もし、〇〇〇が姉だったら   作:主義

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もし、あくしおが姉だったら②

 

僕には二人の姉さんがいる。

 

僕はリビングのソファーの腰を下ろしながら、ちょっと考え事をしている。

 

 

「どうしようかなぁ…」

 

別に行ってもいいけど、今月ちょっと厳しいところもあるんだよね。まだ今月は続くし、ここで全財産を失うわけにはいかないですし。

 

そんなことを考えていると急に肩を掴まれて体がビクッとしてしまった。

 

 

「な、なんだぁ…あくあ姉さん…」

 

 

「ご、ごめん。驚かせちゃって」

 

 

「大丈夫です」

 

 

「なにか考え事?」

 

 

「うん、ちょっと食事会みたいなのに誘われてて。割り勘みたいなんですけど、さすがに今月のお小遣い的に無理かなぁと思って」

 

なぜか、あくあ姉さんは手で口を覆って、僕のことを見ている。

 

 

「て、てきになったの?」

 

 

「なんでですか?」

 

 

「だ、だって…陽キャみないなことを…」

 

 

「そうじゃなくてただの食事会ですよ」

 

あくあ姉さんはなぜか…ちょうど料理をしようとしているにシオン姉さんのところに泣きついた。

 

 

「しおんちゃん!!」

 

 

「な、なに…」

 

 

「弟くんが陽キャになっちゃったぁ~~」

 

 

「どういうこと…?」

 

シオン姉さんもあくあ姉さんが何を言っているのか分からないんだと思う。

 

 

 

さすがにこのままだとシオン姉さんが昼食を作れないですし、あくあ姉さんを引きはがす。

 

「だめですよ、あくあ姉さん」

 

 

「やぁだぁ~」

 

 

「だから陽キャになったわけじゃないですって」

 

 

「ようきゃ~~」

 

あくあ姉さんが一体どれだけ陽キャにトラウマがあるんだと思ってしまう。もちろん、陽キャと言って怖がる人を見たことがない訳でもないですけど、あくあ姉さんぐらいの人はそういないんじゃないかな。

 

 

「だから、そんなんじゃないですって」

 

 

「ようきゃ…ようきゃ…ようきゃ…ようきゃ…ようきゃ」

 

あくあ姉さんに僕の言葉は届いていないようでもう呪文のように唱え始めている。さすがに実の弟であっても怖いと感じてしまう。

 

 

 

それからもあくあ姉さんは呪文を唱え続けているのでもうほっておくことにした。シオン姉さんに抱き着きにいかないように見張っているだけで後は自由。今のあくあ姉さんは何を言ったところでほぼ無意味ですしね。

 

シオン姉さんが調理を終えて…食事を席に並び始めたので僕やあくあ姉さんは席に付いた。そして並べ終わるとシオン姉さんも座って、『いただきます』と言って食事を始める。

 

 

だけど、あくあ姉さんは食事に手を付けずに僕のことを…見ては逸らすをずっと繰り返している。さすがに向かい合う席でそんなことをしていたら気になってしまう。

 

「どうしたんですか、あくあ姉さん?」

 

 

「…よ、ようきゃ…」

 

 

「いや、だから陽キャじゃないですって」

 

さすがにシオン姉さんもちょっと気になったのか、問いかけてきた。

 

 

「さっきからその話をしてるけど、一体なんの話?」

 

 

「そう言えば、シオン姉さんにはまだ言ってなかったですね。ちょっと食事会に誘われていて」

 

 

「へぇ~~いいじゃん」

 

 

「そ、そうですよね!ですが、あくあ姉さんがずっと『陽キャ』と言ってくれるんです」

 

よかったぁ…。ここでシオン姉さんも陽キャって言い始めたらどうしようかと思っていたけど、いらぬ心配だったみたい。

 

 

「まあ、あくあちゃんはそういうこと自体がだめだから」

 

 

「ようきゃ…になっちゃう…」

 

 

「いや、なりませんって…別にただの食事会ですよ」

 

 

「ようきゃ…」

 

 

 

 

「ただクラスの友達と行くんでしょ?」

 

 

「はい、一応そういう感じですね」

 

 

「男の子はよくあるじゃん。あくあちゃんもそんな怯えてないで」

 

 

「…だ、だって…ようきゃに」

 

 

「ただ男の子と食事に行ってくるだけでしょ。それぐらいのことで『陽キャ』って言ってたら皆が陽キャになっちゃうし。別に弟くんが活発的なのは姉としては嬉しいことじゃない」

 

 

「…で、でも…」

 

 

「もちろん、あくあちゃん見たいに家に籠っててもいいけど、外で遊んでくるって言うのも良いことだしさ」

 

シオン姉さんはどうにかあくあ姉さんに納得させようとしてくれている。それでも、あくあ姉さんは動物が見知らぬところに連れてこられた見たいな感じで警戒しているんですよね。

 

 

「ようきゃ…」

 

 

「だから、男の子同士で行くだけだって」

 

 

「そうですね。クラスの集まりに近い感じなんで女子もいますけど食事をするだけですし」

 

なぜか、僕の言葉にシオン姉さんもあくあ姉さんも固まってしまった。僕はなにか二人の地雷を踏み抜くようなことをしてしまったのか。

 

 

「え、女子もいんの?」

 

 

「そ、そうですね…。一応いますよ」

 

 

「…よ、ようきゃ…」

 

 

「いや、陽キャじゃありませんって。ただ食事をするだけですし」

 

 

 

 

「それはだめ!!」

 

 

「え…」

 

 

「女子がいるとことはだめ。だってそんなところに弟くんを行かせたらライオンの群れに可愛い子羊を向かわせるようなものだもん!」

 

いや、シオン姉さんまで何を言ってるのだろうか。ここに来て、あくあ姉さんだけじゃなくてシオン姉さんまでそちらに加わるともっと話はこじれる。

 

 

「シオン姉さんまで何を言っているんですか?」

 

 

「だめ!男子と行くならシオンも笑って送り出したけど、女子がいるって聞いたらだめ」

 

 

「シオン姉さんが心配しているようなことが起こらないですって」

 

僕にはシオン姉さんが何を心配しているのか、イマイチ分からないんですけどね。

 

 

「起こる!!起こらないとしてもシオンがいやだ!」

 

 

「…な、なんでですか?」

 

 

「弟くんがその女子に汚されちゃうかもしれないじゃん!」

 

 

「汚されるって…」

 

 

「あくあちゃんもそう思うよね?」

 

 

「う、うん……いっちゃだめ」

 

そしてもう完全に二対一という構造が出来上がってしまった。ここからこの二人を納得させるにはかなりの時間が掛かる。

 

 

もし、無視して行こうものなら帰ってきてからが怖い。それに姉さんたちを心配させるような真似はあまりしたくないんですよね。

 

 

結果的に僕は行かないという選択肢を取ったのだった。

 

 




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