もし、〇〇〇が姉だったら   作:主義

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もし、ラミクロが姉だったら

 

僕には二人の姉さんがいる。でも、僕も今年から新入社員として働きに出ているので姉さんたちと会うこともかなり減った。同じ家に住んでいても生活リズムが全くと言っていい程違うので食事すら合わない。

 

 

 

 

今日も普通に仕事が終わり、帰宅準備を進めていると携帯に通知が届いていたことに気付いた。どうやらお昼休みが終わって、数分後ぐらいに送られてきたようだった。そして送ってきた相手は…ラミィ姉さんだ。

 

通知を確認してメッセージアプリを開くとそこにはラミィ姉さんとクロヱ姉さんが私服でツーショットしている写真と『迎えに行くからね』という言葉だけが書いてあった。

 

 

「え…まじで…」

 

絶句だ。

 

たぶん、今日のお仕事が僕の働いている会社の近くで迎えに来るという発想になったんだと思うけど、そんなことをしたら絶対に面倒なことになるよ。

 

もう急に頭が痛くなってきた。

 

 

 

 

面倒だなぁと思いながら荷物をまとめて会社を出ると……僕の考えの甘さを思い知ることになる。

 

 

 

 

会社を出て広がっていたのは人だかり。

 

それにどう見てもうちの会社へ訪問に来た人たちとかではなくて、何かを取り囲むように円になっている人たち。

 

僕には嫌な予感がしたが、すぐにそんなことはないと頭からその考えを取り除こうとした。だがやっぱりその考えを捨てきることができずに人だかりの中をかき分ける帳にして突き進んでいく。

 

 

行き着いた先には僕の頭の片隅で考えていたことが現実になっていた。

 

 

「ねぇ、沙花叉」

 

 

「なんすか?」

 

 

「弟くんってさ、彼女とかいるのかな?」

 

 

「はぁ?いるわけないじゃないですか!」

 

 

「そうだよね。ラミィたちを差し置いて彼女とか作るはずないよね」

 

 

「そうっすよ。それにもし、彼女とか作っちゃったら沙花叉は弟くんのことをどこかに閉じ込めちゃうかも」

 

 

「さすがにラミィはそこまでじゃないけど、弟くんに彼女ができたら絶対に別れるように説得すると思う」

 

 

「いや、それは沙花叉のこと言えないよ」

 

なんでこの人たちはこんなに多くの人に囲まれていて、自分たちが注目されていることに気付かないんだろうか。これぐらいの人に囲まれたら普通は何かしら動揺してもおかしくないのにそういう様子もない。それにただの世間話のようなものをしているし。

 

 

 

こういうことになるのは目に見えていた。

 

姉さんたちは普通の男性たちから見れば魅力的なのだ。端的に言えば、とても可愛い人たちだ。弟の自分の贔屓目を無しにしてもまじで美女だ。

 

そしてその美女たちの所為で自分は色々と不幸を被ってきた。だから極力、姉さんたちと関わらないようにしてきたのだ。

 

 

 

このまま姉さんたちを放置して帰ったらあとでもっと面倒なことになるかもしれない。

 

 

 

 

 

そんなことを考えていると…ついに見つかってしまった。

 

 

 

「あ、弟くん!」

 

手を振りながらこっちに来るように促してくるクロヱ姉さん。

 

 

 

そんなことをされれば注目を集めてしまう。でも姉さんたちは別にそんなことをお構いなしでずっと僕のことを呼び続けるので、僕は覚悟を決めて姉さんたちの元へと行くことにした。

 

姉さんたちの元へと行く間も周りの人たちの「なんだ、こいつ」とか「こんな奴がなんで」という感じの視線を肌で感じていた。こういうことになるから姉さんたちと外に出るのはあんまり好きじゃないんだ。

 

 

「しばらく見ない間に弟くんも大きくなった?」

 

 

「そんな変わりませんよ」

 

 

「え…ラミィより大きくなってんじゃん」

 

 

「姉さんの身長は中学生の頃に抜かしてましたよ」

 

ラミィ姉さんの身長が158cmだったはずだし。

 

 

「姉さんたちはこの近くでお仕事だったんですか?」

 

 

「うん、そうなんだ」

 

 

「今日は沙花叉と同じ仕事場でこの側に弟くんが働いている場所があることを思い出して、二人で弟くんを迎えにいこうって話になった感じかな」

 

 

「まあ、そんなところだとは思ってましたよ」

 

 

「なにその態度、沙花叉たちが着てあげたんだからもっと喜んでよ!!」

 

 

「いや、クロヱ姉さんに会っても別にそんなに嬉しくは」

 

 

「おい、沙花叉はお姉ちゃんだよ!」

 

 

「はい、姉さんですよ」

 

 

「もうちょっとお姉ちゃんは敬いなさい!沙花叉のことを大好きってずっと言い続けなさい!」

 

 

「そんなことをしていたら僕はおかしな弟という肩書になってしまうじゃないですか」

 

姉のことを社会人にもなって『大好きだ』と口に出して、叫んでいたらそれはちょっとおかしいだろう。心に秘めている分には全然いいが、口に出すのはさすがに気が引ける。

 

 

「いいじゃん。弟くんにどんな肩書がついても沙花叉はずっと側で支えてあげるよ」

 

 

「僕が嫌ですよ。そんな頭のおかしい奴として認識されるのは」

 

 

「じゃあ、ラミィたちのこと好きじゃないの?」

 

 

「…好きかと聞かれると難しいですね」

 

 

「嘘でも沙花叉のこと好きって言えよ!」

 

 

「そうだ、そうだ、ラミィのこと好きだって言ってよ!!」

 

こんな人だかりの中でそんなことを大声で叫んだら…もっと注目を集めちゃうよ。これ以上誰かに見つめられるのはさすがに嫌だ。

 

 

「好きだって言ったらクロヱ姉さんもラミィ姉さんも大人しくしてくれますか?」

 

 

「心の底から好きって言ってくれるんならラミィは静かにしてもいいかも」

 

 

「え…まぁ確かに。今まで弟くんに好きとか言ってもらえたことないし」

 

この状況を打破するためには羞恥心を心の奥底に閉まう必要がある。

 

 

「それじゃあ、言いますね」

 

 

「うん」

 

なぜか周りもさっきまでうるさかったのに急に静かになってしまった。まるで全てが空気を読んだかのように…。

 

 

 

 

 

正直、ちょっとうるさい感じで言う方が恥ずかしさも軽減されるんだけどなぁ。

 

 

でもこのままだといつまで経ってもこの羞恥心から解放されることはないので覚悟を決めることにする。

 

「まず、ラミィ姉さんのことが『好き』ですよ」

 

 

「ラミィも弟くんのことがせか……いや、宇宙で一番好きだよ!弟くんのためならどんなことでも頑張れちゃうから」

 

ラミィ姉さんはいつもより少し興奮しているけど、そんな姿を横目にクロヱ姉さんに言うことにした。

 

 

「クロヱ姉さんのことが『好き』ですよ」

 

 

「結婚する?」

 

 

「するわけないでしょ」

 

 

「え、沙花叉と結婚しようよ!お姉ちゃんがちゃんと弟くんのことを養ってあげるから!」

 

 

「いやです」

 

 

「じゃあ、ラミィと結婚しよう!」

 

 

「しませんよ。ラミィ姉さんもクロヱ姉さんとも結婚する気はないですし」

 

 

 

それからも多くの人に囲まれている中でもラミィ姉さんとクロヱ姉さんは迫ってきていた。

 

 




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