アヤベさんとスズカさんとの日常   作:鉄鷲

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大体3分で読めるほのぼの日常ものです そうですおやつです 少しだけ長いおやつです。
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アヤベさんとスズカさんと電話の声

「スズカさん…どうしましょう…もうダメ…生きていけないわ…トレーナーさんと心中できないなんて…」

「アヤベさん、これは何かの間違いですよ。トレーナーさんがそんなこと言うわけないじゃないですか…あと死んだら心中できませんよ?」

珍しくスズカがツッコミにまわっているほどアヤベが参っている。ここはいつもの爛れた愛の巣ことトレーナー室ではなくカフェテリアのテーブル。トレーニング前だというのに二人は珍しくトレーナー室に行かずにだべっている。

アヤベがテーブルに半分突っ伏しながら続けて言う。

「でもトレーナーさんが言ってたのよ…?”アヤベはいらない”って…結構強い口調で…うう…トレーナーさん…」

アヤベの大きな耳もすっかり垂れてしまってる。

「でも部屋の外から、多分電話の声ですよね…?聞き間違いじゃないですか?」

「でも…アヤベはいらない。何度も言わせるな、とも大声で言ってたのよ…?これって…うう…どうしてなのトレーナーさん?」

とうとう泣き出すアヤベ。スズカもこれには参ってしまう。まさかあのアヤベがこんなになってしまうなんて…

 

事は15分ほど前、いつものようにアヤベがトレーナー室に向かった時のことである。ちなみにスズカは後から来るとのことだ。

「今日はどうやってトレーナーさんを攻略…いえ、トレーニングしようかしら…あら?トレーナーさんの声?」

部屋の前まで来ると愛しのトレーナーの声がする。何やら大きな声だ。

「どうしたのかしら?妙に大声ね?」

その時ウマ娘特有の良い聴覚が聞いてしまう。

「え…?」

「アヤベはいらない…?」

「何度も言わせるな??」

「うそ…そんなどうして…」

そんな声が聞こえてしまった…頭が真っ白になったアヤベはフラフラと部屋から離れる。

「アヤベさん?どうしたんですか…?」

そこにスズカがやってくる。アヤベのただならぬ狼狽っぷりにさすがのスズカもただならぬ様子だと気付いた。そして場所を移してアヤベは今あったことを話すのだった…

 

「スズカさん…もう私はダメみたいね…あとは頼んだわ…」

「アヤベさん!しっかりしてください!いつかトレーナーさんと添い遂げる(心中)って言ったじゃないですか!諦めちゃダメです!」

一応トレーナーを取り合ってはいるが基本的に仲が良い二人。なんとかアヤベを励まそうとするが、かなりのダメージを負ってしまっている。これは困った。こういう時どうしたら…

 

その時だ。スズカの前に背中にハッピーセットを背負ったその人物がたまたま通りかかった。これはきっと…誰だったかしら?とにかくいつもの人が寄こしてくれた巡り合わせね!お告げをもらいましょうと彼女を呼ぶ。

「フクキタル!ちょうどいいところに!お告げが必要なの!」

そう、マチカネのうるさい方ことマチカネフクキタルである。

「おやおや?どうしましたか?そちらからお告げが欲しいとは珍しい」

「スズカさああんん……手首を切る用のナイフどこに置いたかしらああ〜〜」

「ちゃんとトレーナー室の引き出しに一式しまってありますよ?こないだ点検したじゃないですか。そうフクキタル、アヤベさんにお告げをあげてほしいの実はね…」

若干ドン引きしているフクキタルにアヤベを撫でながらなにがあったか話をするスズカ。

「なるほどそういうことでしたら。トレーナーさんがアヤベさんをどう思っているかシラオキ様にお尋ねしてみましょう!あと早くここから離れたい…」

頼られて嬉しい半分ヤバい奴らに絡まれたと思っているフクキタル。とりあえずハッピーセットから水晶玉を取り出してセッティングする。

「それじゃあいきますよ〜トレーナーさんのことを思い浮かべてくださいね〜」

アヤベはトレーナーの事を思い浮かべる…いつも優しくてどんなに突き放しても一緒にいてくれたトレーナーさん…私のために色々してくれて…どんなときでも励ましてくれた…いつしか貴方無しでは生きていけないような存在になって…そう…だから一緒に死にましょう…お互いにナイフで刺し合うの…屋上から共にダイブでもいいわね…睡眠薬は…人とウマ娘で量は一緒でいいのかしら?そうねまどろっこしい事は無しにして満点の星空の下で夜の海にダイブね!これだわ!!きっとあの子も見ていてくれるそのまま三人一緒に…「アヤベさん??アヤベさ〜ん??」

「ハッ!!星空は??トレーナーさんはどこ??」

「落ち着いてください。まだお昼でトレーナーさんはいませんよ?慌てて死ななくても大丈夫ですからね?今フクキタルがお告げをもらったみたいですから。」

本格的にヤバい奴らだった…早く帰りたいと思いながらもお告げはしっかり伝えないとと妙に律儀なフクキタルは少々顔を引き攣らせながらアヤベとスズカに伝える。

「え〜トレーナーさんはアヤベさんもスズカさんも、お二人のことが大切だから何も心配ないとの事です。お互いに束縛してるくらいだから少し距離感を見直してもいいくらいですよ。良かったですね!それでは!!」

そうお告げを伝えるとフクキタルはそそくさと退散してしまった。きっと用事があったのねとスズカは思うが恐らく違うだろう。ともかく、

「良かったですねアヤベさん。大丈夫だそうですよ。私もそう思いますよ。トレーナーさんがアヤベさんのことを嫌いになるわけないじゃないですか。」

「そ、そうなのかしら…?」

まだ不安な様子のアヤベ。

「そうですよ!だってアヤベさんのためにあんなにしてくれたんですよ?好きじゃなければできませんよ。」

「そうよね…それじゃあさっきのは何だったのかしら?」

「やっぱり聞き間違いですよ。それしか説明がつきません。」

スズカが断言し、アヤベも納得する。

「そうね…これはトレーナーさんに直接聞かないとダメよね。」

「そうです!さっきお告げも言ってました。距離感を見直した方がいいって。もっと距離感を詰めるチャンスです!さあトレーナーさんのところに行って確かめましょう。」

距離感については真逆の意味だと思うが…ともかくトレーナーに直接確認しようと二人はトレーナー室に向かうのだった…

 

トレーナー室の前で二人のウマ娘が固まっている。片や青い耳カバーのアヤベでもう一方は緑の耳カバーのスズカだ。先ほどまではアヤベが青い顔をしていたが今度はスズカが真っ青になっている。

「アヤベさん…私の耳がおかしかったんでしょうか?今…」

「スズカさん…それ以上は言わなくていいわ…これは本格的に問いたださないといけないわね」

二人は聞いてしまったのだ。トレーナーの声で”冗談じゃない!スズカはいらない!”という声を。

「で…でも今…」

「大丈夫、私もついてるわ。トレーナーさんがスズカさんのこと嫌いなはずは無い。それにもし万が一のときは<お話>して分かってもらいましょう。道具は揃ってるわ。」

お話になんの道具が必要なのだろうか?違うルビが振られるのかもしれないがそれは最終手段なのでおそらく出番はないだろう。そう願いたい。

「とにかく入りましょう。そして直接聞くの。いいわね?」

「は…はい…そうですね。いきましょう」

そして二人は覚悟を決めてドアを開ける。

 

「おや?今日は遅かったね。何かあった?」

そこにはいつも通りのトレーナーがいた。

「トレーナーさん…さっきのはどういうこと?」

「さっきの?」

「私たちのことです。何やら話してましたよね?」

「二人のこと?いや、特に話してないし…なんのことだ?」

そう答えるトレーナー。思い当たる節は無いようだ。

「とぼけないで!さっき何か大声で話してたでしょ!」

「そうです!私たちのことを…いらないって言ってましたよね?」

「なんだって??二人を?いらない??そんなバカな話があるものか!何言ってるんだ??」

お互いややヒートアップしてるようだ。どうも話が噛み合ってない。トレーナーは続ける。

「俺が二人を必要ないなんて言うわけ無いじゃないか。一体どうしたんだ…?」

「それならさっきまで誰と何を話してたか言えるわよね?」

「そうですよ!ずいぶんと大きい声でしたから聞こえてました!ウソはダメですよ!」

二人は問い詰める。確かにウマ娘の聴力ならあのくらいの声はだいたい聞き取れる。

「さっきまで?ずっと一人だったが…ああ電話か…」

そこでトレーナーは気づいた。あの電話の内容か?アヤベとスズカをいらない??もしかして…

「さっきまでというと…電話をしてた。相手は…」

「「相手は…??」」

二人は固唾を飲む。まさかどこの鹿の骨ともわからないような女では??場合によってはここに死体が3つ並ぶことになる。果たして、

「相手は女だ。」

「「!!」」

終わった…何もかも…とうとう引き出しの心中グッズの出番なのね…どれにしようかしら…?と二人が放心しながらグッズの検討をしていると

「待て、誤解だ。不動産の営業だ。だから死ぬ必要は全然無いぞ。」

先手を打って?トレーナーが追加する。

「「は??」」

どちらがトレーナーを押さえつけて首に縄をかけるかアイコンタクトで後出しジャンケンをしようとしてた二人は拍子抜けする。

「最近不動産の営業電話がすごくてな。綾瀬市と鈴鹿市に家を持たないか?って。なんでその二つなんだピンポイントすぎるだろ?特に鈴鹿市なんてここから通えるわけないのに全く…」

「トレーナーさん…いらないって言ったのは…?」

「もちろんそんなところに家はいらないって意味だぞ?もしかして…お、おいどうした二人とも。」

ヘナヘナとへたり込む二人。良かった嫌われたわけじゃないのねと安堵する。

「そういうわけだから二人を嫌いになったわけじゃないぞ。だから死ぬ必要は無いから引き出しのグッズは捨てような?」

「「それはダメ」」

「どうしてそこは頑ななんだ…」

「いつ何時でも備えあれば憂いなしっていうじゃない。ダメよ?一緒に死ぬんだから。」

「精神的なお守りなんです。捨てられたらどうやって生きていけっていうんですか?さっくり死ねないじゃないですか。」

「死ぬことが前提だとこっちの気は休まらないんだよなあ…」

今日もトレーナーの首は繋がっているのだった。




実はアヤベさんとスズカさんが病みやすいのが好きなんですよね。これは第二級くらいの機密事項なのでなんというかこう…きっとすごい秘密です!今日は比較的過ごしやすい気候だったのでワイエルシュトラスの因数分解定理してえなあと思ってたら生えてきました。久しぶりのおやつですね。ちょっと後半駆け足になりましたけどゲストも出せたしおやつとしてはいい具合なのではないでしょうか?でもおやつにあるまじき長さなのでダメです。
途中アヤベさんの回想であったあんなことやこんなことは自作の「アヤベさんとスズカさんとのはじまり2(アヤベさん編)」に詳細があるのでじっくり読んでブクマしてくださいね。1から読んでねとしつこく書いてますけど2と3で完結してるのでそこだけで大丈夫です。実は今のは巧妙に仕組まれたステマなので誰にもバレてないでしょう。やはり”木を隠すならダムに沈めろ”ですね?昔の人はいいこと言いますよね。違うよね?そんなこと言ってないよね?とりあえずドドウにはおやつあげませんしトプロさんには語彙力はあげません。でもアヤベさんとスズカさんには病みをください。ついでにネタをください。アヤベさんとスズカさんが仲良くトレーナーさんを引きちぎるようなこう…すごくすごい筆がのるような…なんというかワーっと連載できるいい感じのおやつのレシピはいつでも募集中です。
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