もし、〇〇〇が姉だったら   作:主義

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もし、おかころが姉だったら

 

僕には二人の姉さんがいる。とても優しい姉さんたちだけど働くようになって会う機会は減った。僕も一人暮らしを始めたり、社会人になって一年目なこともあって全てが新鮮で慣れるまで色々と大変だった。だから正直、姉さんたちのことを考えている余裕などなかった。

 

 

 

 

お盆休みも色々とあって帰ることが出来なかった。なので正月休みぐらいは帰らないとマズイ。姉さんたちからも『帰ってきて欲しい』というメッセージが送られてきていた。前もそういうメッセージが来ていたけど無視をしてしまった。

さすがに今回も無視をしたらマズイと思うので…僕は帰ってきた。

 

深呼吸をしてから実家のドアに手を掛けて勢いよく開ける。

 

「ただいま」

 

帰ってきてすぐに感じたのは懐かしい匂いだなぁってことと人がいる感じがしない。物音一つもしないし、人の気配もしない。

 

 

「もしかしてどこか行っちゃったのかなぁ」

 

一応、今日帰るってことは伝えておいたんだけど。もしかしたら姉さんが怒ってどこかに行っちゃったのかな。お盆の時に無視をしたことを未だに根に持っている可能性も全然あるし。

 

僕は靴を脱いでリビングへと入って行く。

 

 

「変わらないなぁ…」

 

僕が実家を出る前と何一つ変わらない。自分が実家を出た日のリビングと同じ。

 

 

「「おかえり~~」」

 

急な声に体がビクッと反応してしまった。

 

 

「姉さん…」

 

おかゆ姉さんところね姉さんは『おかえり』と書かれている紙を掲げている。そして何よりも姉さんたちは満面の笑みを浮かべているのでこっちとしてもつられて笑ってしまった。本当に姉さんたちは変わらないですね。

 

「弟くん、おかえり~」

 

 

「ただいまです」

 

姉さんたちは掲げていた紙を下ろして僕のところまで近寄って来る。背も何も変わらないですね。姉さんたちぐらいの年齢であれば今更成長をするようなことはないと思いますけどやっぱり月日が経つと見た目とかも変わっちゃたりするもんですね。

 

 

そして僕の体中を触ったり匂いを嗅いだりところね姉さんは色々と動き回っている。おかゆ姉さんはそんなころね姉さんの様子を静かに見守っている。

 

「他の女の匂いがするでな!」

 

 

「え~~ボクたち以外の女の子と遊んでるの?」

 

 

「いやそんなことはないと思いますけど…」

 

でもころね姉さんの鼻は尋常じゃない。間違える可能性はほとんどないと言ってもいい。だったら本当にこの服に誰かの匂いが染みついていたということなのかな。だけど僕には心当たりはなにもないんですけど。

 

 

「ころねの鼻は誤魔化せない!」

 

 

「そんな風に言われても心当たりはないですよ」

 

 

「ほんとに~?」

 

おかゆ姉さんところね姉さんは吐息が掛かるぐらいの距離まで近寄ってくる。この人たちに距離感というものがないのかな。

 

 

「本当ですよ」

 

 

「お姉ちゃん以外の女の子たちと遊んだりしたらダメだからね」

 

 

「付いていないですよ」

 

最後に念を押すようにおかゆ姉さんは確認をしてくるけど僕に心当たりはないために否定した。そんな僕の様子におかゆ姉さんはちょっとだけ納得してくれたようだった。でもころね姉さんは全然納得してくれている感じではないですけどね。

 

 

テレビでは天気予報をやっているので念のため見ていると僕の膝にころね姉さんが座ってきて、後ろからおかゆ姉さんが密着してくる。

 

「テレビが見えないんですけど」

 

 

「こおねたちよりもテレビが良いの?」

 

 

「いや、そういうわけじゃないですけど…」

 

 

「ボクたちは弟くんとたくさん遊びたいんだよ。少しでも弟くんのことを近くに感じたいの」

 

そう言っておかね姉さんは背中に色々と押し付けて来る。この姉さんたちは自分たちが豊満な体であることを知らないのだろうか。おかゆ姉さんもころね姉さんの二人に言えるのはどっちもスタイルがいいということ。街中でこの二人が歩いていたら多くの男性が自然と視線を向けてしまいそうなほど。

 

 

「…あのもうちょっと離れてくれませんか?」

 

 

「やぁだ~」

 

 

「こおねはどんなことになっても絶対に離れない」

 

なにその決意表明…。別にテレビが見えない事はいい。ただ天気予報を見ようとしていただけですし。天気予報だけなら他の時間でも見ることは出来ますしね。

 

 

「こおねはもうはなれない…」

 

 

「ボクもはなれないよ」

 

さっきまでの元気な声というよりも…ちょっとトーンが下がった気がする。そこに込められた意味は分かっている。僕が前の帰ってこれる機会に帰ってこなかった。姉さんたちは楽しみしてくれていたようだった。だから僕は結果的に姉さんたちのことを裏切ってしまった。その想いが込められているように少なくとも僕は感じた。

 

 

「ごめんなさい」

 

 

「ほんとうだよ。ボクたちは弟くんに会いたいんだよ。本当だったら一人暮らしだって本当は嫌だった。でも弟くんがどうしても一人暮らしをしいたって言うから仕方なく承諾したの。弟くんがあんなにお願いしてくることなんて今まで一度もなかったし。弟くんが自立しようと頑張っているのにボクたちの感情を優先してそれを妨げるようなことはできないと思ったから」

 

あの時の僕はさすがにこのままのおんぶに抱っこだとダメな人間になってしまうと思ったんだ。だから少しでも自立するためにも一人暮らしを始めようと思った。

 

 

「こおね、だっていやだったもん。OKしたけど寂しかった。弟くんがいないとこおねもおがゆもなんかやる気が出なかったんだよ」

 

 

「それでも弟くんが自立をしようと頑張っているんだしと思った。でも大型連休は帰ってくれると思ったのに…帰ってこないし……っ…」

 

話している途中でおかゆ姉さんは涙目になってしまった。たぶん僕が思っていた以上に姉さんたちは僕のことを想ってくれていたということだろうと思う。僕としては少しめんどくささもあって帰らなかったけど姉さんたちは期待を膨らませて待ってくれていたんだ。

 

 

そう思うとあの時の自分が『帰らない』という選択肢を取ったことがいかにヒドイことをしたのか理解できた気がする。

 

 

「本当にごめんなさい」

 

 

「そう思うんだったらボクところさんを散々甘やかすべきないんじゃないかとボクは提案する!」

 

 

「こおねもこおねも!!」

 

二人に寂しい思いをさせてしまったのは本当のこと。だとしたらそれを埋め合わせとして姉さんたちの言うことを聞くべきなのでかもしれない。

 

 

「そうですね。僕に出来ることなら」

 

 

「じゃあ…行くでな!」

 

ころね姉さんは僕に近付いてくる。そしてころね姉さんの吐息が掛かってくるぐらいの距離。なぜかころね姉さんはずっと笑顔でこっちが少し後ざりたくなる気持ちはあるが……膝に乗ってるために逃げられない。

 

「おがゆはちょっと離れて」

 

 

「うん」

 

 

すると次の瞬間には押し倒されていた。そしてころね姉さんに乗っかられているのでもう逃げられない。

 

 

「こ、ころね姉さん」

 

 

「逃げるのではだめだでな。ちゃんところねのものだってマーキングしておかないと」

 

 

「ころさん。ボクもいるの忘れないでね」

 

 

「おがゆのことを忘れるわけないじゃん」

 

 

「そうだよね。ボクもしっかりと弟くんにマーキングしておかないと」

 

 

「あ、あの……」

 

もう僕の声は姉さんたちには届いていないようだった。

 

 

その日の僕は姉さんたちの好きなようにされた。

 

 




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