とある将来の通行禁止   作:るなうるむ

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絶対的な1億円

「ここで言うのもなんじゃが、どうか今回の報酬は無かった事にしてもらえんじゃろうか?」

 

 

 

「は?」

 

 

「それが......分かってはいたつもりだったのじゃが、殆ど戦闘データはとれず、さらに施設にもかなりの損害が出てしまってのう...」

 

 

 

「ふーん、じゃあしょうがないわね。」

ニコッ

 

 

場合によってはどうなることかと思ったが、行方は素直に引き返した。そして壁に寄りかかると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガガガガガガガガガググヴヴヴアアアァァァン!!!!

 

 

壁に埋め込んである柱がジグザグに曲がったと思いきやそれを伝い、まるでダンボールを開けるかのようにして天井が真ん中から上に垂直に強引に開き、屋根の鉄骨や証明の引きちぎられた照明が顕になる。

屋内ホールが一瞬にして屋外スタジアムへと変貌してしまった。

 

 

突然の出来事と規模に、その場にいる全員が凍りついた。

 

 

 

 

「このままだと、ここ空き地になっちゃうかもね。」

 

 

 

 

軽々しく空き箱を解体するかのように建造物を折り曲げる化け物に、約束を放棄する訳にはいかないだろう...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう?とりあえず500万は入れたけど?」

 

 

“確かに確認しました。お知らせの方も減らしておいたのでご確認ください。では。”

 

 

 

昔は紙幣や小銭を使っていたそうだが、今はそれぞれ個人の端末にお金が入っている。指で宙を押せばパーソナル画面が出てきて、キャッシュ表示の場所に今は1032014とある。お知らせ通知に“ご返済額について”と表示されているので、そこから直接キャッシュを振り込む事ができる。

現在の残額はいちじゅうひゃくせん...

3億9500万円だ。

 

もちろん端末自体をなくしてもアカウントの情報さえ分かっていれば慌てることはない。

 

(で、どうしよう。いちおう生活のために100万はとっておいたけどな〜。そもそもこんな事になったのは...!)

 

 

 

ヘックショォイ!

 

「どうしたの?風邪ぇ?」

 

 

「いや。自分でやっといてなンだが、悪ィことしちまったな...。」

 

 

「帰ったらお金を返して謝るのは当たり前だけど、今はこっちに専念しなくちゃってミサカは...」

 

 

「あァ。分かってる。でも本当に奴らは造ってンのかぁ?“神の復元”なんてモノをよォ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

「も、もしかして研究所をこんな風にしたのってアナタですか?!」

 

 

研究所の道向かいの場所で突然、なんと答えたらよいかわからないギクッとなる質問を浴びせられた。

 

振り返ると高級そうなネックレスをした、髪が薄茶色くウェーブがかっている女の人が何か心配そうにコチラを見ている

 

 

「え...えぇ、まぁ..」

 

 

なにか問い詰められそうだったら全力で逃げればいい。幸いここは人の通行量はある。今の周りの人は皆、研究所を見上げ口をあけている状態だが。

鉄柱は落下してこない。

 

 

「あのっ!ご相談がありまして!」

 

何か少し緊迫しているようであった......

 

 

 

 

 

 

 

「......ん。......鈴科さん!聞いています?」

 

 

 

「え?!あ、絹保さん。ごめん、ちょっとついていけなくて....」

 

「大事な事ですから!こんなこと、そうそう頼める人はいないんですわよ?!」

 

今までお淑やかだった彼女が、少し怒った顔になった。

あの後、相談に乗ると言った途端に女性の隣に最新型のリムジンが止まり、その車でこの学園都市1番ではないかという高級レストランに連れて来られたワケである。

 

 

「へぇ、監禁?」

 

 

「はい...娘が学園都市の、ある研究施設に通うようになって数ヶ月した頃でしょうか...。娘の能力開発をもう少し連続で行いたいから今夜は帰すことが出来ないと言われ、その頻度がだんだん高くなっていったのです...使用人の話では娘はぐったりして帰ってくるのが殆どだったようで...」

 

 

10数年前に統括理事長が変わり、能力開発は本人の意志が最重要となったため、研究施設は基本日帰りの場所がほとんどだ。軟禁や監禁をすることは禁じられており、打ち切る時はいつでも本人が打ち切る権利がある。

 

行方も小さい頃はよく研究施設に通ったり、能力のテストのようなものをしていた。テスト会場が原っぱになるのはいつものことだが。

 

 

 

「連れ戻したければアンチスキルか統括理事会に言えばいいんじゃない?」

 

 

 

「......それが出来れば、最強のlevel5さんにお願いなんて致しておりません...」

 

 

 

(なんだかなぁ...)

 

「というと?」

 

 

「まずこれを見てください」

 

 

そう言って彼女が自分の端末から行方のパーソナルに提示したのが、その研究施設らしき場所の写真と地図だった。

 

 

 

「このテクニカルチャー第4物理試験施設は見ての通り建設会社の本社と隣接してまして、それを取り囲むように様々な施設や実験場があるわけです。」

 

 

「うん。ひとまとまりで施設やビルがある。」

 

 

「そうなんです。調べて初めてわかった事があるのですが、この研究施設のURLを送りますわね。」

 

 

 

行方はパーソナル画面からその建設会社の試験施設の公式ホームページを開いた。

 

 

「表面上は普通だけどなぁ...」

 

第一実験場、第二試験施設、とスライドさせてゆく

 

 

 

「......!!」

 

「お気づきになりましたか?」

 

 

「第三試験場...までしかない?!この地図の第四試験施設は?!」

 

 

「......公式のサイトや地図では倉庫となっているみたいなのです。...ですから、アンチスキルとか依頼しても“存在しない施設”は調べることすらなく......。」

 

 

「私の家も夫も企業家ですからなんとかその会社と掛け合って見たのですが...あれはただの倉庫だの一点張りで...こればっかりはどうしようもありません。下手に手を出せば娘がどうなるか...」

 

 

「...で、この学園都市で役に立ちそうなのを調べたと。」

 

 

「はい。あの施設の件だけでなく、ケンカも予想以上の凄い方なので安心できると思います...!」

 

 

 

「...ケンカ?」

 

 

 

まずい!というような顔をして彼女はうつむいてしまった。

 

 

「...試すつもりはなかったのですが、念のため確かめておこうと思い、家の者を鈴科さんと戦わせました...申し訳ありません!」

 

 

あぁ、なるほど。あの時の見慣れないヤクザのような人達は彼女が様子を見るために...って、手加減せずに吹き飛ばしたが大丈夫だっただろうか?

 

 

 

「そう言えばまだその娘さんの名前も特徴も分からないから教えてくれる?」

 

 

 

「き、協力して下さるんですね?」

 

 

 

 

「それで...その...お礼とかは...。」

 

 

 

「娘の命に変えられるものなんてありませんが、私で用意できる額は1億ほどなら...」

 

 

 

「......。」

 

 

 

 

「............。」

 

 

 

「......................。」

 

 

 

「あの...鈴科さん?」

 

 

 

「今すぐに大切な大切な娘さんをお母様のところにお届けして、差し上げます!!少々お待ちを!」

 

 

 

 

バァーーーン!

行方は勢いよく店を飛び出して行ってしまった

 

 

 

 

 

「あ、あの!娘の写真と名前!」

 

 

 

バァーーーン!

 

行方は勢いよく店に戻ってきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




かなり長くなってしまいました...。ところどころ意味がわからなかったら直したいと思います。感想待ってます♪
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