ホロメンとの高校生活   作:主義

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席替えをする主人公

 

どんな学校でも席替えは絶対にあることだと思う。でも、それはあくまで楽しそうな雰囲気の元で行われるものだと僕は思っていた。でも、僕の周りの席の人たちの現状を見るだけでも異様なのは分かる。

 

まず僕の前の席の大空さんは神頼みでもするかのようにずっと祈り続けている。それだけならまだ普通にある光景かもしれないけど、大空さんは何かお経のようなものをずっと小声で唱え続けている。

 

 

そして斜め前の癒月さんはずっと満面の笑みで僕のことを見て来る。最初の頃は別に気にしていなかったんですけど、さすがにずっとこっちを満面の笑みで見て来る人に恐怖すら少し感じちゃう。

 

 

 

その次に右隣の百鬼さん。百鬼さんはずっと「隣」と唱え続けている。それが僕の方まで聞こえてくるぐらいの音量で口にしている。

 

次は右斜め後ろの紫咲さん。彼女は呪文を整えているようで…何か周りに変な詠唱のような文字が浮かび上がっている。

 

最後に後ろの湊さん。湊さんは全ての指に赤い糸のようなものを巻き付けている。そして大空さんとは違ってずっと手を合わせて目を瞑っている。

 

 

 

 

こんな人たちに囲まれている、僕の精神状態は少しおかしくなりそう。普通の席替えの雰囲気とはどう考えても違うんですよね。

 

 

うちの担任が来て「これから席替えを始める」というとクラスは盛り上がっているが、僕の周りの5人に関してはずっとそれぞれのことに集中している。

 

うちの席替えはくじ。先生がくじを作ってきてくれてそのくじを引いて書いてある番号の席に座る感じ。全員が引き終わるとどの番号がどの席なのかを発表する感じなので…早く引いても自分の席が分かるのは全員同じ。でも、番号が若いから前とか、番号が後ろの方だからと言って後ろとかはない。番号はかなりランダムで30番と書いてあっても教卓の前の可能性もある。

 

 

窓側からくじが回されたので僕はそれなりに早い方。大空さんの次なので2番目。僕は適当にくじを引いて、後ろの湊さんにくじ箱を渡す。

 

湊さんは必至に手を合わせて何か願いを小さな声で話している。そして意を決して手をくじ箱に突っ込み、勢いよく引く。

 

「そんなに…席替えに掛けているんだなぁ」

 

自分的には席なんてどこでもいいと思ってしまう。まあ、後ろだと眠りやすいけど別にどこでもそこまで変わりない。

 

 

くじを開くとそこには…10と書かれていた。

 

10かぁと思っていると急に大空さんが振り返ってきた。

 

「キミは何番!?」

 

 

「ぼ、ぼくですか…?」

 

 

「うん!」

 

 

「僕は10番ですよ」

 

それを聞くと大空さんは考えるような素振りを見せてまた前に向き直る。さっきのはなんだったんだろう。

 

 

 

 

 

そして全員が引き終わって…席が発表された。そして僕の10番は廊下側の一番後ろの席。かなり引きは良い方かなぁと思っていると…周りの5人が魂を失ったかのような顔をしている。

 

「だ、だいじょうぶですか!??」

 

 

「…だ、だいじょうぶ…余」

 

「す、すばる…だめ」

 

「だ、だめだったぁ」

 

「ここまでしたのにぃ」

 

「私も…だめだったわ」

 

 

余程、本人たちが望む席ではなかったんだろう。

 

 

「今日までありがとうございました!皆さんと席が近くてとても楽しい時間でした!」

 

そして最後の挨拶を済ませて僕は席を移動させる。

 

 

 

「こ、こんどこそ…あてぃし」

 

「余だって次こそ」

 

「ス、スバルも!!」

 

「私だって負けないわよ」

 

「シオンだって!」

 

 

 

―――――――――――

 

それから数日後

 

「今日の1限の授業ってなんだったけ?」

 

「も~キミは忘れっぽいんだから。1限は現代史だよ」

 

「あ、ありがとう!」

 

 

新しい席に馴染め始めた。だけどいつも隣の女子生徒と話すときは鋭い視線を感じる気がするのは気の所為かな。




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