ピンクの魔人と共に   作:クー(無課金勢)

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初投稿です。温かい目で呼んでくれると嬉しいです。


第一章
プロローグ


 それは今よりもずっと昔。まだ魔法と人との繋がりが深かった時代。トータスと呼ばれる世界の神は偶然一体の魔人を作り出した。

 

 人間どころか一般的な魔人族と比べてもかけ離れた姿をしたその魔人には理性というものが生まれたその時から存在しなかった。

 

 神により高い戦闘能力を与えられた魔人は純粋な破壊衝動と殺戮本能のみに従い活動し、多くの人々の命を奪った。やがてその邪悪さは成長し、主人である神でさえも手に負えないほどになった。

 

 故にそれが起きるのは必然だった。

 

 破壊と殺戮を繰り返す内にどんどん凶暴化していった魔人はついに神へと牙を剥いた。

 

 その実力は神に匹敵するほどまでに成長し、神ですら魔人を封印する以外に対処する方法はなかった。封印された魔人はその後、その生涯を終えたのか、それとも未だどこかで眠っているのか、それを知るものは神だけだろう。

 

 その魔人は破壊と殺戮の化身として人々からはこう呼ばれた。

 

 

 

 

 

 

         

【魔人ブウ】

 

 

 

 

 

 

 〇

 

 

 

 

 

 

 月曜日。それは学生生活を送る我らにとって最も憂鬱な始まりの日。きっと多くの人がこれから始まる退屈な日常にに溜息を吐き、前日に思いを馳せる日でもある。勿論中には例外もいるが、俺、風磨仁(ふうま じん)は少なくとも月曜日を楽しみにできるような猛者ではない。

 

「はぁ、はぁ………………よし、セーフ」

 

 始業のチャイムが鳴る約5分前に教室へと滑り込むように入り込む。ドアを勢いよく開けて入ったからか、すでに着席していたクラスメイト達がこちらに顔を向け、『なんだまたアイツか』とでも言いたいかのような顔をして俺から視線を外す。

 そんな中、1人の女子生徒が近づいてくる。

 

「仁、おはよう。今日もギリギリね」

「おはよ。八重樫」

 

 彼女の名は八重樫雫、俺の幼馴染の1人だ。女子にしては高い身長と凛とした容姿をもつ剣道美少女。クラスメイトからは、二大女神と呼ばれ男女問わず絶大な人気を誇る美少女。と認識されている。

 

「相変わらずギリギリで入ってくるわね。また寝坊かしら。昨日は一体何時に寝たの?」

「ふむ……確かアニメ一気見しながら、オンラインゲームでぼこぼこにされた後だから……確か4時だったな」

「もっと早く寝なさい」

「無理」

「…………はぁ、この馬鹿」

 

 八重樫はまるで『こいつダメだ』とでも言いたいかのような溜息を吐き、呆れた様子で着席するように促す。

 

 そうして俺が席に座ろうとしたそのタイミングで1人の男子生徒が教室へと入ってきた。

 すると……

 

「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

 

 まるで蛍光灯に集まる蛾のように入室したばかりの男子生徒を中心に4人の男子生徒が集まってきた。確か名前は……リーダー格のが檜山だった。後は……よく思いだせないから置いておこう。

 とりあえずそんな時代遅れのチンピラみたいな4人はたった今教室に入った男子生徒の周囲でゲラゲラと品のない笑い声をあげている。

 

「相変わらずハジメも災難だな」

「そうね。注意した方がいいかしら?」

「どうせ白崎がいくだろ。放置だ放置」

「……それもそうね」

 

 ちなみに入ってきていきなりオタク扱いされた生徒の名は南雲ハジメ。一応俺の友人ではあるのだが、檜山とその他が騒いでいるようにオタクとして通っていて、クラスメイトからも良い目を向けられていない不憫な生徒だ。ただオタクといってもハジメは特にこれといって嫌悪される要素はない。身だしなみは最低限整っているし、コミュニケーションも苦手ではあるが出来ないわけではない。なら何故クラスの中でこんな立ち位置にいるのかといえば、

 

「南雲くん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

 噂をすればなんとやらだ。そう、彼女こそがその元凶。ニコニコと微笑みながらハジメの元に歩み寄る美少女。彼女こそ八重樫と同様、二大女神の片われ、白崎香織だ。追加で説明しておくと彼女も俺の幼馴染の一人である。

 

 美少女二人が幼馴染とか羨ましい? 安心してくれ。もっと羨むべき存在(クズ)を後でちゃんと紹介してやる。

 

 白崎についてざっくり説明すると、みんなのアイドルっていうのが1番しっくりくる。当然そんな人気者である彼女がオタクのハジメを気にかけていることを気に入らないと思う奴は多い。ようするにハジメが虐められる動機はただの嫉妬だ。

 

 だが、白崎のことをある程度知ってる俺や八重樫からしてみれば、その考えは全くの見当違いだと自信を持って言える。白崎はどっからどうみてもハジメに惚れてる。正直言って何処でどうやって惚れたのかは知らんが、それだけは間違いない。賭けてもいい。

 その真実を人前で言ってしまえば、面白そうだが確実に面倒なことになるから敢えて口には出さないが。

 

「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」

「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」

 

 白崎の介入によって檜山組が去ったかと思ったら今度はもっと面倒なのが現れた。ハジメも朝からこの連チャンはキツかろう。

 

 些か臭いセリフで声を掛けた男が天之河光輝。先程言った俺よりも羨むべきクソ野郎だ。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人。ちなみにもう1人は坂上龍太郎、基本脳筋の熱血ゴリラと覚えてもらえばいい。一応この2人も俺の幼馴染だ。最近特に思うようになったのだが俺の幼馴染って全員キャラが濃すぎると思う。

 

「おはよう、天之河くん、坂上くん。はは、まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ。」

「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから。」

 

 やっぱアイツ馬鹿だな。天之河には少し、いやかなり思い込みの激しい所があり、どうしてそうなったのかは分からないが、常に自分が正しいと思い込んでいる。そのせいで俺はさんざん迷惑をかけられた。

 多分今も自分に惚れているはずの香織がハジメを好きになるはずないから同情してるだけ、とでも思っているに決まってる。こう言葉にしてみるとかなりキモいが、真実なのだから仕方ない。

 

 少しの間ハジメが説教されているのを見届け、気が済んだのか天之河達が去っていくのを見届けてから俺と八重樫はハジメの元へと近づく。

 

「おはよ、ハジメ。朝からついてないな。いつものことだが」

「南雲くん……朝からごめんなさい。光輝も悪気があるわけではないの……」

 

 流石は裏ではオカンと呼ばれ親しまれている八重樫。ヤンチャっ子である天之河の保護者としてしっかりとハジメに謝罪する。

 

「あ、おはよう、仁、八重樫さん。……うん、いつものことだしね。天之河くんのことは……分かってるから大丈夫だよ」

「お前のその完全受け身スタイルもどうかと思うぞ。いっそのこと思い切って白崎の肩抱いて『俺の女だ』とでも言ってやれば? 色んな意味で死ぬと思うけど」

「……無理に決まってるじゃん。それに僕なんかがそんなことしたらいくら白崎さんでも怒るよ」

 

 白崎の好意を全く理解していないハジメに俺と八重樫は思わず額に手を当てる。

 

「ハジメお前……どこのラノベ主人公だよ」

「今のは完全に仁と同意見よ。南雲くんはもう少し自分に自信を持ったら?」

「えぇ〜、八重樫さんもそっち側なの……」

 

 そんな感じで俺と八重樫がハジメを交えて雑談していると、タイミングよく1限目の教科の教師が入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 時間は昼休みへと移り、俺は母親が用意してくれた弁当を開く。

 

「…………嘘、だろ」

 

 一体俺が何をした。

 弁当の中身は一面白米で埋まっていて、真ん中にちょこんと飴玉が1つ乗っかっている。いくらなんでもおかず無しでこの白米は無理に決まってる。それに何故飴玉? 他に無かったの? 

 まだ昼休みは始まったばかり、今すぐ近くのスーパーまでダッシュすればギリギリ間に合うか……そんなことを考えていたその時、

 

「南雲くん。珍しいね、教室にいるの。お弁当? よかったら一緒にどうかな?」

 

 後ろの方から明らかにテンションが高いと分かる聞き覚えのある声が響いた。振り向くと、珍しいことにいつも昼休みを迎えるとすぐに教室から逃げるように去るハジメが白崎につかまっていた。大方寝ぼけて逃げ損ねたのだろう。

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

 

 しばらく二人の会話に耳を傾けているとそんな天之河の声が耳に入った。なんか普通に少女マンガの男が言いそうなのことを恥ずかしげもなく言うからちょっと引いた。少女マンガ読んだことないけど。そして白崎はその発言に対しキョトンとした顔で……

 

「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」

 

 などという爆弾を落っことした。それと同時に「ブフッ」っと思わず吹き出す八重樫の姿が目に入る。急いで取り繕うも、顔を上げた際に俺と目が合ったことで見られていたことに気づいたのか八重樫は茹蛸のように顔を赤く染める。

 

 するとスッと席を立った八重樫がこっちに来る。顔が赤いせいか怒ってるようにもみえる。……いやあれ怒ってるな。

 なんとか言い訳を考えようと頭を悩ませるも、こんな時に俺の脳は役に立たない。結局何も思い浮かばなかった俺は手を口元へと持っていき……

 

「……お可愛いこと」

 

 どこかの恋愛初心者のお嬢様の真似事をした。対する八重樫の反応は……

 

「竹刀で頭を叩けば記憶は飛ぶかしら」

「暴力的過ぎない?」

 

 ふざけた俺も悪いとは思うけど、女子高生、しかも女神とまで呼ばれる八重樫の脅迫にはガチで背筋が凍った。

 

 そんな感じでいつも通り? の日常を満喫していた俺達に異変は訪れた。

 

 先程までアホみたいなことを言っていた天之河の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れた。それはまるでファンタジー系の創作物でよく見る魔法陣のようだった。

 

 魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。本能が危険を告げている。早くこの場から離れろと。なのに身体がいうことをきかない。まるで凍ってしまったかのように身体が動かせない。

 

 他のクラスメイトも突然の異常事態に反応することすらできていない。その時、未だ教室に残っていた畑山先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と声をあげた。しかし、それはすでに手遅れだった。

 

 魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光り、教室には光が満ちる。俺はあまりの眩しさに瞼を閉じた




まだブウ要素は出ません。
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