ライブが終わりホテルに戻る私たち。選手は一日泊まっていいことになっている。まあ観にきている娘たちも翌日の学校どころではないので結構休んでいるのだけど…ともかく部屋で簡単な祝勝会ではないけどまあそういうモノをすることになった。
「アヤベさん、本当に凄かったんですよ!写真判定が長引くのも無理ないです!」
スズカさんが熱心に語ってくれる。確かに客席で観てたら凄いレースだったのだろう。
「俺は何度でも言うぞ!あのコーナーでのアヤベは最高に輝いていたし直線のアヤベは光より速かった!!」
「トレーナーさん酔ってるの?」
「ノンアルですね。というか私たちと同じジュースです。」
それからグイッとジュースをあおってから続けるスズカさん。
「ライブもカワイイでしたよ!カレンチャンさんもうっとりしてました!」
「アヤベにハートを撃ち抜かれたぞ!!最高にカワイイが極まってたよ!!!」
「やっぱり酔ってない?」
「酔ってるかもしれませんね。」
トレーナーさんの様子を見て笑う私とスズカさん。
「いやあ、でも二人が無事クラシックを終えられてよかったよ。スズカは危なかったけど本当に良かった…」
「そうですね。あと2,3週間でギプスも外れるでしょうし。また走れますね!」
「そうね。早く一緒に走りたいわ。」
そんな話をしながら時間は過ぎて…
「おっとこんな時間か。そろそろ片付けして寝よう。まあ明日は移動日だけどね。」
時計を見ると確かにいい時間だった。
「そうね…片付けましょうか。」
「はい、あ、そうだ!今晩はトレーナーさんがこの部屋に泊まるといいと思いませんか?」
「え?」
「す、スズカさん?」
「だってこんな機会そうそう無いですよ?」
「確かにそうね、トレーナーさんもいいわよね?」
「え、うん…イヤイヤイヤダメだろう!流石にそれはマズイ!!」
「何がマズイんですか?」
「言ってみてほしいわ」
「君たち一応女子高生なんだよ?トレーナーとはいえ男と一緒の部屋はいかんでしょ?」
「でも私たちウマ娘よ?」
「そうです。何かあれば窓から投げ捨てられますよ?」
「いやまあそうだけどね?そうじゃなくてこう倫理的にマズイと言うかだね…」
なかなか強情ね。仕方ない。私とスズカさんは一瞬のアイコンタクトで意思疎通をはかる。阿吽の呼吸ね。
「「トレーナーさん!!」」
「な、なんだい?」」
「ここは間をとりましょう!」
「と言うと?」
「つまりトレーナーさんは片方のベッド。私たちはもう片方のベッドということです。」
「これなら誰がどう見ても健全よね!それに…」
「それに?」
「「将来結婚するのだから何の問題も無いわ!!」」
決まったわね。完璧な理論武装。1200×3理論も泣いて謝るレベルよ!私とスズカさんはお互いを見て脳内でガシッと握手をした。
「いや、ダメだよね。」
「「え?」」
「そもそも今結婚してないし同じ部屋じゃ健全じゃないよね?」
「「……」」
「スズカさん…普通の男の人は女子高生二人と同じ部屋で寝たいんじゃないのかしら?」
「おかしいですね。普通はもう女子高生二人の色気と香りとその他諸々でノックダウンのはずなんですけど」
「そりゃ毎日会ってたら慣れるよね?当然だよね?」
「「……」」
困ったわね…どうしましょう…せっかくトレーナーさんとスズカさんと一緒に寝られるチャンスなのに…
「困りましたね。せっかくアヤベさんとトレーナーさんと一緒に寝られるチャンスなんですけど…」
「スズカくん思いっきり声に出てるよ?」
「せっかく京都まで来たのだからハメを外していいのよ?」
「ダメだよね?」
ダメらしい。困ったわね…
「トレーナーさん、どうしたら同じ部屋で寝てくれるんですか?」
「本人に聞くの?寝ないよ?」
あ、そうだ。
「トレーナーさん」
「ダメだぞ、同じ部屋なんて不健全だから…」
「私とスズカさんのポニテ見たくないの?」
「仕方ないなベッドは別々だぞ」
「それでいいんですか…」
死闘の末?一緒の部屋で寝る事になった私たち。
「それじゃあトレーナーさんお待ちかねのポニテの時間よ」
「じっくり見てくださいね?」
なぜか正座してるトレーナーさん。
私はまとめてる髪を解く。トレーナーさんが息を呑む。そして髪をアップポジションで…束ねる。
「どうですか?トレーナーさん?」
「満足したかしら?」
「ありがたやありがたや…うう…カワイイ二人のカワイイポニテ…好き…」
「ウフフ…結婚したら毎日見られるんですよ?」
「エプロンもおまけでつけるわ?」
「うう…カワイイの暴力に犯されている…助けてお兄ちゃんさん…」
そんなことをしながら眠りにつく。やっぱり疲れていたようですぐに寝てしまった。
翌朝を何事も無く迎えた私たちは東京に帰る準備をする。まあそんなに荷物はないので軽く片付ける感じである。朝ごはんを食べてチェックアウト。スズカさんの脚の事があるのでタクシーで京都駅へ。お土産にお菓子を買ったりして新幹線を待つ。そんな時売店の新聞に昨日のレースの事が書いてあるのを見つけた。せっかくなので車内で読もうということで購入。どれどれ…
『クラシックの三強、見事に三冠を分つ!』とあってレースの展開からインタビュー。ライブの様子も載っていた。
「やっぱりアヤベはカワイイなあ…」
「そこだけ聞いたら通報されるわよ?」
「でも写真写りいいと思いますよ?モデルとかどうですか?」
「その時はスズカさんも一緒よ。私だけじゃ不公平だわ。」
「ええ?そんなあ…」
「二人がモデル…すごくすごいことになりそうだな」
そんな事を言っているともう東京だ。あっという間ね。長かったような短かったような旅もそろそろ終わり。なんだか家族旅行みたいね。ウフフ…いつか本当に家族になるのだから予行練習みたいね。さて学園に着いて、まずはトレーナー室で備品を片付けましょう。本格的なのは後日でもいいけど。
「アヤベさん、これはどこにしまうんでしたっけ?」
「それは左の棚よ。後で買い足しておきましょう。」
だいたい片付いたわね。今は3時くらい。おやつの時間ね。
「二人ともお疲れ様。今日はこれくらいでいいだろう。」
「そうね。おやつにしましょうか。京都のお茶を淹れましょう。」
「じゃあ八ツ橋を出しますね。」
「二人とも仲良いなあ」
仲がいい。それはそうよ。私たち三人は一心同体なんですから…
夕方少し早めにトレーナー室を出る。今日もスズカさんと寮に戻る。
「なんだか久しぶりな気がしますね。」
「そうね。色々あったからね…」
スズカさんと二人きりだとあの夜のことを思い出してしまう…あれは夢だったのでは?
「色々ありましたね。菊花賞はもちろん凄かったですけど…あの夜も凄かったですね…」
あ…あれは夢じゃなかったのね…
「そ…そうね…」
「私…すごく嬉しかったんですよ?いつからかアヤベさんを目で追いかけていて…一緒に走りたいと思っていて…一緒になりたいって思って…ついに念願叶ったんです…」
「私も…同じよ…」
「あとは…トレーナーさんですね…」
「そうね…トレーナーさん…」
いつかトレーナーさんに監禁してもらえる…そう考えるとゾクゾクする自分がいた…
寮に着くと歓迎ムードだった。一着ではなかったが同着の二着。三冠を分けあう接戦ということでずいぶん盛りあがっていたようだ。皆んなに揉みくちゃにされた後スズカさんの部屋の前に着く。ああ…今日からは別の部屋なのね…
「アヤベさん、荷物持ってくれてありがとうございます。」
「いいのよ、怪我してるんだからこれくらい。」
話しているとドアが開く。もちろんスペちゃんさんだ。
「お疲れ様です。スズカさん。アヤベさん。」
「ただいまスペちゃん、これお土産」
「わあ!ありがとうございます!アヤベさん、中継で観てました!あのコーナーでの動き本当に凄かったです!」
「ありがとう。スペシャルウィークさん」
「それじゃあアヤベさん。また明日。」
「ええ、またね」
パタンと閉じる扉…
スペちゃんさん…いい娘よね…素直でひたむきで…スズカさんと同じ部屋で…スズカさんと同じ空気を吸って…スズカさんと一緒に寝起きして…スズカさんと話して…スズカさんの事を色々知っていて…私の知らないスズカさんをたくさん知っていて…本当に妬ましい!!!
私はしばらく扉の前で握り拳を作っていた…
「ただいまカレンさん」
「おかえりなさいアヤベさん!お疲れ様!」
「ええ、ありがとう。」
自室に戻るとカレンさんが出迎えてくれた。
それでも私の気持ちは落ち着かなかった…
翌朝、私はスズカさんと食べるサンドウィッチを作る。サンドメーカーがあって良かったわ。お昼が楽しみね。
それからスズカさんと登校する。すっかりお馴染みの朝の流れ。教室の前で別れてクラスに入るとみんなに出迎えられる。よく考えなくてもトップロードさんもいるのだから大盛り上がりだ。みんなにお土産を配っているとチャイムが鳴る。早くお昼にならないかな…
昼休みのチャイムが鳴る。早速サンドウィッチを持ってスズカさんのところに行こう。
「スズカさん、お待たせ。」
「アヤベさん、ありがとうございます。」
ああ…スズカさんに感謝されるだけですごく幸せを感じるわ…
「いつもすみません。」
「気にしないで、私がやりたくてやってるのだから」
「アヤベさんのサンドウィッチとっても美味しいですから。本当に楽しみです。」
ニコニコと語ってくれるスズカさんはカワイイ。ああ…独占しあいたい…
話はトレーナーさんのことになる。どうやってトレーナーさんを陥落させようかという話だ。最終的には束縛しあって監禁してもらわないといけない。
「やっぱり男の人は胃を掴まれるのに弱いって聞いた事があります。」
「そうね、家庭料理は鉄板よね。おやつでもいいのかしら?」
「トレーナーさん甘いモノお好きですから大丈夫じゃないですかね?」
「じゃあ今度手作りおやつを作りましょうか」
「そうですね、そうしましょう!」
「何を作ろうかしら?クッキーとかがいいかな?」
「私は苺大福が好きですからそれにしようかな?」
アレコレ案を出すのも楽しいものね…
「あ、そうだ。そう言えばこの前私たちのパカぷちが作られるって話あったじゃないですか。」
「ああ、そういえばあったわね」
私はダービー、スズカさんは天皇賞を取ったということで今度パカぷちが作られることになっている。
「あれって色んな角度から撮影されるって聞きましたよ。あれも昨日話してたモデル撮影ってことになるんでしょうか?」
「そうねえ…一応そういうことになるんじゃないかしら?」
「やっぱり最初はトレーナーさんに手に取ってもらいたいですね〜」
「そっか…トレーナーさんに私たちのパカぷちを持って帰ってもらって…」
「は、そうですね!」
「「監禁してもらいましょう…」」
ウフフ…と笑いあう私たち。まずは予行練習ね。そのうち本物も監禁してもらいましょう…
「トレーナーさんにしてもらえる日が楽しみですね…」
「そうね…待ち遠しいわ…」
女子高生らしい健全な会話をしていると昼休みもあっという間に過ぎてしまう。それじゃあまた放課後ということで自分のクラスに戻る。パカぷちの撮影かあ…前だったら絶対嫌だったろうなあ…
放課後スズカさんとトレーナー室に向かう。今日は菊花賞の復習という名の疲労抜きの日。やっぱり3000で坂があるから疲れるわね…
さて到着、ガチャリとドアを開ける。
「「トレーナーさん!結婚しましょう!監禁して!!」」
やはり私たちの息はピッタリね。なんで並走はさっぱりなのかしら?
「結婚も監禁も卒業してからな?早速始めようか」
ん?卒業したら結婚も監禁もしてくれるってことなのかしら?これは楽しみね…
レース映像と模型を使って再現とシミュレーションをしていく。
「動きはやはり悪くなかったと思う。コーナーの動きはやはり素晴らしいと言えるよ。その手前で後ろすぎたとはいえあそこまで囲まれるとはね…」
「あの二人の加速があそこまで凄いとは思わなかったわ。もっと自力をつけないとダメね。」
「やっぱり先頭を走り続けるべきです!気持ちいいですよ!」
それぞれ感想や意見を述べていく。
「しかし最終300mのタイムも悪くない。菊花賞の平均と比べても速い。自信を持っていいよ。」
「ありがとうトレーナーさん。それだけあの二人の実力も凄いということね…」
「そうですよ。客席まで伝わるあの迫力なかなか出せません。」
スズカさんもそう言うのだからやはりあの二人の勢いは凄い。私も負けてられない…
そうして話を進めるうちに次の目標ということになる。そうか、ここで終わりじゃないものね…
「残念だがスズカは年明けからの再スタートだな。無理をして怪我するのは避けないと。」
「そうですね。アヤベさんとG1で走るまで壊れるわけにはいきませんからね。」
「アヤベの方は…有マかな…ダービーと菊花賞の成績からするとあり得るとは思うが…距離もいい具合だしな。あとカワイイし」
「最後は大分贔屓目じゃないかしら?」
「いやだって自分の担当が可愛くないトレーナーはいないだろ?」
「まあ抽選もあるしどうなるかわからないわね。」
一旦この話は置いておくことにする。すると直近のテーマとしてはお昼に話してたパカぷちのモデル撮影だ。
「落ち着いたからもう一度話すとモデル撮影って感じだな。あとインタビューも少しするらしい。スズカは脚がギプスだが…撮影には問題ないらしいから安心してくれ。」
「え、インタビューがあるんですか?どうしましょう…苦手だからくるくる回りそう」
「その脚じゃ回れないから大丈夫じゃないかしら?」
「そういうことじゃありませんよ…皆さんよくできますね…」
「そのまま話せばいいんだよ?あまり気負わないで。今回の質問について事前にもらえるか聞いておこう。それなら練習できるし」
「それいいわね」
「お願いします。」
撮影は次の土曜日。まあ撮影だけだし慌てることはないわね。スズカさんは不安そうだけど。
基礎力をつけようという話になったのでしばらくは地味な練習になる。スズカさんもマシントレーニングで上半身を鍛えることになった。身体が鈍るのを少しでも遅らせないとね。私も付き合って一緒にトレーニングする。前なら絶対一人で走っていただろう…
さてそんなこんなで土曜日の朝。今日は撮影の日だ。まあ勝負服を持っていけば後はスタジオでメイクなどはしてもらえるらしい。トレーナーさんの車でスタジオに向かう。
「なんだかドキドキしてきました。クルクル回りたい…」
「まだ着いてないわよ?」
「なあに、普段通りにすればいいんだよ。二人ともカワイイんだから」
「「か、カワイイ…」」
やっぱりトレーナーさんにそう言われるとドキドキしてしまう…ああ、監禁されたい愛されたい…
スタジオに着いたら挨拶をしてメイク室に入る。こんなに化粧道具があるのね…これ何に使うのかしら?私もスズカさんもあまりこういうのには明るくないので言われるがまま加工される。さすがプロ仕様ね…あっという間にナチュラルメイクだけどいつもと違う感じになったわ…
「アヤベさん…凄いです…美人さんです…」
「スズカさんも凄いわ…いいわよ…」
「「これならトレーナーさんもイチコロね!!」」
早速見てもらいましょう。
「「トレーナーさん!どうかしら!すぐ結婚しましょう!!」
「結婚はまた今度な…おお、凄い…やはりカワイイが決まっている…」
トレーナーさんも心が動いてるわね…やったわ!
その後写真を撮られまくる。色々な方向からなのでなかなか大変ね。でもスズカさんの方が大変そう。
そしてOKが出たので休憩してからインタビューだ。スズカさんは用意しておいたカンペを再確認中。
インタビューではこれまでのレースの事や普段の生活、そして
「お二人は同じトレーナーの元で練習されてますがトレーナーはどのような方ですか?」
やはり来たわね。大丈夫、こういう時用に当たり障りない文言を用意しておいたしスズカさんとも打ち合わせておいた。
まずは私が
「はい、トレーナーさんは私たちをいつも見守ってくれて、的確に指導してくれています。様々な相談に乗ってくれたりアドバイスも頂きました。それからどんな時でも、いつでも側に寄り添ってくれて…優しい人です。」
よし、基本に忠実に、いい人という事をアピールできた。本当はもっともっと語りたいけれど結婚だの監禁だのは秘めておかないと…ああ、語りたい!!さてスズカさんは…
「そうですね…やっぱり優しい人です。私の色々なところで走りたいという願いを叶えてくださったり、いつも気にかけてもらっています。」
うんうんいい感じね。台本どおりよ。
「でも意外とカワイイところもあって、甘いモノが好きだったりポニーテールが好きだったりそれから…私たちと結婚してくれたり…」
ん?今結婚って聞こえた気が…慌ててスズカさんを見ると目が淀みかけているし頬が赤くなりかけている!
「けっ結婚!?」
レポーターが慌てる!マズイ!先手を取られた!じゃなくて…とにかくなんとかしないと
「けっ契約!契約です!!契約!!あの…最初に結ぶトレーナーと生徒の契約の話ですよ!ね?スズカさん?」
はっとしたようなスズカさん。
「あっそうです契約です。ちょっと呂律が…」
「あっああなるほど契約の事ですね!ハハハ…」
危なかった。なんとかなったかしら…?
「えっと…そうなんです。私たちと契約してくれるし監禁してくれる…」
「監禁と…監禁?」
「監視です!見守ってくれているという意味です!!変な意味じゃありません!スズカさん、無理に難しい事を言わなくていいのよ?」
「あっそうでした…すみません…」
「そっそうなんですね…」
生放送じゃなくて良かった…あやうくとんでもないことになるところだったわ…
「すみません!スズカさんちょっと緊張してるみたいなので…一回休憩いいですか?」
「ああ、そうですね!ちょっと休憩しましょうか」
スズカさんを隅に連れて行き落ち着かせましょう…
「スズカさん、落ち着いて、深呼吸しましょう。リラックスよリラックス。」
「そうでした…スーハー…」
「いい?台本通りに話せばいいのよ?」
「はい、私は台本通りに話します!」
「OKよ!大丈夫!あなたはできる子よ!」
「はい!私は台本通りに話すマシーン…」
「完璧よ!」
スズカさんを連れて戻る。
「すみません。お待たせしました…」
「いえいえ…では続きを…」
多分…大丈夫なはず…
「それでは次の質問ですが…お二人は同じチームで練習も一緒にされていて…どんなふうに練習なさっていますか?」
抽象的なのがきたわね。まあこれならそのまま話しても大丈夫だし…まずは私から
「基本的にスズカさんが大逃げ、私が追い込みなので、そのまま走ると自然に練習になります。スズカさんを追いかけるといい刺激になるのでとてもいい励みになりますね」
「そうなんですね。サイレンススズカさんはいかがですか?」
「はい、私は思った通りに走るスタイルなので…それでもアヤベさんの後ろからの圧を受けると自然に脚が速くなります。いい練習になります。」
スズカさん、完璧よ。そうあなたは台本どおりに話すマシーンなのよ。
「お二人はいいライバルなんですね。それでは最後にお互いに向けて一言ずつお願いします。」
大丈夫、想定どおりね。
「スズカさん、早くケガを治してまた一緒に走りましょう。G1であなたと走れる日を楽しみにしているわ」
よし、OKね、これにスズカさんが答える形で綺麗に締まるということ…
「アヤベさん、いつもありがとう、そうね、早く復帰します。そしてG1でいい走りをしましょう。それからまた一緒に寝ましょうね。」
ん?今最後に何か追加されてなかったかしら?
「一緒に?寝ましょう?」
「あの…この前の菊花賞の遠征で…一緒の部屋に泊まったという意味です…ツインルームです…」
「な…なるほど…そうでしたか…」
こうしてインタビューはつつがなく終了した…
「うう~~すみませんでした…なんだか緊張しちゃって…」
「ま、まあそんなこともあるわよ…なんとかなってよかった…」
「お、お疲れ様だな二人とも…」
なんだが微妙な雰囲気な帰りの車内。
「そうだ、少し早いがお昼を食べて帰ろうか。この辺になにかあるかな?」
確かにいい時間ね。もう少しすると混んでしまうし。
「そうですね~速いほうがいいですよね」
何か意味が違う気がするけど…まあいいか…おや?あれは?
「二人とも、あそこはどうかしら?」
私が見つけたのはいろいろとサイズが大きいものが出てくることで有名な喫茶店チェーン。確か新作のふわふわケーキが出てたはず。軽食というには量が多いから昼食としてもいい。
「おお、ここにもあったのか。確かにいいかもな」
「私初めてなんですよね~優しくお願いします…」
ということで早速ゲートイン…入店する。幸い席は空いていた。
「さて、なににするんだい?」
「迷っちゃいますね…」
「私はふわふわケーキと…メインはサンドウィッチにしようかしら」
サンドウィッチの研究は欠かせないわ。
「じゃあ…このホットドックにします。」
「じゃあ注文しようか…」
コーヒーを飲みながら話は今後のことになる。
「来週はスズカの検査があるな。治っていてほしいな。」
「そっか…そうでしたね。早く走りたいです。」
「そうね…」
スズカさんのギプスが外れるのは嬉しいけど…この関係はどうなるのかしら…
「あ、お料理がきましたね…ってなんですかこのソーセージ…アツアツで…大きくて…すごく立派です…美味しそう…」
スズカさん…全く他意はないと思うのだけど…言い方…
学園に戻り、トレーナーさんと別れて寮に戻ると大量の段ボール箱に囲まれたフジ寮長がいた。
「やあ、二人とも。この前の罰当番の件覚えてるかい?」
菊花賞前にスズカさんを追いかけて門限破りをした件ね…
「この備品たちを寮の備品倉庫に運んで仕分けてほしい。他に門限破りした連中にやらせるはずがトンズラしちゃってね…どうしてやろうか…ともかく代わりにやってほしい。」
あーあ…ご愁傷様ね…
「アヤベが運んでスズカが仕分ければ早く終わるだろうね。台車もあるから使っていいよ。何かあったら声をかけてね。それじゃあ頼んだよ。」
「「はーい」」
結構あるわね。まあ台車があるなら持っていくのはそんなに大変じゃなさそうね。
「それじゃあ始めましょうか。スズカさん、先に行ってて。」
「分かりました。お願いしますね。」
私は台車に箱を数個載せて倉庫に向かう。寮の裏口近くにある倉庫は人がほとんど通らないところにある。ゴロゴロと台車を押していくとスズカさんがドアを開けて待っていた。
「それじゃあ下ろすから仕分けはお願いね。」
「はい、お任せください。」
私は荷物を下ろしてまたゴロゴロと台車を玄関に持っていく。それを三回ほどやって箱は全て倉庫に収まった。
「これで全部持ってきたから仕分けを手伝うわ。」
「ありがとうございます。お願いします。」
二人で手分けして仕分けをすると30分くらいで終わりが見えてきた。
そして最後の箱を倉庫の奥の棚に片付けたとき後ろから気配を感じた。もちろんスズカさんだけど…いつもと違う気がする…
「ねえ、アヤベさん…トレーナーさんに監禁される時ってどんなところに監禁されるか考えたことありますか?私はあります…」
スズカさんは呟く。私は動けない。
こんなふうに暗い冷たい小部屋で…私とアヤベさんの二人が並んで座ったらもう隙間がないような狭い狭いコンクリートの小部屋…独房みたいに鉄格子で仕切られてるんです。」
想像してみる…隙間がないところに押し込められる私とスズカさん…
「私とアヤベさんはどんな格好だと思いますか?下着だけ?それとも裸?どっちも素敵ですね…でも手錠と足枷が鎖で繋がっていて…それが…」
それが…?
「首輪に繋がってるんです…」
首輪…
「私たちはせまーい独房で満足に動けなくて…格子の向こうからトレーナーさんが撫でてくれるんです。頭だけじゃありませんよ…?いろんなところを…全身を…胸もお尻もお腹もそれから…大切なところも…ぜーんぶ…私たちはトレーナーさんのモノなんですよ?」
私たちは…トレーナーさんのモノ…
「トレーナーさんは私たちの首輪にリードをつけて…引っ張って無理やり立たせるんです…食事の時間ですから。でもテーブルにつくのはトレーナーさんだけ。私たちは床に犬用のお皿が一つだけ…そこには牛乳をかけたシリアルが載ってるんです。私たちは床に跪いて…トレーナーさんがいいよというまで待つんです…いいよとトレーナーさんが合図したら私たちは顔を突き合わせて…舌を必死に伸ばして…ペチャペチャとエサを顔中汚しながら舐めとるんです…食べ終えたらお互いの顔についたエサを舐め取り合うところをトレーナーさんに見てもらうんです。それからもしエサが床に溢れてたら…どうなると思いますか?」
私は固まってしまって…何も言えない…
スズカさんは後ろから耳元に口を近づけて囁く
「お、し、お、き、されちゃうんです♡」
ペロリと私の左耳を舐めるスズカさん。ゾクゾクっと快感が背中を走る。
「どんなお仕置きをされるんでしょうね…?楽しみですね?ね、アヤベさん?」
私は…私は…頬が緩んでいた…それから…下着が生温くなっている感じがした…
「私ね、今こうして話しているだけで…下着を濡らしているんですよ?アヤベさんはどうですか?どんなお仕置きを想像したんですか?どんなふうにメチャクチャにされたいんですか?ウフフ…楽しみだなあ…」
そう言うとスズカさんは私の尻尾の付け根を左手で撫でまわす…耳を舐める…右手で胸を触ってくる…私は…動けない…
「アヤベさんの身体…トレーナーさんは大好きだと思いますよ…綺麗です…素敵です…だからいっぱい愛してもらいましょう?そして…壊してもらいましょう?」
壊してもらえる…トレーナーさんのオモチャになって…モノ扱いされて…足蹴にされて…なぶられる…叩かれる…そんなの…そんなの…
最高…最高じゃない!!
「アヤベさん…気持ちいいですか?」
えっ?
「スカートの中に手を入れて…カワイイ音を立てて…ナニをしてたんですか??」
「これは…違うの…」
「違わない」
スズカさんはピシャリと断言する。
「アヤベさん…こっちを向いてください。」
私は言われるがままスズカさんの方を向く。
スズカさんの目はあの夜みたいに澱んでいた…でもカワイイ…
「アヤベさんは監禁されて、ペットみたいに扱われて乱暴されて、壊される妄想をしながらオナニーして下着をグチャグチャに濡らして膝をガクガクさせながらアンアン鳴いてるどうしようもないマゾペットなんですよ?こうやってイジメられるのが大好きなんですよね?今だって私の手でグチュグチュって触られてるのが気持ちよくてヒンヒンって鳴いてよがるどうしようもないマゾメスなんですよね?」
スズカさんは私のスカートに手を入れショーツ越しに割れ目をなぞったり突起をグリグリ潰したりしながら囁き続ける。時々耳を舐める舌を耳の中に挿れられるのが気持ちいい…
「普段はあんなにカッコよくて、クールで孤高の存在で、みんなの憧れなのに、トレーナーさんに監禁されてモノ扱いされる妄想しながらみじめにオナニーしたあげく、こうやってお股をいじられて抵抗できずに鳴くしかできない。それがあなたなんですよアヤベさん…」
「や…やだ…言わないで…アアンッ…」
「言わないでなんていいながらお股からお汁を溢れさせてるのは誰ですか?今妄想していた通りにイジメテもらってるんですよ?どんな気持ちですか??」
「あ…ああ…嬉しい…嬉しいです…ありがとうございます…」
「よく言えましたね。ご褒美にキスしてあげます。だから…キスしながらイキなさい…」
スズカさんは乱暴に唇に吸いつき…強引に舌を絡めて…吸い上げる!同時に手を速く動かして豆をグリっと潰した…
「ンンンン!!!」
気持ちいい…気持ちいいの…もうダメ…
私はへたり込んで…息を荒げる…
「アヤベさん…カワイイです…とってもカワイイですよ…上手にイケましたね。」
スズカさんはへたり込む私の頭を撫でてくれる。うれしい…
それから私の顎に手を添えてクイっと上を向かせる。
「アヤベさん。私ね…すごく嬉しかったんです。アヤベさんもトレーナーさんに監禁されてメチャクチャにされてモノ扱いしてもらえることがとっても嬉しいんだって知ることができて…だからね、私…」
そう言うとスズカさんはスカートのホックを外す。スカートが落ちる。スズカさんのショーツはもうビチャビチャで用をなしてなかった…
「だから私のお股はこんなふうになっちゃいました…ねえ、アヤベさん…」
私はスズカさんの洪水現場から目を離せない…
「アヤベさんが止めてくれませんか?これ…そのカワイイお口で?」
何を言ってるのか分からない…でも本能でどうすればいいかわかってしまった…私はスズカさんのショーツを下に下ろして…洪水現場に舌を当てる…
ピチャピチャと音がする…半ば無意識に…もう何も考えていないのだろう。ただ本能のままに舐めたり吸いつきむしゃぶりつく…スズカさんの鳴き声が上から降ってくる…心地良い…スズカさんが気持ち良くなってくれていると思うと幸せな気持ちになる…もし…もしもトレーナーさんが私で気持ち良くなってくれたら…私というトレーナーさん専用のモノで気持ち良くなってくれたら…どれだけ幸せな気持ちになるのだろう!!そう思うと舐める勢いが増して…スズカさんの声も大きくなってきて…私の頭を掴んで固定して…グリグリと押し付けて…私もスズカさんの腰を掴んで頭を押し付けて……
「ンンンンアアアツツツ!!!」
一際大きめの鳴き声をあげるスズカさんの噴水が私の顔にかかって…スズカさんは私の頭を離した…
「ハァハァ…アヤベさん…最高です…最高に気持ち良かったです…ずっと思ってたんです…アヤベさんと気持ち良くなれたらって…アヤベさんとトレーナーさんとたくさん気持ち良くなれたらって…こんなに素敵なんですね…アヤベさんはどうでしたか?どう思いましたか?教えてくださいよ…」
「私は…私は…スズカさんが気持ち良くなってくれて…幸せな気持ちになって…頭がふわふわして心地よくて…もしも…もしもトレーナーさんも一緒に…トレーナーさん専用の私で気持ち良くなってもらえたら…最高に幸せなんだって思った…」
「アヤベさん!!」
スズカさんは私にキスして、顔中を舐めまわし始めた。
「嬉しい!嬉しいです!!いつかトレーナーさんと一緒に気持ち良くなりましょうね!!きっと…ううん!最高に幸せで…もう何もいらなくなるくらいの幸せですよ!!アヤベさん!大好きですよ!!」
「私もスズカさんのこと大好きよ…愛してる…」
「嬉しい!!嬉しい!!大好き!!アヤベさんとトレーナーさん!!愛してますよ!!」
私たちはしばらく抱き合っていた…
どれくらい経ったのかしら…落ち着いた私たちは服を着直して…外に出るタイミングを伺っていた…サッとシャワーに駆け込みたいけどなかなか人が減らない…
「困りましたねぇ…なかなか人が減りません…」
「多分私たちすごいニオイしてると思うわ…一発でバレるわよ…」
しばらく廊下を覗くも一向に隙ができない…ふとこの前のことを思い出す…そうだ、ドトウが突っ込んできた時、あれはバケツでもひっくり返したのだろう。あんな感じで何か使えるものが倉庫にないだろうか?そういえば仕分けしている時に廊下の掃除に使うワックスがあったわね…背に腹か…どうせこの制服はクリーニングに出さないといけないし…
「スズカさん…最終手段があるわ…」
私は使いかけのワックスを服に垂らす。
「し、仕方ないですね…ボトルをひっくり返して転んだことにしましょう…」
そういうことでなんとかシャワーにたどり着いたのだった…
そうして週が明ける。いつものように昼休みにスズカさんとお弁当を食べながら話す。
「そうだ、今日脚の検査よね?放課後に病院に行くの?」
「はい、放課後ですね。治ってると良いんですけど…」
「きっと大丈夫よ。でもしばらくは走らない方がいいでしょうね。脚が硬くなってるだろうから…」
「そうですね…ちょっと残念ですけど大怪我したら意味ありませんからね。」
「そういうこと。私がついてるわ。ゆっくり治しましょう」
そして放課後、トレーナーさんとスズカさんは病院に行った。私は一人自主トレをする。大丈夫だといいけど…
自主トレを終えてトレーナー室に戻る。二人はいるかしら?
ドアの前に立つと声が聞こえた。帰ってるようね。
「スズカさん、どう?大丈夫?」
「アヤベさん!ギプス外れました!」
「それが不思議なくらい綺麗に治ってたんだ。まるで何事もなかったかのようだよ。」
「きっと妹さんのおかげです!アヤベさんにもトレーナーさんにもお世話になりました。ありがとうございました。」
「まだ本格的に動かしちゃダメだからな?一応様子見しないと」
「そうよ、ここでしっかり治しましょう。」
「はい、そうですね!」
綺麗に治っていたのはあの娘のおかげなのかしら…きっとそうなのね…ありがとう…
それから少ししてスズカさんは普通に歩けるまで回復した。もう少しすれば安心して走れるとのこと。
今日は練習が休みの日。さてどうしようかな…そうだ、トレーナーさんの胃袋を掴むためにおやつでも作ろうかな。そういえばこの前クッキーを作ろうとかスズカさんと話したわね…それにしましょう。調理場に行くと…
「あら、スズカさん。」
「アヤベさん。実はこれから苺大福を作ろうかと思って。トレーナーさんの胃袋を掴みたいですから。」
「私も同じこと考えてたの。星型クッキーにしようと思って。」
「いいですね!そうだお隣どうぞ。」
「ありがとう。トレーナーさんの胃袋を掴む日が楽しみね…」
「そうですね…ウフフ…」
そして二人並んでおやつを作る。その最終段階で
「そうだ、『隠し味』を入れないと」
「アヤベさんもですか?私も入れようかと思ってたんです。」
「あらそうなの。絆創膏は用意した?」
「バッチリですよ。」
私たちは揃って指を少し切る。そして『隠し味』を混ぜて…仕上げをしておやつが完成した。
「さて、早速持っていくのかしら?」
「そうですね、出来立てが一番ですから。」
「それじゃあ私もそうしましょう」
こうして二人でトレーナー室におやつを持っていく。トレーナーさんの反応が楽しみね…
早く三人で一つになりたいわ…
(了)
実はアヤベさんとスズカさんが病んで共依存してるのがすごくすごい大好きなんです。もちろんトレーナーさんにも完全に依存しています。カワイイですね。今回もしっかりアヤスズしますよええそれはもうしっとりしてますたまりませんね。では菊花賞編最終回なので今回の裏話ですね。まずはネタがねえなあどうすっかな~といういつものお悩み相談から始まりました。そういえばアヤベさんの妹ちゃん出てないやんけ。ということに気が付きましてね。ということは菊花賞しないとなあ~と思ったんですよ。でもここのアヤベさんは夏に問題解決しちゃってるんですよね。だからどうすっかなあ~と思ったところ、せや!スズカさんがいるやん!ということになりました。続いて前回の問題のシーンですね。いや~スズカさんの迫真の言葉責めは書いていてゾクゾクしました。はっきり言ってすごくすごい楽しかったです(小並感)アヤベさんには泣いてほしくないけど泣いてほしい。そういう思いのもと生えてきたシーンです。さて菊花賞の結果ですね。これは順当にドラマ的にこの方が盛り上がるしアヤベさんが問題解決してればこうなるやろということでそうなりました。正直に言えばアヤベさんを一位にしたいという欲望を後ろ脚で蹴り飛ばしながらなんとか抑え込んでトプロに花を持たせました。だって推しには最高に輝いていてほしいじゃん?でもここは仕方ないのです…
さてここからは今回のお話のネタバレを含むのです。先に言うと着地点が全く見つからなかったのでまあ書けるだけ書いてみようかなと思ってたら全部で約30おやつになってしまいました。楽しかったです(小並感)でも一番楽しかったのはやっぱりスズカさんとアヤベさんが最高に仲良くしてるシーンのスズカさんが言葉責めしてるところなんですよね。アヤベさんもスズカさんも絶対病んでるじゃん?という思いから生えてきたお話なのでやっぱり病んでるシーンって楽しいんですよね。まあここまでやる予定は無かったんですけどなんかノリで盛り上がってきちゃったんでイクところまでイッてみました。うまく最終的には第1話に繋げられたので良かったです。
さて作中ではアヤベさんが有マするかもって話ですけど全くノープランなんですよね…いや推しが活躍するシーン書きてえなあってのはあるんですけど、どう持っていこうかなあってのがさっぱりなんですよね。色々時空が捻れてるので、そもそもアヤベさんとスズカさんが同い年って事になってるんですよね。誰かゲストとか出すと絡ませるのが大変だし?しかしトプロ達以外にもライバル必要じゃん?みたいなのはあるんですけどね。まあそのうち生えてくるかもしれませんし生えてこないかもしれませんのでまずはいつものおやつを書くかもしれません。