この素晴らしい世界に漂流を   作:想いの力のその先へ

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第七話 パーティー募集と出会い

 あの後、圭は心労で気絶したクリスを背負って冒険者ギルドへ戻っていた。

 そしてギルドへ入ると、圭に、もっと正確にいうと背負われているクリスに気付いた騎士が興奮した様子で近づいてきた。

 

「おい、クリス! 大丈夫なのか!」

「クリスさんのお友だち?」

「あ、あぁ。わたしはダグネスという。あなたはたしか、ケイ、だったな」

「うん、祠堂圭。ちょっとクリスさんが気絶しちゃってて、ここに連れてくれば良いかなって……」

 

 クリスの気絶した原因であることを隠して、圭は当たり障りのないことを告げる。

 

「そ、そうか! うらやま――、いや、けしから――じゃなくて、感謝する」

「……いま、羨ましいって言った?」

「言ってない」

「けしからんって――」

「言ってない」

 

 また、濃いキャラがきたなぁ。と内心顔がひきつる圭。

 それはともかくとして、彼女は背負ったクリスを空いている席へと下ろす。

 ダグネスもまたクリスと同じテーブルへ座り、圭も念のため座った。

 

「それで、クリスになにがあったんだ?!」

 

 どことなくそわそわした様子で圭に尋ねるダグネス。その頬は紅潮しており、どう贔屓目にみても興奮が治まっていない様子だ。

 

「……えっと、なにがもなにも。ただ少し話してただけ、だよ?」

 

 なお、話し相手にアナーヒター。女神エリスの先輩がいたことについては当然黙っている。

 ただ、ダグネスにはそれだけだとは到底思えず――。

 

「……だが、それだけでここまでうなされるものなのか?」

 

 流石に怪しんでいた。圭が知る由もないが、ドMなことを除けば意外と常識人なダグネスはクリスを純粋に心配していたのだ。……同時にいつも飄々としている友人がうなされている原因を味わってみたい。という欲望がなくはないのだが。

 

 

 閑話休題。

 

 

 とにもかくにも、クリスのことについてこれ以上できることがなかった圭は、後の事をダグネスへ任せると別の席で突っ伏しているカズマとアクアのもとを訪れていた。

 

「二人とも、たそがれてどうしたの?」

「いや、それがな。圭――」

 

 カズマの説明を聞いて呆れる圭。今のパーティー、カズマとアクアだけでは火力が足りない。ということでメンバー募集をかけたのまでは理解した。のだが……。

 

「……いや、はじまりの街で上級職縛りって」

「だよな! 圭もそう思うよな?!」

「なんでよ! この女神のパーティーメンバーにふさわしいのが上級職なのは、自明の理でしょ!」

「「いや、それはない」」

「なぁんでよぉ――!」

 

 二人の突っ込みに吠えるアクア。だが、カズマたちからすれば、いくらなんでも高望みをしすぎだろう、というのが本音だった。

 これが魔王軍との最前線に近い王都などであれば上級職も多いかもしれないが、辺境の、しかも平和なアクセルで燻っている上級職など誰がいるんだ。と、考えるのが普通だ。しかし――。

 

「……あの、すみません」

「…………っ!」

 

 唐突に聞こえてきた()に驚き振り返る圭。その声は彼女にとってとても聞き覚えがあって――。

 

「みき――!」

「……は?」

「…………あれ?」

 

 自身の親友にして相棒、直樹美紀の声だと思い振り返った先、そこにいたのは……。

 

「えっと、人違いだと思うのですが……」

 

 日本でいう中学生くらいの黒髪に紅い目をして、いかにもな魔法使いっぽい帽子と杖を持った女の子であった。

 それで勘違いに気付いた圭は、申し訳なさそうに少女へ謝罪する。

 

「……あ、ごめんね。ちょっと声が私の知ってる人と似てたから」

「はぁ、そうですが……」

 

 それで圭の話に興味を失ったのだろう。彼女はカズマの方へ顔を向けると。

 

「それで、あなた方が上級職を募集してたパーティーですね?」

「あ、あぁ。そうだけど……」

 

 まさか、本当にきたのか。と狼狽するカズマ。いくらなんでも、あんな怪しすぎる募集に食いついてくる冒険者なんていないと思っていたのだから仕方ない。

 そんな彼に彼女は――。

 

「パーティーに参加したい、のですが、その前に……」

 

 ぐぎゅるるる、と大きな音がなる。それは少女の腹の虫であった。

 

「ここ二、三日まともに食べてなくて……。恵んでくれると助かります……」

「あぁ……。さっきのお詫びもあるし、私が奢るよ」

 

 その圭の提案にカズマと少女は曖昧な笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 さきほどまでの儚い様子はなんだったのか、がつがつと少女はテーブルに置かれた料理に舌鼓を打っていた。

 

「おいしいです……!」

 

 気のせいか、目も紅く光っていた。

 そんな、意外と健啖家な少女を呆然と見るカズマと圭。ちなみにアクアは便乗して頼んだしゅわしゅわを美味しそうに呑んでいる。

 そして満足したのか、少女は立ち上がると礼を述べるとともに自己紹介する。

 

「たしかケイ、でしたね。感謝します。そして改めて自己紹介と行きましょう」

 

 ぎらり、と光る目とともにどことなく思春期特有の病気を思わせるポーズをとる少女、そして――。

 

「我が名はめぐみん! アークウィザードを生業とし最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操りし者。汝らがこの力を欲するならば、力を貸し与えよう!」

「「――――は?」」

 

 めぐみん、と名乗った少女の奇行に目が点となるカズマと圭であった。

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