もし、〇〇〇が姉だったら   作:主義

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もし、星の彼方が姉だったら

僕には二人の姉さんがいる。とても顔立ちが良く、幼い頃から姉さんたちはよくモテていたのを今でも覚えている。自分も弟でなければ好意を抱いていたかもしれないと思ったりすることもある。

 

 

でも僕は姉さんたちと会話をすることはほとんどない。元々僕もそこまで姉さんたちと話そうとしたりもしないし、姉さんたちも僕には干渉して来ない。そうなってくると会話することなくなっていく。もちろん全く喋らないということはないし、仲が悪いわけでもない。普通の姉弟という感じ。それ以上でもそれ以下でもない。

 

 

 

 

―――――――――

かなた視点

 

 

 

 

ボクには弟がいる。とっても可愛くて甘やかしたい弟。昔は「お姉ちゃん」って来てくれたのに最近はもうそんなこともない。寂しいけどこれも成長ということなのかなぁと実感している。

 

でもやっぱり姉としては弟を甘やかしたい。遊びたいし、欲しいものがあったら買ってあげたい。そしてそれはボクだけじゃなくてすいちゃんも同じ気持ち。

 

 

「かなたぁ~~」

 

 

「す、すいちゃん…魂抜けたような顔してるよ」

 

 

「だって弟くんがすいちゃんを誘ってくれないんだもん!」

 

 

「いや、誘ってくれないって…もう高校生だし。あんまりお姉ちゃんと絡まなくなっちゃうよ。これも成長だよ」

 

昔は本当に何かあれば『お姉ちゃん』とずっと来てくれた。本当に可愛くて周りからは甘やかしすぎと言われるぐらいに甘やかした。欲しいものは何でも買ってあげたし、行きたい場所には連れて行ってあげた。

 

 

「やぁだ~それなら弟くんはずっと子供のままでいいの~」

 

 

「そういうわけにもいかないよ」

 

ボクも建前では『成長だよ』とか言ってるけど、本当は嫌だよ。やっぱり弟くんには何でもしてあげたい。それに今、困っていることがあるとか学校での話とかも聞きたい。

 

そういうことも弟くんは話してくれない。正直さすがにうっとおしく絡み過ぎたかなぁってちょっと反省もしている。弟くんだって男の子だし、ちょっと鬱陶しくなってボクたちと絡むことを最低限にしたんだと思う。

 

 

「ボクたちは喜ぶべきなんだと思う。弟くんも少しずつ大人に近づいているってことだと思うし」

 

 

「…すいちゃんは子供のままでいいと思う。前みたいに『すいせいお姉ちゃん』って呼んでくれるだけですいちゃんは救われるの。確かにかなたんが言うことも分かるけど……やっぱりすいちゃんだって弟くんに甘やかしたいし、甘やかされたい!!!」

 

すいちゃんは子供のように地団駄を踏み始めた。これだとどっちが年上なのか分からない感じがする。

 

 

 

 

 

するとリビングの扉が開いて、弟くんが入ってきた。ちょっとタイミングが悪かった。すいちゃんが弟くんの姿を確認すると何も考えずに突っ込んでいき抱きしめた。弟くんに避ける暇さえ与えなかった。

 

「な、なにするんですか!!」

 

 

「すいちゃんはもう離さない!!弟くんはすいちゃんのもの!お姉ちゃんのもので他の誰にも渡さない!」

 

弟くんはどうにかすいちゃんのことを振り切ろうとするものの、意地でもすいちゃんは離しそうにない。

 

 

「離してください!」

 

 

「はなさない。すいちゃんは死んでも離さない!絶対に弟くんはすいちゃんの!」

 

それからもすいちゃんは離さずにいたので、弟くんの方が観念した。ボクはすいちゃんの執念がすごくて少しあっけに取られてしまった。もちろん、すいちゃんが弟くんのことを愛していて、異常なほどの愛を抱いているのは知っていた。ボクも弟くんに対しての想いはある。でも、それと比べ物にならないぐらいにすいちゃんの愛が重いんだと改めて実感させられた。

 

 

そしてリビングでボクとすいちゃんと弟くんがテーブルを囲んで座っている。だけど、弟くんは後ろからすいちゃんに抱き着かれているので自由に身動きが取れない状況。

 

 

「それよりも早く離してください」

 

 

「だめ。いつ弟くんが逃走するか分からないもん」

 

 

「もう逃げませんよ。それに今までだって逃げているつもりはないです」

 

 

「それでもダメ。念のため」

 

すいちゃんはどうしても離したくないようで弟くんを抱きしめる力がさっきよりも強く感じるのは気のせいかな。

 

 

 

さすがにこのままだとマズいのでボクが弟くんのところまでいって補足を入れる。

 

「まずごめんね。すいちゃんは弟くんに冷たくされて、今はちょっと不安定だから許してあげて」

 

 

「……そうですか」

 

抵抗をすることを止めて、今はされるがままされている。

 

 

「たぶん、弟くんはそこまで冷たくしているつもりはないんだと思う。ただ少しずつ今まであったスキンシップが急に出来ないようになったからそう思っているだけ」

 

 

「…はい」

 

 

それからすいちゃんにも一旦離れてもらって、弟くんにはソファーに座ってもらった。

 

「ボクたちのことがうっとおしくなったの?」

 

ボクの問いに対して弟くんは少し考える素振りを見せてから答えてくれた。

 

 

「高校生にもなって姉さんたちとスキンシップをするような仲はあんまりよくないと思ったんです」

 

すいちゃんはその答えがお気に召さなかったようで弟くんに隣に腰を下ろして首に手を回す。

 

 

「そんなことないよ。他の奴らが何か言ったらお姉ちゃんに言って。そしたらそいつのところに教育してくるからさ」

 

 

「…い、いや、別にからかわれたりしたわけじゃないですよ」

 

 

 

 

 

 

「でも…」

 

 

「でも?」

 

 

「友達のお姉ちゃんの話とかを聞いているとやっぱり違和感を感じちゃって。このままだと僕も姉さんたちに依存してしまう気もしますし、僕も大人にならないといけないので」

 

 

「そっかぁ…」

 

あんまり意識してなかったけど、確かに他の姉弟に比べるとスキンシップは多い方なのかもしれない。

 

 

「そんなこと関係ないよ。すいちゃんはどこまでも弟くんに付いて行くし、スキンシップをするよ」

 

すいちゃんは絶対に言葉を曲げない。

 

 

弟くんの気持ちもすいちゃんの気持ちも分かる。だからこそ、どっちの味方にも慣れない。

 

「ボクたちが弟くんのことを好きなのは事実だよ。でも弟くんの迷惑にもなりたくない」

 

 

「…うん…」

 

 

「だから家の中でだけはスキンシップを許してくれない?」

 

ボクだって弟くんにはお姉ちゃんらしいところをたくさん見せたい。甘やかして、たくさん物を買ってあげたい。弟くんのためであればどんなお願いだって叶えてあげたいと思うし。

 

でも弟くんも外でそんな感じだとかなり困ると思う。弟くんに嫌われたくはないし。

 

 

 

その二つをどっちとも取り入れるならこれしかない。

 

「迷惑を掛けないから」

 

 

「……わ、わかりました。それなら」

 

弟くんがそう言うのと同時にすいちゃんは弟くんのことを抱きしめ始めた。

 

 

「じゃあもっとスキンシップ」

 

 

「ま、まって…」

 

 

「だめ。すいちゃんは弟くんのことを離さないよ」

 

そんな弟くんの状態を見て、ボクもちょっと嫉妬しちゃった。すいちゃんにばっかり好きにされるのはボクも嫌だ。だって弟くんはボクの弟でもあるんだから。

 

体に突き動かされて、ボクも弟くんのことを抱きしめていた。

 

 

「か、かなた姉さんまで」

 

 

「ボクも弟くんのことが好きだから」

 

それから弟くんはボクとすいちゃんにものすごくスキンシップをされたのだった。




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