僕には二人の姉さんがいる。弟の自分から見てもとても魅力的な姉さんたちで普通にモテる。逆にあれでモテなかったら世の中が分からなくなりそうだし。そしてその姉さんたちはかなり僕のことを甘やかしてくれる。どんなこともやってくれて…実家では何一つ自分でやったことない。食事に関しても洗濯も掃除も全てやってくれる。
でも、さすがにこの環境に身を置いていると自分という人間がもっとダメになると思って一人暮らしを始めた。最初は慣れるまでキツくて…姉さんたちはこんな大変なことをしていたのかと思ったりもした。高校に通いながら、バイトをして、家事というのも慣れればある程度回っていくもので今では慣れた。一人暮らしをすると、最初は寂しくなるものだと言われたが、その通りで本当に最初は実家が恋しかったりもした。そしてそれを乗り越えるともう寂しさは無くなって…自由
そしてある程度、落ち着いてきた日にインターホンが鳴って出るとそこには姉さんたちが立っていた。
「フブ姉さんに…ミオ姉さん?」
「入っていいかな?」
「はい、どうぞ…」
そしてフブ姉さんとミオ姉さんは顔を俯かせながら…部屋の中へと入って行く。そして僕は扉を閉めて、二人の後を追ってリビングにいく。
「来るなら言ってくれれば良かったのに。姉さんたちを持て成すようなもの何もないですよ」
「ううん、いいの」
急にミオ姉さんが僕の腕を抱きしめて来る。急なこと過ぎて、僕は反応できなかった。
「ウチは弟くんが近くに居るだけで全てがよかったんだよ」
「あ、はい…」
「やっぱり大切な人は近くに居る時には気付かなくて、離れるとその人の大切さを実感できるって言うけど本当にそうなんだね。ウチもフブキも弟くんに支えられていたの」
ミオ姉さんが何を言いたいのか分からないけど、話を遮る訳にもいかないので静かに聞いている。
「…フブキもウチも弟くんのこと大好きだよ」
「そ、そうですか。それはありがとうございます」
すると今度はフブ姉さんの方が反対の腕を抱きしめてきた。
「ねぇ…お姉ちゃんは悲しいよ。弟くんが一人暮らしを始めてから…お姉ちゃんは何も元気なくなっちゃったんだよ」
「ど、どうしたんですか!?何か病気ですか!?」
「違うけど…そうかな」
「ど、どういうこと…?」
「お姉ちゃんにとって弟くんが近くに居るのがどんなお薬にも代えられない位の…効果があるの!」
さっきからフブ姉さんが何を言っているのか、理解できない。
「あの姉さんたちはどうしちゃったの?」
「ウチは寂しかったの!」
「白上も寂しかった!」
急に二人で叫ばれたことで僕はびっくりして後ずさってしまった。二人のこんなに大きな声は初めて聞いたかもしれない。
「白上は弟くんが全てだったの。弟くんがいたから白上の精神は安定してたし、どんなに辛いことがあったとしても頑張れたの」
「ウチも同じで弟くんのお陰で頑張れてた。だけど、それが急に無くなっちゃうと何をするにしてもやる気が湧かなくて…」
「そ、そうなんですか。姉さんたちがそんな状態になっていたことは知りませんでした。僕は何をすればいいんですか?」
さすがにこんな状態の姉さんたちをそのままに出来ないですし。それに姉さんたちは「頼ってきて」ということはあってもこんなところは見たことがない。僕にそこまで言うということはかなり精神的にキツイんだと思う。
「ウチとフブキは弟くんにして欲しいことが一つだけあるの」
「なんですか?僕に出来ることであれば」
「一緒に住まわせて欲しいの!」
「え…」
「ウチたちの精神が安定して前のように戻るのはやっぱり弟くんが側に居てくれないとだめ。だからウチとフブキがこの家に泊まりこんで弟くんと一緒にいれば治ると思うの」
「そ、そういわれても…」
姉さんたちから独立するために家を出てきたのに、姉さんたちがここに住み始めるようじゃ何も変わらない。だけど、姉さんたちの状態からしても普通に断れる感じでもないでもないですね。素直に帰ってくれる感じもしませんし、もし帰っても僕の方が心配ですし。
「だめかな、ウチたちは弟くんに迷惑は掛けたくないから…だめならいいよ」
「うん。やっぱり弟くんに邪魔をしてまで白上たちの我儘を通すわけにもいかないので」
いや、無理ですって。これで断ったら…弟としてマズイですよ。姉さんたちには散々お世話になったわけだし、ここで何もしなかったら呪われそうですね。
僕は覚悟を決めることにした。
「いいですよ。それで姉さんたちが少しずつ良くなるのであれば。でも、僕の家はそこまで広くないので三人で暮らすのはちょっと難しいかもしれないですけど」
僕の家は一人暮らしにしてはそれなりに大きい方だけど、三人暮らしということになると狭い方。
「大丈夫。ウチとフブキは隅っこでも大丈夫。弟くんと一緒に生活ができるだけで嬉しいからね、フブキ?」
「うん!!どこでも大丈夫だよ」
「そ、そういうわけにはいきませんよ」
そして最終的に僕と二人の姉さんは一緒の生活をすることになったのだった。
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