僕には二人の姉がいる。とても魅力的な姉さんたち。
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家に入る前にため息を吐いてからドアノブに手を掛けて、開ける。
「おかえりなさい」
「ただいま…」
僕が住んでいるのは六畳間のアパート。一人暮らしの学生であればそこまで問題じゃない。生活する上で必需品さえあれば生活できないことはないから。
でも今ここには僕を入れて三人もいる。
「僕もこんなことを言いたくありませんが姉さんたちに引っ越す予定はありませんか」
「あるわけないじゃん」
「そうだよ」
いやこの惨状をしっかりと見て欲しい。元々この六畳間の部屋は僕が一人暮らしのために借りた。さすがにあんまり仕送りをしてもらうわけにもいかないし、アルバイトとか大学のことを考えてここが一番良かった。でもそれはさっきも言った通り、一人暮らしをするのであれば。そこに三人も共同生活をするとは微塵も思っていなかったのだ。
「トワ姉さんもかなた姉さんもさすがにここでの生活にきつくなってきたんじゃないですか?」
この二人の姉が僕のところに来たのは一カ月前。それなりに自由気ままにやっていたら急に姉さんたちがやってきた。そしてなんか住むという話になって今日まで共同生活をしてきた。
「ううん。トワは全然いいよ」
「ボクもお姉ちゃんだし」
かなた姉さんの答えは理由になっていない気がしますけど。でも、どうやら二人共出て行ってくれる感じはしない。さすがにまた引っ越しをするようなお金はまだない。
「なんで姉さんたちはこの家に来たんですか?」
「そんなの弟と離れないため以外に理由ってある」
「ボクは弟くんと一緒じゃないなんて信じられないもん」
いや別に離れてもいいじゃないですか。
「トワには監視という使命もあるの」
「使命?」
「弟が女の子とかを連れ込むんじゃないかってね」
「そんなことはしませんよ」
「分からないじゃん。もうキミだって高校生だし、好きな女の子が出来てもおかしくない。それに一人暮らしのアパート。ここに連れ込んでもトワはもちろん、かなたもお母さんたちも分からないからね」
「それに連れ込むって言い方が悪くありませんか。普通にお家デートとかだってありますし」
「それもだめ。高校生でお家デートなんて…絶対にだめ」
この感じだと僕のプライベートはかなり制限される。まあ、この六畳に姉さんたちと暮らすんであればお互いのプライベートなんてないものだしね。
「もしかして、弟くんはボクたち以外の女の子に興味とかあるの?」
「普通にありますよ」
「え、ほんと?」
「そりゃありますよ。僕だって普通の高校生です。恋人を作りたいと普通に思いますし」
「ダメ」
「え?」
「ダメだよ。ボクたち以外の女の子に興味を持っちゃね」
「いや、姉さんたちはもちろん恋愛対象になりませんし。男である以上、女性に対して興味を抱いてしまうのは仕方ないと思うんですけど」
僕ってそこまで制御されるのか。このままだと普通の高校生活を送る上でかなりの支障になる。
「トワたち以外を見ないでよ!!」
「そうだよ。ボクたちことだけ見てればいいの!」
「いやいや…そういうわけにはいかないですって」
「だめだめ、トワは弟くんが他の女と一緒にいるところなんて見たら一生恨んじゃうと思う」
「…恨んじゃうって怖いですよ」
「ううん。ボクも弟くんに彼女が出来ちゃったらその子のことをが許せないかもしれない」
え…普通は弟に恋人が出来たら祝福してくれるようなもんじゃないの。身内の幸せは自分の幸せぐらいの感覚で。
「じゃあ、僕が今彼女がいるって言ったら怒りますか?」
「え、いるの!?」
「ボク、そんなこと聞いてないよ!!」
姉さんたちはちょっと尋常じゃないスピードで距離を詰めて来る。ここは六畳の部屋なのでかなり狭い。すぐに端まで追いやられてしまう。
「い、いや…嘘ですよ。姉さんたちが僕に彼女ができたら恨むとか許さないとか言うから興味本位で言っただけです」
この感じだと本当に彼女が出来ても姉さんたちにはバレないようにしないといけないですね。さすがに嫌がらせとかはしないと信じてはいるけど、もしされたらさすがに困りますし。
「ほんと?」
「本当ですよ。本当に今はいませんよ!」
「ボクたちはそれを信じていいの?」
「信じてくださいよ。弟の言葉です」
これはまじでいない。
「じゃあ…ボクたち以外の女の子を見ないって約束してよ」
「え、やくそくですか?」
「うん。約束してくれたらトワもちょっとは安心できる」
「い、いや…約束したら高校生活中は恋人を作っちゃだめってことですか?」
「もちろん!!ボクたちとの約束を破ったら、なにをしちゃうか分からないよ」
こんなに弟を脅す姉っているのかな。ここで姉さんたちと約束をしてしまったら、僕の高校生活は絶対に彼女を作れないことになってしまう。別に彼女に対してすごいこだわりがあるわけではないけど、やっぱり出来たら嬉しいし。
「約束できないの?」
「…い、いや……」
そして最終的に僕は姉さんたちの圧に負けて、彼女を作らない約束をしてしまった。
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