投稿空いた上に新作で申し訳ない。
一話目は内容薄いです。
「……………眩しい。」
彼(彼女?)の名はガヴァン。
歳は286歳、性別は彼自身にしか分からない。
百年以上前に複数のヴァンパイアハンターを相手に致命傷を負ったものの、何とか生きながらえたしぶといヴァンパイアだ。
どうやら彼は自室のベッドで目覚めたようだ。
百年前はさぞかし立派な屋敷だったであろうその場所は、今や廃墟も同然のボロ屋に変わり果てていた。
「眩しい?眩しいって事は…光を浴びてるって事…だよね…?」
廃墟と化した屋敷の壁には大きな穴が空いており、その穴から陽光が差していた。
「光…太陽光…?」
ヴァンパイアにとって最大の弱点は太陽の光。
ヴァンパイアは陽光を浴びれば一瞬にして塵になるという弱点を背負って生きているのだ。
自身が太陽の光を浴びているのだと理解したガヴァンは、少しづつ目が覚めていき、目が覚めるにつれてその恐ろしさを理解して青ざめた。
「…ぴゃー!!」
変な声を出し、慌ててベッドから飛び起きた。
「無理!死ぬ!太陽光は死ぬってぇ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあれぇ死んでないんだけど?」
目が覚める前から既に太陽光を浴び続けているし、目が覚めたからと言って何か変わる訳でも無い。
そしてよく見ると、ヴァンパイアが苦手とする銀製の武器が腹に刺さっている。
「太陽光が熱くない…力が入りにくいけど死にはしないし…銀の武器もそこまで痛くない…。あ、いややっぱ痛いわこれ。」
どうやら彼が眠りについている間に、ヴァンパイア特有の弱点に対して耐性がついたようだ。
これは彼が持つスキルの一つ「免疫力」のスキルによる効果と考えられる。
属性のある攻撃や毒・病気等を継続的に受け続けることでそれらに対して耐性がつくという彼の固有スキルだ。
「太陽光と銀製品に対しての耐性って事は光属性全般に対する耐性だよね…太陽光が効かないなら大体の光魔法は無力化したも同然って事か…ん〜何か出来そうと思ったけど何も思いつかないし何かお腹すいてきたなぁ。昔の事よく思い出せないけど多分私しかいないんだよなこの屋敷…。」
屋敷内を見て回ったが、案の定誰もいない。
食事を用意してくれる召使いなどいないし、不気味な廃墟に自分から入ってくるような愚かな人間もいない。
「うーん…まだ昼間だし寝起きで血液は胃もたれしそうだしなぁ…近くの森に食べれる果物とか無いかなぁ。」
ガヴァンはいくつかのヴァンパイア種族の中でも、血液以外を食事として食べることが出来るという珍しいタイプのヴァンパイアだ。
森に出て果物を食べる事でも空腹を満たせるし、小動物の血を吸い取ることもできる。
昼間から外に出られるので、とりあず外へ食料調達に出ることにした。
「うーん…深く考えずに出てきちゃったけど…確か人間って森の中まで魔物狩りに来る事もあったよなぁ…冒険者だったっけか?魔法とかも使ってくるし今は出会したく無い相手だよなぁ…。」
そんな事を考えていた矢先。
カサカサッと近くの茂みから音がした。
「ふえぇぇぇ余計な事言わなきゃ良かったぁぁぁ!」
恐る恐る物音のした方へ向かって行く。
ウサギかヘビかはたまた人間か、その場所にいたのは。
「人間の…女の子かな…?」
一人の少女だった。
「え、これは食料調達ラッキーって喜ぶべきなのかな?でも死にかけてるっぽいし…助けたらお礼に何か教えて貰えるかも…。」
「……けて……。」
「ん?」
「たす…けて…。」
「あー…これは流石に食べる気にならないなぁ…。」
「た…すけ…て……。」
「仕方ないか。今はこういう事避けたいんだけど、何かほっとくのも気が引けるんだよなぁ。チクッとするけど我慢してね?」
そう言うとガヴァンは自分の指を少女の背中に突き刺した。
そして、トクトクと自身の血を流し込んだ。
これは彼の固有スキル「血の契約」の発動条件を満たすためである。
相手に血を与える事で自身の下僕にする代わりに、身体能力をそれなりに強化するという効果のスキルである。
これにより生命維持能力が上がり、少しだけ元気になった。
「たす…かった…?」
「まだ安心は出来ないね。栄養のある物を食べた方がいい。見たところ随分と痩せているみたいだし、まずは果実の汁でも飲んで体を休めた方が良いよ。」
無論、ガヴァンに医療的な知識など微塵も無いのでてきとうな事を言っている。
しかし、実際「血の契約」のおかげでかなり状態は良くなっていたので、しっかり栄養補給を行えば助かる可能性は高いと言える。
ひとまず屋敷に連れ帰り、森で集めた果物を握り潰して果汁を器に入れる。
少女に素手で絞った果汁を飲ませてやると、疲れてしまったのか眠りについた。
翌日、少女はガヴァンのベッドの上で目覚めた。
「おや?目が覚めたみたいだね。大丈夫?」
「…誰ですか?」
「…ァッ。」
ショックのあまり変な声が出た。
「一応命の恩人なんだけどなぁ」とは言わずに会話を続ける。
「私の名前はガヴァン。誇り高きヴァンパイアであり君の命を救った者だよ。」
「命を救った?てことはあの酸っぱいの飲ませたのもあなたってこと?」
「あ、ごめん酸っぱかった?砂糖とかあったら入れたんだけど。」
「まあ、助けてくれてありがとうございます。それで、私は何をすればいいの?」
「ん?君はそこで寝てなよ。」
「いや、そうではなくて。いや休ませてもらえるのはありがたいんですけど、私は誰と戦えば良いの?」
「いや、別に戦えってことは無いけど。何?戦うの好きなタイプの子?」
「いえ別にそういう訳ではな無いんだけど…でも私は戦う相手がいないと用済みなんですよね?助けてくれたってことは誰かを倒してほしいって事で…。」
「……その話詳しく聞かせてもらおうか?」
ガヴァンは目の色を変えて聞いた。
「私は戦うためにこの世界に連れてこられたって聞いて、頑張って魔王を倒して国は平和になったって聞いて、それは嬉しかったんです。でもその後私はもう用済みだからって、国を追放されたんです。途中で色んな人に会ったけど、誰も助けてくれなくて、助けてもらったって事はまた私が必要になったって事で…。」
「なるほど、召喚された人間という事か。眠りにつく前に聞いた話だと、数人の魔導師がいれば異世界から人一人呼び出す程度は簡単だと聞いた。そして異世界人は転移と同時に強力なスキルを手に入れるとも聞いたな。容易に呼び出せる強力な戦力ってわけか。」
一部の国では異世界から召喚された人間を、本人の合意無しで戦士にする行為は犯罪であり、まして子供を戦地に送るなどあってはならない事。
しかし、ガヴァンの屋敷のある大森林の近くにある王国では、そういった非人道的な行為を国絡みで行っているのだ。
「あの国の国王はまだそんな事やってたのか。私が眠っている間に一世代ぐらい入れ替わっているだろうが、一族代々人の心を持たない連中というわけか。彼女に殺させた魔王というのも別に殺す必要のない魔物だったに違いない。」
実際、ガヴァンの読み通り倒された魔物は魔王と呼ばれるほど恐ろしい存在でも無く、人と魔物の和解を求めて活動していた一人の若者だった。
「さて、そういえばお嬢さんの名前を聞いてなかったね。お名前は?」
「アサヒです。勇者アサヒと名乗るように言われてました。」
「アサヒちゃんか。よし分かった。君は今日から私の家族だ。私の血を分け与えた家族のために、国王と『話し合い』をする必要がありそうだ。」
ガヴァンの言う話し合いとは何なのか、アサヒには想像もつかない。
だか、目覚めたばかりのヴァンパイアと病み上がりの少女一人では国王と『話し合い』をするのは難しいだろう。
「仲間、集めた方がいいかもな。」
ガヴァンはとりあえずの目標を立てて、そのために仲間を集めるという方針を決めたのだった。
本編で語られない設定を語ろうのコーナー
ガヴァンは150年程前にヴァンパイアハンターの襲撃を受けて、回復の為に長い眠りにつきました。
長い眠りと何らかの要因が合わさった結果、記憶の一部分を失ってしまいました。
ちなみに性別はわざと決めてないので読者の好きな性別で考えてください。