ブウに吸収された仁がどうなったのか。その解説です。
『何故お前が生きている』
『私はお前に殺されたのに』
『今さら1人助けたところで貴様の罪は消えはしない』
『絶対に許さない』
『必ず殺してやる』
『死ね』
『死ね』
『死ね』
『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』
◯
「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
それは最悪の目覚めだった。何を見たのかすでに記憶が朧気となってはいるから分からないが、少なくとも吐き気がするほど酷い夢で無理矢理意識を目覚めさせられたことだけは分かる。
「ああ、本当に最悪だ」
ここまで憂鬱な朝はこれまで経験したことがない。寝起きから気分は最悪。二度寝する気にすらならない。まあ、でも今、この状況においてはこれで良かったのかもしれない。まだ気分は悪いが、今の
「おぉ、分かってはいたが、直接目にするとこれは凄いな」
その姿は以前のオレとは似ても似つかない姿だった。
まず肌の色が肌色からピンク色へと変色し、黒かった髪は白くなり腰まで届きそうなほどに伸びている。服装はいかにも冒険者といった格好だったのだが、袖が金色の黒いシャツに白いズボン。爪先だけが金色の黒い靴。といった不思議な格好をしていた。
一番最初から無視できない点があるとは思うが、まだ確かめないといけないことは残っている。オレは基本的に拳で戦うことしかしていなかったため使うことはなかったが、所持だけはしていた短剣を取り出す。
そして短剣に人差し指を向け、
「手鏡になれ」
指先から出したギザギザのビームを当てる。すると短剣が手鏡に変化した。
変化させた元短剣の手鏡を使ってオレは自分の顔を反射させる。そこには、ピンク色の肌に白目の部分が黒く、黒目の部分が赤いぱっちりとした瞳。色合いさえなんとかすれば人間の女性に見えなくもない顔があった。
「なるほど。女顔になってることを除けば概ね予想通りだな」
目が覚めて起きたら体が色々おかしくなってて、顔まで変わっていたというのにオレがここまで落ち着いてるのに疑問を持っている人も少なくはないだろう。いくらオレが冷静沈着のメンタルつよつよ人間だとしてもこの落ち着きようは異常だと。そう思うのも無理はない。勿論、ここまで冷静でいられることには理由がある。
そのためにはまず、オレの身に何が起きたのかを説明しよう。
あの卵、正確には封印の魔法が施されたアーティファクトのようなものなのだが、その中にはとある魔人が封印されていた。
その名も『魔人ブウ』
この世界にオレ達が召喚されるよりもずっと昔の時代に神に逆らったことにより封印された魔人だ。高い戦闘能力と不死身ともいえる再生能力によって封印される前は最強の存在として語られていたらしい。
そんなとんでもない魔人をどうやらオレが起こしたアクシデントによって復活させちゃった。やらかした本人であるオレは死ぬ寸前まで気を吸い取られて、ぶっ倒れたけどな。
とりあえず、そんなこんなで復活したブウは死にかけの状態のオレを見て大層驚いたようだ。それもそうだろう。久しぶりに外に出てみたら目の前で満身創痍の人間が倒れてたらオレだってビビる。
そんなオレをブウは何故かこのまま見殺しにしてはいけないと思ったらしく、助けようとした。しかし、残念ながら失敗。どうやら中途半端な状態でオレが復活させてしまった影響で、あの時のブウでは助けられなかった。
今の自分では助けられないことを悟ったブウは仕方なく他の方法を模索した。そんなわけで思い浮かんだアイデアが『一旦吸収して、力が戻ってから吐き出して回復させればいいじゃん!』とかいうふざけたアイデアだった。
ブウには"吸収"という固有の能力があり、対象者を自分の体内へと取り込み、能力や知識を奪い、自分の体を進化させることができる。確かにすぐには治癒ができない以上、延命処置として吸収して体内で生かすこと自体は悪くない発想だと思う。でも、助けてもらった立場でこう言うのもなんだが、もう少しオレに対する配慮が欲しかった。吸収も万能ではない。一歩間違えれば、オレはすでにブウの養分として消化されていた。
まあ、過ぎたことを今更ぐちぐち言っても仕方がない。とりあえずそんなわけでオレはブウに吸収されたわけだが、そこでブウすらも予想外の出来事が起きた。
これも中途半端な状態で復活した影響か、はたまたオレの自我が強すぎたのか、理由は定かではないが、吸収したはずのブウではなく、取り込まれた側のオレがベースとなって新たな体に人格が形成された。
これが以前の『俺』から今の『オレ』になった大体の経緯だ。
そうしてブウに吸収された。……というよりも同化したという表現の方がいいかもしれないが、そんなオレはブウとしての記憶と能力を得た状態で目覚めた。
当然ブウとしてオレを吸収した記憶も持ってるわけだから、自分の体が人間のものじゃなくなってることも記憶としてだけだが知っている。変わった姿を見ても驚かなかったのはそれが理由だ。いや、女顔になっていたのは普通に驚いたな。本当になんでそうなったのかが分からない。でも大丈夫。オレは男のままだ。証拠に今でも女の子は大好きだし、下品な話にはなるが息子の方ともさよならしてない。
……この話は終わりにしよう。なんか辛くなってきた。
そういえば、さっき短剣を手鏡に変えた力もブウとしての能力の1つだ。
【変化ビーム】
指先から出すギザギザのビームを直撃させれば、それが無機物だろうが生物だろうがオレの望んだ物に変化させられる。本来のブウは頭の触覚みたいなやつからビームを出していたが、オレの頭にはそんなものないから指から出す。そっちの方がカッコいいしね。
他にもブウとしては元々所有し、オレとして新たに習得した能力はそこそこあるが、説明はその都度していくことにしよう。いくら記憶があるとはいえ、使ったこともない自分の能力を全て把握してるわけじゃない。
「何か分かりやすく自分の強さが分かるもんでもあれば……………………………………あったわ」
今まで完璧に忘れかけていたステータスプレートの存在を思いだす。
追加として説明するならば吸収した時に荷物だけは分離して吐き出したから所持品は無事だ。オレは荷物の中からステータスプレートを取り出す。
=====================
髭ィ逎ィ繝悶え 0歳 男? レベル:1
天職:魔人
筋力:3200
体力:7500
耐性:1
敏捷:2400
魔力:1
魔耐:1
技能:体内エネルギー操作・舞空術・エネルギー波・エネルギー弾・超再生・変化ビーム・肉体分離・肉体操作・自爆・吸収・回復の術(使用不可)・念力(使用不可)・生成魔法(使用不可)・言語理解
=====================
「なんだ、コレ……」
色々と気になる事はあるが、まずはステータスに注目して見てみよう。
はっきり言って、オレは自分のステータスを見て落胆した。見る前から大体自分がどの程度の実力なのかは分かっていたが、結果は予想を大きく下回っている。何故なら技能は置いておくとして、下がっていた耐性・魔力・魔耐を除いた全てのステータスが元々のオレと比べて、たったの10倍程度しか上がってない。
吸収される前のオレならばきっと声を大にして驚いただろう。このステータスと比べれば天之川すら雑魚に思えてくる。
だが魔人ブウとしての実力と考えれば、このステータスはあまりにも弱すぎる。
本来のブウの実力はこんなものじゃない。吸収される前のオレの強さを単純な数値で表すならば1000くらいだとしよう。そうすれば今のオレは多く見積もってもせいぜい20000程度、フルパワーの魔人の数値は1000億くらいはある。こう数値で表してみれば、どれだけ差があるのかは一目瞭然だ。そもそも桁が違う。
ここまで弱体化したのも、オレが中途半端な状態で復活させたのが影響してるんだろうが……
「…………それにしても弱すぎる」
オレの予想ではせめてフルパワーの100分の1くらいはあると思ったんだが、それにすら遠く及ばない。その時、オレの中に1つの考察が思い浮かぶ。
「まさか……吸収したことで逆に弱くなったのか?」
そう考えれば全ての辻褄が合う。
自分と同等の実力を持つ者、自分よりも強い者、そういう腕っぷしの強みを持つ強者を吸収すれば力は増すが、逆に戦闘能力が低い弱者を吸収したら強さ以外の長所を奪って弱くなるってところだろうか。
「オレの人格がベースになったのはそういうわけか……」
恐らく、この魔人の体はブウの意志とは関係なく、オレの価値観とか性格とか、そういう人格に関係する何かを長所だと捉えて、吸収したに違いない。強い体には強い精神が宿るみたいなやつの逆で、弱いオレの精神に合わせるために体を弱くした結果、今のクソ雑魚状態になった。ありえない話ではない。
「マジかよ。ただでさえ不完全な状態なのに、オレのせいでもっと弱くなるとか。今のとこオレ弱体化しかさせてねえぞ。……はあ、でも弱くなっちまったもんは仕方がないか。これから時間をかけて取り戻さないとな」
実際問題、それ以外の解決策はない。幸い急ピッチでやらなきゃならないことがあるわけでもない。ゆっくりと力は取り戻せば、いつかは本来のブウと同等の実力を身につけられるかもしれない。
「さて、それじゃあそろそろこっちについても考えたいんだが…………何がどうしてこうなった??」
オレはずっと気になっていたんだが、今までスルーし続けてきたステータスプレートの問題点を1個づつ上げる。
まずは名前
何故に文字化け?
次に年齢
いつの間にオレは赤ちゃんになったの?
性別
クエスチョンマークを付けるな! オレは男だ!
レベル
リセットされとる。
天職
確かにそうだけどよ。どちらかといえば種族じゃないか?
魔力
やっと分かるのが来た。不完全な復活の影響だ。魔力がないからこそ、気絶したオレを治す魔術も使えなかった。
耐性・魔耐
異常すぎる再生能力に頼り切って、ブウの時から低かったから問題ない。
技能
魔力を使う技能だけが使用不可。これはまあ分かる。
「ふう、こんなところか」
前半四つに関しては全く分からなかったが、そもそもオレはステータスプレートについては初歩的のことしか知らないんだから分からなくて当たり前だと思う。特にレベルと年齢は訳がわからない。ブウは知能の面でちょっとアレだったから記憶を頼りに考察することすらもできないし。
「分からないもんはしゃーない。地上にでてから調べよう」
答えが出るはずのないステータスプレートにいくら頭を悩ませても不毛なことになるのは目に見えてる。そんな無駄なことに頭を使うよりも、もっと有意義なことに時間を使った方がいい。
「そのためには、オレの目的をはっきりしないとな」
現時点でのオレの最終目標は大きく二つ存在する。
「まずは……あいつらの元に帰る」
能吏に幼馴染の少女(ポニーテールの方)の顔が思い浮かぶ。きっと心配してくれてるに違いない。もしかしたらオレが死んだと思い、悲しんでくれているのかもしれない。というか、そうじゃないとオレが泣く。だからこそ、絶対に帰ってみせる。ついでに天之河と檜山は殴りたいしな。
理想でいえばハジメを見つけて一緒に帰れたらこれ以上はないが、もし見つからなかった場合は最悪オレ一人でも戻ってみせる。
「そして……神を殺す」
これはオレ自身の目的じゃない。ブウとしての記憶がそうしろと語りかけてくる。ブウの憎悪が憤怒が神を殺さなければいけないと本能に伝え続けている。それをオレは拒みはしない。今のオレはすでにブウとは文字通りの一心同体。ブウの怒りはオレのものでもある。
だから神は殺す。
同情も憐れみすらもしてやらない。
魂すら残さないほどに完璧に消滅させてやる。
それほどまでの怒りがブウの感情から流れ込んでくる。
「どれほど時間がかかるかは分からない。どれだけ無謀なことかも承知してる。それでも、オレが魔人ブウである以上、絶対におまえを殺してみせる」
オレは覚悟を固めるためにも、そう自分に言い聞かせるように宣言した。
主人公を男の娘化させたのはただの趣味です。
ちなみに戦闘力のようなものを出しましたが、今回以降出すつもりはありません。(サイトによって戦闘力にはバラつきがあるため)
強さの変化(戦闘力では分からない人用)
吸収前 スポポビッチと戦ったらギリ負ける。
吸収後 初期ベジータにはなんとか勝てる。