ビーービーービーービー!!
すでに照明はついておらず、赤いサイレンの光と、警告音のみが施設中に響きわたり続ける
...バリ、バリ...メキメキメキメキギュワン!!
「あ〜。ここにもいないねぇ」
「うん...わたしと南乃ちゃんの2人で最後に一緒にいたのがここなんだけど...」
「なんか壁の板みたいなのが沢山あるね。ここ。」
天井から1平方メートルほどの鉄?のような板が沢山吊り上げられている
...
「ここはぁ、新物質衝撃実験室っていうの♪建造物の壁や天井に使われる材料と、能力で生み出される物質を掛け合わせて造った試作品の実験を行うとこですよ?」
「?!」
周りの壁の影になっている場所から、青色の髪をした弥遥くらいの少女が現れた
「南乃ちゃん!」
「あなたが南乃ちゃん?ここは危ないから外に...」
パシンッ!
「っ?!」
「南乃...ちゃん...?」
行方が手を差し延べた手を南乃は振り払った。
「......ごめんねぇ弥遥。アタシは一緒には行けないわぁ...。強引に引き止められたアナタだけでも帰って...」
「南乃ちゃん?どうして?あなただって帰りたいんじゃ..」
「私は......」
「強引に引き止めていたなんて心外にも程がありますわ〜?」
薄暗い部屋の向こう側から誰かがこちらにゆっくりと歩いてくる
「...ねぇ、弥遥。あのオバサン誰?」
「おバッ!あなたこそ勝手にわたくしの会社をめちゃくちゃにしておいて...タダで済むとでもお思い...?」
「えと...この研究施設を含めて、隣に本社がある建設会社のCEO(社長)さんです。」
「タダで済むって言ったって.....この第四施設自体バレたら大変なことになるんじゃないの?」
「えぇ。ですから、ばらす危険がある人については...
...
バラさなくてはいけないですね...」
ヒュッ
「え?」
ドゴォォォン!!
先程まで向こう側にいた青髪の少女、南乃が目の前に現れ行方に殴りかかってきた
「ホホホホホ!どうかしら?この子の能力は物質変異(マターミュータント)のlevel5。
本来原子は互いの結合力によって硬さが決まってるの。それが液体だろうと固体だろうと変わらない。この能力はその結合力を作ったり
自由自在に操れるのよ。だから、壁の形はそのままにして通り抜けできるホログラムのようにしたり、周りの空気を鋼鉄のように硬くすることもできる。って、聞く前にヤラれちゃったんでしたわねぇ。」
「...いいえ、まだ。」
「?どうしたのです?南乃?」
「......ふぅん。だから腕や手の結合力を上げてとてつもないパンチを出せたりするんだ」
「?!なっ!ちょ、直撃したはずでは?」
煙が晴れると、拳を突き出したままの南乃と、その拳が額で止まっている侵入者の姿があった
「危なかったぁ......反射からベクトルゼロに変えてなかったら、今頃腕折らせちゃってたからね〜」
コイツは一体?
「ねぇ?!南乃ちゃん?どうして?」
背中におんぶされたままの弥遥が悲しげに叫ぶ
「......ハハハっ...この場所が、アタシの家だからだよ...」
「え?」
「強引に呼び止めたのはあなただけなのですよ?この子は倒れているところをわが社で拾って面倒をみてやっているのです。」
「能力を使った実験でしか役に立たず、生活することすら一人でできないのですから、こうやって恩を返すのは当たり前のことでしょう?能力はあるのに能無しとは、一体どちらなのかしら?!ホホホホホ!!」
.........
能力しか取り柄がない?実験で使うために育てて、恩を返せだと?こんな人間のために?
「ふざないでよ...!!!!」
もちろん、自分の為だけに他人を悪用するようなヤツには腹が立つ。だが...
それしか無いと諦めて自分の考えなしに動かされる人間には、もっと腹が立つ...!
「...鈴科さん?」
弥遥がのぞき込んだその顔は、まるで今にも首元を食いちぎろうと獲物を狙う肉食獣のような鋭い眼光に変わっていた。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
「な、なんですの?!地震?!」
いきなり地面が大きく揺れだしサイレンや警告音が消え、天井から吊り上げられた壁が大量に降り注いだ。
「南乃!わたくしを守りなさい!!」
「す、鈴科さん!逃げないと!キャアーー!」
ズシャャァァァーーーン!!!!
、
、
、
地震が止まり、壁に穴が空き、周りに静けさが行き巡った