「さて、言い訳を一応聞こうかな?」
「「ご、ごめんなさい…」」
寮に戻るとフジ寮長が待っていた。こんな時間までごめんなさい…
「こんな時間まで許可なく学園外に行くなんて全く…一応二人のトレーナーさんから事情は聞いているけどね。そうは言っても門限は守ってもらわないと示しがつかない。二人ともG1取ってるんだから…いやグランプリの問題じゃなくて学生としてこの時間に外をウロウロするのは危ないし…」
はぁ…とため息をつく寮長。本来怒られる時は正座なのだけどトレーナーさんがスズカさんのことを言っておいてくれたおかげかロビーの椅子に座らされている。
「特にスズカ、脚の具合が悪いって聞いたよ。それなのに走りに出るなんて…」
「いえ、あそこまでは歩いていきました。」
歩いて行ったんだ…
「そういう問題じゃなくてだね…まあ今夜は遅いし明日検査なんだろう?部屋に戻りなさい。反省文は明後日までに出すこと、罰掃除は…スズカの脚の具合を聞いてから決めようか。」
「「すみませんでした。」」
というわけで思ったより早く解放された。
「スズカさん、あそこまで歩いていったの?」
「ええ、だってトレーナーさんと…アヤベさんとも約束しましたから。安静にするって。だから歩いていきました。」
「そうなのね…でもね?安静にするっていうのは走らないことじゃないのよ?」
「え?歩くのはいいんじゃないですか?」
「ええと…意味としては極力動かないで休んでいてほしいという意味だったんだけど…」
「ええ~じゃあ散歩もダメなんですか?」
「あの距離を散歩とは言わないわよ…」
「そんなあ…」
「でも…約束を守って走らないでいてくれたのね。ありがとう…」
「だって…約束しましたから…」
翌日午前、スズカさんは病院に行き、私は授業を受ける。ふとカレンダーを見ると菊花賞まで一週間半というところだった。スズカさんも心配だけれど自分の心配もしないと。これまでレース以外に、それも他人の心配をするなんて自分でも変わったと思う。だからお願い無事でいて…
昼食をとっているとトレーナーさんからメッセージが来る。放課後すぐトレーナー室に来てほしいということ。スズカさんは今精密検査を受けているらしい。精密検査か…
大丈夫かしら…あまり味のしない食事をして午後の授業に行くのだった。
放課後すぐトレーナー室に行く。二人は帰ってきているかしら?
ドアを開けると…
「やあ、アヤベすまないな」
「アヤベさん、お疲れ様です。」
割りと普通そうな二人がいた。ただスズカさんの左脚にはギプスが巻かれていた。
「スズカさん…それ…」
私は目の前が真っ暗になりそうになる…そんな…遅かったの…?
「アヤベ、大丈夫だから、落ち着いて…まずは座って。」
「そうですよ、大丈夫ですから」
いけない…本人が落ち着いてるのに私が慌ててどうするの…とにかく話を聞きましょう。
「そ、それで…大丈夫じゃないわよね…どうなの?」
「まあ見ての通りギプスは巻かれたよ。ただ1ヶ月半から2ヶ月くらいで取れるだろうとのことだ。左脚の骨にあちこちにヒビがあったり足首はかなり危ない状態だった。後少し走っていたら…完全に壊れていただろう。幸いこの今の状態なら特に手術等もいらない。経過観察で様子をみれば大丈夫だとのことだ。」
「じゃあ…治れば走れるのよね?大丈夫なのね?」
「はい、私も気になって聞きましたけど、様子を見ながらなら問題ないとのことでした。」
「よ…良かった…良かったわねスズカさん…うええええんんん~~~」
「あ、アヤベさん!?」
「良かったよぉぉぉ~~~ずっと一緒にいられる~~~」
私は…柄にもなく泣きながら隣のスズカさんに泣きついた…
「アヤベさん、大丈夫ですか…?」
「ごめんなさい、スズカさんの方が大変なのに取り乱してしまって…」
スズカさんの緑のハンカチで涙を拭きながら答える…いい匂い…
「それでだ…アヤベ、念のため君も検査を受けたほうがいいと思ってな。早ければ明日の午後が空いてるらしいんだ。仮押さえはしておいたから君がよければ…」
「検査ね!するわ!何かあってからでは遅いもの!」
「お、おう…そうか、じゃあ連絡してくるよ。ちょっと待っててくれ。」
トレーナーさんは一旦部屋を出る。
「良かったわ…スズカさん…また走れるのね…」
「ええ…大丈夫ですよ。治ったらまた走りましょうね」
そう言って微笑むスズカさんはカワイイ…本当に良かった…
「そうだ!お茶にしましょう、スズカさんはお茶よね。トレーナーさんも飲むでしょうし。あとおやつも出しましょうね。お茶に合うものはどこに閉まったかしら?」
「それなら戸棚の奥に…私が出しますよ…」
「ダメよ!!動いちゃダメ!!ギプスはしているとはいえもし転んだら大変よ!!大丈夫よスズカさん。私がやるわ。」
「えっと…じゃあお願いしますね?」
「大丈夫よスズカさんはそこで待ってて。」
危なかった。もしスズカさんが転んだら大変。え~と戸棚の奥ね…あった。大体洋菓子が私、和菓子がスズカさんという役割分担が自然にできていた。フフ…トレーナーさんと一緒になった時もバランスが取れていいわね。
お茶の準備をしているとトレーナーさんが戻ってくる。
「アヤベ、今大丈夫かい?」
「ええ、大丈夫よ?」
「明日の13時から検査できるそうだから午前中に早退して病院に行こう。学園には言っておくからね」
「ありがとうトレーナーさん。」
そう言ってるとお湯が沸いた。おやつとカップを持ってソファに戻る。
するとスズカさんが立ち上がろうとしているではないか!
「スズカさん!!何してるの!!?」
「え?その…お手洗いに…」
「それなら私がついていくわ!まだギプスに慣れてないでしょ?危ないわ。」
「ええと…大丈夫だと思いますよ?松葉杖も借りてきましたし。」
「それなら私もお手洗いに用があるの。だから一緒に行きましょう。」
「わ…わかりました…」
「というわけでトレーナーさん。おやつは少し待ってね。」
「お、おう…気をつけてな…」
「スズカさん、立てる?支えましょうか?」
「えっと…大丈夫ですよ?」
スッと立ち上がるスズカさん。これくらいなら大丈夫そうね。私は先にドアを開けておきましょう。
「さ、どうぞ」
「あ、ありがとうございます?」
その後は何事もなくお手洗いを済ませトレーナー室に戻る。
「お待たせ、トレーナーさん。さ、スズカさん気をつけて座って…準備は私がするから」
「は、はい…」
その後おやつを食べながら今後の計画…まずは『菊花賞』への作戦を立てる。
「模擬レースができなくなった以上、イメージトレーニングで末脚を使うタイミング、あと約1週間だから坂路も重点的にしておこう…とはいえ無理をしすぎるのもマズイ距離だからな。休息日も含めないと当日ダウンしては意味がないからね」
「そうね…体調不良は避けないといけないわね。」
「私もできる限り応援しますから。頑張りましょう!」
検査の結果次第だけど健康という前提でプランを建てていった。
そして時間は過ぎ…
「じゃあまずはこのプランでいこうか。あくまで健康体という前提だけどここから調節はできるだろう。」
「ええ、そうね。」
「やっぱり追い込みって考えること多いですね…みんなよくできますね…」
「むしろあなたの大逃げの方が特殊よ…」
「さて、菊花賞については明後日から最終調整だけど…そういえば昨日の反省文か何かはもうできてるのか?」
「あ、そうでした。検査やらで忘れてました…」
「まあしょうがないわよ。私もまだだから一緒に書きましょう。寮のロビーで書きましょうか。」
「すまないがそうしてくれると助かる。明日の早退届けとか今後のプランの詳細を今のうちに仕上げておきたいからね。」
「わかりました。それじゃあ失礼しますね。」
サッと片付けをして戻る準備をする。
「それじゃあ気をつけるんだぞ。」
「はい、お疲れ様でした。」
「お疲れ様、大丈夫よスズカさん、転びそうになっても私がついてるわ」
松葉杖をつきながら歩くスズカさんに合わせて寮に戻る。こうして見ると意外と多く段差があるわね…スズカさんが転んだら大変だわ…なるべくついていてあげないと…
寮の玄関に着く、そうだ、靴を脱がないといけないわね。確かこういう怪我をした時用の小さい椅子があったから持ってきましょう。
「スズカさん、小さい椅子を持ってくるから待ってて。」
「あ、あれですね。私がそっちに行きますよ。出したり戻したり大変ですし。」
「いいえ、ダメよ。何かあったら大変じゃない。持ってくるから待ってて。」
「そうですか?それじゃあ…お願いしますね。」
ということで小さい丸椅子を持ってくる。そしてスズカさんの前にセット。
「さあ、どうぞ」
「ありがとうございます。」
そして靴を脱ぐスズカさん。なんだかドキドキするわね…そうだ、中で履くためのスリッパと交換しないと。
「靴を置いてスリッパを持ってくるわ。スズカさんの下駄箱はどこだったかしら?」
「お気遣いありがとうございます。でもそれくらいできますよ。」
そうかもね。でも…なぜかしらスズカさんの靴が気になって仕方がない…
「それじゃあ…靴は私が持っていくから一緒にいきましょう。まだ慣れてないから念のためよ。」
「そうですか?なんだか悪いような気がして…」
「いいのよ、こういう時は頼りにしてちょうだい」
丸椅子を戻してスズカさんの靴を待つ…これがスズカさんの靴なのね…持って帰りたい…ん?今何か変な考えがよぎったような…
「私の下駄箱はこっちです。それで…ここです。」
「ここね。」
これがスズカさんの下駄箱…しっかり覚えておかないと…
それからロビーで反省文を揃って書く。それは仕方がないのだけど。まあ通りがかりの娘たちがこちらを見てくるしスズカさんの知り合いはどうしたの?となる。これも仕方ないわね。ギプスを結構な範囲で巻いてるから。スズカさんは結構人気者なのね。まあわかるわ。ちょっと抜けてるけど愛嬌もあるし、カワイイし、でも走る時はキリッとするその目はカッコいいわ…後ろからだからあんまり見えないのが残念よね。他にも
「アヤベさん…アヤベさん?」
「あれ?何かしら?」
「ちょっとここの漢字を聞きたかったんですけど、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ、これは…」
反省文を書き終えて寮長に出しに行く。スズカさんの脚はあんな具合だし私もレースが近いので私のレースが終わってからまとめてどこかの掃除か書類整理などの雑務にするか決めるということになった。
部屋に戻る途中
「意外と軽めの罰で良かったですね。」
「まあ…そうね…そういえばスペシャルウィークさんが言ってたけどあなた結構門限破ってるの?」
「そうですねえ、最近はそうでもないですけど前はよく走り過ぎて時間を忘れてましたね。」
「そうなのね…あまり無理をしないでね。またこうなったら大変だから…」
「オーバーワークはしてなかったはずなんですけど…そういえば不思議な事に右脚はなんともなかったんですよ。」
「え、そうなの?」
「はい、左だけ、それも足首が特に酷かったんです。それなのに右は健康そのものだそうで…お医者さんも不思議がってました。」
「左だけ…特に姿勢とかにクセがあるようには見えないけど…何かあるのかしら?」
「トレーナーさんもそうおっしゃってましたし、蹄鉄の減りは左右均等なんですよね。なんなんでしょう…?」
なんなのだろう…それが運命の前借りということかしら…?
「でもなんにせよ無事で良かったわ…」
「そうですね、妹さんに感謝してもしきれません。それからアヤベさんにも」
「あら、ありがとう。あの娘もきっと安心しているわ…」
そうしてスズカさんの部屋に着く。
「ただいまスペちゃん」
「スズカさん、おかえりなさい…やっぱり聞いていたより酷く見えますけど大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、痛かったりはしないから。」
「スペシャルウィークさん、スズカさんをお願いね。」
「はい、お任せください!」
「スズカさん、何かあったらいつでも呼んでね、布団乾燥機はいる?」
「乾燥機は大丈夫です。でもお気遣いありがとうございます。」
そういう話をして今日は別れた。
自室についてはぁ…とため息をつく。
「アヤベさん、おかえりなさい。スズカさんはどうですか?」
カレンさんが聞いてくる。やはり話題になってるようね。
「ええ、ギプスは巻いてるけど2ヶ月くらいで外れるらしいわ。幸い重症になる直前だったから安静にしていれば大丈夫よ。」
「そうなんですね。不幸中の幸いですね。アヤベさんが慌てて飛び出したからびっくりしましたよ。」
「あの時はごめんなさいね。それからありがとう。寮長さんに連絡してくれて。」
「いいえ、いいんですよ。」
そう言うとニコニコしているカレンさん。
「ねえカレンさん、これから菊花賞へのトレーニングで遅くなるかもしれないわ。だから先に寝ててもいいのよ。」
「アヤベさんこそ無理し過ぎないでくださいね。」
「そうね、スズカさんにも言われたわ。」
私はそんなに無理をするように見えるのだろうか?確かにダービーのあたりまではかなり無茶もしていたけど、最近は丸くなった…ような気がする。これもトレーナーさんとスズカさんのおかげね…だから
「ずっと…ずっと一緒よ…」
翌朝、今日は夢を見なかった。あの娘に会えたらお礼を言おうと思ったけどなかなか難しいわね。さて、今日は検査だけど朝練の代わりにやる事があるわ。調理場にいきましょう…
「材料は揃ってるわね。パンはこのメーカーかあ…後でサンドウィッチ用のを買ってきましょう…」
なんのことはないスズカさんのためにサンドウィッチを作っておきましょう。あの脚では食堂まで行くのは大変だしね。嫌いなものは無かったはずだから…まあ普通のサンドウィッチなら大丈夫よね。あら?サンドメーカーなんてあったのね。これならこのパンでも良さそう。じゃあ借りましょう…
それから少しサンドウィッチ作りに熱中してしまった。あら、そろそろ平均的な登校時間ね。じゃあ片付けていきましょうか。
寮の玄関でスズカさんの靴がある事を確認する。大丈夫かしら?慣れてないのに遅くなると慌てて転んだりしたら…いけない一応スペシャルウィークさんがいるし…あの二人練習がない時はどっちが早く起きるのかしら?そんな事を考えてると廊下からスズカさんが見えた。
「スズカさんおはよう」
「おはようございますアヤベさん」
「おはようございます!」
スペシャルウィークさんが付いていてくれたから大丈夫そうね。羨ましい…ん?なにか雑念が?気のせいかしら。
靴を履き替えたスズカさんを立たせてゆっくり歩く。どうやら昨日は何事もなく大丈夫だったらしい。それなら良かった。
その時落ち葉で小さい段差に気づかなかったスズカさんが杖を引っ掛けてしまった。
「危ない!!」
すかさず支える。危なかったわ…やっぱり側にいてよかった…あ、スズカさんのいい匂い…
「あ、アヤベさんありがとうございます。あの、どうしたんですか?」
「え、ああ何でもないのよ。」
固まってしまっていたみたいね。危ない危ない。やっぱり私がついていてあげないと…
学園の入り口でスペちゃんさんと別れる。ここからスズカさんが頼れるのは私だけなのね…ウフフ…教室は違うのでその前で別れるけどその前に、
「スズカさん、これお昼に食べて。サンドウィッチよ。」
「え?アヤベさん、作ってくれたんですか!ありがとうございます!」
ああ、笑顔がカワイイ…なるほどこれがカワイイなのね。
「いいのよ、しばらく朝練も無いし…その脚だと食堂まで行くのも大変でしょうし…」
「そうですね…あの混雑の中をこの脚で行くのは不安ですね。」
「そうでしょう?だからね…私が毎日作ってあげるわ。それから一緒に食べましょう」
ああ、言ってしまった…誰かをお昼に誘うなんてしたことあったかしら?
「アヤベさん…ありがとうございます。でも…」
え?
「その…毎日だと大変じゃないですか。それに菊花賞もあります。だから…」
そんな…スズカさんに否定された…
「だから2,3日に一回でどうですか?治ったら私も作りますから」
「スズカさん…ありがとう!そうね…まずは2,3日に一回でも充分よね。菊花賞もあるし…」
その時予鈴が鳴る…あら、結構時間経ってたのね。
「あ、時間ですね。それじゃあ、サンドウィッチありがとうございます!」
「ええ、また後でね。」
そうだ今日は検査があるから仕方ないけど、お昼の楽しみが増えたわね。
それからお昼前に早退してトレーナーさんと合流、病院まで車に乗せてもらった。
「アヤベ、スズカの事ありがとう。アヤベが言ってくれなかったらスズカは危なかった。」
「私じゃないわ、あの娘が教えてくれたの。私はそれを伝えただけ。」
「それでも朝早く止めに行ったり夜も寮を飛び出したりしてくれたじゃないか。それに彼女のお世話もしてくれて本当にありがとう。」
「私は…トレーナーさんとスズカさんに受けた恩を返したい。それから…できるだけ三人一緒でいたいって最近そう思えるの…だからトレーナーさんもどこかに行ったりしないでね?」
「そっか…俺はいい担当を二人も持てて幸運だ…」
そうして病院まで話をしていた…
検査は順調に終了、脚は異常無し、左脚も何ともない。夏の頃の絶不調がウソのようね。これもあの娘のおかげなのかしら。きっとそうなのだろう。ありがとう…
検査は終わり、帰りながらトレーナーさんと話すのは菊花賞のこと。
「異常がなくて良かった。これなら昨日たてたプランで進められそうだね。」
「そうね。でももっとキツくしてもいいのよ?」
「いや、スタミナは一朝一夕につくものじゃない。ここは体力を温存しよう。アヤベは体調さえ良ければ敵無しなんだから。」
「そうね、皐月賞みたいにみっともない走りはできないわ。あの娘も…スズカさんも観てるもの…」
トレーナーさんはチラリとコチラを観たかもしれない…
「それでだ、菊花賞のライバルになりそうなのはやはり…あの二人だろうな…」
「そうね…」
実直に努力を重ねているトップロードさんとふざけてるように見えて勝負には手を抜かない天才オペラオーの二人の顔が浮かぶ。間違いなく強敵になる…でも…
「私は負けないわ。」
「そうだな…アヤベは強い。スズカもいる。頑張ろうな」
「ええ、もちろんよ」
闘志を新たにするのだった…
検査結果を持ってトレーナー室に戻ると…
「おかえりなさいアヤベさん、トレーナーさん」
「スズカさん、どうしたの?」
スズカさんがいた。練習はできないのにどうした事だろう?
「私もアヤベさんのお手伝いがしたくて。天皇賞の時はずっと付き合ってもらいましたから。だから今は走れませんけどできることはお手伝いしますね!」
「スズカさん…ありがとう」
「良かったな、アヤベ。君は一人じゃない。」
トレーナーさんが付け加えてくれる。
「ありがとう…二人とも…」
「そうだ、検査は大丈夫でしたか?」
そうだった。あんまりにも健康なので検査した事を忘れてた。
「ええ、大丈夫よ。問題無かったわ。」
「それはよかったです。何よりですね」
「スズカも早く復帰できるように無茶はしないようにな。」
こうして菊花賞までの追い込みが始まった。あと一週間…
とはいえこの日はもう遅いので明日から練習再開となった。そして今はスズカさんと寮に戻るところ。
「アヤベさん、お昼のサンドウィッチすごく美味しかったです!あんなに手間がかかったものは初めてでした。いつもあんなに手間をかけてるんですか?」
「いいえ、自分で食べる時はもう少し手抜きしてるわ。でもパンにはこだわってるの。今日は調理場のを貰ったけど今度はオススメのパンで作るわね。」
「うわあ!楽しみです!今度教えてくださいね。」
「もちろんよ、そうだ、トレーナーさんにも食べてもらいましょう。」
「いいですね。そうしましょうね」
そう話しながら寮に到着する。
「サンドウィッチごちそうさまでした。ありがとうございました。」
「いいのよ、また作るわ」
スズカさんの部屋の前までくるとスペちゃんさんがちょうど帰ってきたようだった。
「あらスペちゃんも今終わったところ?」
「はい、スズカさん脚は大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。しっかり治さないとね。」
そう言いながら部屋に戻る二人。
「アヤベさんありがとうございました。それではまた明日。」
「ええ…また明日ね…」
パタンとドアが閉まる。その時気がついた。自分が握り拳を強く、手のひらに爪の跡がつくまで握っていたと言う事に。
それから数日経ち今日は日曜日。来週のために追い込みをかける。午前の練習が一息つきお昼を食べに食堂に行く。さすがに今日はそこまで混んでないからスズカさんも安全ね。たまには足を伸ばさないと?とにかく食事をしてさて戻ろうと食堂を出てすぐに…
「わあああ〜〜すみません!!すみません!!」
「ハーーッハッハッハ‼︎ドトウ!気にすることはないよ!水も滴るいいボク!!」
なんだか嫌な予感が角を曲ったところから聞こえてきた気がする……
「あの!!あの!!わたし!!食堂で掃除用具を借りてきます!!」
「ハーーハッハ!慌てなくていいよドトウ!ボクの美しさを皆んなに見てもらうのには時間が少なすぎるからね!」
戯言はどうでもいいとして…食堂にって言ったわよね?
そう思ってると…
「じゃあ!行ってきます!」
そう叫んで後ろを見ずにバック全開の勢いで走り出したドトウが…スズカさんに一直線に!!
「スズカさん!!」
「アヤベ!ドトウ!大丈夫か!?」
トレーナーさんの声がする…何とか間に合ったようね…
私はスズカさんの前に飛び出してドトウを受け止めた。側から見れば相撲をとっているように見えるかもしれない。声が聞こえて嫌な予感がしてなかったら危なかった…
「す…すみません…ヒッ!?」
どうしたのだろう?ドトウが妙に怯えている?とにかく一言言っておかないといけないわね…
「ねえ?ドトウ?私のトレーナーさんとスズカさんに何をする気だったの?」
「あ…あ…あの…」
「黙ってたらわからないわ。『お話』しましょう?」
「アヤベさん!」
「オペラオー、あなたたちが何をしててもいいけど。私のトレーナーさんとスズカさんに何かあったら…私は絶対に許さないわよ…」
「アヤベさん…そうだね申し訳ない…」
トレーナーさんとスズカさんを振り向いて無事を確認する。大丈夫そうね…どうして驚いているのかしら?とにかく…
「ドトウ…あなたもよ…いい加減に気をつけなさい…二人が無事だからいいけど…次は無いわよ…」
「は…ハヒ……すみませんでした…」
「アヤベさん、私は大丈夫ですから!ね?」
「スズカさんは優しいのね。でもちゃんと言っておかないとダメなのよ?」
「アヤベ…」
トレーナーさんが思い詰めたように私を見ている。まるで何かが憑いてるかのようだった。
「どうも調子が変ね…」
午後のトレーニングを再開するもののどうも調子が悪い…気がする。走りに邪念というのか雑念というのかとにかく集中できていない。
一旦休憩ということになった。うーん何かしらね…
「アヤベさんなんだか辛そうです。」
「そう…かしらね…身体は大丈夫なんだけど…」
「さっきのことで気が立ってるのかもしれないな。」
そうかもしれない。もしどちらかにぶつかっていたら…トレーナーさんはもちろん今のスズカさんならタダでは済まないでしょうね…
「ごめんなさい…なんだか二人がいなくなると思ったらつい…」
「まあそこまで想ってくれるのは嬉しいけどね。」
「そうですね。ちょっとビックリしましたけど。さっきのアヤベさん、まるで…青い炎に包まれているようでしたから」
それから二時間くらい走って。坂を越えて…今日は早めに引き上げる事になった。やはり精細を欠いているようで二人に心配されてしまった。ちょっと罪悪感を感じながらシャワーを浴びる。
さて、トレーナー室でちょっとした反省会ね。まあ来週に向けての打ち合わせもあるし。
トレーナー室のドアの前につく。さて入ろうかと思ったときに
「最近のアヤベさんちょっと変わりましたね。どうしちゃったんでしょう?」
え?
「やっぱり妹さんのことに踏ん切りがついたのかもな…もう大丈夫だろう」
大丈夫って…?
「そうですね…本当のことを言ってもいいかもしれませんね。」
「スズカもそう思うか?まあちょうどいいかもしれないな」
え?なにを話してるの…?
「私がいなくて大丈夫でしょうか?」
「アヤベなら大丈夫だろう。できるはずだ」
いなくなるってなに!?
私は居ても立っても居られなくて…部屋のドアをバンと開ける。
「お、早かったな。ゆっくりでもいいんだぞ…」
「今の話何?」
「え?」
「スズカさんがいなくなるって言ったじゃない!嫌…嫌よ…まさか本当は足の具合が悪いんじゃ…」
「アヤベさん??」
私は座ってるスズカさんの両肩を掴みながら聞く。
「いなくならないわよね?あなたはずっといてくれるのよね?トレーナーさん、そうよね…?」
「落ち着くんだアヤベ…なにか勘違いしてるみたいだな。」
「そうですよ。脚は何ともありませんから」
「じゃ…じゃあ今のは…?」
「ちょうどいいから話しておこうか。菊花賞の時のウイニングライブだけど。レースだけじゃなくて今年のクラシック三冠の特別アンコールが企画されてるんだよ」
「え?ライブ?」
「うん、アヤベはダービーを取ってるからもちろん出てもらうことになるんだけど…」
「それで…私なら大丈夫だろうとかスズカさんがいなくなるとか…どういうことなの…?」
「それはアヤベならこの短時間でもアンコール用のダンスを覚えられるだろうってことと。」
「ダンスの練習相手に私が踊れないっていう話です。」
「いつも二人でコンビで練習してたからな。でもアヤベなら大丈夫だろうと思ってるんだが…」
「はああ〜〜〜よかったあああ〜〜〜私はてっきり本当はスズカさんの脚が酷い事になっていてもう一緒にいられないのかと思ったのよ……」
「それは…驚かせて悪かったな…」
「大丈夫ですよ、すぐに復帰しますから…アヤベさんを置いて行ったりしませんよ。」
「本当に驚かせないでよ…」
「特に狙ってたわけでは無いんだけどな…」
お茶を飲みながら練習の反省と対策を立てていく。大体ひと段落ついたところで
「そうだ、二人とも、宿と新幹線の予約の件があったんだ。スズカも行きたければマネージャー枠で行けるけど脚は大丈夫そうか?」
チームだと遠征の時付き添いのウマ娘一人が選手と一緒に行くことができる。通称マネージャー枠。一応私たちもチームなのでそれが使えるというわけだ。
「もちろん行きます!アヤベさんが二冠を取るところを絶対現地で観ますよ!」
そこまで言われるとより頑張らないといけないわね。ところで…
「トレーナーさん、新幹線ということは…」
「そうですねこれは譲れませんね。」
「わかってるよ。三人席だろ?」
さすがトレーナーさん。
「先頭じゃないのは残念ですけどこればかりは仕方ありませんね。」
「だから別に前は見えないわよ?」
「それもそうでした。」
相変わらずねえ。
「それから宿だが…」
「それももう決まってるわ」
「そうですね。決まってますね。」
「「ツインでお願いね」」
そういえばプラネタリウムに行ったのはこの京都に行く時にケンカしたからだったわね…
「二人ともほんと仲良いなあ。この前はこれで大揉めしたのに」
「まあ…あれはね…」
「ちょっと大人気なかったですね…」
そう言ってテヘヘと笑うスズカさん…やっぱりカワイイわね…なにか邪念が通ったような?
「じゃあ手配しておくからね。あと一週間、いつも通り土曜の昼に新幹線に乗って夕方ホテル着だ。ということで金曜に荷造りだな。」
「いよいよですね。なんだか緊張してきました。」
「なんであなたが緊張するのよ」
打ち合わせは少し遅くまでかかった…
「大分冷えるようになってきたわね…」
寮までの帰り道、少し歩くのが速くなったスズカさんと一緒に歩く。
「そうですね、アヤベさん風邪には気をつけてくださいね。」
「あなたもね。あなたがいないと調子が出ないわ」
「私もですよアヤベさんがいてくれないと元気が出ません」
え、スズカさんも…?…嬉しい…
お互い口数は少ないが居心地は悪くない。ゆっくり歩くのもいいわね。ゆっくり歩いても寮には着く。すっかり靴の脱ぎ履きも慣れたスズカさんを一応助けながら部屋まで送る。
「それじゃあ、お疲れ様でした。あと一週間頑張りましょうね。」
「ありがとう…お疲れ様。」
そう言うとスズカさんは部屋に入っていった…
私も戻ろう…
「おかえりなさいアヤベさん。」
「ただいまカレンさん…ねえ、カワイイって大変なのね…」
「急にどうしたんですか?」
「いえ、なんでもないの…」
フワフワクッションを抱くけど物足りない…芝の匂いをつけようかしら?そう思いながらクッションを強く抱きしめた…
それから朝練とサンドウィッチを作る朝を交互に過ごして今日は金曜日。午後は遠征用に荷物をまとめて軽くストレッチをしておしまいの予定。ここまで来たらもう走るだけね。
「まあ最悪勝負服があればどうにかなるな。」
「そういう問題ですか?」
「あんまり持っていってもとは思うけどさすがにそれはどうかと思うわ」
荷造りをしながらクラシック戦線を思い返す。
一人で勝つと意気込んで体調不良で最低だった皐月賞。スズカさんに手伝ってもらいながら一緒に走り続けたダービー前。そして手に入れたダービー。合宿はなんだかんだ楽しかったのね。最後の方は熱でフラフラで入院までした。そしてトレーナーさんが必死で助けてくれて…あの娘も助けてくれた。体調としては良くなったけど心が抜けてしまった私を…スズカさんが助けてくれた…それから天皇賞に挑むスズカさんが悪夢にうなされるようになって…なんとか立ち直ってくれた…本当に良かった…そして次は私の番…菊花賞も取ってみせる!
荷物を詰め終えた私はなんとなく周りを見てみる。ふと目についた写真があった。ダービー前に三人で撮ったなんでもない写真…まだ棘が抜けてなかった私はだいぶぶっきらぼうね。今撮ったらどうなるのかしらね…
荷造りも終わりストレッチを済ませた私にトレーナーさんが例のマッサージをしてくれる。これを知ったらもう戻れないわ…こんなに素敵なんですもの…
今日もスズカさんと寮に帰る。相変わらず言葉は少ない…それでもいい…この感じがいいの…
「いよいよですね…なぜか私が緊張してきました…」
「天皇賞の時あんなに落ち着いていたのに?」
「あれは…なんだったんでしょうね?最高の状態で全然緊張とかしませんでした」
「まあおかげで私は今あまり緊張してないから、ちょうどいいのかもね?」
「それなら良かったです。思いっきり走ってきてくださいね?」
「ええ、きっと大丈夫だと思えるわ…」
だから見ててね…
いつも通りスズカさんの部屋の前に立つ。
「それじゃあ明日の朝ですね。おやすみなさい。」
「ええ、おやすみなさい…」
ドアを閉める直前に微笑むスズカさんの顔が頭から離れない…
「アヤベさん、いよいよ明日出発ですね。アヤベさん?」
「カレンさん…カワイイって罪なのね…」
「アヤベさん??」
翌朝土曜日…今日はお昼に東京駅に行けばいい。まあ慌てることはないからいつも通り朝食をとり最終確認をして部屋を出る。
「それじゃあ行ってくるわね。」
「はい!いってらっしゃいアヤベさん!明日のお昼にはそっちに行きますからね!」
カレンさんに見送られ私はトレーナー室に行く…のだけどその前にもちろん。
「それじゃあスペちゃん、行ってくるわね。」
「はい、行ってらっしゃい!アヤベさんもお気をつけて!」
「ええ、ありがとう。」
スズカさんを迎えに行く。すっかり慣れたルーチン。今日はよく晴れている。天気予報では今日明日と京都も晴れらしい。コンディションはバッチリね。
「いいお天気ですね。走ったら気持ちよさそう」
「まだダメよ?」
「分かってます。またアヤベさんと走るためですからね今は我慢です」
無自覚に嬉しいことを言うスズカさん。これは勘違いするのも無理はないわね…これは勘違いなのかしら?
「やあ、二人ともおはよう。調子は良さそうだね。」
「おはようございますトレーナーさん。」
「調子はバッチリよ。」
「それは良かった。さあ行こうか。」
私たちは駅に行き…列車に乗り…東京駅に着く。早めのお昼を食べて新幹線を待つ。そのホームで…
「お?あれが噂の自販機かな?」
「噂の自販機?」
「アイス…ですか?」
「二人とも聞いたことないか?シンカンセンスゴクカタイアイス。カッチカチで全然溶けないっていうワゴン販売のアイスだったんだけど、最近自販機で売り出したらしいって話なんだ。」
「カチカチなの?フワフワじゃなくて?」
「なんだか不思議ですね?」
「せっかくだから二人とも食べてみるかい?」
「そうねえ、まあエネルギー補給と思って」
「そうですね、せっかくですし」
そういうわけでアイスを3個買うトレーナーさん。ちょうど新幹線の扉が開いたので中で食べる事にした。座席についたので早速アイスの蓋を開けてみる。
「これは…」
「なんというか…」
「フワフワではないけどカチカチでもないわね…」
普通にスプーンが刺さるアイスがそこにはあった。
「うーんワゴン販売だけなのかあの硬さは、残念…」
「でも味は美味しいですよ。」
「そうね、こういうところで食べると特にいいわね。」
なんでもないけどまた一つ思い出ができたわね…
それから京都についてすぐホテルに向かう。観光どころではない人の量ね…これは体力を残しておいて正解だったわ。さすがトレーナーさん好きよ。
ホテルに着いて荷物を置く。まあちょっとだけ豪華なビジネスホテルという感じね。でもお布団はフワフワしてるわ。これはいいフワフワね。その時ふと気づいてしまった。
「ねえ、スズカさんこの部屋にはベッドが二つあるわね?」
「そうですね、ツインですから。一つだったらシングルですね。」
「確認なんだけど、私たち一緒の部屋で寝るということよね?」
「そうですよ?前もそうだったじゃないですか?」
なんということ…スズカさんと一緒の部屋で眠れるなんて…あれほど毎日スペちゃんさんに直前で奪われる。あの憎きドアに阻まれていたその同じ部屋で寝るという行為がついに許されると言うの??大丈夫かしら…明日は大事なレースなのに眠れるかしら?私はどうなってしまうの??
「アヤベさん?大丈夫ですか?」
「え、ええ…大丈夫よ。」
その後は夕食をとり、明日の予定を確認する。最悪でもお昼頃のバスに乗れば問題ない、早めに行って余裕を持つことにした。その方がいいわね。
そしてシャワーを浴びて早めに寝ることにしているのだけど…
「そういえばスズカさん、今お風呂はどうしてるの?」
「今はギプスにはビニール袋を巻いて、水が入らないようにシャワーを浴びてます。それで脚が見えているところはタオルで拭いてますね。」
それでは大変だろう…そうだ!
「それなら背中を流してあげるわ、普段届かないでしょ?」
スズカさんは驚いたようにこちらを見る。
「ええ!そんな!悪いですよ、自分でできますから…」
「水臭いわね!もう何度も一緒にお風呂に入ってるじゃない。せっかくのチャンスなんだし…」
「え?最後何か言いましたか?」
「ううん、なんでもないわ。ただ普段のお礼をさせてほしいのよ。ね。お願い。」
「う~んそこまで言われると断りにくいですね…じゃあせっかくですからお願いしますね?」
「任されたわ!早速準備しましょう!」
幸い浴室は二人で入ってもキツキツというわけではない程度には広かった。左脚にビニール袋を巻いたスズカさんが滑らないように支えながら浴室に入る。
「それじゃあ背中を流すわね。」
「はい、お願いします。」
ここまで来ると諦めたのかスズカさんは大人しかった。私は左脚にあまり水がかからないようにシャワーを調整してスズカさんの背中を洗ってあげる。この細い背中がターフの上では最速の大逃げを見せるのだから分からないものね…。いつもこの背中を追って走ってる。また追いかけさせてね…
その後お返しとばかりにスズカさんに背中を流してもらった。こういうのもいいわね…
そして浴室から出ると…そうだ、スズカさんはこの後見えてる部分の脚を拭くのよね…脚…スズカさんの脚は綺麗よね…勝負服のタイツもいいけどジャージの生脚も素晴らしいと思ってるわ。見事な脚線美…は、そうねタオルが必要ね。
「スズカさんはそこに座ってて、大丈夫、私が拭いてあげるわ…」
「ええっ?そこまでしていただくのは流石に…」
「何言ってるのよ、トレーニングで散々脚の見せあいはしてるじゃない。その延長と思っていいのよ?」
「ええ…でも…悪いですよ…」
これは手強いわね…こうなったら、
「お願い、これは明日のためのメンタルトレーニングなの、スズカさんの脚が気になって集中できないのは困るわ。」
「なんですかそのトレーニングは…はあ、わかりました、それじゃあお願いします…」
「ええ、任せて!」
椅子に座ったスズカさんの前にしゃがんで左脚を少し持ち上げる。これがスズカさんのおみ足…今はギプスに巻かれてるけど本当細いわね…これであの大逃げをするんだからすごいわ…さて見えてる部分はあまり多くないから…そんなに拭けないわね…私は膝の方から足首に向けてといってもスネのあたりしか拭けるところはないわね…ツルツルしてて素敵…割れ物を扱うように拭いていく。するともう一カ所拭ける部分がある事に気づいた。つま先…ここもしっかり拭いてあげないといけないわね。指の間も慎重に…カワイイ足…
「フフッ…くすぐったいです…」
「もう少しで終わるわ…よし、これで全部ね」
「ありがとうございます。アヤベさんすごく真剣でしたよ。」
「それはそうよ。大事な脚を預かるんですもの。」
それにスズカさんの足先だもの…舐めとりたいくらい…ん、何か雑念が通ったかしら?とにかく…
「これで落ち着いて走れそうだわ。ありがとう。」
「アヤベさんが良ければいいんですけど…とにかくありがとうございます。」
そして寝る時間になる。思った通りフワフワのベッドね…でもなんだか物足りない気がする。
「目覚ましはセットしました。それじゃあ寝ましょうか。」
そうだわ。今日は隣にスズカさんがいるのよ。こんなチャンス滅多にないのにみすみす見逃すなんてありえないわ。でも何をしたらいいのかしら…そういえばカレンさんは時々私のベッドに入り込んだりするわね…添い寝…スズカさんと…そうね!これだわ!!
「ねえ…スズカさん…もう一つお願いがあるの…一緒のベッドで寝てもいいかしら?」
「アヤベさん…分かりました…どうぞ」
「ありがとう…」
私はスズカさんのベッドに入る。向かい合う私とスズカさん。顔が近い…いい匂い…
「今日は随分積極的ですね。どうしたんですか?」
「やっぱり…緊張してるのかもしれないわ…」
「アヤベさんでも緊張するんですね。」
「私だって…するときはあると思うわ」
ついこの前スズカさんをお昼に誘った時を思い出す。
「ふふっ…この前のレース前のスペちゃんも緊張してました。」
「それは…しょうがないわ。」
「だからこうしてあげたんです。」
そう言うとスズカさんは私を抱きしめてくれた…
「大丈夫です。アヤベさんは頑張っています。だから…大丈夫ですよ…その…しっかり生きていると思います。自信を持ってください。」
「スズカさん…ありがとう…」
誰かにそう言って欲しかったのかもしれない。すごく安心する…
「私も…アヤベさんとトレーナーさんと一緒にいたいです。だから頑張れます。いつもありがとう。」
「うん…私もよ…ありがとう…」
「スズカさんの体温と香りを堪能する。安心できる…
「ねえ、この前プラネタリウムでみなみじゅうじ座を見た時に…いつかトレーナーさんも一緒に三人で本物を見に行こうって約束したこと、覚えてる?」
「ええ、覚えてますよ。絶対行きましょうね。」
「その時はトレーナーさんを間に挟んで川の字で寝ましょうか。きっとよく眠れるわ。」
「ドキドキして眠れないかもしれませんよ?でも退屈はしなさそうですね。」
「フフッ…そうね…」
そう話しながらいつの間にか眠ってしまった…
「ん…あれ?」
夜中に目が覚める。
「スズカさん?」
スズカさんがいない…?
トイレかしらと思い見てみる。いない…
「え?どこ…どこに行ったの…?
サイドテーブルを見るとスズカさんのスマホが置いてあった。これは夢なんじゃないかと思うけどどうやら現実らしい…
「うそ…そんな…」
置いて行かれた…?真っ先にその考えが浮かぶ。あんなに一緒にいてくれるって言ったのに?
「スズカさん…スズカさん…」
フラフラとドアに向かって歩く。あとドアまで3歩くらいのその時
ガチャリとドアが開いた。
「あ、」
「あれアヤベさん起こしちゃいましたか?どうしたんですか?」
「スズカさん…スズカさん!!」
私はスズカさんに抱きついていた…
部屋に入って二人でベッドに座りながらスズカさんは私を撫でてくれる。
「ちょっとロビーの自販機に行っただけなのに…怖い夢でも見たんですか?」
「そうじゃないの…ただあなたがいなくなったみたいで頭が真っ白になって…」
いつから私はこんなに泣き虫になったのだろう?あんなに一人でいいって言っていたのに…
「まあ、そう言う日もありますよ。菊花賞のことで頭が混乱してるのかもしれません…」
「違うの…きっと私は…おかしくなってるの…」
「おかしい…ですか?」
「スズカさんやトレーナーさんのことを考えていないと気が変になりそうなの…トレーナーさんやスズカさんと別れて部屋に戻る時すごく寂しくて…カレンさんがいるのにうわのそらになったり返事がおかしかったり…」
「アヤベさん…アヤベさん!」
「ご、ごめんなさい…ごめんなさい…お願いだから捨てないで…置いていかないで…ヤダ…いや…」
「アヤベさん…」
スズカさんは混乱している私をずっと抱きしめていてくれた…
「落ち着きましたか?」
「ええ…ごめんなさい…」
「いいんですよ、誰だって泣きたい時くらいあります。アヤベさんはずっと頑張ってきたんだから私やトレーナーさんをもっと頼ってください…」
「スズカさん…ありがとう…」
「トレーナーさんだってアヤベさんを置いていったりしませんから…安心してください。」
「うん…」
そのとき…スズカさんの雰囲気が変わった気がした…
「アヤベさん…カワイイです…」
「え?」
スズカさんの顔を見る。なんでだろう…口角が上がっている?笑ってるの?でも…キレイ…
「いつも凛々しくて、カッコよくて、みんなの憧れダービーウマ娘で、私も憧れてる私の大好きなアヤベさんが…私だけにカワイイ姿を見せてくれている…本当にカワイイです…大好きです…ずっと…」
ずっと?
「ずっと閉じ込めておきたいです。」
え?
「ねえアヤベさん?こうしませんか?二人でトレーナーさんに閉じ込めてもらうんです…もっともっと私たちを好きになってもらって…たくさん愛してもらって…トレーナーさんに閉じ込めてもらうんです…そしてそのまま…」
そのまま…
「そのまま三人で一緒に死にましょう?」
え?
スズカさんは私の耳元で囁き続ける。時々耳を舐めてるのかもしれない。ピチャピチャ音がする…でも…心地良い…このまま身を任せていたい…私を抱きしめて…耳元で囁きながら私を溶かしてくれるスズカさん…
「私はトレーナーさんが好きです。好きで好きでたまらないんです。でも同じくらいアヤベさんも大好きなんです…だから二人とずっと一緒にいるにはどうすればいいかなって考えていたんです。簡単ですよ。トレーナーさんが私たちを監禁してくれるまで…たくさん愛して貰えばいいんです。ねえアヤベさん…二人でトレーナーさんのモノになりませんか?アヤベさんもトレーナーさんの事大好き、いいえ愛してますよね?もう離れられませんよね?あんな素敵な人は他にこの世にいません。トレーナーさんは私たちを救ってくださった唯一無二のお方。離れることなんて絶対できませんよね?もう私たちはあの人の虜なんですよ?あの人のモノなんです。それが一番の幸せって分かってますよね?それにアヤベさんも私のこと大好きですよね?好きじゃなかったら靴を持って帰りたいとか足を舐めたいとかスペちゃんのことが妬ましくて仕方ないとか思いませんよね?大丈夫ですよ私もアヤベさんのこと大好きです。好きで好きでおかしくなりそうなんです…」
私の耳を舐めながら囁き続けるスズカさん…完全に的を得ていた…私は動けない…いいえ…動く必要なんてない…そして…
「私ね?寂しかったんですよ?」
スズカさんは耳を舐めがら囁き続ける…
「毎日寮に帰る時…アヤベさんとお部屋の前で別れる時…すごく寂しかったんです。アヤベさんが寂しそうな顔してるの見て…アヤベさんも同じこと考えてるんだって思うと嬉しかったんです。でもそれ以上に寂しくて…朝会えるのが楽しみで…カレンチャンさんが羨ましくて妬ましくて…おかしくなりそうだったんですよ?ねえ?アヤベさんはどうでした?さっき寂しかったって言ってくれましたよね?すごく嬉しかったんです。やっぱり私たちは一緒になる運命なんですよ?」
「私は…私は…」
「ねえ?アヤベさん…」
スズカさんは顔を私の正面に戻して…その濁った綺麗な目で私を射抜いた…
「一緒に…壊れませんか?」
私は…
こくりと頷くことしかできなかった…
「嬉しい!」
スズカさんの唇が私の唇と重なった…初めてのキスがスズカさん…最高!!
「嬉しい!嬉しい!!とうとうアヤベさんと一緒になれる!!素敵だわ…」
濁った瞳で恍惚とするスズカさんは…とてもキレイで目が離せなかった…きっと私の瞳も光を灯していないのだろう…それでもいい…スズカさんと一緒になれるのだから…
チュッ…ンムッ…チュッ…
何度もキスをする私たち。どちらともなく抱きしめあっていた…舌を絡めたり…唾液を交換したり…耳を撫でたり…尻尾を巻きつけ合う…
「好き…好き…アヤベさん大好き…ねえ?好きって言って?愛してるって言って?」
「スズカさんの事好きよ…大好き…愛してるわ…だからお願い…もっとキスして…抱きしめて…私を…こわして…」
「アヤベさん…最高です!!最高にカワイイ!!!私のアヤベさん!私とトレーナーさんだけのアヤベさん!!」
最高にカワイイ笑顔のスズカさんとキスをし続ける…幸せ…蕩けてしまいそう…いいえ、もう私は完全に壊れているんだわ…でもいいの…スズカさんとトレーナーさんがいてくれるならそれでいいの…
私たちは疲れ果てるまで抱きしめあっていた…
ピピピ‼︎
「ん…」
カーテンの隙間から朝日がさす…どうやらいつの間にか寝てしまったようね…隣には幸せそうな表情で寝ているスズカさん…耳がベタつく感じがするが服は着ている。なんというか倦怠感はあるけど幸せな気分…とうとうスズカさんと一緒になれたのね…あとはトレーナーさん…
「ん…ふああ…」
スズカさんが起きたみたい…カワイイ…
「あ、おはようございます…」
「おはよう…」
夜とは別人のような、いつものスズカさんだった…しばらくベッドの上で見つめ合う…カワイイ…
ピピピ‼︎
二度目のアラームで我に帰る私たち。そうだ!今日は菊花賞!!
「ええと…とりあえずシャワー浴びましょうか?」
「そ、そうですね…フフッ…」
昨日と同じようにビニール袋を脚に巻いたスズカさんを浴室に連れていく。本当はもっとゆっくりしたいけどトレーナーさんとの約束の時間がある。急ぎめで身体を流す私たち。ああ…スズカさんの生耳…美味しそう…とはいえ耳カバーをつけないと何故か調子が出ないのでいつものカバーをつける。よし、これでいつもの私たちね…
トレーナーさんとロビーで合流する。
「おはよう、二人とも、なんだかスズカまで調子が良さそうだな?」
「おはようございますトレーナーさん。そう見えますか?」
「おはよう、トレーナーさん」
よし、いつも通りの私ね…
朝食をとり荷物を持って選手用のバスに乗る。私とスズカさんはトレーナーさんの後ろの席で手を繋いでいた…
京都レース場、いよいよ菊花賞だ、すでに会場は熱気が渦巻いている。
「すごい熱気ね」
「そりゃあ今年は三強と言われてるからな、やはり今日の二人も完璧に仕上げてるだろう…」
「それでもアヤベさんは負けませんよ。トレーナーさんだってそう思いますよね?」
「当たり前だよ。アヤベが一番に帰ってくるさ!」
そう言ってくれるトレーナーさん…そうね、負けるわけには行かないわ…
控室で時間を待つ。あと一時間というところ。30分前くらいに勝負服を着るのがいつもの私の流れだ。
私はウィダーゼリーを飲みながら前のレースを映像で観ていた…
勝負服に着替える時間。トレーナーさんは一旦部屋を出る。スズカさんが服を渡してくれる。
「アヤベさんなら大丈夫ですよ…信じています。」
「ありがとう、スズカさん。」
服を着替えて鏡で確認する。ネクタイが曲がってるかしら?
「あ、私が直しますよ。」
そっと手を伸ばすスズカさん。
「それじゃあ、お願いするわ…」
「はい。フフッ」
ネクタイを直してくれるスズカさん。
「はい、できましたよ。バッチリです。」
「ありがとう…」
見つめ合う私たち…
コンコン!!
「どうした?何か問題か?」
いけない。思ったより長く見つめあってたみたいね…
「大丈夫よ!今終わったわ!」
ガチャリと部屋に入るトレーナーさん。
「うん、バッチリだな。やっぱりアヤベの勝負服はいいな。」
「あらありがとう。」
内心は凄く嬉しい!でも気恥ずかしくてつっけんどんになってしまう。
「トレーナーさん。私の勝負服はどうですか?」
「スズカのもキレイだよ。よく似合ってる。」
「まあ、お上手ですね。」
嬉しそうなスズカさん。なるほどああいうふうにするのね、覚えておきましょう…
パドックの時間。ここに立つといよいよという感じがするわね。あの二人も調子は良さそうね。それでも…負ける気はしないわ…
最後の打ち合わせ。私の場合状況に合わせてという事になる。
「それでも坂まで脚が残せるか。前に喰らいつけるかだな…」
「そうね、でもスズカさんで練習してるのよ。大丈夫…」
「そうだな、後は信じるしかない。頑張ってくれ!」
「アヤベさんなら大丈夫です!信じてますから!」
「ありがとう二人とも…行ってくるわね…」
二人に見送られ地下を進む。途中でトップロードさんとオペラオーと合流した。なんとなく三人で歩く事が決まってるかのように並んで歩く。そして地上に出ると盛大な拍手と喝采を浴びた…さあいよいよね…
合図がありゲートに入る。もう進むことしか考えはない…
スタート!
ダッと綺麗に飛び出す。いつも通りに後方に控えて全体を見る。前とは離れるが心配はない。あの『異次元の逃亡者』に比べれば全然近いものだ。ただしそれは相手も脚を残せるという意味でもある。どこで仕掛けるか…
スタンド前を過ぎる。歓声が大きくなる。付かず離れずを維持してプレッシャーを与える。ほら無駄に脚を使え…絶対に逃さないから!トップロードさんは前目。オペラオーは私の少し前。トップロードさんが少し焦ってるのかそれとも自信があるのか…見せてもらいましょう…
少しマズイかも…疲れて下がってきた娘が予想外に邪魔だ…今回は外を回りたくない…でも抜け道が見つからない…そろそろ二人が仕掛けるだろう…疲れている娘がカーブで膨らんだらそこをつくしかない!少し早いがもし『逃亡者』を捕まえるなら最後のチャンスだ。
最終カーブに入る。隙間を縫って右左右!オペラオーも加速している。あれの後ろを利用しましょう。トップロードさんは…カーブの出口で仕掛けてきた!!あの勢いは!負けない!!固まりを抜けると前には二人しかいない!ここからは根性の勝負だ!今まで貯めておいた末脚を全部使う!負けられない!あの娘と二人が観ている!脚を動かし続ける…『覇王』に並んだ…あとは『頂上』を捕まえる!なに?『覇王』が加速して追いついてきた?いやまとめて抜けばいい!もう少し…そこ…
ゴール板を抜ける!どうだったのか…正直わからない…走りながら掲示板を見る…審議の文字だ…1,2,3着が空欄…ざわつく場内…トレーナーさんは…?信じるようにこちらを見ている…自然とトップロードさんとオペラオーと集まって掲示板を見ていた…判定は……
一着にトップロードさんの番号
二着同着で私とオペラオーの番号
ワアア‼︎‼︎と場内が騒がしくなる。負けた…でも全力を出せた…楽しかった…
トップロードさんは信じられないように掲示板を見つめていた。そして泣いていた。拍手と喝采の声。
「おめでとうトップロードさん」
「見事だったよ。」
「あの…私…ありがとうございます!!」
さらに歓声の上がる場内。私たちは握手をした……
「いい走りだったよ。よく頑張ったね。」
トレーナーさんが褒めてくれる。それならばきっといい走りだったのだろう。
「トップロードさん、見事な加速だったわ。最高のタイミングと位置取り。あれには参ったわ…それからオペラオー…再び食らいついてくるなんて…驚かされたわ…」
「君だって見事なモノだったよ。あの固まりを抜ける時の動き。まさに流星だった…俺には最高に輝いて見えたよ」
参ったわね…そうまで褒められると…涙が出てくる…
涙を拭きながらトレーナーさんと控室に戻る。部屋の前でスズカさんが待っていてくれた。
「アヤベさんお疲れ様でした。カッコよかったですよ。」
「ありがとう、ごめんなさい。約束守れなくて…」
「いいんですよ、こんな凄いレースを特等席で観れたんですから…最高でしたよ」
「ごめんなさい…ウッウウアアアンンン‼︎‼︎」
ダメだまた涙が…トレーナーさんとスズカさんが抱きしめてくれる。ありがとう二人とも…大好きよ…
控室で一息つく。
「でも本当に見事だった。あの位置から最前まですり抜けるなんて普通じゃできない!あれは記録に残る動きだったよ!!」
「そうです!あんなの私できません!!誰かが前にいるだけで耐えられません!!」
「もう、大げさよ。」
でも二人にここまで褒められれば悪い気はしない。スズカさんのは褒めているというのかしら?
「さて、ライブが控えてるからな。脚は大丈夫そうだね。それだけでも良かったよ。」
「一番前で応援しますからね!青色のケミライトいっぱい準備しました!」
「スズカさん気をつけてね?客席は暗いから転ばないようにね?」
まあトレーナーさんがいるから大丈夫だとは思うけど…
コンコンとドアがノックされる。誰かしら?
「アヤベさ〜〜ん!!」
「カレンさん!?」
カレンさんが抱きついてきた。よく入れたわね。
「アヤベさん凄かったです!結果は二着でも本当にギリギリで、もうハラハラしっぱなしでしたよ!」
私に抱きついてスリスリと頭を擦り付けるカレンさん。あ、スズカさんが無表情になった…
「あ、ありがとう。」
「アヤベさんのカワイイライブ楽しみにしてますね!青いライトも準備してあります!」
スズカさんが無表情なのに怒ってるのが伝わるわ…
「アヤベさん!私もライト持ってます!しかもたくさん!!それから速いです!」
「そ、そうね…」
そうして話したりダンスの練習をしていよいよ本番…一曲目を終えて…アンコールの合唱が聞こえる。今年のクラシック三冠を分け合った三人で歌い踊る。なんだか脚が軽いわね。あの娘も観ていてくれてるかしら?トレーナーさんとスズカさんとカレンさんはしっかり観ていてくれたみたいでなんだか気恥ずかしい。でも楽しかったな…
こうして私のクラシック戦線は終わったのだった…
(続く)
実はアヤベさんとスズカさんが病んでるのがすごくすごい大好きなんです。これは決してバレてはいけない秘事なのでおやつシリーズが始まった当初から声を大にして囁き続けたので知ってる人は知っているし知らない人は今覚えてくださいというように重要な案件なんですよね…
さて菊花賞編本番なんですが、アヤスズの関係も大きく動き出すまさに大事な回になりました。やっぱりこの二人絶対仲が良くないといけないよね?という思いから生えてきた物語なのでここは外せないポインヨだと思うんですよね。京都旅行編です。旅行はしていません。でもアヤスズは仲良くなっています。つまり純愛です。