もし、〇〇〇が姉だったら   作:主義

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もし、FAMSが姉だったら

 

僕には四人の姉さんがいる。それぞれ配信者として活動しているので僕と生活リズムがほとんど会わない。僕は学生なので姉さんたちが寝ている中、家を出るなんてこともあったりする。なので全員が顔を合わせるのは晩御飯の時。それぞれ外に出ていたりすることもあるので全員が揃うことは少ないけどそれでも誰かとは会える。

 

こんな感じの日常を送っている。

 

 

――――――――――

 

 

そして今の僕は今日の授業の復習に取り組む。僕は天才の類じゃないので一回の授業で全てを覚えることは不可能。そうなるとまだ記憶が新しい内に復習しないと全て忘れてしまう。なので復習だけは毎日欠かさずに行っている。

 

急に僕の首に手を回されて抱きしめられた。一瞬なにをされているのか理解できなかったぐらい。だってドアを開ける音もしなければ物音一つしなかった。

 

 

「だれ…って…あやめ姉さんですか…」

 

身内と分かった途端、力が抜けてしまう。さすがに泥棒とか侵入者が刃物を突き付ける訳じゃなくて抱きしめるなんて変な行動はしないと思いますけどね。それでもやっぱり顔を見るまでは安心できない。

 

 

「余だよ」

 

 

「入るならノックとかしてくださいよ」

 

 

「え~~余、だよ」

 

 

「急に首を手を回されるとかなりビビりるので」

 

 

「余は弟くんの新鮮な驚き顔が見れて幸せ」

 

 

「…そうですか」

 

あやめ姉さんはいたずら好きというか、子供っぽいところが抜けない。僕よりも年上のはずなのに身長や無邪気さから見れば全然年下でもおかしくないんですよね。

 

 

「今日は帰りが遅くなるって言ってませんでしたっけ?」

 

 

「弟くんのために早くお仕事を終わらせてきたんだ余」

 

 

「え、別に僕一人でも大丈夫だったのに」

 

僕がそう言うとあやめ姉さんはお気に召さなかったようで頬を膨らませていた。

 

 

「む~~」

 

こうなってしまった時の対処法としてはしばらくほっとく。さすがに首から抱きしめられているので勉強はしづらいものの継続することにした。そして復習が終わる頃には

 

 

「なんで余のことを慰めてくれないの!?」

 

 

「だってあやめ姉さんって面倒くさいですから」

 

 

「余はめんどくさくないもん!!余は絶対にめんどくさくない!」

 

 

「いや、面倒ですよ。他の姉さんたちも面倒な時はありますけど特にあやめ姉さんは面倒です」

 

あやめ姉さんには少しキツめぐらいの感じで言っておかないといけない。そしてある程度突き放しておけば、あやめ姉さんも興味を無くして離れてくれると思いますし、これからの抑制のためにも影響が出ることを期待して。

 

 

「絶対に余はめんどくさくない!」

 

 

「はいはい、そうですね」

 

 

「もっと余のことを興味持って余!」

 

 

「あやめ姉さんのことは興味持ってますよ。実の姉ですからね」

 

 

「明らかに余に対しての態度はお姉ちゃんに対してじゃないもん。絶対に余のことをお姉ちゃんだと思ってない余!」

 

 

「思ってますよ。僕の姉さんは四人だけですから」

 

 

「ほんとに?」

 

 

 

 

 

あやめ姉さんをおんぶしながら自室を出ようとしたところに「弟くん!!」という声が聞こえてきた。声のした方に視線を向けるとそこには…焦っているのが顔からも伝わってくる感じのスバル姉さんがいた。

 

 

そしてスバル姉さんはこちらに向かって走って来るので避けようとしても避けられない。只でさえ、あやめ姉さんをおんぶしているから。さすがに修敏には動けない。

 

 

「ど、どうしよ!?」

 

 

「分からないです」

 

 

「どうにかしてくれ!!!」

 

 

「いや知りませんって。僕はスバル姉さんになにがあったのか知りませんし」

 

 

それから自室でスバル姉さんが落ち着くまで背中をさすってあげたりした。さすがにおんぶしたままだとキツイのであやめ姉さんは起きないようにベッドに寝かせた。

 

 

スバル姉さんが落ち着いて話してくれたのは…パソコンで作業をしていたら急になんか変なことになっちゃったということだった。そんな大雑把じゃなにが原因なのかも分からないのでスバル姉さんの部屋に行くことにした。

 

 

するとスバル姉さんのパソコンの画面は確かに色々と英語書いてあって、どのキーボードを押しても反応しないようだ。この画面から何も動かない。

 

「なにかやりましたか?」

 

 

「いや、やってないって。普通に作業をしていたらこうなっただけでスバルはなにもやってない!」

 

 

「そうですか。まあ、そこら辺はどっちでもいいんですけどね。ウイルスへの対策をしてなかったんですか?」

 

 

「したよ!!スバルはちゃんとしたもん!!」

 

そうスバル姉さんが言い張っている。でも調べてみるとスバル姉さんが契約していたものは期限が切れていることが分かった。

 

 

「ちゃんと確認していないとダメですよ」

 

 

「ご、ごめん…」

 

それからはウイルスに感染しているのかをソフトで確かめた。やっぱり感染していたのでひとまずオフラインにすることにしてスバル姉さんにクレジットカードとかを含めて色々と暗証番号とかを変えるように言って終わった。

 

 

 

それで全てが終わってスバル姉さんから立ち去ろうとした。

 

 

「スバル姉さん…なにしてるの?」

 

なぜかスバル姉さんは僕の右足を掴んでいる。

 

 

「も、もうちょっとここにいてよ!」

 

 

「ウイルスのことならもう大丈夫ですって。あとサポートセンターに連絡すれば」

 

これ以上に出来る手はないし。それにあやめ姉さんがそろそろ起きる時間なので戻っておかないと。

 

 

「ちがくてスバルのちかくにいて!」

 

 

「大丈夫ですって。もうウイルスは」

 

 

「ウイルスとかじゃなくてもうちょっとスバルと話そうよ~」

 

 

「なにか話すこととかあるんですか?」

 

 

「…ある!スバルはあるもん!!もっと弟くんと話したいことがたくさんあるんです!」

 

なんかスバル姉さんは必至に引き留めようとして来る。なんでここまで必死なのかは分からないけど、ここで断るとスバル姉さんの機嫌を損ねてしまうのは目に見えている。どの姉さんとも良好な関係を保っておきたい。

 

 

「……それならもうちょっとこの部屋にいます」

 

そして僕はまたスバル姉さんの部屋に戻ることになった。

 

 

 

 

 

「それでスバル姉さんは僕にどんな話があるんですか?」

 

 

「弟くんって…彼女とかいんの?」

 

 

「唐突ですね。今はいないですよ」

 

 

「今はってことは前はいたってこと?」

 

 

「はい。いましたよ」

 

 

「す、すばる、聞いていないよ!!」

 

 

「教えてないですもん」

 

 

「そういうことはすぐにお姉ちゃんに言うもんじゃないの!」

 

 

「いや、姉さんたちに教えるのも面倒でしたし。それに前のことだってありますし」

 

 

「…あ、あのことは悪かったって思ってるよ」

 

前に僕が彼女を連れてきた時に…姉さんたちが泣き出したのだ。『弟くんはスバルの~』とか『余だけの弟』、『ウチの弟に手を出しちゃだめ』、『白上の弟くんを奪うなんて』とか言い出すものだから、彼女も引いてしまってその日のうちに「お姉さんたちを大切にしてあげて」と言われてフラれてしまった。

 

 

そういうことがあってから家に彼女を招き入れるのをやめた。だってあの二の前になりかねないし。

 

 

「す、スバルはただ…弟くんが他の人に取られちゃうのがいやで」

 

 

「まあ…分かってますよ。僕の方がもっと姉さんたちに理解してもらうために努力するべきだったんです」

 

姉さんたちが僕のことを大切に扱ってくれているのは分かってる。本当に色々と助けてもらっているしね。

 

 

「それに僕も姉さんたちのことは好きですからね」

 

 

「…え、まじ!?」

 

 

「それは…はい」

 

 

「…すきなの?」

 

 

「スバル姉さんの事も好きですよ」

 

 

「そ、そっかぁ………///」

 

腕時計を見ると予想以上に時間が経っていた。

 

 

「そろそろ僕は行きますね」

 

 

「………う、うん…///」

 

 

 

 

 

 

スバル姉さんの部屋を出て、自室に戻るとまだあやめ姉さんはぐっすり眠っていた。

 

「よかったぁ…」

 

でも、あやめ姉さんが起きたら部屋中に大きな声が響き渡っているはずだから起きてないのは分かっていた。あやめ姉さんは僕より年上であるものの年下のような感じ。

 

しばらくあやめ姉さんの寝顔を見たり、携帯を操作したりして時間を潰しているとドアをノックする音がした。

 

 

「はい、大丈夫ですよ」

 

するとドアが開いて入って来たのは…フブキ姉さんとミオ姉さんだった。

 

 

「どうしたんですか?」

 

僕がそう問いかけるとフブキ姉さんとミオ姉さんはちょっと歯切れが悪い。

 

 

「あの…」

 

 

「その……」

 

姉さんたちがこんな感じになるのは珍しい。

 

 

「なにか言いにくいことですか?」

 

 

「いやぁ…」

 

 

「そのぉ……」

 

この感じだと…本当に言いにくそう。これは僕もちょっと覚悟しておかないといけないかも。

 

 

それから数分してやっとミオ姉さんの方が重い口を開いてくれた。

 

「ウチたちは弟くんが大好きだってことは知ってるよね?」

 

そんなことを言われるとは微塵も思っていなかったのですぐに答えられなかった。

 

 

「……そうなんですか?」

 

 

「そうだよ。ウチたちは弟くんのことが大好きだよ、ねぇフブキ?」

 

 

「うん。好きに決まってるよ」

 

目の前で自分のことを好きだと言われるとさすがに恥ずかしい。姉さんたちの『好き』が姉としての好きだというのは分かっているけど、それでもやっぱり嬉しい。

 

 

「だからウチたちはもっと弟くんと一緒がいいの」

 

 

「白上ももっと弟くんに触れたい」

 

 

「はぁ…?」

 

姉さんたちが言いたいことも、このお話はどこに着地する予定なのかも分からない。

 

 

「だからウチとフブキで話し合ったの。どうすればウチたちの願いが叶うのかって」

 

 

「はい、それでどうなったんですか?」

 

 

「結論から言っちゃうと……白上たちと一緒に寝ない?」

 

 

「え?」

 

 

「ウチたちと一緒に寝ればいつでも弟くんに触れられるし、一緒に居られるから」

 

いやちょっと論理が飛躍し過ぎてませんか。どう考えてもこんなところに着地するようなことにはならないと思うのですが。

 

 

「そう、白上たちは弟くんともっと一緒にいたい!それを叶えるのに一番最適なのは一緒に寝るだったんだよ」

 

 

「いやいや、どう考えても違いますって」

 

 

「ううん、。ウチたちにはこの方法しか思いつかなかった!」

 

 

「いや、もっと普通の方法があるでしょ。この年になって一緒に寝なくても」

 

元々姉さんたちの距離感はそれなりにバグってる。それは昔からずっとそう。元々これが姉弟の距離感として普通だと思っていたけど、中学校とかに上がっていくと友達の姉との関係を聞くことも増えて自分の距離感との違いに驚かされた。そしてそこで僕は初めて気づいた。うちの姉弟の距離感は異常だということに。

 

 

「だめ、ウチたちは一緒に寝たい!!」

 

 

「白上も一緒に!!

 

 

 

最終的には姉さんたちに押される形で一緒に寝てしまうことになるのだった。

 

 




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