時は遡り、仁がオケノスとの戦闘を開始する少し前。
海上都市エリセンでは、一人の少女が就寝の準備をしていた。窓から差し込む月の光に反射する黄金の長い髪をたなびかせ、日焼けにしては焼けすぎている黒みのある肌はむしろ健康的にさえ見える。黒ギャルのような見た目をした彼女であるが、その性格はどちらかといえばおしとやかという言葉がよく似合う。
彼女の中はメル・フィルキンス。人間の父と海人族の母を持つ珍しいハーフの少女である。
仁に救出され、エリセンに帰ってきたメルは今日も平穏の中に戻れた幸福を噛み締めながら、自室のベットへと潜り込もうとする。
時刻は既に深夜を過ぎており、日の出ている昼間は住人や観光客によって活気づくエリセンもこの時間帯では流石に静まり返っている。
ただ、最近のエリセンは人間の人攫いに連れ攫われたはずのメルとミュウが帰ってきたことと、そんなメル達を救出した仁とついでの清水が滞在していたことで、昼も夜もいつも以上に活気づいていた。しかし、それも仁が一時的に町から離れたことで一旦の落ち着きを見せ、メルにもようやく、ゆっくりと休める時間が訪れようとしていた。
そんなメルが布団に潜り、ちょうど眠りにつこうとしたその時、扉の方からコンコンとノックをする音が響いた。
現在、父親であるマリクは仁を船に乗せて海に出ており、母親は先程まではメルを一人にさせたくない親心から自宅にいたものの、大人達に急に呼び出されたとのことで家にいない。今、この家にいるのはメルだけである。
まだ攫われた時の記憶が鮮明にこびりついているメルは深夜の来訪者に恐怖心を抱きつつも、普通の客人である可能性も考慮し、恐る恐る扉を開ける。
その扉の先にいたのは、
「お久しぶりですメルちゃん。ご挨拶が遅くなり申し訳ありません」
黒く短く整えられた髪に黒いふちの眼鏡、黒いシャツに黒いズボンをピシッと着た全身真っ黒な大柄の男だった。
この男のことをメルはよく知っていた。父親であるマリクの船の船員であり、何度か直接会ったこともある。毎度毎度、間違った知識を自信満々で披露し、その度にマリクに殴られる変人というのがメルがこの男に抱く印象だ。
男の名はハイツ・パーイン。知力のステータスを全て筋力に変換したような究極の脳筋バカだ。
ハイツはマリクの部下であり、当然船が出るならば乗っていなければおかしい。しかし、メルの記憶が正しければ、エリセンに帰ってきた時にあの船にはハイツの姿はなかった。
だからこその、『久しぶり』なのだろう。
「えーと……ハイツさんですよね。こちらこそ、帰って来てからご挨拶できずにすいません。パパの船にいませんでしたけど、なにか忙しかったのですか?」
「ええ、少し野暮用で……」
にこやかな笑みを浮かべながら答えるハイツを不気味に感じつつも、メルは丁寧に受け答える。本音を言ってしまえば、メルはハイツのことが苦手だった。
単純に間違った知識を教えようとしてくるというのも理由の一つだが、常に表情を崩さず、何を考えているのか分からないハイツのことを気味悪がっていたのだ。
「それで、あの……ご用件は?」
「はい、実はメルちゃんに折り入って話がありまして。……その前にお聞きしたいのですが、大将と奥様はいらっしゃいますか?」
「はい。いますよ」
「……そうですか」
メルは咄嗟に嘘をつく。こんな時間に自分の下を訪れるハイツを信用できなかったからだ。たとえ、ハイツに何も後ろ暗いことがなかったとしても、後で正直に言って謝ればいい。そう考えた故の行動だった。
実際、メルは親のマリク同様、人の善悪を直感的に見極める才能を持っている。才能というよりもただの勘に近いのだが、その勘に従った結果メルはここで本当のことを話すべきでないと判断した。
「分かりました。では、また日を改めて来させていただきます。それではメルちゃん、良い夜を……」
「は、はい……」
思いのほかあっさりと引き下がるハイツに呆気にとられたメルそのまま扉を閉めようとする。だが、ここでメルの勘が当たって欲しくない方向で的中してしまった。
「ええ、本当に……良い夜を」
「ぇ……きゃあ!?」
扉の隙間から伸びたハイツの手に腕を掴まれ、メルは無理矢理家の外に連れ出されたのだ。
「なにをすっ――むぐっ!?」
「あまり騒がないでください。大将と奥様が来てしまいます。まあ、本当に家にいればの話ですけどね」
「んんー!!」
抵抗しようとするも口元を手で塞がれ、後ろから抱きつかれるように拘束される。声を出す事も抵抗することも封じられ、メルは突然の状況に理解が及ばず混乱する。そんな彼女にハイツは笑みを崩さずに語り始めた。
「不思議には思いませんでしたか?」
「ん、んんっ!?」
「いくら貴方達が平和ボケしているからといって、筋肉量の少ないたった二人の人間がエリセンの警備を掻い潜り、あの浜辺にいるメルちゃんを見つけるなんて、出来るわけがないでしょう。確率でいえば五パーセントもありません」
「
ハイツが言う人間とは、メルとミュウを攫ったあの人間達のことだろう。いきなりそんな事を語り始めるハイツにメルは困惑する。
「分かりませんか? 常識的に考えて奴らがミュウちゃんだけならともかく、メルちゃんを攫うことなんて不可能なんですよ…………内通者でもいなければね」
「っ!? 貴方まさか!」
しかし、その言葉を聞いてメルは全てを察した。
「やっと能天気な貴女でも飲み込めたようですね。ええ、その通りです。メルちゃんを売ったのは他でもない私ですよ」
「っ……!!」
信じたくもなかった真実にメルは歯を食いしばってハイツを睨む。そして、トラウマになりかけているあの日の出来事を思い出した。
あの日、メルがエリセンから少し離れた秘密の入り江でミュウと一緒に遊んでいるところに、いきなり二人の男が現れた。それこそ、まるで『待ち伏せ』されていたかのように。その時は恐怖のあまりなにも考えられなかったが、今考えてみればそこには避けられない違和感があった。
あの入り江の存在はエリセンでもごく一部の人しか知らない。にも関わらず、まるでそこにメル達がいることを知っているかのように男達は現れた。それに、いつもなら近くにいるはずの大人達がいなかったことも偶然とは思えない。
その場所のことを知っているのは、メルの両親と海人族の自警団達、エリセンで暮らす王国の兵士達、そして、メルの父親であるマリクの船に乗る船員達。
そこには、当然ハイツも含まれる。
「おや、そんなに睨んでどうしましたか?」
「……どう、して」
「どうして? そんなことも分からないのですか? まさか、ご自分がどれほど希少な存在か理解できていないわけでもないでしょう」
メルは黙って首を横に振る。
「あれ? 本当に分かっていないんですか? ……いや、そういうわけではないですね。命中率七十パーセントの私の読心術によれば、私の筋肉の秘密が知りたいと読みました!」
「違うわ……どうしてパパを裏切ったの?」
あまりにも見当違いな読心術に逆に冷静になったメルは冷えた視線をハイツに向ける。その疑問は当然のものだった。ハイツはそこそこ長い間マリクと共に船で過ごし、エリセンの生まれではないとはいえ、住人達とも良い信頼関係を築いていた。
それを捨ててまで、自分を狙う理由をメルは知らなければならないと感じた。
「ああ、なるほど。そういうことですか。分かりました、ご説明しましょう。今ここで話してしまったところで私の計画が失敗することは絶対にありません。エヒト様もそう断言するに決まっています」
そして、ハイツは己の目的を語りだす。
「私が初めてハーフの海人族の噂を耳にしたのは、七年程前のことでした。実は私、こう見えても帝国の貴族の生まれでしてね。その噂を聞いてすぐに思ったんですよ。『欲しい』とね。しかし、そう簡単に行く程現実は甘くありませんでした」
今までの苦労を思い出すかのように、ハイツは空を見上げて懐かしむように語る。
「海人族のガードというのは私の想定よりも硬く、苦労しました。差し向けた使いは皆捕らえられ、あらゆる情報が回ってきませんでした。しかし、そこで諦めずに次の策へと出るのが私の賢いところ。まず、この私自身がエリセンで暮らし、貴女の情報を人攫いに売ります。そして、その人攫いが貴女をオークションに売りさばき、それを私の家族が買う。今考えても素晴らしいアイデアでした…………あの化け物さえいなければな!」
そんな怒声を上げると同時に、ハイツはその顔を怒り一色に染める。いついかなる時も笑みを崩さなかったハイツの怒りの表情にメルは内心恐怖する。
「五年だ! 五年も時間をかけて信用を得て、情報を手に入れて、兵士達の油断を誘って、やっとお前をあの貧乏人共に攫わせた! なのに……なのになのになのに! あの化け物のせいですべてがパアッだ! 奴さえいなければ全てが上手くいっていたのに!」
髪を掻きむしり、目を剥き出しにして発狂するハイツだったが、今度はすぐに冷静さを取り戻して眼鏡の位置を調整しはじめる。誰がどう見ても狂っている。それは疑いようもない事実だった。
「でも、まだ終わってはいません。今ここで、貴女を私のものにしてしまえば何も問題はない。あの化け物も今は大将と共に海に出ている。この町の警備も今までに比べて数段低い。この状況を見逃す私ではありませんよ」
そう話を終えると、ハイツはメルの口元にハンカチを当てる。
「んっ!? んんー!!」
そのハンカチは何かの液体で湿っており、匂いから何かしらの薬品であると理解したメルは必死に暴れようとする。しかし、体が潰されてしまいそうな程の強い力で抑えられ、身動きが取れない。
「少し可哀想ですが、少しの間眠ってもらいます。大丈夫です。起きた時にはフカフカのベットの上ですから」
だんだんと薄まっていく意識の中、そんなハイツの声が耳に届き、メルは舌を噛んで意識を保とうとする。しかし、そんな抵抗は無意味と告げられているかのように、メルの意識はどんどん薄れていく。そして、ついに意識を完全に手放してしまいそうになる……その時だった。
「おらぁ!!」
暗闇から現れた何者かがハイツを蹴り飛ばした。
「っ……ごほっごほっ!」
「おい、大丈夫か!」
「はあはあ……あ、あなたは!」
拘束から解放されたメルは地面に膝をつき、息を荒くするも、自分を助けてくれた相手を見るために顔を上げる。
そこには、
黒い髪に地味目の顔、そして、少し怖そうな目。メルの恩人である風磨仁の友人であり、湖畔の町ウルを壊滅させようとした真犯人。そんなメルにとってはかなり悪い印象を抱く相手、
清水幸利がそこにはいた。
〇
「マジかよ。本当に風磨の言った通りになりやがった……」
危機一髪のところでメルを助けに入った男――清水は冷や汗を流しながら、ある意味この状況に至った原因を作ったとも言える仁に数時間前に言われたことを思い出す。
仁が【メルジーネ海底遺跡】に挑戦するためにエリセンを出ようとする前、自分を明らかに敵視している海人族と一緒にいたくない清水は命知らずにも仁についていこうとしていた。しかし、『死ぬから止めろ』とガチトーンで脅され、渋々エリセンに残ることにしたのだが、そこで清水は仁からとあることを頼まれた。
『オレが大迷宮を攻略してる間、おまえはエリセンでメルとミュウを守れ』
いきなりそんなことを頼まれ、清水は困惑した。それもそうだ。この町の住人はメルとミュウに優しく接し、危害を加えるなどということは考えられない。たった数日しか滞在していない清水でも、それはよく理解していた。
そんな清水の疑問を最初から予測していた仁はその原因となった己の考えについて説明し始める。
『あの二人の誘拐事件、外部犯だと考えるには色々と違和感がある』
それは、メルとミュウがエリセンから離れるきっかけとなった誘拐事件についてのことだった。仁はその話を海人族の自警団から聞いて、すぐにとある違和感を感じていた。
『詳しい数は知らないが、ミュウはともかくメルに関しては過剰とも言える護衛がついてたらしい。その護衛の監視を掻い潜った上で、しかもエリセンの住民ですら少人数しか知らない場所にいたあの二人を攫うなんてただの人攫いができることじゃない』
少し冷静になって考えれば誰でも気づきそうなことであるが、これまで誰も違和感を感じなかったその事実に仁は最初から辿り着いていた。
そして、最も高い可能性を清水に伝える。
『つまりだ、オレはこの町に真犯人がいると思ってる』
まるで確信しているかのような仁の発言に清水は声を大にして驚く、この町の人間に裏切り者がいるとは信じられないからだ。そんな清水を置いて仁は話を続ける。
『これは推測だが、メル達を攫わせた真犯人はきっとオレの強さを知ってる奴だ。そうじゃなきゃ二人が帰ってくるなんていう異常事態が起きてるのに、何もアクションを起こさないこの状況はおかしい』
その推測に清水は「だったら問題ないんじゃないか?」と当たり前かのように答えるが、仁は肩をすくめて呆れたような視線を向ける。
『やっぱりバカかお前は? オレにビビってるんなら、オレがエリセンを出たら速攻でメルを攫おうとするに決まってるだろ』
本気でこんな簡単なことすら分からなかった清水は「なるほど」と頷くと、仁は呆れるあまり目元を抑える。そこで同時に、清水はようやく最初の頼みの意味を理解した。
『理解できたな。だったら頼むぞ。ちなみに拒否権はない。オレがやれって言ったからには絶対にやれ。命の恩人の頼みなんだから断らないよな?』
もはや、頼みというより命令であるのだが、そういう流れで、清水は半強制的にメルとミュウの警護を押し付けられたのだ。
仁は最初から、エリセンに暮らす誰かがメルの情報を流したと最初から予測していた。しかし、強大な力を持つ仁がこの町にいる限り真犯人がボロを出すことはない。だからこそ、敢えて自分がエリセンを離れることでその真犯人が動きやすい環境を作り出したのだ。
そして、肝心のミュウとメルの護衛を清水に任せた。
仁やハジメ程ではないとはいえ、チンピラを余裕で蹴散らすぐらいの実力はある清水ならば問題ないだろうと判断したからだ。
その話を聞いて、当初の清水はこんな危険な仕事を受けるつもりはなかった。
清水幸利はどうあっても常人の域を抜け出せない人間だ。人並みに誰かを助けたいという気持ちはありつつも、少しでも自分の身に危険が及ぶならば、多少悩みはすれど最終的には見捨てるという選択肢を取る。
そんな清水がわざわざ、仁との約束を守ってメルを助けにきたのは、やはり罪悪感からだろう。
魔物に操られていたとはいえ、自分がウルの町を滅ぼそうとしたということを知って、清水はずっと苦しみ続けていた。元々、日本という平和な世界で暮らしていた清水にとって、大勢の人を殺しかけたという事実はそう簡単に忘れられるものではなかったのだ。
勿論、メルを救っただけでその事実が消えることはない。だが、誰かを救うことで少しでもその罪が薄まるのではないかと心のどこかで考えていた。それこそが、清水が襲われていたメルの助けに入った理由だ。
他にも、可愛い女の子を助けて感謝されたいという邪な気持ちもあるにはあったが、せいぜい五割程度だ。
「おい、無事か!」
「どうして……清水が……」
けれど、そんな事情を知らないメルには清水が自分を助けてくれた理由が分からない。短い間ではあるが、共に行動した際、メルは清水をあからさまに邪険に扱っていた。だからこそ、自分を助けた理由が理解できないのだ。
「そんなことはどうでもいい! 早く助けを呼べ!」
「そうはさせませんよ」
「っ……おい、嘘だろ」
状況を把握できていないメルを置いて、事態は進んでいく。つい先程清水によって蹴り飛ばされたハイツがまるで何事もなかったかのように起き上がってきたのだ。
光輝達ほどではないとはいえ、勇者パーティーである清水は一般人の十倍以上のステータスを余裕で持っている。その全力の一撃を食らって立ち上がれる者は、もうまともな人間ではない。それが兵士や騎士や冒険者のような戦いに慣れた者でなければなおあり得ない。
「貴方は……ああ、あの化け物の腰巾着ですか」
「腰巾着だと? いや……確かにあいつの強さからしたらそうか。だったら、お前は今からその腰巾着にやられるんだよ!」
ハイツが立ち上がったことに多少動揺はしたものの、清水には負けるイメージが全く湧かなかった。不意打ちとはいえ、先程の攻撃の手応えから余裕で勝てる。そう完全に油断していた。
しかし、清水は知らない。ハイツの真の姿を。
「それは、私の本気を見てから言うべき言葉でしたね…………フンッ!!」
そう声を上げてハイツが光り輝く眼鏡を投げ捨てると、全身の筋肉が膨張し、着ていたシャツが内側から破け散る。そして清水の目の前には……身長二メートルを優に超える筋肉ダルマが現れた。
これこそがハイツの真の姿。スーパーハイツとでも呼ぶべきだろうか。
あの仁でさえ初見では思考停止したこの謎現象。実際のところただ力んで服が破けただけなのだが、清水からしてみればとんでもない衝撃だった。
「な、な、な……なんだよそれ!?」
「実は私……着痩せするタイプなんです!!」
「知るかっ!!」
何故か堂々とそう宣言するハイツに清水はキレ気味にツッコむ。その様子から清水には余裕があるようにも思えるが、実際のところ全くそうではない。
仁と出会う前ならば兎も角、今の清水は自分を弱者だと正確に認識できている。しかし、それでも自分と相手の力量の差くらいは計れる。だからこそ、記憶の破片に残るハジメは自分よりも圧倒的に格上であり、仁はその更に上をいくと分かっていた。
そして今目の前にいる、先程とは段違いに筋肉量が増したハイツもハジメや仁程ではないとはいえ、己の実力を大きく上回る相手であると清水は察した。
だからこそ、弱者である清水の判断は早かった。勝てない相手とは戦わない。『三十六計逃げるに如かず』という言葉があるように、弱者にとって基本の戦術である『逃走』の選択を選んだ。
しかし、その判断は少し遅かった。少なくとも、最初の不意打ちの時点で逃げるべきだった。
「早く立て! さっさと逃げ「おっと、そうはさせませんよ」――な、早っ、ぐはぁああ!!」
膝をつくメルを無理矢理立たせ、逃げだそうとした清水だったが、一瞬の内に距離を詰めたハイツによって顔面を殴られ、鈍い音と共に数メートル程吹き飛ばされる。
「清水!」
「あ……あが! ふ、ふざけるなよ……なんだよこいつ……」
メルが吹き飛んだ清水に駆け寄る。顔の骨格は歪み、口と鼻からダラダラと血が流れている。医療の知識がないメルが見ても重症だとすぐに分かった。しかし、そんな状態でも清水は立ち上がって近づくハイツに対面する。
「この一撃で倒れていればいいものの……いいでしょう。バカは死んでも治らないという四文字熟語もあるとのことですし。私も少しは本気を出すとしましょう」
ハイツはズシン、ズシンと音が鳴るかのような重い歩みと共に謎のポージングを取りながら清水とメルに近づいてくる。
そんな異様な化け物を相手に清水は、
「っ……や、やってみろよ!!」
膝をガタガタを震わせ、明らかに恐怖しているにも関わらず、メルを守るため強大な敵へと立ち向かった。
オリジナルキャラクター紹介
ハイツ・パーイン
海上都市エリセンで漁師として働く男であり、マリクの部下の一人……という名目でエリセンに潜り込んだ奴隷大好きマン。
家系的には帝国のそこそこ有名な貴族であり、幼い頃から奴隷の収集を趣味としていた。買うor攫う、で入手した奴隷は数知れず、数が増えたら古い順で捨てるとかいうクソみたいな扱いをしている。
わざわざメルを手に入れるためだけに五年もの年月をエリセンで過ごした程の超絶重い感情を持つ。
その性格は両親から継いだものであり、ハイツの親も帝国の貴族らしくクズい性格をしている。ちなみに、両親はフューレンのオークションで来るはずのないメルを待ち続けた結果、原作とは別ルートでやってきたハジメに殺されている。
本気で自分の頭が良いと思い込んでいる。