ピンクの魔人と共に   作:クー(無課金勢)

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最初の話で主人公の容姿に触れていなかったので少し紹介しておきます。

名前 : 風磨 仁 (ふうま じん)

性別 : 男

顔 : 黒髪黒目の童顔。


異世界召喚

 おそるおそる俺が目を開くと、そこは白い石造りの神殿のような建物の中だった。周囲を見渡してみればクラスメイト達も何がなんだか理解できていないようで慌てふためいている。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

 そんな中、派手な刺繍の入った服をきた胡散臭い聖職者らしい男が俺達に語りかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 〇

 

 

 

 

 

 

 現在、場所は移り、俺達は10メートル以上は余裕でありそうなテーブルが幾つも並んだ大広間に通されていた。天之河達と先生は前、俺はハジメと一緒に一番後ろで気配を消している。

 

 全員が着席すると、それを見ていたかのようなタイミングでカートを押しながらメイドが入ってきた。しかも全員容姿が整っている。一人一人がモデルをやっていたとしてもおかしくない程の美人ばかりだ。そんな美女集団に思春期の男子が抗えるはずがない。男子生徒達は女子全員からの軽蔑の視線など気が付かないレベルで凝視している。いや、ハジメだけは白崎の視線気付いて視線逸らした。意外にも危機察知能力はあるらしい。

 

 そして、クラスメイト(主に男子)が落ち着きを取り戻したのを確認すると、先程イシュタルと名乗った男が説明を始めた。

 

「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」

 

 そうして話した内容を要約すればこうなる。

 

 ──この世界はトータスという異世界である。

 

 ──今、この世界の人類は魔人族と戦争している。

 

 ──理由は不明だが最近魔人族の戦力が増大した。

 

 ──そんなとき、エヒトっていう神が増援として俺達を(強制的に)召喚した。

 

 こんなところだろう。イシュタルはそのエヒト様とやらの神託を聞いた時のことを思い出しているのか恍惚としている。大の大人が顔を赤らめているのは控えめに言ってキモい。

 

 それに話に聞くエヒト神とやらは随分と立派な神様らしいが、どこか気に入らない。そもそも俺は異世界転生・転移系のラノベを読むと毎回疑問に思うのだが、そんな都合の良い神様は本当にいるんだろうか。俺はそうは思わない。何かしら裏を勘繰ってしまう。故にエヒト神のことも信用するつもりはない。

 

 学校にテロリストがやって来て、それを自分が撃退する。そんなアホみたいな妄想を普段からすることがあったからか、現状俺は他のクラスメイトよりかは冷静に判断ができている。思い出すだけでも恥ずかしい過去だが、今だけは感謝できる。しかし少人数の人間だけが冷静になれたところで状況に変化はない。ハジメもそれが分かっているのか顔をわずかにしかめている。

 

 そんな中、猛然と抗議を行う人物が現れた。

 

「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

 畑山先生だ。今年25歳になるというのに低身長に童顔というロリコンからしたら大歓喜の容姿の頼れる大人である。といっても畑山先生が怒ったところで和やかムードになるだけで問題自体が解決するわけではない。

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です。先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

「そ、そんな……」

 

 畑山先生は脱力し、席に腰を落とす。どこか他人事であったクラスメイト達もようやく自分達の状況を把握し始めたのか口々に騒ぎ始めた。

 

「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」

「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」

「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」

「ウソダドンドコドーン!!」

 

 クラスメイト達に動揺が走る。何か変な奴も混じってはいたが、そんな混乱の中、俺は隣の席で何か考え込んでいるハジメに周りに聞こえないようひっそりと声をかける。

 

「ハジメ。一つ聞きたい。今の状況は最悪だと思うか?」

「え? あ、うん、悪い方だと思うけど最悪ではない……と思う」

「じゃあお前が考えられる限りの最悪を教えてくれ。そういうの詳しいだろ?」

「……そうだね。あくまで予想だけど最悪なのは召喚者を奴隷扱いするパターンじゃないかな?」

 

 ハジメが長年のラノベ知識からだした推測を話す。確かにそれなら今の俺達よりは幾分かマシだ。ただ俺達がここで反抗し続けたらそのルートに突入する可能性も0ではない。……いや、その心配はいらないか。このクラスにはこういう時にだけは使える男がいる。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

 随分と感情論ばかりの薄っぺらい演説だったが、やはりうちのクラスは単純だ。先程の暗い雰囲気が嘘のように活気づき始めた。見知らぬ誰かのために命の危機に晒されていることも、戦争する以上、誰かを殺すということも、確実に帰れるなんて明言されてないことも、あのカリスマのせいで気づいていない。

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」

「龍太郎……」

 

 坂上が賛同する。昔からその場のノリで動いているような気がするが、異世界に来てもそれは変わってない。

 

「…………はぁ。今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」

「雫……」

 

 一瞬こっちを見て、少し考え込んでいたようだが、彼らの保護者である八重樫も賛同する。

 

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

「香織……」

 

 そして最後の一人である白崎が賛同した時点でもう流れは決定してしまった。後は時間の問題だ。それを察しているのかハジメが横であわあわとしている。悪い流れが出来たことを察したに違いない。いくら根性があっても根っこが陰キャのハジメではここでの発言するのは無理に決まってる。

 

 だから仕方がなく、本当はこんな悪目立ちすることなんてやりたくないんだが、俺は手を挙げた。

 他のクラスメイト達には少しでいいから現実を見てもらう必要がある。

 

「イシュタルさん。話を折るようで悪いんですが、少しいいですか?」

「おや? どうされましたか?」

 

 丁寧な口調とは裏腹に上手くいきそうだった流れが中断され、不満そうな視線をこちらに向けるイシュタルに対して話を続ける。

 

「簡単なことですよ。いくつかあなたに頼みたいことがあるんです。俺達とは全く関係のないこの世界を仕方なく助けてあげるんですよ。そのくらいは構わないでしょ?」

「ん? おい風磨。その言い方だとお前はこの世界の人を助けたくないって言ってるように聞こえるんだが?」

「あー………………天之河、ちょっと今お前の話聞いてる余裕ないから後にしてくれ」

 

 聞こえるんじゃなくて、実際その通りなんだけどな。だって言っちゃえば他人だし。

 案の定噛みついてきた天之河を軽くあしらってイシュタルの返答を待つ。

 

「ふむ、確かにそうですな。良いでしょう。私の出来る範囲でならば聞き入れましょう」

「ありがとうございます。では、一つ目、俺達の衣食住の確保をお願いしたい。一応勇者みたいですからね。それ相応のVIPな対応を要求します」

「び、びっぷ? その意味は分かりかねますが、麓のハイリヒ王国にて受け入れ態勢が出来ております」

「では二つ目、元々安全な世界で暮らしてきた俺達にいきなり戦争しろとか普通に無理があります。訓練する場所と指導する人間を用意して下さい」

「それも問題ありません。すでに騎士団に訓練の件については連絡しております」

 

 俺が頼むまでもなかったか。意外にちゃんと準備していたイシュタルのことを少しは見直した。まあ好感度が0から0.1になった程度のものでしかないが。

 

「それでは最後に、あなた達は俺達を元の世界へと帰す方法を探してください。期限は勿論俺達が帰れるまで」

 

 そう言った途端、イシュタルやメイド達だけではなく、周囲のクラスメイト達も困惑の声を上げる。きっと他の奴らは『何言ってるんだあいつ』とでも思ってるんだろうな。

 

「はい? 申し訳ありませんが先程説明した通り我々では異世界に干渉するような魔法は使えないのですが……」

「だから?」

「いや、ですから……」

「あなたの言いたいことは分かってますよ。自分達じゃあそんな凄い魔法使えないからエヒト様に頼んでくれってことでしょ。でもそれをあなたが信じるエヒト様が拒否したらどうするんですか? 救世主の願いを無下にはしないと言ってましたけど……それってあなたの感想ですよね?」

 

 俺の説明を聞いて、何人かのクラスメイトがはっと思いだしたかのような顔をする。可能性の一つではあるが、やはり誰も考えてすらいなかった。

 

「だから俺達を帰す方法を探してください。今は無くともいずれは見つかるかもしれませんからね。選択肢は多ければ多い方がいい。たとえその研究に携わった人の人生が大きく歪んでしまったとしてもやめないでください。こっちは命をかけて戦うんですから、そっちも死ぬ気でやってください」

「っ…………良いでしょう。確かに聞き入れました」

「ありがとうございます。俺からの頼みは以上です」

 

 俺を見るイシュタルの視線はまさに余計なことを、とでも言いたそうだった。大方、戦争が終わった後もエヒト神が日本に返してくれなかったら、保護という名目で使い潰す予定だったんだろう。

 

 まだまだ不安な点は多々あるが、それでもさっきよりはマシにはなった。後のことは天之川とか畑山先生に任せておけば余程のことがない限りなんとかなる……と信じたい。

 

 

 

 

 

 

 その後、畑山先生にめちゃくちゃ頭を下げられて感謝された。




早くドラゴンボール要素を出したい。
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