もし、〇〇〇が姉だったら   作:主義

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AZkiさんはアズキと表記しています。


もし、0期生が姉だったら③

 

「あ、あつい…」

 

僕はやっとの思いで家にたどり着いた。そして鍵を開けて入ると同時に冷気が体を癒してくれる。これは外との温度差で風邪を引いてしまいそうだけど、それでもいい。ここは天国だと錯覚してしまうほどに涼しい。もう外には戻れない…。

 

 

 

そしてまずはリビングで水でも飲もうと思って…冷蔵庫を開けていると後ろから抱きしめられた。

 

 

「だ、だれですか?」

 

 

「アズキだよ」

 

 

「は、はなれてください」

 

 

「やぁだもん」

 

 

「え、僕って汗くさいですよ」

 

さっきまで外を歩いていた人の体はどう考えても汗でベトベトだし。

 

 

「そんな弟くんもアズキは好きだよ」

 

 

「いやいや、それは無理ですって。どう考えても汗くさいですし、今からお水を飲んですぐにお風呂に入ろうと思っているので…」

 

 

「え~~アズキは弟くんはいつも良い匂いがするよ。お風呂に入らなくても」

 

アズキ姉さんはどうにか引き剥がしたいけど、あんまり乱暴なことをしてどこかにぶつけて怪我をされたら困るし。今の僕はただされるがまま時間が経つのを待つことしかできない。

 

 

 

そしてやっとアズキ姉さんが「充電完了」と言って放れてくれた。まじでこのままだったら本当にどうしようかなぁって悩んでしまった。個人的にもちょっと汗くさいまんまいると気持ち悪いですし、早く風呂に入りたい。

 

ペットボトルの水を飲み干して僕はその足で風呂場に入る。そして服を脱いで風呂に入り…しっかりと体を洗う。

 

 

 

 

 

 

 

「さっぱりした」

 

リビングとかは涼しいけど、廊下は灼熱。早く自分の部屋に行こう。

 

 

そんな時にリビングの扉が開いて、ロボ子姉さんとみこ姉さんが出てきた。そして二人は僕のことを見つけると…なにか不敵な笑みを浮かべた。その瞬間、とても嫌な感じがした。

 

 

「あ、弟くん~」

 

 

「みこも!」

 

正面からはロボ子姉さんに背中からはみこ姉さんに抱き着かれて完全に身動きが取れなくなってしまった。なんで今日は皆、抱き着いて来るんだろう。

 

 

「あの動けないんですけど」

 

 

「今はロボ子のものだから」

 

 

「みこも弟くんほしい~」

 

いや、欲しいとかの話じゃないですよ。僕の体は僕のものですし。いくら姉さんたちと言っても僕の所有権は僕だよね。

 

 

「今日は皆さん、僕に抱き着いたら何かあるんですか?」

 

 

「なにが?」

 

 

「いや、さっきアズキ姉さんにも抱き着かれたので何かあるのかぁと思って。例えば、なにかお金がもらえるとか」

 

 

「そんなのないよ。ロボ子たちは抱きしめたいから抱きしめているだけ」

 

いや、それがおかしいですって。確かに僕たちは姉弟です。ある程度のスキンシップは仲が良い姉弟であればあってもおかしくない。だけど、うちに関してはこういう抱き着くという行為が日常茶飯事として行われる。でも、それは一日に一人ぐらいで今日みたいに一日に三人に抱き着かれるとさすがに何かあるんじゃないかと勘繰ってしまう。

 

 

「みこも弟のことがだいすきぃ~」

 

 

「その気持ちは有難いですが、早く放してくれないと動けないんですが」

 

このまま灼熱の廊下は勘弁を願いたい。折角、お風呂に入ったのにまた汗だくになってしまう。またお風呂に入らなくちゃいけなくなるのだけは…やめて欲しい。

 

 

「ロボ子たちは弟くん触れていないと死んじゃうの」

 

 

「そうだよ。みこたちは死んじゃう」

 

 

「いや、死なないですって」

 

 

「みこは弟がいないとだめぇなの!」

 

なぜか、急にみこ姉さんはおかしなことを言いだしますし、二人共暑さに当てられているんじゃのかな。そうじゃないとさすがにこれはおかしい。

 

 

「二人はまずお風呂に入ってさっぱりしてきてください」

 

僕は二人に抱き着かれながら脱衣所について、二人を引きはがす。それで僕が脱衣所を出ようとするとなぜか足を掴まれる。

 

 

「なんですか?」

 

 

「みこたちとおふろ」

 

 

「入るわけないでしょ。僕たちはもう高校生ですよ。どう考えても一緒にお風呂を入るような年じゃありません」

 

世間一般から言ったらちょっと引かれるレベルですよ。それにまだ同性とかカップルとかなら全然あり得るかもしれないけど、僕と姉さんたちは普通の姉弟ですし。

 

 

「ロボ子も弟くんと入りたい!」

 

 

「だめだって言っていますよね。入りませんし、姉さんたちだけで入ってください」

 

僕はどうにか姉さんたちを説得して脱衣所を出る。

 

 

「どう考えてもダメに決まってるでしょ」

 

うちの姉さんたちはちょっとずれているのかな。そんなこと考えれば分かるようなもんですけど。

 

 

 

僕の洋服はまた汗だく。あんなに廊下に居ればこうなってしまいますよね。だってそれにプラスして今回は姉さんたちが密着していることも考慮すると必然。

 

「それにしても汗だく。二人が出たらもう一度お風呂に入らないといけないですね」

 

 

 

 

どうやら二人はお風呂を楽しんだようで一時間以上も出てこなかった。それまで僕はリビングで時間を潰しているとまたアズキ姉さんが抱き着いてこようとしたのでそれを避けることに必死だった。さすがに抱き着かれて今度はアズキ姉さんがお風呂に入ると僕の番がどんどん後になってしまいますし。

 

「それじゃあ…風呂に入ってきます」

 

 

「え~~それならみこたちと一緒に入ればよかったじゃん~」

 

 

「そうだよ、ロボ子たちあんなに誘ったのに」

 

 

「高校生になって一緒にお風呂に入るなんて聞いたことないですよ」

 

 

「じゃあ、アズキとはいる?」

 

 

「いや、アズキ姉さんまで変なことを言わないでくださいよ。これ以上、話がおかしな方向に行くのだけは避けたいです」

 

もうここにいるとさすがにキツイと思って、お風呂場に行くことにした。

 

 

 

僕はお風呂に時間を掛けない方なので三十分ぐらい。今日二度目のお風呂だけどやっぱり心地いい。

 

お風呂から上がると着替えて脱衣所が出る。

 

 

そして脱衣所から出るタイミングで玄関の扉が開いて…そら姉さんとすいせい姉さんが帰ってきた。

 

 

「はぁ…あつかったぁ」

 

 

「まさかこんなに暑くなるなんて思ってなかったね」

 

外の暑さは僕も体験しているのでその辛さは分かる。もうこれ以上、暑くなったら出歩くのもためらうレベルになってきますよね。

 

 

「おかえりなさい」

 

 

「あ~~弟くん~」

 

 

「ただいま~」

 

そこまでは普通の会話だけど…すいせい姉さんがこれから僕の恐れていることをしようとしている気がして早く自室に避難したい。

 

 

 

僕の予想が的中してしまったというべきか、すいせい姉さんは靴を脱ぐと勢いよく僕に抱き着いて来る。

 

「弟くん~~」

 

 

「は、はなれてください!!」

 

すいせい姉さんの汗でまた僕の体がベトベトになっちゃう。そしたら三度目のお風呂に入らなくちゃいけないという最悪な結果が待ち受けている。

 

 

「やだね。すいちゃんはお姉ちゃんなので弟くんにいつでも抱き着く権利があるんです」

 

 

「いや、そんなのないですよ」

 

 

「ある!すいちゃんにはあるの!!」

 

力付くで放れてもらおうとしているけど、すいせい姉さんの力が強すぎる。

 

 

「ほら、すいちゃん。あんまり弟くんを困らせちゃだめだよ」

 

 

「え~~しょうがないなぁ~」

 

すいせい姉さんでもそら姉さんの言うことは聞くんですよね。正直、唯一と言っていいかもしれない。学校の先生であってもすいせい姉さんは歯向かうこともありますしね。

 

 

 

そして二人はリビングの方へと足取りを向かおうとした瞬間にすいせい姉さんがまた抱き着いて来る。

 

「やっぱりはなれたくない~」

 

 

「放れてくださいよ。今はそういう流れだったじゃないですか」

 

 

「むりぃ」

 

 

「もうこれじゃまたお風呂に入らないといけないじゃないですか!」

 

 

「え、いいじゃん。すいちゃんと入る?」

 

 

「入るわけないですよ」

 

ロボ子姉さんとみこ姉さんと同じようなことを言う。この姉さんたちはちょっとおかしいのかな。

 

 

 

すると今度は背中の方から誰かが抱き着いてきた。

 

「え…そ、そら姉さん?」

 

 

「ちょっとごめん。すいちゃんを見ていたら羨ましく思っちゃって」

 

 

「そ、そんないいもんじゃないですよ。もうかなり汗もかいちゃいましたし」

 

 

「ううん。そうじゃなくて、私はあんまり弟くんにこういうこと出来ないからさ。たまにはこういうことしてみたいの」

 

 

「そ、そうですか」

 

 

「め、めいわくだった?」

 

そら姉さんに上目遣いで言われて『迷惑』だと言えるわけがないですよ。他の姉さんたちならそこまで響かないけど、特にそら姉さんはこんなことをしない人だから。

 

 

「迷惑じゃないですよ」

 

しょうがない、もう一回お風呂を入る覚悟を決めますか。

 

 

そしてその日、僕は三度目のお風呂に入ることになった。すいせい姉さんはお風呂に誘ってきたが、もちろん断った。

 

 




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