タキオンさん助けて、俺ウオスカの間に挟まれちまう   作:フルゥチヱ

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第14話 二冠と変則ティアラ二冠と三冠

「そういえば、ゴールドシップさんはどちらに行かれていたんですか?」

 

 

 俺が三人の勧誘に行っている間、彼女とはずっと別行動だった。

 

 

「おう、アタシもちゃんと勧誘に行ったぜ。ただそいつ、ちょっとお茶目な奴だからな。初対面のお前よりダチのアタシが行った方が良いと思ってよ」

「なるほど~」

 

 

 ゴールドシップさんは気を遣ってくれていた。やっぱりこの人優しい。

 

 

「あのチビっ子、アタシが声掛けた瞬間に暴れ出すからな。しかも小さいくせに頑丈だからマジで手に負えねえよ。魔人ブウにアメ玉に変えられたベジットかっつーの」

 

 

 それはお茶目ではなく凶暴というのでは?

 というか声を掛けただけで暴れ出すなんて、ゴールドシップさんとその人は本当に友達なのかな……?

 

 

「ち、ちなみに勧誘の方は?」

「聞いて驚けディープ。なんとかベイブレード対決に持ち込んで、辛くも勝利してきたぜ!」

「すごいっ! 勝ったんですね!」

「ちなみに戦う前に、負けた方は勝った方の言うことをなんでも一つ聞くという約束も取り付けておいた!」

「じゃあ、その権利を使って!」

「おう! その権利を使って──金輪際ウマドルには関わらないでくれという約束をした」

「なんでっ!?」

 

 

 えっ!? そこはなんでも言うことを聞く権利を使って追い込みシスターズに入ってもらうところなのでは!?

 

 

「あいつにはマジで関わんねえ方がいい。ゴルシちゃんは長男だから耐えられたがお前の場合は最悪──血の雨が降る」

「い、いつもの冗談ですよねゴールドシップさん? お、俺を怖がらせようとして遊んでいるだけなんですよね……?」

「……」

「なんでそんな神妙な面持ちで無言を貫くんです!?」

 

 

 ゴールドシップさんが沈黙するという異常事態。

 本当に怖い。

 

 

「ち、ちなみにその方はなんというお名前なんですか……?」

「そうだな……あまりお前を不安にさせたくないからイニシャルしか教えられないが──"DJ"とだけ言っておこう」

「次の勧誘に行きましょう! できるだけ迅速果断に!」

 

 

 そのイニシャルを聞いただけで言知れない根源的恐怖を感じ、物凄い勢いで全身に鳥肌が立つ。二回ちぎっては投げちぎっては投げられる気がした。

 

 

   ◯

 

 

 ~case4.エアシャカールの場合 withファインモーション~

 

 

「おーっすシャカール! スマブラやんね!?」

「……ッチ。うるせェのが来た」

「わあ、ゴルシだ! ごきげんよう~」

「お? ファインも一緒にスマブラやるか?」

「やる~!」

「やンねえよ。そんなに遊びたきゃ寮のロビーにでも行け。オレは忙しいンだよ」

「え~? でもシャカールと一緒にいるのが一番楽しいんだもの」

「そうかよ。俺も楽しい楽しい。楽しいから部屋の隅で静かにしててくンねーかな」

「むう、じゃあいいもの。部屋の隅で静かにベッドの下とか漁っちゃうからね」

「ざッけンな! ジッとしてろよ!」

「ほう、シャカール君? そんな過剰に反応するということは何か見せたくないものでもあるということでゴルか?」

「なんだろ、ドキドキしちゃうねっ」

「違ェよ! そこにはデータを紙媒体で収納してるから勝手に弄られたくねえンだよ!」

「シャカール、時代は"くらうど"だよ?」

「興味ないゴルね」

「ハッ、クラウドなんてサーバーが飛んだらオシャカじゃねえか。ロジカルに考えンなら、紙でのバックアップはマストだろ」

 

 

「ところでゴルシ、そちらにお連れのお嬢さんはどなた?」

「おう! よくぞ聞いてくれたなファイン! こいつは──おーいディープ? 何してんだ?」

「見て分かりませんかゴールドシップさん……! 跪いているんです!」

「いやそれはそれは見事な土下座だけどよ。アタシは"何"をしてるかじゃなくて"どうして"そんなことをしてるのかを聞いてるんだが?」

「あ、あなたは感じないんですか!? この方から溢れ出る高貴なオーラを! 絶対どこかの王国の貴族の方です! 頭を垂れるのは当然の礼儀です!」

「お、おう……お前すげえな」

「わあ、トレセン学園の子にそんな応対してもらうのってなんか不思議な感じがするよっ。そこのキミ、面を上げなさい、撫でてあげるっ」

「ありがたき幸せ!」

 

 

「……おいゴルシ、なんだこの頭悪そうなヤツは」

「シャカールへのお土産だぜ?」

「あ? 土産? なに言って──ってちょっと待て。オイオイオイ、ウソだろ……」

「どうかしたの? シャカール」

「マジかよ……このバカ、どんなポテンシャルしてやがんだ? オレが求めてるデータに全て合致してるじゃねェか……!」

「でーた?」

「シャカールはね、データ中毒者(ジャンキー)なの」

「ああ。データだけがオレのこの焦燥感を解放してくれる。データより信用できるモンなんてこの世に存在しねェ。そしてそのデータが言ってンだ──こいつのサンプルを寄越せと」

「えっ!? データって喋るんですか!?」

「ちょっと黙れ。オレはお前の身体にしか興味ねェんだよ」

「聞いたかファイン!? 身体だけの関係ですってよ……!?」

「シャカール、嘘だよね……?」

「お前らはマジで黙れ。いいからデータ取らせろ。なァ? データ置いてけ。なァ!? データ出せよオイ!」

「ひいいっ!? そ、そんなこと言われても目汁しか出せません!」

「涙、いいじゃねェか。こいつも貴重なデータの一つだ」

「ちょっとシャカール! 泣いてる子を相手にそれは酷いんじゃないかな!?」

「知るかよ。ああ、早くこいつのデータを追加してシミュレーションの再構築をしてェよ……!」

「なあシャカール、一応忠告しとくぜ」

「なんだゴルシ。なに言われてもオレは止まんねェぞ?」

 

 

「──そいつ、タキオンの弟子だぞ」

 

 

「わ、悪かったな。その、急に迫ったりして。怖かったか?」

「うぇ……ぐすっ……ふぐ……」

「あーあ、シャカールが泣かした~」

「タキオンに言っちゃお~」

「や、やめろ! マジでやめろ! なにされるか分かったモンじゃねェ!」

「た、タキオンさんには言わないでください! もう心配を掛けたくないんです……っ!」

「え? お前が止めるの? ゴルシちゃん流石にビックリ」

「キミ健気だね。抱きしめたくなっちゃうっ」

「お、おお、恐れ多い……!」

「お名前教えてくれる?」

「も、申し遅れました。ディープスカイですっ」

「わあ、澄み切った大空だなんて、素敵なお名前ね!」

「ディープ? まさかあいつの……? いや、雰囲気が全然違うよなァ……」

「それでその、エアシャカールさんに頼みたいことがあるのですが」

「なンだ? データ収集に協力すンなら考えてやってもいいぜ」

 

 

「その──一緒にアイドルやりませんか!?」

「……………………はァ?」

 

 

「わあ! シャカール、アイドルになるの!?」

「なるワケねェだろ!? なんでオレがそんなフザケたことを……!」

「ふざけてなんかいません! 俺とゴールドシップさんは本気でウマドルを目指してるんです!」

「いや、少なくともゴルシの奴は絶対本気じゃねェぞ!?」

「なんだと!? このゴルシちゃん、故郷のゴルゴル星に誓って本気だぜ!?」

「ほら、ゴールドシップさんもこう言ってるじゃないですか!」

「故郷に誓うだなんて……凄い覚悟だねゴルシ!」

「バカしかいねェのかここには!?」

「今ウマドルになってくれるなら期間限定特典でディープから幾らでもデータを集めてもいいぜ!?」

「ちょ、ゴールドシップさん!? 何勝手に決めてるんですか!?」

「グッ……だとしても……」

「シャカール、どうしてそんなにアイドルを拒絶するの?」

「拒絶するに決まってンだろ!? 明らかに向いてねェだろ!? アイドルってのはファインみたいな奴がやるべきであってだなァ……!」

 

 

「あ。もしかして、エアシャカールさんはファインモーションさんだけのアイドルだからウマドルにはなれないということですか?」

 

 

「えっ、そうなのシャカール?」

「ンなわけねえだろ!? 論理の飛躍にも程があンぞ!?」

「あれはきっと彼女なりの照れ隠しですよファインモーションさん」

「きゃ、シャカールがそんな風に思っててくれていたなんて……私嬉しいっ!」

「人の話聞けよオイ!」

「ディープちゃん、よかったらLANE交換しない? 私キミのことすっごく気に入っちゃったっ」

「は、はい! どうぞ!」

「すげェ。片膝付いてLANEのバーコード差し出すヤツなんて初めて見たわ」

「ゴールドシップさん、エアシャカールさん、なに椅子にふんぞり返ってるんですか! ファインモーションさんの御前で無礼ですよ! 早く跪いて! はーやーくー!」

「……こいつ、マジでタキオンそっくりじゃねェか」

「おもしれー奴だろ?」

 

 

   ◯

 

 

 ~case5.ミスターシービーの場合~

 

 

「よおシービー! 木の上で昼寝ってパンダみたいな奴だなお前!」

「やあゴルシ、悪いけどアタシは見世物じゃないよ?」

「こ、こんにちはっ。あの、ミスターシービーさん、ちょっといいですか」

「ん? キミは?」

「俺はディープスカイと申します! シービーさんにお願いしたいことがあるんですっ」

「わかった、いいよ。協力してあげる」

「実は──ってええ!? まだ何も言っていませんよ!?」

「おお! 流石シービー、話が分かるじゃねえか!」

「他ならぬディープの頼みだからね」

「え……?」

「ああごめんね。こっちの話。で、何をすればいいのかな?」

「あ、はい! 俺たちと一緒にウマドルになってほしいんです!」

「ウマドルって、マルゼンがやってるやつ?」

「おう! ナウでヤングでケツカッチンだぜ!」

「あはは、ゴルシ意味分かって言ってる?」

「知らん! ゴルシちゃん現代っ子だから!」

「ふふ、それにしても──うん。キミ、面白いね。あの子と全然違うはずなのに、不思議とどこか似てる気もする」

「あ、あの子?」

「でも、あの子は中身おこちゃまなのに基本無表情だからなー。天真爛漫なキミとはやっぱり正反対かも」

「ん? 何? ゴルシちゃんの話してる?」

「ゴルシは表情出しまくりでしょ。ところでさ、ウマドルになるのはいいけど、具体的に何をするのかな?」

「実は今日、ファル子さんたち逃げ切りシスターズのライブに途中参加させてもらって、そこで追い込みシスターズの発表をしようと思ってるんです」

「なるほどね。じゃあ後でマルゼンに連絡しておこうかな」

「でもよ、逃げシスって確かメンバー五人じゃなかったか? シービーが加入してくれたのは頼もしいけど、それでもアタシたちまだ三人だぜ?」

「あ……それもそうですね。ど、どうしよう!?」

「追込かあ。ふふ、ルドルフを無理やり追込って言い張って参加させるのも面白いかも」

「そ、そういうのはあんまり良くないんじゃ……」

「仕方ねえ、ここはゴルシちゃんが一肌脱ぐしかねえようだな!」

「流石ゴールドシップさんです!」

「ゴルシ、何か考えがあるの?」

 

 

「「「──アタシが三人分になる」」」

 

 

「ゴールドシップさんが三人いるー!!!?」

「もうなんでもアリだね」

「日常がゴルシちゃんだった……今こうして笑顔でいられるのが奇跡的なほどの……」

 

 

 次回、追い込みシスターズのウマドルデビューが幕を開ける!




◇ディープスカイ
 追い込みシスターズのリーダー。
 スタンド使いはスタンド使いにひかれ合うように、二冠バは二冠バにひかれ合うのかもしれない。

◇ミスターシービー
 追い込みシスターズの新メンバー。
 ディープの頼みだからと参加してくれた。

◇ゴールドシップ
 追い込みシスターズのメンバー。
 アタシがメンバー3人分になる。

◇ゴールドシップ
 みんなありがとう。神に感謝。

◇ゴールドシップ
 くっ、ゴルシにセンターを奪われた……。

◇エアシャカール
 データに執着する二冠ウマ娘。
 後日、とあるウマ娘(イニシャル:GS)経由で弟子を泣かせたことがタキオンにバレて新薬の実験台にされた。

◇ファインモーション
 ラーメン大好き変則ティアラ二冠ウマ娘。
 彼女の天性の優雅さと気品はプスカくんちゃんには刺激が強すぎる。
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