ピンクの魔人と共に   作:クー(無課金勢)

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やっとここまで来れた。この作品を書くきっかけになったとも言える真っ先に思いついたシーン。嬉しい。
ここまで来るのに60話以上かかってるとか嘘だと思いたい。アニメだとすぐだったのに。


人外絶滅ホーミング弾

「ん……ああ、おまえがフリードって奴か。人質をとらないとまともに戦うこともできないとは、噂通りの小物だな。気も大したことないし、殺すのは簡単そうだ」

「何故、貴様が私のことを知っている」

 

 突如現れた白竜に乗る魔人族。おそらく以前相対した魔人族から聞き出した神代魔法を手に入れた魔人族、フリード・バグアーであると推測したこの男は、どうやらオレが王国のために戦っていると思い込んでいるらしい。

 

 周囲の気を探れば、いつの間にか魔物に取り囲まれており、天之河達が狙われている。人質のつもりなのだろう。まあ、あんなダメージを負っていればその判断も仕方ない。

 

 何があったかは知らないが、フリードの気はかなり消耗している。ただの人間ではこいつに深手を与えることなんて無理だろうから、ハジメかあいつのハーレムの誰かに余程痛い目に遭わされたに違いない。そんな状態で一切の情報がないオレに挑むのは厳しいと判断したからこそ、人質という卑怯な手段を取った。誰でも思いつく簡単な推測だ。

 

「貴様……一体何者だ。人間ではない。魔人族(我ら)とも違う。そして対面しているだけでも感じられるこの不気味な雰囲気。何なのだ、貴様は!」

「……これから死ぬ相手に名乗りが必要か? まあいい、答えてやるよ。オレの名は風磨仁。真の魔人だ。おまえらのようななんちゃって魔人と一緒にしてくれるな」

「貴様、今の状況が分かっているのか?」

 

 魔人族という種族は他種族と比べてプライドが高いことが特徴である。自分達の実力に絶対的な自信を持ち、自分達こそが最強だと信じている。だからこそ、オレの発言は奴らにとっての逆鱗に触れることとなる。

 

 とは言っても、実際のところオレと奴らは名前が同じだけの全くの別種族だ。本物も偽物もない。しかし、こう言った方が勝手に冷静さを失ってくれるからやりやすい。

 

「分かってるさ。雑魚がキャンキャン吠えてるだけだろ? まったく、少し前に殺した魔人族から聞いた話だともう少し威厳がある奴だったんだがな。所詮は噂か……」

 

 用意された油にさらに火を投下するように、今度はオレが殺した魔人族のことを告げる。この男は恐らく、敵に対しては容赦ないが、味方に対してはゲロ甘になるタイプだ。そういう相手にとって、こういう挑発は面白いほど効果的となる。

 

「情けない男だったな。調子に乗って情報を吐くわ、少し切り刻んだだけで『殺してくれ』と言いだすわ。おまえらは揃いも揃ってそういう奴ばかりなのか? 所詮オレの贋作だな。大して強くもないくせに戦いの場に出て来るからそう…………おっと、危ないな」

「……いい加減にしろ」

 

 フリードの仲間を貶していると、再度オレに白竜から放たれた極光が降り注ぐ。それをオレは拳で叩き落してから視線を向けると、フリードの顔には明らかな怒りの感情が宿っていた。

 

「どうした? 怒ったのか?」

「気が変わった。貴様は……いいや、貴様らはここで殺す。私の名を骨身に刻め。私の名はフリード・バグアー。異教徒共に神罰を下す忠実なる神の使徒である」

「神の使徒を名乗るか。その時点で大迷宮攻略者としては失格だな。いいぜ、面白い。やってみろよ。解放者の意思を受け継ぐ者として、神に抗う者として、おまえに終わりをくれてやろう」

 

 同胞を殺され、貶され、己の種族すら馬鹿にされたフリードはついに怒りの許容量を突破した。オレ達を囲っていた魔物達の包囲網を狭め、"空間魔法"でも使ったのかワープゲートのようなものを作りだす。今すぐにでも襲う準備は出来ているということだろう。

 

「貴様は愚かだ。わざわざ挑発などしなければ、こうはならずに済んだものを。外壁の外には十万の魔物、そしてゲートの向こう側には更に百万の魔物が控えている。貴様の実力は不明だが、全てを守りながらこの数と戦い続けるなど不可能だ」

「おまえの基準でオレを計るなよ。蟻が何匹集まったところで、恐竜に勝てるわけがないだろ」

 

 数とは力だ。それは異世界であるトータスでも基本は変わらない。数が多ければ多いほど有利に働くし、少なければ不利となる。しかし、それにも例外というものはある。時に圧倒的なまでの力は数を凌駕する。

 

 冷ややかな視線を向けて来るフリードを見つめたまま、オレは片手を掲げる。その動作にフリードは危機感でも感じたのか、極光が飛んでくるがあっさりと蹴り返す。

 

「今日の天気は晴れのちのち雨……なんてな。でも気をつけないと死ぬぜ」

「なにを………………は?」

 

 オレはそう告げ、掌を頭上に向けた体勢のまま気を解放し、何十何百何千何万といったエネルギー弾を空へと向けて放った。勿論ただ真上に放っただけではただの綺麗な流星のようなものだが、この技の本領はここからだ。

 

 放たれた無数のエネルギー弾は一定の高さまで上昇すると、今度は弧を描くようにして方向を変え、その全てが地上へと降り注いだ。

 

 アサルトレイン――殲滅用の攻撃手段としてオレが新たに作りだした新技。その効果は指向性を持たせた大量のエネルギー弾が敵を()()()()殺す。

 

 まさに、死の雨。

 

 まるで流星群のように空から大量に降り注ぐエネルギーの塊によって、地上は桜色に照らされ、そこで戦う多くの王都の民や魔人族、魔物の姿を明るく照らす。

 

 空より降り注ぐ大量のエネルギー弾は地上に着弾することはなく、曲がり、うねり、旋回し、正確にそして無慈悲に地上で人々を襲う魔人族や魔物の体を貫いていく。それでいて、人間に対してはまるで意思があるかのように避け、的確に人外のみを狙って殺戮していく。

 

 たった今放ったエネルギー弾には、とある指向性が付与されている。それは『人間以外の種族を殺す』というもの。攻撃対象を人間以外の生命体に限定することで、王都で暮らす人々を傷つけることなく、国そのものにも大きな損傷を残すことなく、敵を殲滅することができる。

 

 どれだけ逃げようとも、無数に降り注ぐエネルギー弾はどこまでも追いかけ、確実に敵を抹消する。味方を傷つけずに敵の軍勢を葬り去る為だけの無慈悲な攻撃。魔人族や魔物は悲鳴を上げながら逃げようとしているが、到底振り切れるものではない。

 

 一人、また一人と着実に命を散らしていく。そんな時間が数十秒もの間続き……やがてこの国からは、()()()攻撃対象から外したフリード以外の魔人族は一人残らず全滅した。後に残ったのは、僅かにエネルギー弾が当たり削れた大地と、そして体に風穴を開けた大量の魔人族と魔物であった肉塊だけ。

 

 目の前にいるフリードも中村も、八重樫達も今の光景に思考を停止させ、呆然と佇んでいる。

 

「……はい。これで全滅だ。分かっただろ。どれだけ数があっても、どれほど強力な魔物を用意しても、オレには敵わない。さっきおまえはオレのことを愚かと言ったが、オレからしてみれば、おまえの方がよっぽど愚かだ。中村なんかのためにノコノコ現れやがって、だから死ぬんだ」

「っ……! まだだ、まだ私が残っている!」

「それは正確じゃないな。おまえが残ってるんじゃなくて、おまえしか残ってないんだ。そして残ったおまえもすぐに死ぬ」

 

 同胞を一瞬にして殲滅した上でのオレの発言に、フリードの瞳は憎悪と憤怒の色に染まった。大軍を転移させられるゲートを作れるようだが、仲間が一人もいなければ戦力的には意味がない。

 

 このまま挑んでも、オレにあっさりと殺される。それをよく分かったのだろう。フリードは唇を噛み切り、握った拳から血を垂れ流し、怒りを無理矢理抑え込んだような様子で、怨嗟の篭った捨て台詞を吐いてからゲートを開いた。

 

「……この借りは必ず返すっ……貴様だけは、我が神の名にかけて、必ず滅ぼす!」

 

 そして、白竜が極光を放つ。先程よりも火力が上がっているようだが、オレからしてみれば誤差の範囲だ。八重樫達に被害が及ばないよう、極光を素手で受け止めて消失させる。

 

 先程から防いでいるというのに、同じ攻撃を何度も繰り返す程この男は馬鹿ではない。初対面であるが、オレはフリードをそこまで甘く見てはいなかった。だからこそ、この攻撃は敵を倒すためのものではなく、逃げるための時間稼ぎが目的だというのは容易に想像できる。

 

 そんなオレの推測は正しく、極光が収まった空には満身創痍な恵理を抱えてゲートの奥へと消えるフリードの姿があった。

 

「はっ……負け犬が。逃がすわけないだろ」

 

 しかし、オレから逃げられるだなんて考えが甘すぎる。

 

 フリードの扱うあのゲートは神代魔法の一つである"空間魔法"によって作られたものだ。同じ魔法を扱える者ならば簡単に分かる。長距離移動による逃走としてこの魔法を使うのは確かに正しい判断だ。

 

 ただそれは相手も"空間魔法"を使えるとなると話が変わってくる。

 

 オレは額に指を当てるまでもなく、先程感じ取ったフリードの気に向かって"瞬間移動"を発動した。

 

 さて、ここで問題だ。

 

 "空間魔法"を使用している相手の場所へ同じく空間魔法が元になった"瞬間移動"を使って移動したら、どうなるでしょう?

 

 答えは……見た方が早いだろう。

 

「アハハ! 見い~っけ!」

「……何……だと……」

 

 "瞬間移動"を使ったオレはゲートで転移する際に僅かに発生する亜空間の中にいたフリードの元へ姿を現した。

 

 あからさまに動揺しているフリードの姿が目に入る。こうなることを想定していたわけじゃない。もしかしたらできるかもしれないという感覚でオレも"瞬間移動"を使った。成功したことにはオレ自身も多少驚いている。

 

 そして亜空間に突如オレが現れたことには、フリードだけでなく中村も相当驚いているようで目を丸くしていた。

 

 しかし、この空間にいられる時間はそう長くない。所詮は空間転移の際に僅かに発生しただけの亜空間(歪み)。一秒も経てばオレはこの空間から強制的にはじき出される。

 

 だが……

 

「一秒あれば十分過ぎる!」

 

 瞬時にオレはフリードを乗せる白竜の翼の上に着地し、その翼を根本からへし折る。そして、土台がバランスを崩したことで焦るフリードの背に回り込み、背中に腕を突き刺した。

 

 場所は上半身左側上部。人という形に収まる生物ならば絶対に持つ共通の弱点。

 

 すなわち、心臓。

 

 皮膚を貫き、骨を砕き、心臓まで達した腕でオレはその脈打つ臓器を握り、勢いよく引き抜いた。

 

「ぎ……ぎざまぁああああ!?」

 

 亜空間中にフリードの悲鳴が鳴り響く。オレ的にはこのままちゃんと死ぬまで確認したかったが、それよりも早くタイムリミットが来た。空間そのものに拒絶されるかのような感覚を感じると共に、オレは"空間魔法によって作り出された亜空間からはじき出される。

 

 そして次の瞬間には、先程までいた八重樫や清水達がいる場所に戻って来ていた。

 

「仁! 大丈夫なの!」

 

 ちょうどそのタイミングで、八重樫が駆け寄ってくる。どうやら、オレが一瞬ではあるが消えたことにかなり焦っている様子だ。

 

 オレはそんな八重樫にフリードを追いかけてきたことを説明し、未だ手の中で脈打つ心臓を見せつける。案の定、八重樫含めた全員が頬を引き攣らせて引いた反応を見せていたが、まあそうなるよな。

 

 ナマの動く心臓を見せられてもあまりいい気分ではないだろう。周りの反応から察したオレは野球の投球フォームで心臓を適当な場所に投げ捨てた。その一連の動作を見て、更に周りが引いたような気がしたが、これは見て見ぬふりをするとしよう。

 

 そこで手が汚れていることに気づき、手をプルプルと振るって付着した血を払ってから、八重樫を含めたクラスメイト達全員に顔を向ける。

 

 そして、ひとまず危機的な状況を脱したことを告げようとした次の瞬間……

 

「よし、これで終わりっ……!?」

 

 オレの視界が消失した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、八重樫雫の脳裏は真っ白に染め上げられた。

 

「……仁?」

 

 ようやく再開することができた待ち人であり、自分達を救ってくれた恩人であり、先程まで恵理やフリードに対して圧倒的なまでの実力を見せていた幼馴染――風磨仁。

 

 そんな彼が、たった今、目の前で……

 

 ()()()()()()()()()のだから。

 

「はあ……はあ…………」

 

 意図せずとも呼吸が荒くなる。必死に『頼りになる八重樫雫』を演じようとするも、すぐに剥がれ落ち、元の弱気な彼女が出て来てしまう。

 

 脳内では先程檜山や騎士達に剣で貫かれた時のようにすぐ元に戻ると希望を抱いているのだが、どうしても脳裏からこのまま仁が戻ってこないイメージが離れてくれない。今まで感じたことのない不安と恐怖が同時に襲い掛かってくる。

 

 消し飛んだ仁の頭の先には、一人の青年がいた。

 

 雪のような白い髪に血のような深紅の瞳。全身を黒い外套で纏い、手に握る銃の銃口はこちらに向けられていた。その青年のことを、八重樫雫はもう知っている。

 

 安定しない呼吸を続けながらも、その名を呼ぶ。

 

「な……ぐも……くん。どう……して……」

 

 仁の頭部を消し飛ばした男の名は南雲ハジメ。香織の想い人であり、仁の親友である青年だ。

 

 雫の呟きに対して、ハジメは何も答えない。敢えて無視しているわけではない。ハジメも特に何か嫌なことをされたわけでもない雫を無視するほど人でなしではない。ただ雫の声すら届かない程に激怒しているだけなのだ。

 

 ハジメはウルの町で、魔人ブウと名乗った仁にどう見ても手を抜かれた状態で半殺しにされただけに飽き足らず、愛する女までもを目の前で傷つけられた。その事実は、『敵は殺す』『大切な人は絶対に守る』そう誓ったハジメにとって、どうしても忘れることの出来ない屈辱の記憶だった。

 

 故に、神の使徒であるノイントを倒し、無数のエネルギーの塊が空から降り注いだのを目撃した後、そのエネルギーの発生源に到着して驚愕した。そこには、必ず殺すと誓った相手である魔人ブウがいたのだから。ハジメはもはや反射の速度でドンナーを引き抜き、仁の頭を撃ち抜いた。

 

 だがウルの町でこの二人に何があったのかを知らない雫にとって今の状況は、突然ハジメが親友の頭をぶち抜いたことになる。理解できないのも無理はない。

 

「ばあっ!」

「きゃあ!?」

 

 とはいえ、魔人ブウの肉体を持つ仁がたかだが頭を吹き飛ばされた程度で死ぬわけがない。雫の不安をよそに、ニョキッと消し飛んだ頭の断面から仁の頭が生える。それに驚いた雫が尻もちを着きそうになるも、仁に腰を掴まれ優しく地面に降ろされた。こんな状況でも雫のことを心配するのはある意味流石ともいえよう。

 

「……不死身かお前は」

「うん? なるほど、次はおまえか。どうした? またオレにみっともなくやられに来たのか? やれやれ、懲りない奴だ。知ってるか? 未練がましい男は嫌われるぜ」

「言ってろクソ野郎。今度こそ殺す!」

 

 たった今頭を吹き飛ばされたというのに、平然とした様子で首をポキポキと鳴らす仁と相手が探していた親友であるということなど知らず、更に殺気を高めるハジメ。二人は向かい合い、目に見えないオーラ的なものをぶつけ合う。

 

 その様子を肌で感じ、この場にいるクラスメイト達はハジメに対して説得することすら忘れ、息を呑む。自然とその場は静寂に包まれる。それは雫や香織も例外ではなく、冷や汗を流しながら二人の姿をただ見つめていた。

 

 衝突は唐突に始まった。

 

「……ッ!?」

「遅い」

 

 再度ハジメがドンナーの引き金を引こうとするも、それよりも速く仁が懐に潜り込み、その腕を蹴り上げて無理矢理射線を外させる。

 

 至近距離に迫られたことでハジメは"限界突破"を発動し、近接戦闘に移る。通常の状態ではどうあっても勝てないと以前の戦いで学習したからだ。しかし、それでも今の仁に届くとは言い難い。

 

 単純な打撃戦でも、ハジメがこれまで作成したアーティファクトによる攻撃も、クロスビットによる強襲も全てが防御または回避され、仁に届くことはない。ハジメ側の攻撃は一撃も通らないにも関わらず、仁の拳や蹴りは的確にハジメに突き刺さり、決して少なくはないダメージが蓄積されていく。

 

「……はぁはぁはぁ」

「息が荒れているぞ。さっきまでの威勢はどうした。オレを殺すんじゃなかったのか?」

「テメェッ!」

 

 ただでさえ相手は再生するというのに、一撃も有効打を与えられない現状に焦ったハジメはドンナーを連射しながら、クロスビットと共に突撃する。大迷宮での試練を乗り越え、ハジメは以前ウルで戦った時とは比べ物にならない程に強くなっている。仁の実力が以前のままであったならば、もう少しは戦いという形ぐらいにはなっていただろう。

 

 しかし、強くなったのは仁も同じ。むしろ、ただ強者との戦闘を行うだけで本来のブウに近づくことのできる仁の方が成長スピードは段違いに速い。単純計算でハジメの二倍の成長速度があると考えていい。勝負になどなるわけがない。

 

「ここは少し観客が多い。悪いが場所を変えさせてもらうぞ」

 

 迫る弾丸を全て素手で掴み、指で弾き返すことで迫るクロスビットを破壊した仁はハジメに瞬時に近づき、手を胸から約五センチ程の位置に置いて掌をハジメに向ける。

 

「はあっ!」

「ぐっ!?」

 

 直後、ハジメは吹き飛んだ。

 

 放ったものは魔法でも技能でも気を燃料として放った砲撃でもない。ただの気合い。だが、その気合いだけでハジメはハイリヒ王国の外に向かって勢いよく吹き飛ばされた。吹き飛ばしたハジメを追うようにして、仁もその場から飛んでいく。

 

 その一連の光景を八重樫達はただ呆然と見続けていた。

 

 急に現れた魔人族を倒して王国の危機が去ったかと思えば、今度はハジメが仁の頭を撃ち抜いて、そしたら仁は当たり前のように頭を再生させるし、そのまま仁とハジメが戦いが始まったかと思えば、あのハジメが一方的にやられて吹き飛んでいった。

 

 もうクラスメイト達やリリアーナは現状についていけない。全員が呆然として仁とハジメが飛んでいった方向に視線を向けている。

 

 そんな中で、最も早く再起動したのは香織だった。

 

「ど、どど、どうしよう! 雫ちゃん、どうすればいいの!?」

「え、えぇ……私に言われても……」

 

 だが残念なことに、こういう状況で香織はまったく役に立たない。ひたすらにあたふたオドオドとした様子で雫に助けを求める。

 

 香織からの救難信号を送られた雫は、そこでようやく冷静さを取り戻すことができたものの、こんなイレギュラー過ぎる状況での正しい判断など分かるわけがない。それでも、一度大きく深呼吸をし、自分を落ち着かせる。

 

 まずは仁が生きていたことに安堵し、ハジメと仁が争っている理由を考える。

 

「もしかして、あの二人……お互いが誰か分かってないんじゃないかしら?」

「え……雫ちゃん。それってどういう……」

「ほら、ハジメ君はかなり変わってるけど、仁も少し変わってるじゃない? だから、お互いがお互いのことを分からないで敵だと思い込んでるんじゃ……」

「あれが……少し?」

 

 雫のその推測に、クラスメイト達がなるほどといった表情を浮かべる。実際のところ、ハジメの方はその推測で合っているのだが、仁は相手がハジメだとちゃんと気づいた上でノリと勢いで敵対しているということまでは流石の雫も気づけないようだ。

 

 完全な正解には少し遠いが、雫はこれで二人が争う理由に検討がついた。それと同時に、彼女の脳裏に最悪の未来が思い浮かぶ。

 

 先程の戦闘を見て分かるように、ハジメと仁では明らかに仁の方が実力は上である。そして、今の仁は恵理やフリードにやったように敵に対してまったく容赦がない。もしこのまま戦いを続けていれば仁がハジメを殺すのは時間の問題。そんな最悪のイメージが雫の頭の中で完成してしまった。

 

 実際のところ、仁はかなり手加減して戦っているため、そうなる可能性は低い。だが未だ仁の全力を計りきれていない雫は顔を青褪めて冷や汗を流す。

 

「香織! あの馬鹿二人を止めるわよ! 早くしないとハジメ君が死ぬわ!」

「死ぃ!? わ、分かった!!」

 

 そうして、二人は走り出した。世界一無駄な命を賭けた戦いを止めるために。

 

 

 

 ちなみに、事情を知っている清水とメルドはその時頭を抱えていた。




アサルトレイン
『ドラゴンボール』で悪ブウが人類全滅させるために使った技を人類を守るために使った。
上にいっぱいエネルギー弾を撃って、落ちて来たそれが人間を除いた他種族の体を貫く。ここでの攻撃対象は人間以外に設定しているため、魔人族や魔物以外にも、その場にいた他種族は攻撃対象に含まれている。例:金髪の吸血鬼、負けヒロインの兎人族、ドM竜人族など
ちなみにフリードは部下の死にざまを見せるため敢えて対象外にした。
別名 人外絶滅ホーミング弾

フリード
文字通りハートを奪われて、ドッキドキの状態の男の子。
原作通りにユエにやられて、仁の前に現れたのが運の尽き。恵理なんて見捨てて逃げれば良かった。部下全員死亡、ペットの竜は片翼折れ、自分は心臓抜き取られる。本当に早めに退散しなかったせいで原作のハジメ以上に痛い目に遭わされてしまった。馬鹿め、どんな敵かも見切れんのか?

恵理
満身創痍だが、ギリギリのギリで生存した幸運娘。
戦闘能力が大したことないくせに、幸運のステータスだけカンストしていたようで、なんとか仁から逃げ去った。ただ、この後心臓抜かれたフリードと共に魔人族領に現れるため、治療そっちのけで拘束される。
改心はまったくしてない。

ハジメ
また、仁に喧嘩売って返り討ちに遭った。
彼が勝てる日は来るのか? あとそろそろ正体に気づけ。

おまけ
人外絶滅ホーミング弾の被害者方
シア「……ユエさん。なんかあの光私達の方にも向かってきてません?」
ユエ「……」
シア「ちょっと、なんで自分だけ結界張って安全なところにいるんですか! 私も入れてくださいよ!」
ユエ「……シア、頑張れ」
シア「ふざけるのもいい加減にしてください! アレ絶対私達殺しに来てますよ! ビンビンに"未来視”が発動してるから間違いありません!!」

ユエの張った結界『あ……これちょっと無理だわ(バリンッ!)』

女子二人「「……は?」」



ティオ「ふぬぅぉおおおお! これダメじゃ、死ぬ死ぬー!! 妾こういうの求めてない! こういうの違う! あとなんで先生殿だけ避けて妾を襲うのじゃこのピンクの光は!!」
愛子「ティオさん頑張ってください! もう少し耐えればこの攻撃は終わるはずです!」
ティオ「本当か? 本当なのだな? 信じるぞ!」
愛子「……多分」
ティオ「頼りないのぉ!?」
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