰るまでその感情が胸を埋め尽くした。

 

家に帰りベッドに寝転がる。彼と一緒にいた際に胸を埋め尽くしていたものは無くなっていたが、彼のことを考えると似たような気持ちが出てくる。

ただ何かが違う。何かが足りないような気がした。彼に会えばもっとわかるような気がする。何故かそう思った。

 

◇───◇

 

テスト終わりー!!長かったなぁまじで。でも今回は自信あるぞー。歴代でもかなり頑張った方だ。なぜか小鳥遊さんが放課後一緒に勉強してくれることが多かったおかげでもある。

 

「斎木君、テストはどうだい」

「うん、かなりできた気がする。小鳥遊さんが教えてくれたおかげだよ。」

「ふぅん私のおかげか・・・」

 

悪い顔してますよ小鳥遊さん・・・




超能力出てないな…

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