ピンクの魔人と共に   作:クー(無課金勢)

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主人公の名前の決め方
魔人ブウ→ブウ魔人→ぶうまじん→風磨仁

安直過ぎたと今更ながらに思う。


修行といじめ

 俺達が自分のステータスを知ったあの日から、2週間が経った。

 

 現在、俺はメルド団長から訓練場を借りる許可を得て、自主訓練をしている。

 

「スゥーー、ハァーー」

 

 大きく深呼吸をして精神を落ち着かせる。外からの情報を排除し、意識を自分の内側のみに集中させる。俺の体の中にあるはずの視界には映らないエネルギー。それを感じ取ることだけに集中する。

 そしてその時は訪れる。

 体の中にある不可視のエネルギー感じ取ることに成功した。その瞬間、技能である"体内エネルギー操作"が発動されたのを感覚で理解する。これで俺は先ほど感じ取ったエネルギーを自由自在に操れる。

 

 そのエネルギーは武闘家の間では"気"と呼ばれているらしい。『らしい』というのは騎士団の人がそう言っていたのを聞いただけに過ぎないからだ。何故そう呼ばれているかまでは知らないが、きっと何かしらの理由はあるんだろう。俺もその方が呼びやすいからそう呼ぶことにする。

 そして、体内エネルギー操作はその気を自由に操れることができる。発動条件は気の存在を感知すること。

 

 今度は体内エネルギー操作を発動した状態で、もう一つの技能である"舞空術"を使う。方法は単純、今のような気を操作した状態を保ちながら自分の浮かんだ姿を強くイメージする。

 

「よし……」

 

 無事に舞空術は発動すると、ふわりと体が1メートルほどゆっくりと宙に浮かぶ。やり方を言葉にしてみれば簡単だが、これを実践してみるとなかなか難しい。自分の浮かんだ姿をイメージするといっても今まで空中を飛んだこともなければ、飛ぶ人間を現実で見たことがあるわけでもない。参考にできる素材なんてガキの頃に見た魔法少女系のアニメのキャラクターぐらいしかいない。

 そんなあやふやな知識でも修行の成果で今では10分程度なら空中をある程度のスピードで移動することは可能だが、とてもじゃないがテレビの中の魔法少女みたいに物理法則を無視してビュンビュンと空中を飛び回ることは出来ない。

 

「…………ふぅ」

 

 それから空中遊泳をすること約5分。舞空術を解除してゆっくりと地面に足をつける。

 

「前よりは舞空術を発動させるまでの時間は短くなったが、実践として取り入れるのはまだ先になりそうだな」

 

 騎士団が俺の技能の調査を始めてから数日、あっさりとそれは解明した。体内エネルギー操作は文字通り、体の中にあるエネルギーである気を操作する能力であり、舞空術はその気を利用して空を飛ぶことのできる能力だった。

 

 だが、そこまで分かったところで問題は発生する。この2つの技能自体、所持している人間は少なくない。それこそ武道家ならば結構な人間が持ってるほどだ。しかし、持っているのと使えるかは別である。現在、この国では気を操作するどころか、感じることすらできる人間はいない。つまりは誰も俺に教えてくれる人がいないのだ。

 

 じゃあどうやって、俺が使えるようになったのか。

 

 それに関しては、自己流で頑張ったとしかいえない。

 

 最初に始めたのはそもそもよく分からなかった気を感じることからだった。

 どうやれば気を感じられるか。事前情報のない俺は思いつく限りそれっぽいことを色々と試した。その結果、めちゃくちゃ集中した状態で意識を内側に傾けることで体内にある気を感じ取れることに気づいた。

 同時に気を感じることが体内エネルギー操作の発動条件だということもその時に知った。

 

 そこから舞空術を使えるようになるまでにはそう時間はかからなかった。問題は上達に時間がかかることで、最初は数ミリ体が浮く程度のものではあったし、かなり日が経った今でもまだ戦術に組み込めるほどではない。敵から逃げる時には有効かもしれないが、それにしてももう少し早く飛べるようにはなりたい。

 

 それからの修行の日々は気をより素早く感じ、舞空術を発動させる。これを繰り返すことで気の扱い方を体に慣れさせていった。

 

 そんなわけで、今日もいつの通りのルーティーンを終えてから休憩を挟む。

 

 ふと気になった俺は地面に腰を下ろしステータスプレートを取り出す。

 

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風磨仁 17歳 男 レベル:8

天職:武闘家

筋力:250

体力:700

耐性:10

敏捷:120

魔力:60

魔耐:10

技能:体内エネルギー操作・舞空術・言語理解

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 明らかにステータスが上昇している。

 これは最近気づいたことだが、修行をするたびに徐々にだが体の中から感じられる気の総量が増えている気がする。推測するに、気をギリギリまで消費した状態から回復した時に気が増えている感覚があるため、筋肉の超再生のような現象が気でも起きているのだと思う。

 

 そして気は単純な強さにも直結する。それが最も分かりやすく表れたのがこのステータスも上昇量だ。

 

 そんな風に俺が今までの修行の成果について思考を巡らせていたその時、

 

「ーーっーーーー!」

「ーーーーーーーーーー!」

 

「? この声は……」

 

 聞き覚えのある嫌な声が遠くから聞こえてきた。声の主は容易に想像できる。だが、問題はそこではない。ここまで声が漏れる程、奴らが騒いでいる理由があること自体が問題だ。日本にいた時には奴らが騒いでいる理由には必ずといっていいほどあのお人好しの友人が関わっていた。

 

 「……仕方ない。今回は助けてやるか」

 

 脳裏に浮かんだ嫌な予感を振り払おうとするも、一度思い浮かんでしまったものはそう簡単には消えない。俺は声の聞こえた場所へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、南雲ハジメは後悔していた。こうなることは分かっていたのに彼らについて来てしまったことを、何故か偶然近くにいたクラスのマドンナを頼らなかったことを。

 

 現在訓練場からは死角となっている人気のない場所で4人の少年が地に倒れ伏す1人の少年に殴るや蹴るといった暴力に加え、魔法による攻撃という一方的なリンチが行われていた。

 

 当然その暴力を行なっているのは檜山達、そして一方的に攻撃されているのがハジメだ。

 

「ちょ、マジ弱すぎ。南雲さぁ~、マジやる気あんの?」

 

 檜山はそう言ってハジメの腹に蹴りを入れる。本来ならば敵わないまでも反撃するべきなのだろうが、ハジメは性格上自分が折れて我慢するという選択をとってしまう。そんなハジメではじっと痛みに耐え続けるしかない。

 

「ほら、次は避けろよ〜。ここに焼撃を望む――」

 

 避けさせようなどとは塵ほどにも思っていないだろうに訓練という体で魔法を放とうと詠唱を始める。痛みで動くことすらままならないハジメはいずれ来る痛みに耐えるべく瞼を閉じて、歯を食いしばった。

 

「ッ! カハッ!」

「ッ!? おい、お前どうしっぐはっ!!」

「は? お前、何し、ぶへらっ!」

「な、なんなんだよ! おまe、あばばばば!!」

 

 しかしどれほど待っても痛みはやってこない。代わり耳に届いたのは檜山達の悲鳴だった。誰かが助けてくれたのかもしれない。目を閉じているから何が起きたのか分からないハジメは恐る恐る目を開く。

 

「よっ! ハジメ、生きてるか?」

「……え、仁?」

 

 そこにはハジメの数少ない友人がいつも通りの笑顔で立っていた。周囲には仁が何かしたのだろう。檜山達が酷いありさまで倒れていた。特に檜山は酷い。何があったのかは分からないが、顔がギャグマンガかのようにボコボコ腫れあがっている。

 

「何を……したの……」

「殴った」

「そ、そうなんだ。は、はは」

 

 端的に告げる仁に思わずハジメは苦笑いを浮かべてしまう。ハジメは知り合ってすぐに知ったが、仁は敵対した相手には全く容赦がない。

 

「とりま今は黙ってろ。余計身体が痛むからな。多分あいつらの汚い叫び声で周りの注意を引いたからどうせすぐにストーカー(白崎)が来る」

「何か今変な言い方しなかった?」

「いや、別に?」

 

 ハジメの記憶が正しければ仁のステータスは一部だけならば光輝すらも圧倒していたはすだ。そんな仁にたとえ4人がかりであったとしても檜山達が勝てるはずがない。

 

「さて、それじゃあコイツらにはそれ相応の報いを受けてもらわないとな」

 

 するとどこからか油性ペンを取り出した仁は、ニヤニヤとした顔をしながら倒れた檜山達に近付く。その時点でハジメは何をしようとしているのか察した。いくら自分を虐めた相手とはいえぼこぼこにされた挙句、顔に落書きされるのは可哀想だと思い、流石に止めに入ろうとしたのだが、それは意外な人物によって中断された。

 

「何をやってるんだ!」

「ん?……うわ、マジか。一番来なくていいのが最初に来た」

 

 その人物を見て仁はげんなりとした顔をする。その時点でハジメは来訪者の正体を悟った。仁自身はあまり意識していないようだが、特定の人物にだけあからさまに嫌悪感を抱いていることをハジメは知っている。

 

「おい、風磨! 檜山達に何をした!? 酷い怪我じゃないか!」

「……あー、天之川。これは勘違いだ」

 

 それはクラスのリーダー。超絶完璧人間にして、ちょっと性格がアレな我らが勇者様。天之河光輝。檜山の悲鳴を聞き、駆けつけたに違いない。ハジメが視線を光輝の方へと向けると、その後ろには見慣れた3人の姿も見える。

 

「何が勘違いだ! お前がやったんだろ! 檜山達が何をしたっていうんだ!」

「……そうだな。訓練の時間でもないのにハジメを無理矢理拉致って、殴って、蹴って、魔法をぶつけて、ボロボロになってたからおんなじことしてやった。あ、白崎。ハジメの治療頼むわ」

「……え、あ、うん、任せて」

 

 怒りに震える光輝とは対象的に仁は気だるそうに簡潔に状況を説明しつつ、近くまできた香織にハジメの治療を任せる。

 

「ハジメくん、大丈夫」

「あ、ありがとう、白崎さん。助かったよ。でも……」

 

「だからといってここまでする必要はなかっただろ! 檜山達だって不真面目なハジメをどうにかしようとしたのかもしれないだろ!」

「相変わらずの頭ハッピー具合だな。俺にはこいつらがそんなツンデレキャラにはどう頑張っても見えないんだが」

「ふざけるな! お前は反省するつもりはないのか!」

「え、なんで? 確かにやり過ぎた自覚はあるけど、こいつらの自業自得だろ? つまり『僕は悪くない』ってやつだ」

「そんなわけないだろ!!」

「あー……話が通じないパターンだなこれは」

 

「……アレ、止めなくていいの?」

 

  香織の治癒魔法によって痛みがやわらぎ、少しではあるが動けるまでに回復すると、ハジメは立ち上がって問題の2人に視線を移す。そこでは光輝が仁の胸ぐらを掴みがかり声を荒げ、仁がそんな光輝を煽って逆上させるという光景がエンドレスで流れていた。

 

 こうして改めて見ると、光輝の方も仁のことをあまり良くは思っていないというのがハジメには分かった。光輝は基本的に全ての人間に悪意がない前提で行動する。ただ勿論それには例外がいて、その例外にハジメや仁が当てはまる。

 

「別にいいのよ、アイツらは」

「そうだな。喧嘩するほど仲が良いっていうしな!」

「それとはちょっと違うと思うけど……うん、いつものことだしね」

 

 いつのまにか近くまで来ていた雫と龍太郎も白崎と一緒にハジメの問いに答える。光輝との付き合いがあまり深くないハジメからしてみればあんな風に声を荒げる姿は珍しいことだが、幼馴染である3人にとっては見慣れた光景なのだろう。

 

 そこでハジメには1つの疑問が浮かんだ。光輝も仁もタイプは違うとはいえ、両者共に敵を作らない性格をしている。そんな二人が一体どういう経緯でここまで険悪な関係になったのか。ハジメにはそれが分からなかった。だからこそ、その理由を事情を知っていそうな3人に聞いたのだが。

 

「あー、そういやそうだな。何でだっけ? 昔は普通だったよな?」

「うん。気付いた時にはあんな感じだったよね」

「……………………そう、ね」

「雫ちゃん?」

 

 どうやら幼馴染である3人にも分からないらしい。この質問をした途端、雫の表情は暗くなったのを香織は見逃さなかったが、光輝と仁の激しい口論に目が奪われていたハジメはそれに気付くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

「……さあ、そろそろ訓練の時間だしあの馬鹿共を何とかするわよ」

 

 そのまま口論が行われること数分。そろそろ暴力沙汰にまで発展しそうになったところでようやく雫が動いた。ちなみに倒れていた檜山達は香織によって最低限の治癒魔法をかけたのち、龍太郎によって担がれ運ばれていった。

 

「でも、どうやっ……………………マジか」

 

 あんな争いをしている2人だが、一応クラスメイトの中ではトップクラスのステータスを持つ。そんな2人をどう止めるのか気になり聞いたのだが、気がつけば雫が手に持っていたやけに巨大な木刀を見てらしくない言葉遣いをしてしまう。その長さは身の丈ほどもあり、幅も通常の木刀の2倍はある。剣というよりでっかい包丁のようだ。分かりづらいならば『興味ないね』でお馴染みのソルジャーが扱う愛剣の木刀バージョンと思ってもらえればいい。

 

「よし」

 

 雫はその剣を男らしく肩に担ぎながら、未だ口喧嘩をしている2人に近付くと、

 

「ちょっと頭を冷やしてきなさい!」

「「ぐあぁぁぁぁ!!」」

 

 2人まとめて吹っ飛ばした。

 

「これで解決ね」

「嘘でしょ!」

 

 仲良く2人は吹っ飛んでいくと、グギッ! という明らかに人体から鳴ってはいけない音と共に壁に衝突する。そしてそのまま気絶したのかピクリとも動かなくなった。

 

「香織。光輝(そっち)の方は任せたわよ。私は(こっち)を運ぶから」

「えっ、でも、ハジメくんが……」

「もう自分で歩けるくらいには治ってるでしょ。少しでもハジメくんと一緒にいたいのは分かったけど我慢しなさい」

「ちょ、ちょっと雫ちゃん!?」

 

 何でもないことのように香織の思惑を読みとる雫は仁を剣を持つ手とは反対の腕で小脇に抱え、顔を真っ赤にした香織はしぶしぶと気絶した光輝に肩を貸し、引き摺るように運んでいく。

 

 対して残されたハジメは、

 

「えー、それでいいの……」

 

 あまりにも不憫な男組の扱いに困惑していた。




ドラゴンボールの世界って気の操作とか武空術ってどうやって覚えてるんだろう。なんかいつの間にか当たり前の技術として使われてたから考えもしなかった。
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