もし、〇〇〇が姉だったら   作:主義

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もし、スターアニマルが姉だったら

 

僕の姉さんたちはそれぞれ配信者として活動している。そして全員が同じ事務所に所属しているらしい。正直、姉さんたちの活動に関してはほとんど知らないんですよね。僕としてはあまり干渉しない方がいいと思っている。家族にも知られたくないようなこともあるだろうし、僕だって姉さんたちに言えないことだってありますしね。

 

主に配信は夜なので…話すのは食事の時ぐらい。高校にも通っているから離す機会はあんまりない。どうしても用事がある時はリビングにある『連絡ノート』に書いておけばお互いに話さなくてもお互いに必要に連絡が取れる。変にパソコンとかでメッセージを送っちゃって配信中だとかなり問題だしね。

 

 

 

 

 

 

 

そして今はリビングでテレビ番組を見ていると急に視界が真っ暗になった。

 

 

「だぁ~れだ」

 

この声色とこんなことをする人は見当が付く。

 

 

「…こより姉さんですか?」

 

 

「せいかい~~」

 

 

「…今日は配信いいんですか?」

 

 

「ううん。21時からやるよぉ~~でも、それまでは弟くんと一緒に過ごそうかなぁって」

 

 

「そうですか」

 

 

「うん!だってあんまり話せていないじゃん。こよりも弟くんの学校でのこととか聞きたいもん!」

 

 

「別に面白いことなんてありませんよ…」

 

 

「それでいいの。こよりは弟くんの学校でのことをただ聞きたいだけだから」

 

僕はいつもの日常を普通に話した。友達と他愛もないような話をしたり、部活でのことをやったりと本当に僕の高校生活を大まかに話した。こんなの退屈なんじゃないかと思って、たまにこより姉さんの方に視線を向けるとこより姉さんはとても楽しそうに聞いてくれていた。

 

そしてそんな話の中で唯一、こより姉さんが食いついたお話があった。

 

 

 

 

それは…コイバナ

 

 

「も、もしかして…弟くんにも好きな人とかいるの!?」

 

 

「…そ、そりゃあ…ぼくだって高校生ですし、好きな人は…い、いますよ…」

 

 

「え、つ、ついに……」

 

 

「な、なんでそんな驚いた顔しているんですか!?」

 

 

「だって弟くんって今までそんなことなかったし。てっきり、そういうものに全然興味ないんかなぁってこよりは思ってたよ」

 

 

「僕だって恋ぐらいしますよ」

 

 

「そ、そっかぁ……そうだよね……でも、こよりはいやだなぁ」

 

 

「え?」

 

 

「だってもし、弟くんがその好きな子と結ばれちゃったらこよりと話すこととか少なくなっちゃいそうだし。それにこよりも弟くんのことが大好きだからね!」

 

 

「………///」

 

本当にこより姉さんの弟でよかった。もし、弟じゃなかったら『好き』になっちゃうかもしれないし。

 

 

「顔赤くしちゃってとってもかわいい~~」

 

リビングの扉を開けて…死にそうな顔の姉さんが入ってきた。

 

 

「つかれたぁ~~」

 

 

「だ、だいじょうぶですか?クロヱ姉さん」

 

 

「う、うん…だいじょうぶ」

 

 

「あ、クロたん、良い所に!!」

 

 

「…こんこよ~~」

 

 

「弟くんに好きな子が出来たんだって!」

 

 

「あ、こより姉さん………ってどうしたんですか、クロヱ姉さん?」

 

何故か、クロヱ姉さんが金縛りにでも合ったように固まってしまっている。こより姉さんや僕が呼びかけてもピクリともしない。

 

 

「…ま、まじ!?」

 

 

「あ、はい…」

 

するとクロヱ姉さんは三回ぐらい深呼吸をしてから…涙目になって抱き着いてきた。

 

 

「やぁだぁ~~弟くんは沙花叉のだもん~~」

 

 

「ど、どうしたんですか?」

 

なぜか、僕の隣でこより姉さんは冷静に分析している。

 

 

「やっぱりクロたんは受け入れられないかぁ。まあ、それも仕方ないか」

 

 

「沙花叉の弟だもん!誰にも渡さないし!!ずっと沙花叉と一緒に過ごすの!!!」

 

 

「お、おちついてください」

 

 

「落ち着けないもん!!だって…沙花叉は弟くんのこと大好きだもん!!!他の奴のものになるとかマジで許せない!」

 

 

「…クロヱ姉さんのこと…好きですよ!」

 

 

「ほ、ほんと?」

 

 

「はい。もちろん、好きですよ」

 

 

「そ、そっかぁ…えへへ……///」

 

そしてやっとクロヱ姉さんは落ち着きを取り戻してくれた。まさか、クロヱ姉さんがこんなことになるなんて考えもしなかった。

 

少ししたら疲れたのか…自然とクロヱ姉さんは眠りに落ちた。

 

 

 

「たぶん、クロたんもこよりと同じで寂しかったんだと思うの」

 

 

「寂しかった?」

 

 

「うん。今までこよを含めて…姉弟はずっと一緒に生きてきたじゃん。どんなに辛いことでも、楽しいこともずっと一緒に味わってきた」

 

 

「そうですね」

 

僕たちの両親は…二人共、亡くなってしまっていて親戚と呼べるような人たちもいない。だから、今まで僕たちは姉弟はずっと共に生きてきた。

 

 

「だからさ…そんな弟くんがどこかに行っちゃうのはね。今までずっと当たり前に一緒にいたけど、いつかは弟くんも巣立つ日が来るんだと思っちゃったんじゃないのかなぁ…クロたんは」

 

 

「……まだまだ…先のお話ですし、そんなに気にしなくても」

 

 

「急に思っちゃうもんなんだよ。特に弟くんに好きな人がいるなんて情報を聞いちゃうとね」

 

 

「まだ付き合えてもいないんですよ」

 

 

「そうだけどね…」

 

 

 

 

すると今度は…ポルカ姉さんとスバル姉さんが一緒にリビングに入ってきた。

 

「だから、ポルカが悪かったって言ってるじゃん!」

 

 

「いや、スバルが悪かったって!」

 

なにか言い争いをしているようで僕たちのことなんて気にも留めていない。

 

 

「ポルカが悪かったって!」

 

 

「スバルが悪いの!」

 

 

「もうスバルは頑固!」

 

 

「いや、ポルカの方が頑固だろ!」

 

何で言い争いをしているのか知らないけど…今は関わらない方がいいかも。巻き込まれるだけは避けたいですし。

 

 

「「ねぇ、弟くん!」」

 

 

「は、はい…なんですか?」

 

それからお二人はなんで言い争いをしているのかを説明してくれた。説明してくれた内容をまとめると二人で配信をしていて、どうやら二人で協力するゲームだったみたいでお互いの息が合わなくて何度も失敗して最終的に成功しないで終わったらしい。そのことについてお互いに…自分の所為だと思って謝っているけど、相手も自分の所為だって謝ってきたことでかなりこじれちゃったみたい。

 

 

「…どちらも悪かったって言ってるんですし、それでいいんじゃないですか」

 

 

「え~スバルは納得できない!」

 

 

「ポルカも!」

 

 

 

 

「…僕は姉さんたちには仲良くして欲しいのでここはどうにか」

 

 

「…う、うん…。弟くんにそんな風に言われちゃったら仕方ないな」

 

 

「スバルも…」

 

なぜか、後ろでこより姉さんが拍手をしている。

 

 

「どうしたんですか?こより姉さん」

 

 

「いや、さすが弟くん。まさかこうも簡単に二人の言い合いを止めるなんて」

 

そんな拍手されるほどのことはしていないんですが…。ただ、僕はあんまり姉さんたちが言い合いをしているのは見たくないので仲良くして欲しいと言っただけですし。それにこのまま喧嘩されるとこっちにまで飛び火して…巻き込まれそうだし、その前に手を打っとかないと。

 

 

「そう言えば…弟くんとこよりはここで何してたの?」

 

 

「弟くんの学校での事とかたくさん聞いていたんです」

 

 

「へぇ…確かに弟くんが学校でどんな感じなのか、ポルカも気になるかも」

 

 

「す、すばるもきになる!!」

 

 

「…なんと…弟くんに好きな人が出来たらしいですよ」

 

また…こより姉さんがそれを言った途端に時が止まったようにポルカ姉さんもスバル姉さんも動かなくなってしまった。

 

そして次の瞬間…急に二人が抱き着いてきた。

 

 

「ポ、ポルカは…弟くんが…しあわせなんだったら…」

 

 

「す、スバルはいやっす!!」

 

 

「…な、なんですか…これ…?」

 

クロヱ姉さんの時と同じような状況。

 

 

「…で、でも…弟くんがいなくなっちゃうのは…ポルカ、寂しいなぁ…」

 

 

「スバルはいつまでも弟くんと一緒がいいっス!!ずっと一緒に居て欲しい!!」

 

 

「ぼ、ぼくはいますから!!一旦、落ち着いて下さいよ」

 

 

「…ポルカは…え、えがおでキミを見送れるように…」

 

 

「ス、スバルは…い、いやだよぉ…」

 

 

この姉さんたちは…まるで離れる感じもない。姉さんたちが僕のことを大切に想ってくれるのはもちろん、有難いし、嬉しいですよ。でも、どう考えてもまだ先のお話ですし。

 

 

「僕はいますよ。だから…スバル姉さんもポルカ姉さんも落ち着いて下さいね」

 

二人の姉さんの髪を撫でながら…僕は二人が落ち着くのを待つ。普通は姉さんが弟にするものじゃないのかなぁとか思ってたりもするけど…。

 

 

「大丈夫ですよ。僕は姉さんたちのことが好きですし、離れませんから」

 

二人が落ち着くまで数十分ぐらい必要だった。そして落ち着いたと同時にクロヱ姉さんと同じように眠りに付いてしまった。こより姉さんが言うには「安心して…疲れがどんと来たんじゃないのかなぁ」と言っていた。

 

 

「僕って…愛されているんですね」

 

 

「もちろん、こよも弟くんのことは愛しているよ」

 

 

「あ、ありがとうございます……///」

 

 

「でも…それと同じ位、弟くんには幸せになって欲しいの。素敵な人と結ばれて、順風満帆な生活を送って欲しい。そして幸せ過ぎて、こよたちが嫉妬しちゃうぐらいにね」

 

やっぱり本当に姉さんは…姉さんですね。

 

 

 

今度は急に誰かの叫び声が聞こえてきて…体がビクッとした。何かあったのだろうか。確認に行こうと思った瞬間に廊下からジタバタと音が聞こえてきて、勢いよくリビングの扉が開けられた。するとそこには、息が荒く立っている、すいせい姉さんの姿があった。

 

 

「…だ、だれ!?」

 

 

「ど、どうしたんですか?」

 

 

「だれが…すいちゃんのバックの中に昆虫の模型をいれたの!?」

 

 

「…僕じゃありませんけど…」

 

 

「こよでもない」

 

 

「じゃあ…そこに寝ている…三人の中の一人がすいちゃんのバックに…」

 

すいせい姉さんはすぐにでも犯人を見つけて問い詰めたいので三人のことを起こそうとするが、それを僕が止めた。

 

 

「気持ちよく寝ているので今日は起こさないでくれませんか?」

 

 

「…で、でも!」

 

 

「お願いします」

 

 

「…わ、わかったよ…」

 

今、やっと落ち着いて寝てくれたのでここで起こされるとまた再発されかねない。それだけはどうしても避けたい。

 

 

 

「何かあったの?みんな」

 

 

「あ、そら姉さん」

 

 

「なんかさっきすごい大きな声が聞こえたけど…」

 

 

「あ、それはすいせい姉さんが昆虫の模型にびっくりしてあげた声ですね」

 

 

「……昆虫の模型?」

 

 

「これだよ、そらちゃん」

 

そう言って、ちょっと悪い顔をした、すいせい姉さんが昆虫の模型をそら姉さんに見せる。

 

 

「………む、むしは…だめなんだって…」

 

 

「その気持ち分かるよ。そらちゃん」

 

すいせい姉さんもそら姉さんも虫が苦手なんですよね。それにしてもすいせい姉さんの声がこんなところまで聞こえてきたことが驚き。うちはさっきも言ったかもしれないけど、ほとんどの部屋が防音室。それを貫通してあの叫び声が聞こえてきたのなら…防音室がなかったらどんなことになっていたんだろう。

 

 

 

そんなことを考えていると…こより姉さんが二人に僕に好きな人がいることを伝えていた。

 

「え~どんな子なの!?」

 

「すいちゃんは許さないよ。弟くんのことを奪おうとするなんて」

 

明らかにすいせい姉さんの目は…ヤロウとしている時の目。肉食動物が獲物を見る時の目と同じ気がする。

 

 

「…い、いや……」

 

僕がちょっと、すいせい姉さんの目に委縮しているとそら姉さんが優しい笑顔を浮かべて、僕のことを見ていた。

 

 

「でも、キミが恋をするようになっちゃったんだね。時が流れるのは早いなぁ~」

 

 

「そ、そんなに僕が恋するのが不思議ですか?」

 

 

「…そういうことじゃなくて…キミも成長したんだなぁと思って」

 

 

「せ、せいちょうですか…?」

 

 

「うん!!」

 

やっぱり、そら姉さんはうちの姉さんたちの中で一番優しくて、清楚。でも、皆をまとめる力に長けている人なんですよね。

 

 

「す、すいちゃんはいやだよ。弟くんと一緒がいいもん!」

 

 

「すいちゃん…一旦落ち着いて」

 

 

「やだもん!!すいちゃんが一番、弟くんのことを大好きだし!!誰にも絶対に渡したくない!」

 

そら姉さんもさすがに困惑している。

 

さすがに二度目となると慣れてきて…すいせい姉さんを抱きしめて囁く。

 

 

「…僕はすいせい姉さんのことも好きですよ」

 

 

「…ほ、ほんと?」

 

 

「はい。だから大丈夫ですよ」

 

 

「嘘じゃないよね?」

 

 

「はい、嘘じゃないですよ」

 

 

「すいちゃんは嘘が一番嫌いだからね…」

 

 

「分かっていますよ」

 

そして、すいせい姉さんを落ち着かせてやっと…全てが終わった。

 

 

 

 

「でも…やっぱり愛されてるな」

 

 




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