ピンクの魔人と共に   作:クー(無課金勢)

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VSミレディ・ライセン 中編

「オレが弱くなった……ねぇ。一体なんの根拠があってそんなことを?」

 

 ミレディに弱くなったと告げられ、オレは内心焦りながらも強気を装ってそう答える。焦る理由は簡単だ。その宣言が的を射てるからに他ならない。

 

「うぷぷ~……誤魔化したって無駄だよ。この超高性能生体エネルギー感知装置(ミレディアイ)にはお前の生体エネルギーが昔の情報と比べてすっごく小さくなってるのがバッチリ映ってるんだよぉ」

 

 瞳をキランッと輝かせながら、自慢げな笑みを浮かべるミレディはオレを見透かすように見つめてくる。今の言葉が真実ならば、その眼にはオレの中にあるエネルギー――つまり気が映っているのだろう。

 

 ミレディの言っている()が封印される前のブウであるならば、確かにオレは弱くなっていると言えるだろう。具体的な説明をするならば、今のオレの強さは昔の魔人ブウの半分にも満たない。気を感知できるのならば、その差は一目瞭然だ。

 

「私はね……嬉しいんだよ」

「……嬉しいって、オレが弱くなったことにか? 随分と正直だな」

「そりゃそうでしょ。魔人ブウがここに来た時点で、私はもう生きることを諦めてたんだよ。確かに私は強くなったけどさ~、それでもお前に勝てるイメージは全く湧かなかった。だから、絶対にお前を道連れにしなきゃと思ったよ。そのためなら、この魂を磨り潰すことにも躊躇いはなかった。私なんかの命でお前を殺せるなら安すぎるトレードだからね。でも、今のお前なら……わざわざ命を張らなくても勝てる気がする」

 

 本当に嬉しいのだろう。胸に手を当てて、穏やかな表情を見せるミレディの様子からは、歓喜の感情がまじまじと伝わってくる。しかし、弱体化したとはいえ、オレに勝てるというのは少し大袈裟だろう。

 

 確かにミレディからしてみれば弱くなったのだろう。それは間違いない。だが、命を賭ける必要もなくオレに勝てるというのは考えが甘すぎる。

 

「随分と舐めてくれるな。おまえの言う通り、オレは弱くなった。今じゃあ、おまえらの神代魔法なんかも求めてるくらいだ。だがなあ、オレが弱くなったところで、別におまえがオレに勝てるくらい強くなったわけじゃないだろ?」

「いいや、勝てるよ。今のお前からはあの時みたいな絶対的な強さを感じない。弱くなったお前と強くなった私なら……絶対に私が勝つ」

「……言いきりやがったな」

 

 相手がミレディでなければ、鼻で笑ってやったセリフだが、気の存在を感じられない上に未だ底を見せないこの女に油断はできない。きっと、何かしらの切り札をいくつも所有し、その中にはオレを殺せるものもあるはずだ。

 

 それでも、オレに負けるつもりは微塵もない。今のミレディが人間であった頃とは比べ物にならないくらいに強くなっているのは間違いない。それでも、オレにはミレディがそこまで自信に溢れている理由がよく分からなかった。

 

 お互いに本気こそ出していないとはいえ、少し手合わせをし、大体のミレディの実力は把握できた。だからこそ、疑問に思う。

 

 今のミレディの強さは、魔法とか隠し玉があることを加味しても、オレに劣る。

 

「かなり余裕そうだな。もしかして、力量を計ってたのがおまえだけだと思ってるのか?」

「ぷくく~……じゃあ教えてよ~。私の何がわかったのぉ?」

 

 オレの言葉が強がりだとでも思ったのだろうか、ミレディはまるで負け惜しみを言う子供に正論をぶつける大人のような余裕のある表情を向けて来た。そんな絶妙に腹が立つ雰囲気を見せるミレディにオレはこれまでの戦いで理解できたことを告げる。

 

「……まず、おまえがバンバン撃ちまくってきたあの黒い球のことだが……常識的に考えて、あれほど精密な魔力操作と膨大な魔力を必要とする魔法をあんなお手軽に撃てるわけがない。そのタネはおまえの腕にあるんだろ?」

「ギクッ!?」

「その腕に刻まれてる魔法陣。推測だが、そこに魔力を通すことで自動的にあの魔法が発動するんじゃないか? それなら細かい魔力操作はいらないもんな」

「な、なんのことかな~」

 

 どう見ても図星の反応だ。あからさまに動揺するミレディに続けて告げる。

 

「次にその意味分かんないくらいのヤバい身体能力についてだが、こっちに関してはさっきの魔法と似てるな。おまえの腕が魔力を通すことで特定の魔法を発動させるなら、その体は意思関係なく自動(オート)で"身体強化"を発動させるってところか? まあ、元々の身体能力もかなり改造してるだろうから、それを常時強化してるっていうなら、オレと殴り合えるのも納得できる」

「ふえぇ、なんで分かるの!?」

「"魔力感知"は持ってないが、よく目を凝らせば魔力の動きを大まかに見ることぐらいはできる。いくらなんでも、最初から今もずっと"身体強化"を発動させ続けてれば、普通気づくだろ」

「え、何それ、キッモ……」

 

 こちらも正解していたようだ。ミレディは必死に光の無い目を逸らして誤魔化そうとしている。とはいえ、これに関しては確信があった。オレ相手に近接で殴り合うなんてよほどの強者が"身体強化"でもしてないと説明がつかない。

 

 これ以外にもまだ近接戦闘中に何かしらやっていたように思えるが、そこに関してはまだ分かっていない。まあ、いくつか推測はあるから判明するのは時間の問題だろう。

 

「他にも――」

「まだあるの!?」

「……そんな魔力消費のエグイ魔法を連発できる頭のおかしい魔力量についてだ。最初はただ魔力量がとんでもないだけだとも思ったが、どうやら違うみたいだな」

「え、ええ……ミレディちゃんの魔力量をお前の価値観で考えない方がいいよ~。もうすっごいんだから」

「――その無尽蔵の魔力はこの迷宮限定なんだろ?」

「っ……!?」

 

 そう、いくらなんでもミニブラックホールをマシンガンのように放ち、常時"身体強化"を発動するなど、どれだけ魔力が多くともすぐに限界がくる。ミレディともあろう者が、準備運動如きで湯水の如く魔力を使うわけがない。ならば、どれだけ魔力を使っても問題ないから使っていたと見るべきだ。

 

 そのタネがこの【ライセン大迷宮】にある。

 

 どうやら、この大迷宮は【ライセン大狭谷】の魔力分解作用を利用しているらしく、迷宮内で発動した魔法は使用者の手から離れれば、たちまちに純粋な魔力へと分解される。そして、分解されて純粋な魔力となったそれはこの迷宮自体に吸収される。

 

 そうなると必然的に、大迷宮には膨大な魔力が貯蓄されることとなる。そして、その蓄積された魔力が、この空間に刻まれた魔法陣によってミレディに供給される。

 

 つまり、

 

「魔力のリサイクルによって半永久的にミレディ・ライセンに魔力を供給し続ける。それが、この大迷宮の仕組みだ」

 

 通常の方法では、魔力は体力のように短時間で回復することはできない。しかし、この迷宮内限定でミレディはそれを可能にした。どれだけ魔力消費の多い魔法を使おうとも、数秒経てば放った魔法が分解され、迷宮に吸収されることで消費した分の魔力が戻ってくるのだ。実質無尽蔵の魔力といってもおかしくはない。

 

 きっと、迷宮の罠が作動していなかった理由にもこれが関係しているのだろう。色々壊れてはいたが、まだ正常に動かせる罠はあったし、それを稼働させればオレを足止めすることくらいはできたはずだ。

 

 それでも罠を作動させなかった理由は、大迷宮に貯蓄された魔力を罠に持ってかれることを避けたからだろう。少しでも万全の状態でオレと戦うために。

 

 ここまでオレは話すと、聞き終えたミレディは……

 

「はぁ……なんで全部分かるのかなぁ? やっぱり嫌いだよお前」

 

 先程まで浮かべていた笑みを消し、軽蔑するような視線をオレに向けて不機嫌そうに呟いてきた。しかし、己の手の内がバレたというのに未だミレディは余裕の雰囲気を崩さない。

 

「でもさあ~、肝心なこと忘れてるよぉ」

「肝心なこと?」

「神代魔法……ここに来たってことは知ってるんでしょ~?」

「ああ、重力を操ってんだろ?」

 

 オスカーの記憶は部分的に隠されている所もあるため、ミレディの存在自体は知っていても、そのミレディが扱う神代魔法については隠されていた。ただ、この空間は重力が滅茶苦茶だし、あのミニブラックホールも重力関係の魔法だというのはすぐに分かった。

 

 推測するぐらいならそう難しいことではない。

 

 それはミレディの方も分かっていたことだろう。あそこまであからさまな重力操作をしておいて、今更隠せるなんて思っていないはずだ。

 

「うん、そうだねぇ。オーちゃんの記憶を奪ったなら知ってるよね」

 

 実際はそうではないのだが、勘違いを正す必要もない。それに気づかないミレディはオレに掌を向ける。

 

 何かしてくる。それをすぐさま察したオレは回避するべきか、防御するべきか一瞬悩み、咄嗟に防御を選択した。しかし、オレがここで取るべき行動は回避でも防御でもなく、その動作を中断させるための攻撃だった。

 

「"重力魔法"の恐ろしさ。見せてあげる!」

 

 そんな少し上擦った声が響いた次の瞬間、突然オレの全身が鉛のように重くなった。

 

「ぐっ……おいおい、嘘だろこれは……」

 

 あまりの重力にオレは思わず足場にしているブロックに片膝を着く。それと同時に、ブロックの方にも大きな罅が入る。周囲を見渡せば、他のブロックは未だ浮いているし、前方にいるミレディも余裕の笑みを浮かべたままだ。

 

「厄介だな。オレの周囲だけ重力を操作するとか……精度高すぎんだろ」

「せいっかいっ! どうどう、凄いでしょ。今のお前には通常の百五十倍の重力がかかってるんだよ~」

「なるほど……百五十倍か」

 

 周囲を巻き込まずにオレだけに限定して発動された超重力。しかも、百倍以上の重力とか……普通の人間なら自分の体重に潰されてとっくに死んでるぞ。

 

 流石、本家本元の"重力魔法"といったところだ。その自信も頷ける。

 

「それじゃあ、避けてみなよ!」

 

 膝をつくオレにミニブラックホールが放たれる。重力で抑えつけられ、身動きでの取れない状態でのこの攻撃。避けられるはずがない。

 

 まあ、本当に身動きが取れなければの話だが。

 

「すぅ……はあ!!」

「ッ……!? うっそん!!」

 

 気を解放し、重力をかけられたままの状態で飛んだオレはミニブラックホールを避け、エネルギー弾を放った。オレの攻撃をその場から飛び除くことで回避したミレディは驚愕の表情を隠さずにオレを見つめてくる。

 

「確かに常時百五十倍の重力が圧し掛かってくるのには驚いた。でも、たかが百五十倍だろ。この程度なら、オレの動きを封じるまでには至らない。本気でオレの動きを止めたいのなら、この十倍は持ってくるんだな」

「あ……ありえない! やっぱり化け物だよ……お前…………」

 

 この世界に存在する限り、重力というものには絶対に逆らえない。それを操作できるというのだから、重力魔法は使えるだけでかなりのアドバンテージに働くのだろう。生物ではなく空間に干渉する魔法であるのだから、力づくで無効化することもできない。だからこそ、オレにも通じる。

 

 それでも、所詮百五十倍だ。多少体が重くなったところで、オレにとっては大した問題ではない。精々動きが鈍くなったくらいで、戦闘に支障はない。ミレディがこれ以上重力を大きくできるというのなら危ないかもしれないが、反応を見る限りその可能性は低い。

 

 恐らく、スピードもパワーも三割程落ちている。弱くなったオレが更に弱くなっているが、それでもミレディを倒すぐらいなら十分だ。

 

「さて、今度こそお互い出し惜しみはなしだ。第二ラウンドを始めよう!」

「っ……返り討ちにしてあげるよ!」

 

 オレはその言葉と同時に飛び出し、ミレディに挑んだ。ミレディの方もオレを迎え撃ち、突き出された拳を両手をクロスさせて防ぐ。

 

 そして、オレ達の間で激しい打撃戦が繰り広げられた。拳同士がぶつかり合う度に周囲には鈍い音が響き渡り、衝撃波が何度も発生する。先程の打撃戦よりも速く、重い拳のぶつかり合い。大迷宮内はまるで地響きが起きたかのように揺れ始める。

 

 それでもオレ達は止まらない。止められるわけがない。先程から明らかに重力がオレの不利になるように働いているがそれに力ずくで逆らって、互角の戦いは続く。

 

「殴る蹴るだけが戦いじゃないよ!」

 

 攻防の最中、突如距離を取ったミレディが手を合わせるような動作を見せると、周囲に浮かんでいたブロックの中でも特に大きい二つがオレに両側から挟み込むようにして()()()きた。

 

 この空間にあるブロックは全てミレディの"重力魔法"によって浮かんでいるものだ。自身の手足のように扱えても全く不思議ではない。

 

「この程度でっ!」

 

 それが当然であるかのようにオレに向かって落ちて来るブロックを左右に両手を広げて受け止めると、エネルギー弾を放って吹き飛ばす。だが、両手を開いてがら空きとなった顎に急速で接近していたミレディの膝蹴りを受け、続いて放たれた空中で一回転してからの踵落としが脳天にめり込んで叩き落される。

 

「ミレディパ~ンチ!」

「ごほっ!?」

 

 通常よりも重力が掛かっていることもあって、勢いよく落ちたオレがなんとか空中で体勢を立て直すも、追うように落ちてきたミレディが全体重を片腕に乗せて腹部を殴りかかってきた。

 

 ミレディの拳がオレの腹にめり込む。しかし、それは罠だ。

 

「え、ちょ、抜けなっ!?」

「迂闊に近づきすぎなんだよ!」

 

 柔らかい体を固めることで埋まった拳を抜けなくさせ、口を大きく開けて口からエネルギー波を放った。無防備の状態で至近距離にいるミレディはそれを真正面から受け、吹き飛んでいき、近くのブロックに叩きつけられる。

 

「調子に乗らないで!」

 

 追撃としてエネルギー波を放つも、ミレディは叩きつけられたブロックごと重力を操作して回避する。そして、今度は叫び声を上げながら自分の周囲に何十個というミニブラックホールを出現させ、それを近くにあるブロックを操って逃げ場を塞ぐようにしてからオレに放った。

 

 逃げ場はない。ならば正面突破だ。

 

「纏めて吹き飛べクソッたれ!」

 

 身体の内側に気を集中させ、その気をオレを中心に全方位へと爆発という形で放出する。

アングリーエクスプロージョンと名付けた【グリューエン大火山】でもマグマ蛇を消しとばす為に使ったこの技は火力と範囲は大きいが、その分隙も大きい。

 

 迫りくるブロックとミニブラックホールを破壊することには成功したが、やはりその隙を狙われてミレディの接近を許してしまった。

 

 至近距離まで近づいていたミレディの回し蹴りを頬に受けるも、こちらもただやられるだけではない。事前に切り離しておいた右腕を操作してミレディの顎を下から打ち上げるように打った。

 

 ただ、腕だけで殴ったため、体重が乗っておらず火力が足りていない。ダメージが入った様子はなく、まったく怯まないミレディにボディーブローを連続で浴びせられ、腕を掴まれると一本背負いの形で勢いよく投げ飛ばされ、大迷宮の壁に衝突する。

 

「……クソッ。思ったよりも面倒だな。重力魔法ってやつは……」

 

 ミレディから大きく距離が離れたことで、オレは息を整える。

 

 ダメージはあるが大したものではない。そんなことよりもミレディの強さだ。明らかに先程戦った時と比べてパワーもスピードも上がっている。単純に性能を引き上げたからというのもあるだろうが、最低限にしか使っていなかった"重力魔法"を本気で使い始めたのが大きい。

 

 ミレディの"重力操作"はただ上から下に働くような単純なものじゃない。上下左右、自由自在に操り、常にミレディの有利に働くように作用している。

 

 ミレディが攻撃する際には重力をオレの方に向けて威力を高め、オレが攻撃する際には逆方向に重力を働かせることで、遠ざけようとしてくる。それに抗って攻撃しているのだから、当然攻撃は軽くなってしまう。

 

 覚えたばかりの魔法でできるようなことではない。長年積み重ねた経験と他を凌駕する才能がなければできない高等技術だ。

 

 それを理解し、敵ながら関心すると共にオレは恐怖する。これほどの力を、たった一体の魔人を倒すためだけに磨き上げたという事実に。自分が生きている間に復活するのかも分からないブウを倒す。そのためだけにたった一人で魔法をここまで極めるなど、どうかしている。

 

 そう考えている内に、オレは遠くから迫ってくる五メートルサイズの中サイズブラックホールに気がついた。

 

「そりゃあ、休ませてなんてくれないよな!」

 

 すぐさま壁を蹴って飛び上がることで、迫りくる中サイズブラックホールを回避する。

 

「遅いよ!」

「……分かってる」

 

 そして、相変わらず気を感じないためいつの間にか背後にミレディが回り込んでいたが、問題はない。

 

「っ!? またっ」

 

 "瞬間移動"でそんなミレディの更に背後を取り、エネルギー弾を放つ。しかし、放たれたエネルギー弾はミレディが出現させていたミニブラックホールに吸い込まれ消滅する。もう少し気を込めていれば破壊できたかもしれないが、この一瞬では少し難しかったようだ。

 

「防御にも使えるんだな、それ」

「当然でしょ。最強ミレディちゃんの必殺技だもんね!」

 

 そして、再度大きく距離を取ろうとしたオレにミレディはミニブラックホールを連射しつつ追い打ちをかける。普通にオレを殺せる可能性のあるこの攻撃自体はかなり危険だが、発射速度も吸い込み範囲も大分把握できるようになってきた。

 

「逃がさないよ!」

 

 自分が攻めているというのに、焦った表情で追いかけてくるミレディ。きっと想像以上に攻めきれていないのだろう。あれほど自信満々に『勝てる』と宣言していたのだから、ミレディの予測ではもっと圧倒していたに違いない。

 

「なっ!?」

「安心しろ。元から逃げるつもりはない!」

 

 そんなミレディが放つミニブラックホールをオレは身体をスライムのように液体化させた状態で、小さな隙間を潜るようにして回避する。人間の肉体では絶対に出来ない動きであるため、意表を突かざるを得ない。

 

 そして、全てのミニブラックホールを躱し、ミレディの目の前まで接近したオレはスライム化した状態のままミレディの体にグルグルと巻きつき、上半身だけを元の形の戻してから至近距離でエネルギー弾を放つ。

 

「ひゃぁあああああああッ!!」

「ほらほらほら、好きなだけくれてやるよ!」

 

 体を拘束され逃げられないミレディに次々とエネルギー弾を浴びせ、悲鳴を上げて苦しむ声が響き渡る。それから何十発というエネルギー弾を与えてから、最後にとどめといわんばかりに、"イノセンスキャノン"でオレの下半身ごとミレディを吹き飛ばした。

 

 光り輝く巨大な光球と共に吹き飛んでいくミレディはそのまま大迷宮の壁にまで衝突し、激しい大爆発が発生する。巨大な爆炎と煙がたち、迷宮内を熱気で埋め尽くす。

 

 今のはかなり手応えがあったが、まだ倒せたとは思えない。オレはすぐに消滅した下半身を再生させて、煙の奥にいるであろう敵を睨みつける。

 

 その推測は正しく、煙を裂くように腕を振るっって、ボロボロの服を身に纏ったミレディが姿を見せた。

 

「はぁはぁはぁ……」

 

 しかし、その姿はどうみても疲弊しているのが丸わかりであり、先程の余裕が完全に崩れ去っている。その顔には絶望や恐怖の色はなく、怒り一色に染まっていた。歯を食いしばり、睨みつけてくる。

 

「どうした? オレに勝てるんじゃなかったのか?」

「うるさいっ! 私は負けない……お前を生きて地上には帰さない!!」

 

 憎悪に染まったような光のない瞳がオレを射抜く。煽るような口調は完全に消え、己の体に鞭を打つようにして声を上げている。

 

 だが、それももう終わる。

 

「悪いがこの戦い……オレの勝ちだ」

「勝負は……これからでしょ」

「いいや、お終いだ」

 

 虚勢を張るミレディに向けてオレは指を鳴らす。

 

 その直後、

 

「おまえの"重力魔法"は……もう覚えた」

 

 オレは"重力魔法"を発動し、今まで圧し掛かっていた重力を無効化した。




オリ主弱体化疑惑
マジでそう。本家のブウと比べたら疑いようもなくクソザッコ。ワンチャン界王神にも負けかねない。ただし、トータスでは最強格。

なんで仁は重力魔法使ってるの?
仁「見て覚えた」

ミレディの技解説
劣化版黒天窮
気弾のように連射するミニブラックホール。
腕に刻まれた魔法陣に魔力を通すことで、魔力操作を使ってでの魔法発動よりも速く発動できる上、細かい魔力操作とかイメージが必要ないので他の魔法と同時に発動することも可能。
パンチするくらいの気軽さで撃てるし、防御もできる。超有能魔法。

自動身体能力強化
体の内側に魔法陣が刻まれており、ミレディが意識しなくとも体に魔力がある限り永続で身体強化が施される。
その倍率はざっと百倍程度。人間の体でこの身体強化を使えば、強すぎる力に体が耐えられず死ぬ。
消費魔力も膨大であるため、ライセン大迷宮以外で発動したら魔力枯渇で死ぬ。ついでにこれ以上強化倍率を上げたら今のミレディの体でも耐えられなくて死ぬ。
多分、今のミレディの一番ヤバいところがこれ。

魔力リサイクル
正確にはミレディの魔法ではなく、原作にはない大迷宮の機能。
魔法発動→【ライセン大狭谷】の効果で純粋な魔力に分解→純粋な魔力を【ライセン大迷宮】が貯蓄→貯蓄された魔力を回収→魔法発動(繰り返し)
こんな感じで永久に魔力を回し続ける。実質魔力無限とも言える。
弱点としては、大迷宮内の罠を作動させるとその分ミレディに供給される魔力が減ることと、貯蓄できる魔力の許容量を越えると大迷宮自体が爆発すること。
ちなみに、ミレディ以外が使った魔法も分解されて貯蓄されるため、その中にはユエやハジメの魔力も混じってる。

重力魔法
重力を操作する魔法。
原作以上にミレディがこの魔法を使いこなしたことで、上下左右の向きの変更や、攻撃の一瞬だけ発動させるとかいう高等技ができるようになった。
重力は最大で百五十倍となるのだが……ドラゴンボール脳で考えると軽すぎる。これに関してはミレディは悪くない。むしろあっちの世界がおかしい。
重力掛けても仁が普通に動きだした時のミレディの心境はベジータにやられる寸前のプイプイに近い。

ミレディパンチ
たくさん重力乗せたパンチ。

超高性能生体エネルギー感知装置(ミレディアイ)
目の部分に内蔵されたスカウターみたいなもの。ハジメの魔力を見える魔眼に対抗してミレディが作り出した。
ハジメの眼が魔力を見るのだとしたら、ミレディの眼は魔力を含めた全エネルギーが見え、その大きさを数値として計ることのできる。実質、上位互換。
ただ、まだ使い慣れていないため、本人でさえ認識できない程度の誤差が生じることがある。具体的にはラディッツが悟空とピッコロの戦闘力上昇にビビったように、変化する気に対してはあてにならない。ミレディが自信満々なのはつまり、そういうこと。
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