今日はあんまり病んでないです
ちょっと長めの二人が仲良しというお話です
一応新幹線の続きです。読んでなくても今回は大丈夫そうですけどせっかくだからあっちもよろしくね!
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「ということで新幹線の座席は解決だな」
京都レース場に向かう新幹線の座席問題を解決、ついでに二人との心中を先延ばしにできたトレーナーは言う。
「そうね、最初からこうすれば良かったわね」
「さすがですね。トレーナーさん」
アヤベもスズカもカワイイモードから通常モードに戻っている。こうしてトレーナー室に平和が訪れた。めでたしめでたし。
「むしろなぜ座席を予約するだけで心中しようとするんだ?」
「「もちろんトレーナーさんと永遠の愛を誓うため!」」
「そうよね?スズカさん」
「ですよね?アヤベさん」
「二人とも仲いいなあ」
二人の仲がいいのは良いことだが度々物騒な事を言い出す時まで仲がいいのはどうなんだろう。と思うトレーナーであった。それもこれもこの男が元凶なのだから責任を取るべきなのである。
「さて、そうすると次は宿だな。と言ってもホテルは学園で指定されてるし部屋ももう取ってある」
「あら、早いのね」
「二部屋だが」
「二部屋?」
「「ん??」」
ここには三人いるが二部屋しか取れてないとはどういうことなのだろうか?
「予算削減でな。ツインとシングル一部屋ずつなんだ。」
これを聞いたアヤベとスズカは同時に一つの事実に気づいてしまう。
「「(つまりツインを選べばトレーナーさんと同じ部屋になれる!)」」
二人は同時に笑顔で向き合う。
「「アヤベさん(スズカさん)シングルをどうぞ使って」」
まあそうなるなという具合に二人とも同じことを言う。
「スズカさん?シングル使っていいのよ?多分速いから」
何が速いのかはさっぱりわからないがともかく譲ろうとするアヤベ。
「いいえ、私なら大丈夫です。アヤベさんこそシングルでフワフワしてくださいね?」
シングルで?フワフワする…とはいったいどういうことなのかスズカに詳しく聞きたいが聞いても特に意味は無いのだろう。
「ダメよ。フワフワは二人の愛を確かめ合うためにするべきよ。だから二人でフワフワする必要があるの。そういうことだから残念だけどスズカさんはシングルで速さをゆっくり極めていていいからね?」
速さをゆっくり極めるという哲学的難題をどう攻略しようかトレーナーは1マイクロ秒だけ考えようとしてやめた。そんなことより今日の夕飯をどうするかの方が重要だからだ。
「何を言ってるかよくわかりませんけど速さを極めるにはトレーナーさんと二人三脚…いえ一心同体しないとだめなんです。ですから私とトレーナーさんで一心同体しますからアヤベさんはフワフワしてていいですよ?」
若干どころか結構何言ってるかわからないけど自分の身が危ないのでは?と考えだしたトレーナーは明日の朝食を考えるリソースをこの場を収める方法を考えることにあてようとしていた。
「ねえスズカさん。あなたのその速さとトレーナーさんへの執着心、すごいと思うし極めるのは良いと思うわ。でもトレーナーさんに関しては引くことを覚えることも大事よ?特に今とかこれからもね?」
「その言葉はおおよそそのままお返ししますよ?アヤベさんの努力してるところとか勝利への執念は立派です。でもトレーナーさんに関しては諦めも大事だと思いませんか?特に今とかこれからも。」
うむ。互いに良いところを褒め合うのはいいことだな。若干カワイイモードに移行しつつあるような気がするが。などと考えるトレーナーはもう少し危機感を持つべきである。この男基本的には慎重派なのだが時々ハメを外したがる傾向がある。
「遠まわしに言ってもダメみたいね?直球のほうがお好み?」
「そちらだってそうでしょ?どちらにしろ引く気は無いんだから」
「それはそうね」
ここでトレーナーが動く
「まあまあ二人とも落ち着いてお茶でも…」
「「トレーナーさんは黙ってて」」
「はいすいませんでした」
ここでトレーナー停止した。故障発生か?いつものことだ!などと脳内実況してないで早く止めるべきなのだがせっかく二人がカワイイモードになっているのでまあいいかななどと考えている。
「あのね、私はトレーナーさんに命を救われたの。だからこの恩を返してあげたいのわかるでしょ?」
「それなら私も人生を救われました。だから同じですよね?それに」
一瞬だけ迷って。スズカは言った。
「アヤベさんは依存してるだけでしょ?」
言ってしまった。
「なんですって?」
部屋の温度が下がった気がする。
「そうでしょ?恩を返すってよく言ってるけど最近じゃただ甘えてるだけじゃない。恩着せがましく言ってトレーナーさんが離れないようにしてるだけでしょ?」
「ち…違う…私は…」
「まだごまかす気な…」
「あーー!!しまったなーー!!この予約日付が間違ってるないやーーまいった!!たづなさんでもこんな間違いするんだなー!意外とうっかりさんだなーー!!」
トレーナーの大声が響く。
「!?」
「いやーごめんよ二人とも手違いがあったかもしれない確認し直してくるから今日は解散しよう。ごめんな本当にごめんよ…」
「…そうですか…わかりました…すみません…」
「いや、スズカもアヤベも何も悪く無い、俺が不甲斐ないせいだ。申し訳ない。」
そう言って深々と頭を下げるトレーナー。
アヤベはずっと下を向いたままだ。わずかに震えているようにみえる。
スズカはそっと部屋を出る。
その間際「ごめんなさい」と呟いて。
「アヤベ…ごめんよ…」
「トレーナーさん…捨てないで…」
「アヤベ?」
「やだ…いなくならないで…置いていかないで…」
まるで親に置いていかれた子供のようにアヤベは泣きじゃくってしまった。
「アヤベ…大丈夫だよ…どこにも行かないから…」
優しく抱きしめながら背中をさすってあげる…しばらくそうして落ち着かせるのだった。
「ごめんなさい…つい…あなたがいなくなりそうに考えちゃって…」
「いいんだ、誰だって不安になる時はあるさ」
「そうだけど…やっぱりおかしいわ…不安で…目の前が真っ暗になって独りぼっちになったみたいに…」
「アヤベ、いいんだ。思い出さなくていい。俺はここにいるから。ほらお茶を飲んでリラックスして…」
お茶を飲ませて違うことに意識を向けさせる。
「やっぱり…私は依存して…重くて嫉妬深いんだわ…良くないのにあなたに甘えてしまって…」
アヤベが自重気味に言う。第三者から見ればそうなのかもしれない。しかし
「それでも俺は嬉しいよ。アヤベが"そうしなければならない"じゃなくて"そうしたい"って思ったうえでこれだけ誰かを愛せるようになったんだから。これは自分の思いなんだろ?なら大事にしないと」
この男も大概二人に狂っている。ちょうど合ってるのかもしれない。
「だいたいスズカだって同じようなものじゃないか。あっちの方が甘えん坊さ。そうだろ?」
「そうだけど…今は彼女の話はしないで…」
「そうか…悪かった、アヤベをちゃんと見るから機嫌直してよ」
「ふふっ何それ…似合わないわ」
「だろうね、二人のために一生懸命になることしかできないから…ああまたやった。ごめん」
「やっぱりあなたは…よくわからないわ…」
こうしてしばらく話すうちにアヤベは落ち着いていった…
「はあ…」
寮に戻るまでの道の途中。ベンチでため息をつくのはスズカ。
(言い過ぎたかな…ついムキになっちゃった…)
こうして落ち着いて考えればアヤベがクラシックの夏以降トレーナーにベッタリなのも理由があるのは明らかだ。深くは聞いていないが何かがあったのはわかる。
「とりあえず謝らないと。あそこまでとりみだすなんて」
「そう思ってくれるなんてスズカは優しいな」
いつの間にかトレーナーが横に来ていた。
「トレーナーさん…私つい…」
「いいんだスズカは悪くない。ちょっと嫉妬しちゃったんだよな。あんな風に言わせることになって悪かった。もっと早く俺が止めればよかったんだ。」
「トレーナーさん…」
「スズカもアヤベも二人とも大事なんだ。だから二人が仲良くしててくれるのに俺が甘えてしまった。」
「……」
「アヤベは…わけあって大事な人と別れるのが怖くなる時があるんだ。たまたま今回そうなってしまったみたいでな…スズカにお願いするのも筋違いかもしれないがわかってあげてほしい…」
「そう…なんですね…」
「なんというかスズカに損な役をさせてしまったな…」
「いえ…その…私も似たようなものなのにアヤベさんだけ責めてしまって」
「まあ確かに二人はそっくりなところあるな」
「もう、トレーナーさんったら…」
翌朝トレーナーは二人にメッセージを送る。
「今日のトレーニングは予定を変更してマラソンにするので準備を頼む」
すぐに二人から了承のメッセージが返ってくる。
「それじゃあ俺も準備しようか。」
トレーナーは車を出す。行き先は…
午後トレーニングの集合時間。今日はアヤベが後から到着した。スズカはすでにミーティングの準備をしている。
「アヤベも来たから始めようか」
そう言ってトレーナーは学園周辺の地図を出して二人の前に広げる。ルートと時間が細かく記載されている。
「今日はこのコースを、記載してあるタイム通りに通過するトレーニングだ。スタミナと時間感覚を鍛えてみよう。二人には余裕のタイムスケジュールだからなるべく正確に走ってみてくれ。」
二人は頷く。言う通りかなり余裕があるタイムだ。遅れることはまず無い。
「それじゃあ早速アップしてから行ってみよう。ああ、スズカちょっと先に外でアップしててくれ。アヤベちょっといいかい?」
「ええ、いいけど?」
「それじゃあ先に行ってますね…」
こうしてトレーナー室にはトレーナーとアヤベの二人になる。
「アヤベ、これを持っていってくれ。」
トレーナーは2枚の紙を渡す。
「これって…チケット?プラネタリウムの…」
「君ならわかるだろ?今日のコースの途中にプラネタリウムがあることが。」
「そうね、確かに」
「上映時間の少し前に着くように時間を指定してある。スズカと観ておいで」
「トレーナーさん…そういうこと…」
「なんなら終わる頃に迎えに行こうか?」
「いえ、それには及ばないわ」
「そうか…じゃあ楽しんでおいで」
「ええ、ありがとう」
こうして二人は出発していった…
途中二人は特に会話は無い。基本的にあまり話さない二人だが、昨日の一件のせいかどこか気まずさがある。
「(でもそろそろプラネタリウムね。ちょうどチェックポイントを設定しておいてくれて良かった)」
そしてプラネタリウム前に到着する二人
「ねえスズカさん」「アヤベさん、あの…」
二人同時に話しかける。
それに二人ともチケットを持っている。
「あら…そのチケット…」
「アヤベさんも…?もしかして…」
「スズカさんも?トレーナーさんから?」
「え、ええ…なんだ両方に渡してたのね…」
「そっか…じゃあ…行きましょうか?」
「そうですね…それと…昨日はごめんなさい…私ついムキになってしまって…」
「それなら私も…ごめんね。スズカさんにも助けてもらったのについカッとなって…」
「私だってアヤベさんにも救われました。それじゃあお互い様ですね」
そう言って二人は笑い合う。
「そう言えばこのプラネタリウム、どんな星座が見られるんですか?」
「そうね、このチケットにある星座だと……」
数時間後、トレーナー室
「ただいま」「戻りました」
「この時間まで帰ってこないということは…星は楽しめたかい?」
「ええ、おかげさまで」
「色々な話が聞けました。やっぱりアヤベさん詳しいですね!」
「良かったら…今度本物を見に行きましょう?トレーナーさんも来るかしら?」
「ああ、そうさせてもらうよ。どこまでも着いていくって言ったしね。」
そう、二人とどこまでも行くというのは約束した通りだ。
「それから…昨日の部屋割りの話だけど…」
「私たち二人でツインにしてもらっていいですか?」
「もちろん!二人が良ければ何の問題も無いよ」
そして二人は仲が良いのである。それは変わらない。
部屋割りしようとしたら新幹線から続けられるじゃんとか思ってしまったのが運の尽きですね。なんかおやつにあるまじき長さになってしまいました。これも二人がカワイイから仕方ないよね。2人は仲が良いのです。ちょっと嫉妬深くて依存心がつよつよなだけなのですカワイイね。