「うぅん...。」
また気を失ってしまったみたいだ。気が付くと自分を抱き抱えるようにして鈴科が盾となってくれていた。
「あの...鈴科さん、大丈夫ですか?」
「うん。ちょっと待っててね。」
バキバキ!ドギャァン!
降り積もった瓦礫を押しのけて、南乃と社長とやらが現れた。
「まったく!なんなのですの?あなたの仕業でして!?」
「.........。」
行方は足を痛めた弥遥を床に座らせると、二人と向かいあった。
「あなたが一体どんな能力やら魔術やらを使ったか分かりませんが、わたくしの横にいるのは学園都市第6位のlevel5ですのよ?あなたなど一瞬で片付けてしまいましょう。」
「南乃!あの侵入者の女を動かなくなるまでナブってやりなさい。殺してしまっても構いませんわ?」
「...はい。ゴメンね、弥遥...」
「南乃ちゃん、やめて!」
「第一結晶。空間結界!」
「!!」
行方の周りの空気が、まるで生き埋めになったかと思うほどに固まった。普通では身動き1つ取れないだろう。
「重複結晶、鋼化物質。......アタシのせいで...ゴメンなさい...。」
「す、鈴科さぁぁぁん!!」
南乃は近くに落ちていたコンクリートの支えの鉄芯を持つと、それを思い切り行方に振り下ろした。
ただの鉄芯ではない。原子レベル最大限まで結束力を高めた棒は、当たれば即死するほどの攻撃力を持っているだろう。
「不憫な侵入者さん?せいぜい、この場にlevel5の能力者がいた事を恨むのね。」
メキイイィィィィ!!
「?!」
最大まで強化した鉄芯が、針金を曲げるかのようにグニャリと曲ってしまう。
「あ、あなた!一体なんなのよ?!攻撃を受けてるのに効かなかったり、へし折ったりして...!!」
怒りは時間が立って落ち着くと笑いに変わる。そう、笑いに変わる。
ニタァ
「さぁーて、ここで問題です。」
「ア、アタシの鉄芯が...」
「な...何なのよ...?」
「学園都市最強のlevel5であるこの私、通行禁止(アクセラレーテッド)は...果たして何をやったのでしょう?」
行方は不気味な笑みを浮かべながら、質問を投げかける
「!!」
「!!...ア、アクセラレーテッド?」
「嘘......第一位...の...」
「あ、あれ?」
空間結界で縛って目の前にいたはずの彼女がいない。
「正解はぁ、ベクトルへんか〜ん!」
声のある方へ振り返ると、社長の肩に手を置いて社長の顔を眺める通行禁止の姿があった。社長は金縛りにあったかのように目を見開いたまま、緊張でまったく動かない。
学園都市のlevel5の情報は誰でも知っている。だが、外見を知るものが少ないだけだ。ゆえに一部は都市伝説化したものもある。
「...み...南乃...た...たすけ..な.さ...」
震える声を振り絞って出した言葉は、なんの意味も来さなかった。
バアァン!!!
通行禁止は全く動いていない。ただ社長は突然糸を引かれた釣られた魚のように空中を舞い、吹き飛ばされ瓦礫に突っ込んだ。
「す、鈴科さん!もうやめて!南乃ちゃんももう終わりにしよう?ね?」
目の前の光景に耐えきれなくなったのか弥遥は必死で二人に呼びかけた
行方は真っ直ぐに南乃の方へ歩いてゆく。そして、南乃の前で立ち止まった
「な、なんでしょうか。アタシは...」
パァァン!
「!み、南乃ちゃん...」
表情はいつのまにか無くなっていた。これからどうすべきか、強者には強者が教えてやる必要がある。この平手打ちは、大切な友人に裏切られた弥遥がすべきだったかもしれない。
「あなたは自分を何だと思っているの?」
「ア...アタシは...その...」
「学園都市の頂点、level5の1人でしょう?」
「......え?」
「その最強であるlevel5が、どうして人の言う事なんか聞いて生きていかなければならないわけ?!」
「......ほぇ?」
「あぁ!もう!あなたは持ってるでしょう?どんな相手であろうが黙らせて理もルールも全て支配する力を!」
「恩義?居場所?そんなものはどうでもいいの!一番大切なのは...!」
「でも...!でも私を必要としてくれたのは!」
「あーもー!じれったいなぁ!!要するにクズなんかにペコペコするなってこと!能力さえあれば他の物はなんだって芋づる式について来るんだから!
金だって下僕だって豪邸だって!それに、やることもあるでしょう?学園都市を恐怖に陥れて支配したり支配したり支配したりとか、最強無敵のlevel6目指すとか!」
「プッ...アハハハハハッ!」
「///な、何がおかしい?」
「なんだか悩んでたアタシがバカみたいだなーって」
「最強は悩まない!考えて戦うのは弱者のやり方よ?いつどんな時に何が来ても跳ね返す強さを持たないと!!」
「ハハッ!跳ね返す能力はあなたしかできないじゃないですかぁ〜。」
「ん?じゃあどうして鈴科さんは私や南乃ちゃんを助けたんですか?」
ギクッ!
まさか借金を返すための報酬目当てで助けに来たなんて今更いえやしない...いえやしないよ...
「いや、それはその......頼まれて...」
「へぇ〜、頼まれて動くのはOKなんですか?」
南乃がしてやったかのように行方の顔をのぞき込む
「いいの!」
「............ろせ...!」
「?!」
瓦礫に埋もれていた社長が額から血を流しながらふらついて立ち上がった
「こ......殺せ!殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ!!南乃ぉぉ!そいつらを殺せぇぇぇぇぇ!!!」
「.........はぁぁ?ザコが何アタシに口きいてんの?」
「...なん...だと?」
「能無しはアンタだよぉ?このババァーー!!」
まるで近所のおばさんをからかう子供だ。まぁ8歳ならバリバリの子供だが。
「ぐっ......貴様...!!!...いいだろう!もう少しで我が社の別動隊がくる!そしたら貴様らなぞ!!」
「来るの?ここに?ねぇ、オバサンさぁ、壁の穴から外見てみれば?」
?なんのことであろうか。南乃と弥遥も反対側の穴から外を覗く
「...ふん、何を言って...普通に私の本社ビルと施設が見えるだけ............」
「.........え?」
確かにとなりに隣接する本社ビルや周りに位置する施設は見える。
だが、
その向こう側に...
...雲が見えるのである。
「......は?雲だと?いったいどういう...」
よく見てみると、会社の敷地以外の場所すべてが雲に覆われているのだ。
「なにこれ?!弥遥!まるで船みたいになって...」
船?
そう、
今この施設やビル界隈すべては
地面ごと根こそぎ空中に浮いているのだ
自分でも書いててゴチャゴチャになりそうです(笑)
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