もし、〇〇〇が姉だったら   作:主義

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もし、黒上白上が姉だったら

 

僕には二人の姉さんがいる。姉さんたちは優しい。

 

―――――――――――

 

僕は自分のベッドに入って目を瞑り、眠りに付こうとする。少しでも早く眠りに付くため。明日は生徒会の集まりがあるのでいつもより早く家を出なくてはならない。

 

「おとうとくん」

 

急に耳元でそんなことを言われたら体が反応してしまう。目を開けて隣を見るとそこには白姉さんがいた。白姉さんは気付かぬ間に布団に潜り込まれていた。いくら目を瞑っていたとしても布団に入るような音がすれば分かると思うんだけど。

 

 

「なんで白姉さんがここにいるんですか?」

 

 

「弟くんのベッドはお姉ちゃんのもの」

 

それは答えになっていない気がする。

 

 

「白姉さんが寝る場所はここじゃないはずですよ」

 

 

「お姉ちゃんは弟くんのベッドで寝たいもん。それに弟くんの横顔をずっと眺められるなんて幸せだし」

 

 

「そういうわけにはいかないですよ。白姉さんはもう立派な女性なんですからいくらい姉弟であったとしても一緒のベッドに寝たりするのはダメだと思うんですが」

 

 

「そんなのいいじゃん。白上は弟くんに襲われたとしても受け入れるつもりでいるよ。だって白上は弟くんのことが大好きだから」

 

いくら姉さんとはいえこんなことを真正面から言われると恥ずかしい。

 

でもさすがにこのままだとダメだと思っていると…部屋の扉が開いた。誰だと思って視線を移すとそこにはもう一人の姉さんこと黒姉さんがいた。

黒姉さんは僕と白姉さんが一緒にベッドに寝ていることに驚きつつも、いつもの落ち着いた口調で問いかけてきた。

 

「おい、なんでお前がここにいるんだよ」

 

さすがにこのままだとマズイと思ったのか白姉さんはベッドを出て、黒姉さんの元へ向かう。

 

「だってお姉ちゃんだから」

 

 

「それは答えになってない」

 

 

「弟くんの側に姉がいるのは別におかしなことじゃないよ」

 

いやそれはおかしいですよ。まだ保育園児ぐらいまでなら分からなくもないけど僕が高校生になってもそれはちょっとおかしいでしょ。もしかして僕の感覚がおかしいだけなのだろうか。

 

 

「弟の部屋で添い寝をする姉はどう考えても普通じゃないだろ」

 

 

「弟くんはまだ子供なんだからお姉ちゃんが一緒に寝ないと心配だよ」

 

 

「もう高校生だろ。そろそろお前が嫌われるぞ」

 

 

「そ、そんなことないもん!弟くんはそんなこと言わないし」

 

僕の方に振り返った、白姉さんは涙目だった。今にも目から涙があふれてしまいそう。僕の本音としてはそろそろフブキ姉さんには止めて欲しい。さすがに高校生で姉と一緒に寝ている人なんていないだろうし。

 

それに白姉さんはスタイルが良いので一つのベッドを使って二人で寝るのはさすがに刺激が強い。見る気がなくても目には行って来てしまったりする。実の姉のことを一人の女性として見ることはないけどさすがにキツイ。

 

 

でも、ここで白姉さんは突き放せば確実に泣く。そしてそうなると機嫌を直すまでにそれなりに時間が掛かる。うちの家事は姉さんたちがほとんどやってくれているし、特に白姉さんに機嫌を損ねられるのは困るんですよね。それじゃあ言うべき言葉は決まってますね。

 

 

「全然そんなことないですよ。白姉さんが一緒に寝てくれて嬉しい」

 

それを聞くと白姉さんはさっきまでの顔が嘘かのように晴れやかな笑顔になる。黒姉さんの方は僕が言ったことに納得できていないようでさっきよりも機嫌が悪くなってしまった。どちらかの機嫌を良くしてしまうとどちらかを悪くしてしまうという…感じ。

 

黒姉さんをこのままにしておくことも出来ないので話し掛けてに行く。

 

「黒姉さん」

 

 

「なんだ?」

 

 

「あんまり白姉さんを怒らないで上げてくださいよ」

 

 

「お前もあいつの肩を持つのか?」

 

 

「いやそういうわけではないですけど…白姉さんに泣かれてしまうと処理が難しいので」

 

僕が言ったことに妙な納得感があったのか、黒姉さんは「そうだな」と呟いた。

 

 

そこで僕はちょっと疑問に思っていたことを聞いてみることにした。

 

「そう言えばなんで黒姉さんはここに来たんですか?」

 

 

「…な、なんでもいいだろ!!」

 

 

「…いやなにか用があったから僕の部屋に来たんじゃないですか?」

 

僕の問いに対してなぜか黒姉さんは何も言わずに俯いている。

 

その状態が暫く続いた後に白姉さんが黒姉さんに問いかける。

 

「もしかして黒ちゃんも…白上と同じことを考えていたんじゃない?」

 

 

「同じこと?」

 

 

「うん。黒ちゃんも弟くんと一緒に寝たかったんじゃないのかなぁって」

 

 

「さすがに黒姉さんはそんなことしませんよ」

 

白姉さんに関しては毎日スキンシップが多いので今日みたいなことが起こってもおかしくない。でも黒姉さんは白姉さんとは真逆でクールでもちろんスキンシップをしてくることもない。どんな時でも落ち着いていて大人っぽい。

 

そんな黒姉さんが白姉さんと同じようなことをするはずがない。

 

 

「それはどうか分からないよ~」

 

 

「どういうことですか?」

 

 

「黒ちゃんはあんまりスキンシップとかはしないけど弟くんのことは大好きだからね」

 

黒姉さんが自分のことをどう思っているのかは分からないが少なくとも『大好き』という気持ちを抱いていないことだけは分かる。今まで一緒に暮らしてきたけど黒姉さんからそんな感じを一度も感じ取ったことない。白姉さんからはいつも感じるけど。

 

 

「それはないですよ」

 

 

「そんなことないと思うけどなぁ~」

 

なにか意味ありげな顔を白姉さんはしている。

 

 

「黒ちゃんは弟くんのことをどう思う?」

 

 

「別にただの弟だ。それ以上でもそれ以下でもない」

 

 

「本当にそうかなぁ~」

 

 

「なにがいいたい?」

 

 

「白上と黒ちゃんの部屋は違うから詳しいことは分からないんだけどさ…」

 

白姉さんが話し始めたのと同時に黒姉さんの顔が少しだけ曇った気がする。

 

 

「最近夜中に黒ちゃんの部屋から声が聞こえるの」

 

 

「…うるさい…」

 

 

「普段の黒ちゃんからは想像できないような色っぽい声が…」

 

 

「うるさい!!」

 

今まで聞いたことがないくらいの大きな声で黒姉さんが叫んだ。さすがにその声には白姉さんも驚いたようだった。

 

 

「それ以上その話を弟の前でするな」

 

 

「…やっぱり黒ちゃんも弟くんのことが好きなんじゃない」

 

 

「そんなことない」

 

 

「早く認めちゃった方が楽になるよ」

 

 

「認めるってなにを?」

 

 

「弟くんのことを好きなこと」

 

 

「弟は弟というだけでそれ以上ではない」

 

 

「そんなの否定するなら白上がさっきの続きを話してもいいのかな?」

 

するとさっきまで否定していた黒姉さんが…無言になってしまった。白姉さんはそんな黒姉さんの様子を笑顔で見守っている。

 

 

体感ではかなり経った気がしたが…時間を見るとまだ1分も程度しか経っていない。

 

 

「言っちゃっていいの?」

 

 

「………」

 

 

「黒ちゃんが沈黙を貫くんだったら言っちゃうよ」

 

 

「ああ…分かったよ」

 

 

「それでよろしい。弟くんのことが好き?」

 

 

「……あ、ああ言えばいいんだろ!!好きだよ!!好きで悪いか!」

 

半分投げやりな感じで黒姉さんは言っていた。

 

 

「…ありがとうございます」

 

なんか僕の方も姉なのに敬語になってしまった。

 

 

すると黒姉さんは距離を詰めてきて気付いた時には顔が目の前にあった。

 

「…ど、どうしたんですか?」

 

 

「私はキミのことが好き」

 

 

「……はい」

 

 

「私も添い寝する」

 

 

「え?」

 

困惑していると僕は黒姉さんにベッドに押し倒された。

 

 

「もう逃がさない」

 

 

「…く、くろねえさん…?」

 

 

「散々我慢してきたんだ。もう我慢できない」

 

 

「黒ちゃんがその気なら白上も負けないよ~」

 

どうにか白姉さんと黒姉さんは落ち着かせる方法を考えていたけど…思い付いた策はどれも成功しそうにない。それに白姉さんだけならどうにか出来たかもしれないですけど、黒姉さんは難しい。

 

 

もうこうなったら抵抗はしない方がいいんじゃないか。変に抵抗をしても姉さんたちに押さえつけられるだけでこの状況を打破できないと思う。ならもう時の流れに。

 

 

 

その日の夜は色々と騒がしかった。

 

 




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