ホロメンとの高校生活 作:主義
人の匂いというのは簡単に消えるものではない。香水などをすれば誤魔化すことは出来たりするが、やはり人それぞれに匂いというものはある。
そうそれは本人が使ったものには…余計に。
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最近、私物が無くなる事が増えた。別に特段気にするようなことでもないと最初の頃は考えていたんですが、さすがに色々と無くなり過ぎる。
ハンカチにシャーペン…しまいにはYシャツ。自分でも体育の時に脱いで仕舞ったのを覚えているんだけど、その後の行方が全くと言っていいほど分からない。そしてどこを探しても見つからないので買うことになった。それからYシャツを何個か予備を用意するようになりましたね。いつ無くなっても大丈夫かのように。
そして今日はその体育の授業がある日。念には念を入れて二枚もYシャツを持ってきた。
「あ~先輩~~」
「…風真さん、こんにちは」
「こんにちはでござるよ~~先輩はこれから体育の授業ですか?」
「うん。そうなんだ」
「頑張ってくださいでござる!」
「ありがとう…」
そして僕はグラウンドへと足を進めた。今日の授業は予想以上にハードで…迫っているマラソン大会の練習ということでかなり走らされた。元々、体力に自慢のない僕は倒れそうになりながらも必死に走り続けた。体操着は僕の汗が染みついてしまっていて…気持ち悪い。すぐにでも着替えたいような気分だ。
帰ると…そこにYシャツはなかった。本当に神隠しにでもあったかのよう。正直、もうYシャツが無くなったことに慣れ始めている自分が怖い。
「何でなんだろう…」
僕は代えのYシャツを着て更衣室を後にした。教室に戻り、自分の席に座ると前の席に大空さんが話し掛けてきた。
「どうしたんすか?なにか難しい顔をして…」
「…少し前から僕の使っているものがどこかにいっちゃって困っているんです」
「え、そうなんすか!??」
「うん。別に僕なんかのYシャツを欲しがるような人なんている訳はないし、でも勝手に無くなる訳もないですし。さすがに悩んでいるんです」
これ以上、無くなると本当にYシャツの購入代だけで月の小遣いが全て吹き飛んでしまう。
「そうなんだぁ…」
「はい。だから大空さんも気を付けた方がいいですよ。なんか神隠しのようなことが起こるので…」
「う、うん。そ、それにしても今日の体育、キツくなかったんすか?」
「キツいですよね。正直、倒れるかと思いましたから」
「そうっすよね。スバルもキツかったし」
それからSHRが始まるまでもうちょっと時間があるのでトイレに行くことにした。そして帰って来ると先生がちょうど教室に来たところだった。
下駄箱で風真さんを見かけて声を掛けようと思ったが、そそくさと帰ってしまった。
家に帰って初めて気づいたが、体育着もなくなっていた。もう本当にどういうことなのか分からない。もしかして更衣室にでもおいてきたのかな。
「一応、明日の朝、一番で確認にだけ行ってみようかな…」
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大空スバルの自室
「はぁ…やっぱりこの匂い…」
スバルがこの匂いの夢中になったのは…少し前。ただの出来心だったんす。でも、それをしたことがスバルを狂わせてしまった。それからスバルはこの匂いが大好きになっちゃった。これが悪い事なのはスバルだって分かっている。
「でも…止められない…本当にスバルは一体どうしちゃったんだろう」
それぐらいにこの匂いには中毒性がある。前までは週1で嗅いでいれば大丈夫だったのに…最近では3日に1度の頻度で匂いを嗅がないといけない。それほどまでにスバルはこの匂いに侵されている。
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同時刻
『風真いろは』は帰路に付いていた。彼女も学内では有名な人物でいつも刀を携帯している。そして~~ござるという語尾も有名。
そんな『風真いろは』は自室に着き、一息を付いてからカバンからあるものを取り出した。それはYシャツが出て来る。するとすぐにそのYシャツの匂いを嗅ぎ始めた。
「…いい匂い……。先輩の汗がしみこんで…」
もう先輩の匂いは…風真を夢中にさせる。今までこんなに誰かの匂いに執着するようなことをなかったでござる。でも、先輩の匂いだけは別。
「……ふぅ……やっぱりこの匂いはいい…これもコレクションに…」