もし、〇〇〇が姉だったら   作:主義

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もし、Startendが姉だったら②

僕には三人の姉さんがいる。それぞれ個性の溢れた人たち。そして何よりもその思考が僕には読めない。僕の予想だにしないことをたまにやるのでそれがちょっと怖い。

 

そう今のように。

 

 

「姉さんたちのやろうとしていることを僕が予想できるわけないよね」

 

 

僕は教室の窓から外を見てため息を吐く。まさかこんなことが起こるなんて予想だにしないよね。あの姉さんたちがこれをわざとやっているのか、それともただの偶然なのか分からないですけどこれはかなりマズイ。

 

 

姉さんたちはなぜか…校門からは入ってきている。そしてそれが問題。姉さんたちのような人が入ってくれば確実に注目の的になる。そしれそれは悪い意味で。別に姉さんたちが美人で人だかりが出来るということは珍しいことはないのですが何よりも問題なのは姉さんたちが教室にいる僕にも聞こえてくるぐらいの声で「弟くん!迎えに来たよ~」と叫んでいることだ。うちの高校の出入り口はあそこしかない。帰るには嫌でもあそこを通らなくてはならないし、このまま叫ばれ続けるともっと面倒なことになってしまう。

僕は今まで姉さんたちの存在を学校の友達とかに知らせないようにしてきた。だからいくら「弟くん!」と呼んでいたとしても周りの人は僕が弟だとは思っていない。

 

「あ…でも非常階段……だめだ。非常階段で降りても出口は姉さんたちがいるところしかないんだよね」

 

このまま姉さんたちをほっとけばバレるのも時間の問題かもしれない。

 

 

しばらくの間、思考を巡らせて何か策を講じようと思った矢先に僕のことを呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「弟くん~」

 

僕がまさかと思って…視線を声のした方向に向けた。

 

 

「ね、ねえさん…」

 

教室の扉のところに姉さんたちがいた。少なくとはいってもまだ教室に残っている生徒も多い。さすがにここでバレたら明日は色々な意味で面倒なことになってしまうのは目に見えてしまうので僕は一先ず視線を合わせ

ないようにすることにした。

 

 

 

そんな僕の気持ちも知らずに姉さんたちは教室の中へとどんどん入って来る。残っている生徒はその様子を黙ってみることしかできてない感じ。だって不審者が入ってきているようなもんだし。

 

そしていつの間にか僕の目の前まで来てしまった。

 

 

「弟くん。すいちゃんが迎えに来たよ」

 

 

「…そうですか…」

 

僕はそれしか言葉が出てこなかった。

 

 

「…あ、あてぃしもきたよ…」

 

 

「はい、分かってますよ」

 

 

「だからトワは止めたんだよ。大騒ぎになっちゃうし」

 

 

「…はい…」

 

姉さんたちが話し掛けてきた時点でさっきまで姉さんたちに向けられていた視線は僕にも向けられている。これで明日の学校生活が少なくとも平穏に終わる可能性はなくなってしまったと言っていい。

 

 

「なんで姉さんたちは学校に来たんですか?」

 

 

「あ、今日はスタジオで収録だったの。そしてそれが終わって三人で話していたら今日は外食にしよっかぁって話になってそれなら弟くんのことを迎えに行かなくちゃという感じになって今に至る感じかな」

 

 

「い、いや、それなら携帯に連絡してくれれば済む話じゃないですか。そしたらこんな大事になることもなく僕は姉さんたちに合流が出来ていたと思いますよ」

 

姉さんの中でも特にすいせい姉さんは自分の人気度は理解できていない。ルックスから顔まで全てが完璧のような人がいたら人だかりが出来るのは避けられないようなこと。

 

 

「…や、やっぱり迷惑だった?」

 

 

「いえ…姉さんたちが来てくれて嬉しいですよ」

 

 

「ほ、ほんと?」

 

 

「はい、本当なのでそんな今にも泣きそうな顔をしないでください」

 

僕はあくあ姉さんの頭を優しく撫でながらクラスの人たちのことを見渡す。クラスの子たちは唖然とした感じで僕のことを眺めている。ここで質問攻めにされるのは避けたいし、もう今更隠すことも出来ない。

 

 

「姉さんたち、一旦外に出ましょう」

 

そしてまずは移動した。移動している間も姉さんたちは注目を集めていた。ここまで人に注目されると疲れることもあるだろうなぁと思いながらも僕は移動をしていた。

 

 

 

校門を出てある程度距離を取ってから僕は姉さんたちにお願いした。

 

「これからは事前の連絡無しに学校に来るのだけはやめてください」

 

こんなことが続くと僕は色々と苦労する羽目になる。さすがにそれだけは勘弁したい。

 

 

「お、おこってる…?」

 

 

「いや別に怒っているわけではないですよ。ただ急に来られるとやっぱりすごく注目されちゃいますし。僕としてはあんまり目立つようなことはしたくないので」

 

 

「ほら~やっぱりトワの言う通りじゃん。急に押し掛けたりするのは迷惑なんだって」

 

 

「だ、だって…トワだって賛成したじゃん!」

 

 

「トワは賛成してないよ。すいちゃんが『行く』って言ってトワの言うことを聞かなかったんだよ」

 

 

「弟くんに会いたかったんだもん。お姉ちゃんが弟くんに会いたいと思っておかしいの!」

 

 

「別におかしくないよ…」

 

さすがにこのまますいせい姉さんとトワ姉さんをほっとくと喧嘩でも始めそうなのでここで割って入ることにした。

 

 

「でも姉さんたちに悪気がないのも分かってます」

 

さっきすいせい姉さんが言っていたように僕に『会いたい』と思って来ただけ。そう思ってくれるのは弟としては嬉しい限り。それだけ姉さんに想われているのは有難いですしね。

 

 

「それに僕も姉さんたちに会えるのは嬉しいですけど。やっぱり学校の間は止めましょう」

 

こういう風に言わないとすいせい姉さんが「お姉ちゃんと会いたくないの!?」って言ってきそうだから。

 

 

「わかった。すいちゃん我慢する」

 

 

「あ、あてぃしも」

 

 

「約束する」

 

 

「分かってくれて嬉しいです」

 

こういう話はあんまり長く続けるべきではない。

 

 

「それで今日はどこに食事に行くか決まっているんですか?」

 

 

「すいちゃんは焼肉がいい!」

 

「あ、あてぃしはオムライス!」

 

「トワはお寿司!」

 

 

ものの見事に三人共食べたいものがバラバラ。うちの姉さんたちというか…血が繋がっていたとしても好みまで一緒なわけではない。そして特にうちの姉さんたちは自分の意見を曲げたりしないのでこういう風に三人の意見が割れると飲食店が決まるまでに軽く一時間以上は掛かったりする。

 

 

「焼肉がいいに決まってるよ!」

 

 

「おむらいすがいいとおもう」

 

 

「絶対にお寿司がいいって!!」

 

三人共、自分の食べたいものがいいと意見を曲げそうにない。このままだとずっと決まりそうにないので僕がどうにかしないといけない。それにしてももしお寿司に決まったらすいせい姉さんはどうする気なんだろう。すいせい姉さんはお寿司が食べられないんですよね。かなりの偏食家。

 

 

「姉さんたち落ち着いて下さい」

 

僕が言うと三人の視線は僕に注がれるが静かになった。

 

 

「このままお互いの主張を口にしていても終わりそうにないので…じゃんけんで決めましょう。じゃんけんで決まった結果なのであれば文句もないですよね」

 

一番遺恨が残らないような決め方はこういうものだ。誰か一人の意見を押すようなことをすれば他の二人から色々と言われてしまうのは目に見えてますし。

 

 

「そうだね」

 

 

「う、うん」

 

 

「じゃんけんで決めよう」

 

 

そして三人でじゃんけんした結果…トワ姉さんのお寿司に決まった。

 

 

「すいせい姉さん、食べるものありますか?」

 

 

「そこは大丈夫。最近の回転寿司は色々とあるし食べるものには困らないと思うよ」

 

確かに最近の回転寿司はラーメンやパスタ系など本当に多種多様。

 

 

「それよりもすいちゃんはじゃんけんに負けて寂しいから…撫でて」

 

 

「…え…あ、はい」

 

なんかすいせい姉さんから言われると体が従うようになってしまってる。僕はすいせい姉さんの髪を乱さない程度の強さで撫でた。頭から手を離そうとしたタイミングで掴まれてしまって…離せない。

 

 

「あの…」

 

 

「まだだめ。すいちゃんが満足するまでずっと…」

 

 

「はい」

 

もう僕はすいせい姉さんの頼みを断ることは出来ないかもしれない。なんか拒否しようものならどんな目に合うか分からないですし。

 

 

そしてやっと解放されたと思ったら次はあくあさんに腕を優しく掴まれた。その後はなにかしてくるわけでもなくてずっと上目遣いで見て来る。

 

 

「な、なんですか?」

 

 

「…あ、あてぃしも…なでて」

 

 

「はい」

 

さすがにすいせい姉さんにしたのにあくあ姉さんだけ断るわけにもいかない。

 

撫でるとあくあさんはとても幸せそうな顔をしてくれたので撫でているこっちも楽しかった。これだけ表情が豊かなんだから普段の生活でもこれが出来ればもっと印象も変わると思うんですけど。

 

 

「あくあ姉さんって可愛いですよね」

 

 

「…か、かわいい!?」

 

 

「はい。とっても可愛いです」

 

姉に対して『可愛い』と言うのはどうなのだろうか。それも面と向かって。普通の姉弟の間で『可愛い』とか言うものなのかな。誰かに姉と弟の関係について聞かれたことがないので分からないんだよね。

 

 

「え~~あくたんにだけいってすいちゃんに可愛いはないの?」

 

 

「いや、すいせい姉さんも可愛いですよ」

 

 

「なんか取ってつけたように言われている気がする」

 

 

「そんなことないですよ。本当にすいせい姉さんは可愛いと思ってます」

 

そんな感じのやり取りが続いていると急に後ろから抱きしめられた。目の前にあくあ姉さんとすいせい姉さんがいるので残りはと思っていると。

 

 

「トワのことを仲間外れにしないで!」

 

 

「す、すいません。別にトワ姉さんのことを仲間外れにしていたわけではないですよ」

 

 

「仲間外れだよ。あくあとすいちゃんのことを撫でているのにトワのことは全然撫でようとしてくれないし。どう考えても差別されてる!」

 

 

「そんなことしてませんって」

 

 

「してるもん!」

 

 

「じゃあ…撫でれば機嫌を直してくれますか?」

 

 

「それは撫でてもらわないと分からない」

 

このままだと空気が悪い中、食事をすることになってしまうのでトワ姉さんのことを優しく撫でる。トワ姉さんが撫でるだけで機嫌を直るのかは分からないですけどやらないことには何とも言えないですし。

 

 

「これでいいですか?」

 

 

「…だめ。もっと撫でて」

 

僕はそれからもずっと続けて三十分以上も撫で続けた。さすがに僕の腕も限界が来てしまった。誰かの頭を三十分も撫で続けるなんて経験はさすがにないので。

 

 

「あと…トワのことを愛してるって言って」

 

 

「トワ姉さんのことを愛してますよ」

 

 

「もっと」

 

 

「トワ姉さんのことを愛していますよ!」

 

それからしばらくしてトワ姉さんの機嫌が直って回転寿司屋さんに行くことになったけど…そこでもまた色々と起こるのであった。

 

 




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