ピンクの魔人と共に   作:クー(無課金勢)

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変化した主人公の容姿は髪をストレートにして、ちょっと服をアレンジした人造人間21号(変身ver)だと思ってください。


封印部屋からの脱出

 魔人ブウとして新たな肉体を手に入れたオレが目覚めてから、約三週間ほどの日数が経過した。

 

「さて、ようやくこの場所ともおさらばか……」

 

 その日、オレはやっとブウが封印されていたあの近代的な部屋……とりあえず"封印の間"と呼ぶことにしよう。その封印の間から脱出することに決めた。

 

 じゃあ、三週間も何してたのかだって? 決まってるだろ、修行だ。

 

 今のオレは弱体化している。という話は以前説明したと思う。問題はどうやって失った力を取り戻していくのかだ。ぱっと思い浮かぶ方法で一番効率的な手段と言えば、やはり実戦によって戦闘経験を積むことだと思う。

 

 ブウは破壊と殺戮のために生まれた魔人。今でこそ弱体化したことにより眠ってるが、この体には戦うための機能が確かに存在している。ならばそれを目覚めさせてやればいい。方法は分かっている。より強い敵と戦闘をすることでオレの体にある機能を無理矢理叩き起こす。

 

 ただ、そう上手く進んでくれないというのが現実だ。目覚めたばかりのオレではブウとして戦った記憶はあっても、経験がない。ただでさえ弱体化しているというのに、オレがこの体に慣れていないせいで、今の実力ですら三割程度しか引き出せていない。こんな状態で外に出たら最悪そこらへんの魔物にすら殺される可能性がある。この階層の魔物が20階層と比べてどれぼど強いかは知らないが、警戒はしておくに越したことはない。

 

 ならどうすればいいか?

 修行一択!

 

 そんな流れでオレは封印の間に引きこもり、修行をすることにした。幸いにもこの部屋は修行する環境としては整っている方だ。

 最初の時はオレも気づかなかったが、どうやらこの部屋は強力な結界によって守られている。どんな結界なのかと問われれば、外側からの侵入を防ぐ結界というのが一番近いとは思う。

 

 そしてこの結界には二つの機能がある。

 一つ目は単純な防御としての機能、そして二つ目が周囲に存在を気づかせない認識阻害の機能だ。

 

 まず一つ目の防御としての機能から説明していこう。これには、よほどの魔法の使い手が製作に関わっているんだろう。信じられないほどの防御力を持っていた。試しに今のオレが全力でエネルギー波を放ってみたが、破壊するどころか、傷つけることさえできなかった。単純な火力だけでいえば、多分階層の一つや二つは余裕で貫通するであろうオレの攻撃がだ。この時点でこの結界がとんでもない防御力を持っていることが分かる。

 もう一つの認識阻害としての機能もびっくりするほど高性能なもので、まず視界には映らない。加えて魔力も丁寧に偽造されているため、よほど魔法の扱いに長けた人物でもなければ違和感を感じることすらない。加えて実際に結界にはじかれたとしても、はじかれた相手はその事実にさえ気づくこともできないだろう。これほどまでの認識阻害はオレとしては勿論、ブウの記憶の中でも見たことがない。

 さらに驚くべきことに、この結界は魔力や物理的なものだけじゃなく、気ですらも通さない。

 魔法で気が漏れるのを防ぐ。その発想が出来る人間がはるか昔とはいえ、存在していたこと自体にオレは驚いた。実際にオレもこの部屋に来るまで、ブウの気に気づくことはなかった。

 これほど厳重な結界ならば正面から破ることはまず不可能だ。それこそ結界の製作者レベルの魔法の使い手でなければ破ろうと考えることすらできてない。

 

 さて、ここで1つの疑問が浮かぶ。

 

 ここまで厳重な結界を通り抜け、何故オレが封印の間へと入ることが出来たのか。当然その疑問は出てくる。それについてはオレもかなり悩んだのだが、呆れてしまうほどのアホみたいな結論に至った。

 まず理解しておいて欲しいのはこの結界には一つだけ入り口がある。これほどの結界を何度も何度も張り直すのはやはり大変だったのか、結界の製作者は自由に出入りが可能な通り道を事前に作っていた。勿論、誰でも自由に入れるわけじゃない。そこには貼られている結界ほどのものではないが、魔法で認識阻害がされており、登録された魔力の持ち主が合言葉を口にすることで初めて入り口としての役割を発揮する。

 効果時間は登録された人物が一度入ってから外に出るまで。一回でもこの部屋から外に出てしまったら、もう一度合言葉を言わないと入ることはできない。

 

 さて、ここで問題だ。

 もし登録された人物が入り口から入った後に入った道を使わず、別の方法で外に出たらどうなるでしょう? 

 

 答え

 入り口開きっぱなし。

 

 大体状況は察してもらえただろう。

 分かりやすく例えるならば、外からしか鍵をかけられない家の玄関から入って窓から出てった感じだと思ってもらえればいい。信じられないとは思うが、オレはその開けっぱなしの入り口にとてつもなく心当たりがあった。

 

 そう、あの落とし穴だ。

 

 つまり、オレが封印の間に入れたのはオレより前に入った、多分ここを管理してる奴が鍵を閉め忘れたことが原因だったということだ。

 

 まさかそんな小学生みたいなミスで自分が魔人ブウと出会ったとはオレも信じたくなかった。自分の特別な何かが反応したとか、隠されていた自分の力が解放されたとか、カッコいいなにかをどれだけ期待したことか。調べれば調べるほどギャグ漫画みたいなこの推理の信憑性が上がってくるのが悲しい。

 

 ひとまず入口を閉め忘れた奴のことは置いておいて、結界の説明に戻ろう。

 この結界が何のために張られたのかは容易に想像がつく。きっとこの結界はブウの復活を阻止するために張られたものに違いない。記憶の中にあるブウは多くの町を破壊し、数えられない程の人を種族問わずに殺してきた。そんな全人類にとって悪魔のような存在であるブウを二度と復活して欲しくないと思うやつは当然少なくはないと思う。そんな誰かの意志によってこの結界は作られた。

 

 それなら鍵閉めくらいちゃんとしろよ。とは物凄く思ったが、今は心に秘めておこう。

 

 今までの説明を聞けばこの結界がどれほど強力なものかが分かるだろう。だが逆に考えれば、誰にも邪魔されず、なおかつ壊れない。そんな修行する場としては最高の環境であるともいえる。

 

 これらの理由から、オレは封印の間で三週間の間、みっちりと修行に明け暮れていた。修行内容は基礎的な体力トレーニングに使い慣れていない技能の試し撃ち。それでもやはり一番多く時間を使ったのは、地上にいた時と変わらない気を操作する訓練だった。吸収される前のオレと比べて、今のオレは圧倒的に気の総量が多い。いきなり増えた気にオレが慣れていないから、弱体化した今でさえ、半分も力を出すことができない。だからこそ、気を完璧にコントロールすることはここを出るための必須条件とも言っていい。

 それに以前からやっていたため慣れているということもあり、一番成長を実感できる修行という意味でもやってて退屈はしなかった。

 

 こうして修行を終えた今のオレのステータスがこんな感じだ。

 

=====================

髭ィ逎ィ繝悶え 0歳 男? レベル:2

天職:魔人

筋力:3400

体力:7800

耐性:1

敏捷:2500

魔力:22

魔耐:1

技能:体内エネルギー操作・舞空術・エネルギー波・エネルギー弾・超再生・変化ビーム・肉体分離・肉体操作・自爆・吸収・回復の術(使用不可)・念力(使用不可)・生成魔法(使用不可)・言語理解

=====================

 

 前のステータスと比べればちょっとだけ強くなっている。

 

 どうか勘違いしないで欲しい。ステータスはこの程度の変化しかないが、ちゃんと修行の成果は出てる。完璧にこの体の性能を引き出せてるかと言われればそれは怪しいが、8割ぐらいは扱えると自信をもって言える。

 

 いくらなんでもここまで強くなれば、外に出ても余程のやばいヤツに出くわさない限りは死ぬことはない…………と思う。

 

 そんなわけで、大体準備が整ったオレは封印の間から出ることを決めたわけだ。

 脱出方法自体はそう難しいものでもない。入り口がオレの来た時から開けっぱなしになってるから、そこから舞空術使って通れば、その先は普通に外だ。

 

「それじゃあ…………いくか!」

 

 出入り口の穴の真下までいくと、オレは久しぶりに舞空術使う。以前よりも素早く、そして正確に気を感じ、体が浮かぶまでの時間も比べものにならないほどに早い。浮かんだ体を一度見下ろしてちゃんと発動していることを確認してから、真上に向かって上昇する。初速からすでに以前のオレのトップギアより早く、そのままどんどん速度を上げながらオレは上へ上へと飛んでいく。

 

 時間にして約4秒。

 高速で飛び続けていたオレは空気が変わったのを肌で感じた。ついに封印の間から外に出たのだ。出た場所は分かってはいたが、視界が全く使えないため、恐る恐る地面に足をつける。

 

「出られたことはいいが、ここは相変わらず何も見えないから実感が湧かないな」

 

 そこは最初にあの橋から落ちてきた時に目覚めた暗闇。光一つ通さない闇の世界。前回と同様、視界は役に立たないが、今のオレは前回とは違う。反響する音を耳で捉え、大まかな空間を把握する。肌で感じる空気の揺らめきから周辺の細かい構造を推測する。そして、気を探る範囲を広げ、近くに存在する生物を探す。

 

 以前は限りなく集中した状態、その上、かなり近づかなければ分からなかった気の探知。それを今ではオレを中心に約半径50メートルほどまで探知でき、一点に集中すれば最長で100メートルは探れる。

 

 しかし、それをするのが少し遅すぎたらしい、

 

「…………あー……マジか」

 

 もし入口を出る前から気を探っていれば、または封印の間にいる時から使ってれば、そうすれば、今オレの()()()に立っている魔物の存在にもっと早く気づけたはずなのに。

 

 

 

 

 

 

 その直後のことだった。オレの首が宙を舞ったのは。




今回は少し短めです。やっぱりほぼほぼオリジナルの話は書くのが大変。
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