ホロメンとの高校生活 作:主義
うちの学校では…5月の下旬に体育祭が行われることになっているのだ。だから、進級して初めてクラスで力を合わせるのが体育祭なんですよね。そしてうちの高校の一番の特徴は…三日で体育祭が行われるということ。普通の学校では一日で終わる学校が多いんじゃないかな。まあ、これには中高一貫で同時に行われるからという理由もある。
もちろん、クラスで出場する競技なども決める。僕としては決して運動神経が良い方ではないのであまり協議には出場したくない。
それでも家の学校では最低3種目に出なければいけない。クラスでもかなり活発的な方の人たちは盛り上がってはいるものの…僕は自分の席から動く気になれなかった。これからの時間はかなり憂鬱になるのは決まったこと。
後ろから視線を感じて振り向くと湊さんが僕の方を見ていたらしく、振り向くと同時にあからさまに視線を外した。
「湊さんも体育苦手でしたよね」
「…う、うん…」
「僕と同じですね」
「…うん」
「でも絶対に3種目出ないといけないんですよね」
「…う、うん」
さっきから湊さんは『うん』としか言わない。あんまり話し掛けてこないで欲しかったのかも。
「ごめんね、急に話し掛けちゃって」
湊さんとは席が近くなって話す機会はあったけど…そこまで話していない。話し掛けてこないで欲しいオーラのようなものが出ていた気がしてこっちからはほとんど声を掛けられなかった。大空さんとかとは楽しそうに話しているから、話したくないとかではないと思う。でも、異性と同性で違うからな。
体を前に戻して、黒板に書かれる種目を眺める。どの種目だったら一番疲れないかなぁ。あんまりクラスに迷惑を掛けたくもないし…。
すると何か背中をツンツンとされた。最初は別に気付かない振りをしていたんだけど、一向に止むことなくて、さすがに振り返ることにした。
「ど、どうしたんですか?湊さん」
「………た、たいいく、にがて?」
消え入りそうな小さな声で湊さんに僕に問いかけてきた。
「はい。そうなんですよね。昔から体力だけはどうしてもなくて…」
「そ、そうなんだ…」
「…はい。出なくていいんだったら絶対に出ないんですけど、そうもいかないですもんね」
「…う、うん…」
「湊さんて、なにか不得意なものをやる時にご褒美とかってつける人ですか?」
「…つ、つけないかな」
「そうなんですか。僕は付けるようにしているんです。少しでも自分のやる気を出すために…」
「た、たとえば…?」
「例えばですか…。中学校の頃だと在り来たりですけど、欲しかったゲーム機を買おうとかですかね」
全部、自分のお年玉から買うんだからいつでも帰るんだけど、こういうご褒美として買うと何か格別なものがある。
「…ご、ご褒美…」
「今、湊さんが欲しいものってないんですか?」
欲しいものがあればそれをご褒美にして体育祭を頑張れるかもしれない。
「欲しいもの……おすし?」
「お、お寿司ですか!?」
まさかの回答に僕も驚いてしまった。
「…う、うん…」
「それは食べたいってことですか?」
「うん」
「……じ、じゃあ…食べますか!」
「え?」
「二人きりだと嫌だと思うので百鬼さんや大空さんを誘って、体育祭が終わったらお寿司屋さんに行きましょう!あんまりお金ないですけど、湊さん一人分ぐらいなら僕も奢れますし」
さすがに僕の方からご褒美とか聞いちゃったし、女性一食ぐらいなら奢れなくもないし。
「さ、さすがにそれは…」
「大丈夫です!!それに最悪、湊さんにお金を渡すので皆さんと食べてきても良いですし」
女性だけで食べてきた方が遠慮なく食べられるかもしれないですしね。それに湊さんとはあんまり話したことがないのに一緒にご飯を食べに行くのはまだ早いと僕も思うし。
「い、いや、そういうことじゃなくて…」
「大丈夫です。二人で頑張って体育祭を乗り越えましょう!!」
「…お、お~…」
そしてこれから体育祭が始まる。