今日は家族全員で買い物に来ている。
「姉さんたち…」
「どうしたの?」
「い、いや…なんでもないです」
僕には姉さんが五人いる。そしてそれぞれクラスに居れば…絶世の美女と呼ばれるような人たちばかり。そんな人たちと一緒に買い物をしていると嫌でも目立っちゃう。
だって今も…周りの視線が凄いもん。本当にこんなところにいるの場違いじゃないかなぁと僕的には思う。
僕が元気ないと思ったのか、みこ姉さんが僕の手を握ってくれた。
「みこ姉から離れちゃだめだよ」
「ありがとう、姉さん。でも、姉さんの方こそはぐれないでね」
僕よりもみこ姉さんの方がどこか勝手に行っちゃいそう。五人の姉さんの中でも一番子供っぽいところがあるんですよね。
「みこはだいじょうぶ!!」
「あ、みこちだけずるい~すいちゃんも弟くんと手つなぐもん」
そして僕は両手を握られることになった。まるで小学校ぐらいの子が両親と手を繋いでいるように。身長的には僕の方が少し高いから本当に端から見たら異様な光景だと思う。さっきよりも見られている気がするし…顔がどんどん熱くなってくる。
「あの…ちょっと恥ずかしいので手を繋ぐの止めませんか?」
「え~いいじゃん。すいちゃんたちは姉弟なんだし」
「そ、それはそうですけど…」
そんな会話をしていると…急に後ろから誰かに抱き着かれた。
「二人だけずるいよ~ロボ子も~」
「ろ、ろぼ姉さんまで…」
これじゃ動けない。本当に…男性の嫉妬の眼差しが刺さるようで痛い。本当に自分は恵まれていると思うんだけど…色々と辛いこともあったりするんですよ。やっぱり姉さんたちはすごいので自分の平凡が際立つんですよね。
「ロボ子だって…弟くんのこと好きだよ…」
「み、みこだって!!」
「すいちゃんも~~」
「アズキも抱きしめたい~」
そしてアズキ姉さんは目の前から抱き着いてきたので…完全に行動が出来ない。左右はみこ姉さんとすい姉さん。後ろはロボ姉さん、前はアズキ姉さん。
「ア、アズキ姉さん…」
普段はとてもお淑やかな人で…優しい人。アズキ姉さんが怒っているところなんて今まで一度も見たことがないですし。
そんな僕たちのことをそら姉さんは笑顔を浮かべながら見ている。そしてさすがにこの状態はまずいと思ったのか、そら姉さんが皆に「一回、離れて~」というと素直に全員が従った。やっぱりうちの家族をまとめあげるのがそら姉さん。部屋は散らかっていたりしているけど…そら姉さんは皆のことをよく見ていて、悩んでいる時とかによく声を掛けてくれている。
「そら姉さん…」
「…キミは私たちの自慢の弟なんだから胸を張っていればいいんだよ」
まるで僕のことを全て見透かしているように話す。本当にエスパーなんじゃないかと思うほどに全てを言わなくても分かっちゃうんですよね。
本当にそら姉さんは優しくて…勇気をくれる。本当にこの人たちの弟で良かった。自分もこの人たちに負けないように色々と頑張らないと…。