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side:サクヤ
「なんで俺のもとに・・・」
床に落とされたギャレンバックルを睨む俺。
元自分であった存在を睨むというのは複雑な思いだったが、何より今はこれが憎たらしく思った。ようやく戦いの日々から離れられた。かつて俺が戦っていたわけではなかったが俺としてはいつも橘朔也と戦っている気だった。
それにここに、俺に送られた以上俺にギャレンになれと言っているように感じた。
しかし俺にとってギャレンとは橘朔也である。俺自身の不備や橘自身の精神面から弱体化する、ピーコックアンデットに漬け込まれる、ギャレンバックルの最初の装着者である桐生への後ろめたさで戦意を失うなど色々あった。しかしあの男は乗り越えた。俺が代わりを出来るほどあの男は並ではない。
そもそも送ってきたセロと言うこの男を俺は全く知らない。
「セロ・H・・・、sero・H。s・e・r・o・h・・・・・、並び替えるとhorse、馬? クロウってカラスか? 馬と鴉。鴉と馬・・・・、鴉馬・・・・・、烏丸!」
烏丸・・・・、ぼんやりではあるが自分なりに解読した名前に俺は心当たりがある。いやありすぎる。
烏丸啓・・・・、俺を作った人類基盤史研究所BOARDの所長だ。
「なんで烏丸所長が。あの人は生きてるはずだったが・・・、まさか!」
俺は急いでもう一つの荷物が置かれている一階のマンション入り口に向かう。
箱に妙なレバーが見えた。レバーを引くと箱が四方に開く。
「レッドランバス・・・」
中にはギャレンのマシン、レッドランバスが。
「本格的にギャレンになれって言ってるな」
ランバスのモビルラウザーにレッドランバスのカードを通してみると一瞬で変形し、市販のオフロードバイクに変形する。
とりあえず俺は他の住民の邪魔になると思いレッドランバスだったオフロードバイクを駐輪場に起き自分の部屋に戻った。
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自宅
俺は椅子に座りコーヒーを飲む。そして相変わらず床に転がるギャレンバックルを見つめる。
「・・・・・複雑な気分だな・・・」
前世にあたる存在が床に転がっておりそれを見下す自分。なんとも奇妙だな。
しかし流石にこのまま放置は情けなく感じる。
元自分が・・・。
「ったく・・・」
拾おうと椅子から立ちバックルに歩み寄る。
その時床に落ちたままのラウズカードで滑った俺はそのまま後ろに転び綺麗な形で床に後頭部を叩きつける。
「%※Ⅱ∀◇☆%〇♪〜〜〜!」
痛い・・・。
しかもそのカードはカテゴリーエースのカード。
まさかこんな形で反撃してくるとは・・・。
悶絶しながらバックルとカード達を拾い俺はテーブルに置く。
「・・・・なんだか疲れたな・・・」
ギャレンの荷物が届くわ後頭部を叩きつけるわでなにやら凄まじい疲労感を感じた俺は適当に夕食を作り入浴、9時には眠りについてしまった。
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翌日
明日から俺は音ノ木坂の教師だ。今日は世間一般から見れば春休み最後の日にあたる。
「今日はまぁ街に行ってみるか」
俺は年相応の格好をして玄関から出ようとドアノブを握る。
胸ポケットには歩きながら読もうと考えて入れている文庫本が。
ふとテーブルを見るとギャレンバックルはまるで「持っていけ〜〜〜」と言っているように感じた。
「・・・・・使わずに済むことを祈るか」
俺は靴を脱ぎテーブルに歩み寄るとバックルとカード達を掴む。そして自宅を後にした。
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Side:穂乃果
「ん〜〜〜〜、いい天気〜〜〜♪」
穂むらの前で伸びる私【高坂穂乃果】
最後の春休みだけど明日から私は二年生!
後輩さんが出来たり修学旅行があったり学祭もあったりでも〜〜〜〜楽しみ♪
「とりあえず今はお母さんから頼まれた水撒きを終わらせてことりちゃんや海未ちゃんと遊びに行こ〜〜〜と♪」
鼻歌を歌いながら水を撒く私。
そしてその鼻歌の最後の盛り上がりで私は柄杓を振り回したんだ。
コ〜〜〜ン
「がっ・・・」
「あれ?」
そしたらなんだか物に当たって気持ちいい音とうめき声が聞こえたの。
声の方を向くと本を落としておまたを抑えながらうずくまる男の人が。
「もしかして私・・・」
私まさか柄杓で男の人のあそこを・・・。
は、恥ずかしい〜〜〜!
「す、すいません!」
私は頭を下げた。だけどそのまま水が沢山入った手桶から水が男の人に・・・。
「・・・・・」
「こ、これはなんのプレイだ・・・」
「・・・・・すいませ〜〜〜ん!」
すいません〜〜〜!
とりあえず今私に出来ることは頭を下げることだけだよ〜〜〜〜!
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side:サクヤ
「本当にごめんなさい!」
「すいません!」
貸してもらった服を着て頭をタオルで拭く俺に先ほど俺のアームストロング砲に強烈な一撃を叩き込み水攻めまでした少女の母親らしき女性と当の本人が頭を下げる。
「気にしないでください。俺も本を読みながら歩いたからこんな目にあったんですし」
事実避けられなかったのは俺が集中してたせいだ。
幸い被害は文庫本ぐらいだ。
「そ、そうですか? そういってもらえると・・・」
「こら穂乃果! すいません。この娘おっちょこちょいなところがありまして」
「気にしないでください。女の娘は少しおっちょこちょいなくらいが可愛いですから」
俺は笑顔で少女の母親に弁解する。
反面穂乃果と呼ばれた少女は照れくさそうに頬を赤くする。
何か言ったか俺?
とりあえず口説いてると思ったのか厨房の影からこっちを殺意剥き出しに見ているあの男性を何とかして欲しい。
「あらお父さんったら。ごめんなさいねぇ。なかなか娘離れできなくて」
母親は礼をすると父親らしき男性と厨房の奥へ。
「なんだったんだ?」
「さぁ? そういえば橘さん最近引っ越してきたんですか?」
「なんでそう思う?」
「いや、なんとなく・・・」
「まぁその通りだね。それどころか日本に来たのも最近だ」
「そ、それじゃあもし良ければ私、この辺りを案内します! お詫びってわけじゃないんですけどせめてそれぐらいは・・・」
「ありがとう。またいずれお願いするよ。とりあえず今日は約束があるんじゃないか? そっちを優先した方がいい」
「な、なんでわかるんですか?」
目を見開く目の前の少女。
確か穂乃果と言ったか。なんともリアクションの大きい娘だ。
言うと悪いが事実こういう単純な性格の女子は明日から学校というと最後の1日は友達等と遊びに行こうと考えるだろう。
「でもやたらさっきは上機嫌だったね」
「そりゃそうですよ! 明日から学校ですもん。私学校大好きなんです! 勉強とかテストは難しいですけど友達が沢山いますしイベントもあるし」
ここまで学校が好きな女子高生は珍しいな。
しかしこの笑顔を見るとさっきのことも忘れ、むしろ困らせた自分が悪役に感じる。
♪〜〜〜
すると玄関からベルが鳴る。お客の様だ。
「あ゙! 時間時間〜〜〜! それじゃあ橘さん、今日は本当にごめんなさい!」
「気にしなくていいよ。それより速く行かないと。友達待たせちゃいけないぞ」
「はい! それじゃあまた!」
廊下を滑りつつ玄関に向かった穂乃果。とりあえずパンツが見えかけたが面倒な展開が待っていそうなので言わずにした。
〜〜〜〜数時間後〜〜〜
穂乃果のお母さんが乾燥機を回した上天気も良かったがため直ぐに乾いた服に着替えた俺は夕方の秋葉原を歩いていた。
事実かかった水も極端に多いわけではなかったからこそこんなに速く乾いたのだろう。とはいえ今日またあんな痛い思いは味わいたくない。
少なくとも今日1日は静かに済んでもらいたい。
しかしそんな俺の希望はスマートフォンの中に入ったアンデットサーチャーの音で簡単にぶち壊された。
ご丁寧にももらったSDカードの中のアプリであったアンデットサーチャーが翌日いきなり働くとは。
何か悪い霊が憑いているのか?
とりあえず俺はアンデットサーチャーを元に走り出す。
近くには人間の反応が三人。かなりの低確率とは思うがさっきの穂乃果達も三人組。
最悪のことを考えてゾッとした俺は走りながらスマートフォンを操作、アンデットサーチャーと同様に手に入れたレッドランバスの遠隔操作のアプリをタッチした。
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side:海未
な、なんなんですかあの怪物・・・。
夕方人気のない道を歩いていたら見たこともない怪物が。
しかも怪物は私達と目が合うなり襲い掛かってきて・・・。
「「はぁ、はぁ、はぁ・・・」」
そして私は穂乃果やことりと物陰に隠れて息を潜めて怪物が去るのを待ってます。
怪物は周りを見渡しながらもそのまま立ち去ってしまいました。
「な、なんだったんですかあの怪物・・・」
「わ、わからないけど怖かったよぉ〜〜〜」
「た、助かったのかなぁ」
涙目になることりと穂乃果。
い、いけません。二人は私が守らなくては!
穂乃果はともかくことりは・・・・、いえ二人ともどこか頼りないですし。なんとか出来るのは私だけです!
「シャアアアアア〜〜〜」
その時妙なうめき声を聞いた私達が振り向くとさっきの怪物が。
「ひっ・・・」
「ほ、穂乃果ちゃん・・・」
二人を後ろに私は棒を手に立ちますが、・・・・・怖いです。思わず粗相をしそうなまでに・・・。
「シャアアアアア!」
うめき声から一気に雄叫びをあげる怪物に私達は震え腰が抜けてしまいます。
む、無理です・・・。怖いです・・・。
「キシャアアアアアアア!」
そして爪を振り上げる怪物。
「「「きゃあああああ!」」」
私達は思わず目を閉じてしまいます。
だ、誰か!
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side:サクヤ
レッドランバスに乗った俺は挨拶がてらそのまま少女達に襲いかかろうとするアンデットに体当たりする。本当にギリギリだった。
「・・・・あれ? 生きてる? た、橘さん!」
まさかの低確率が当たった。襲いかかられたのがこの娘たちとは。
「無事みたいだな」
ヘルメットを外し三人に駆け寄る。
「こ、怖かったよ橘さ〜〜〜ん!」
「「うわ〜〜〜ん!」」
俺に抱きつく三人。
や、やめろ! 髪で鼻がムズムズする。それに女らしい身体の柔らかさが・・・。
「!」
その時俺は気配に気付き振り向くと立ち上がり歩み寄るアンデットが。
姿からしてアルマジロの祖【アルマジロアンデット】だろう。
「ちょっと下がっててくれ」
俺は三人の手を振りほどく。この状況では不安になるのも分かるがかなり強い力で抱きついているためちょっと苦労した。穂乃果はともかく他二人の少女も。
俺は三人を庇うようにアンデットの前に立ちながらギャレンバックルにカテゴリーAのカードをスロットし腰に当てる。バックルから銀のベルトが伸び腰に巻かれ待機音が鳴り続く。
事実俺自身が戦うのは初めてだ。しかし俺がやらなければ俺もこの娘たちも・・・。
「た、橘さん?」
穂乃果が不安げに見るのを背中に感じながら俺は左手をかざす。
「君達は俺が守る。変身!」
『ターンアップ!』
そして右手でバックルのハンドルを引くとターンテーブルが回りダイヤマークが現れると共にオリハルコンエレメントが展開される。
俺は走ってオリハルコンを通過、身体をギャレンアーマーが纏いながらアンデットに殴りかかる。
「はぁ!」
殴られ吹き飛ばされるアンデット。
俺はふと建物のガラスを見る。
そこには俺であって俺でない異形の鎧の戦士、【仮面ライダーギャレン】が映りこんでいた。
振り向くと穂乃果達が唖然としながらこっちを見る。
「・・・・・さっさと片付けよう。明日からは仕事があるんでな」
俺は視線を移すと駆け出し再びアンデットに殴りかかった。