僕には二人の姉さんがいる。とても魅力的な人なので彼氏などが出来てもおかしくないのに全くその姿がない。弟としては早く姉さんたちに運命の人と出会って欲しいという想いがある。
いつものことながら僕はマリン姉さんとあくあ姉さんにくっ付かれている。
「あくあ姉さんもマリン姉さんもそろそろ彼氏とかを作る気にはなりませんか?」
「…あ、あてぃしのこと…きらい?」
「別に嫌いとかじゃないですよ」
「弟くんまでマリンのことを婚期遅れ扱いするの!?」
「してないですって」
でもここまで魅力的な姉さんたちに貰い手が見つからないのは何かあるんじゃないかと勘繰ってしまう。あくあ姉さんはまだ大学生なので彼氏が出来たことがなくてもおかしくない。
だけどマリン姉さんに関してはそろそろ本当の意味で真剣に付き合う相手が現れてもおかしくないぐらいの年齢に差し掛かって来る。
「じゃあ、マリンに早く家を出て行って欲しいの!?」
「そういうわけでもないですって。マリン姉さんが家に居てくれる分はとても楽しい雰囲気になるのであんまり出て行って欲しくはないですが、このままだとマリン姉さんが心配で」
マリン姉さんも弟に心配はされたくないとは思う。でも、やっぱり心配してしまうんだ。
「いいもん!!マリンは貰い手がいなくてもずっと弟くんと一緒に暮らしていく!!」
「そ、そう言われても…」
「あ、あてぃしだってずっと弟くんと一緒だよ!」
「…そんな」
これだと僕が一人暮らしを始めたり、彼女が出来てもそれを言えないような状況。姉さんたちから愛して貰えているのは弟としては嬉しい限りですけど、今後を考えるとやっぱり心配でしかない。
「マリン姉さんはとても魅力的な人なんですよ」
「…そ、そうかな?」
「そうです。それはずっと近くでマリン姉さんのことを見てきた、僕が断言できます」
「そんな風に見つめられながら言われると…はずかしい…」
「なのでそんな素敵な姉さんにはやっぱり素敵な人と結ばれて幸せになって欲しいんです。それに弟としてはやっぱり姉さんのウエディングドレス姿を見たいので」
ちゃんとマリン姉さんのことを受け止めてくれて、一緒に歩んでくれる人が見つかれば僕も安心できるんだけど。
「わ、わかってるけど…弟くんが居てくれればいいもん!!」
そんなことを宣言されても…。
「それにマリンが結婚できないのは弟くんが悪いんだよ!」
「え、ぼくですか!?」
「うん!絶対に弟くんが悪い!」
「な、なんでですか?」
「だって弟くんが色々と甘やかしてくれるんだもん。お料理とかお洗濯だってしてくれるし、マリンのことをしっかりと理解してサポートしてくれるじゃん。あんなことされたら他の人のところに行きたいと思わないよ!」
「え…」
僕としてはマリン姉さんに快適に過ごして欲しいと思って、やっていたことが悪影響を与えていたということなのか。
「そこまでされたらマリンだって弟くんさえ居ればいいって思っちゃうよ。他の男の人に興味なんて湧かないし」
「で、でも前のマリン姉さんだったら「早く結婚したいわ」とか言っていたじゃないですか!」
「確かに結婚したいなぁって思うけど…別に結婚しなくてもマリンのことをしっかりと考えてくれて、愛してくれる人が近くに居てくれればそれでいいんじゃないかと思うようになったの」
「そうですか…」
結婚っていう概念はそれぞれの定義があるのでマリン姉さんの言葉を否定することはできない。今は結婚という形を取らない人たちも多いって話だし。
昔みたいに結婚にこだわる必要もなくなってきているんだと思いますしね。
「あ、あてぃしも弟くんだけ一緒に居てくれればいい!」
「あ、あくあ姉さんまで…」
「それに…彼氏とかじゃなくて弟くんが側に居てくれた方が落ち着く」
「そんなこともないでしょう。あくあ姉さんは高校生の頃に彼氏さんが出来たこともあったじゃないですか!」
あの時は本当に驚いた。あくあ姉さんはかなりの奥手なのでお付き合いをするようなことが出来るとは思ってもいなかった。でも、そんなあくあ姉さんにも彼氏が出来たのだから、驚きと同じくらい嬉しかったのを今でも覚えている。
「…お、おとうとくんが一緒じゃないといやなの。彼氏が出来た時もその人と一緒にいる時よりも弟くんと過ごす時間の方が楽しいと思っちゃったの。だから…あてぃしは別れた」
「そうだったんですか…」
別れたのってそんな理由だったの。お付き合いしていることを知って、数日後に別れた。あの時はどんな事情だったのかは分からなかったけど、今その真相が分かってしまった。僕の所為であくあ姉さんが別れることに…。
彼氏さん、本当に申し訳ない。彼氏の方はあくあ姉さんのことが本気で大好きだったのに。まだ彼氏彼女という関係性の時に家に遊びに来てくれたことがあった。
その時に数分だけ二人きりで話した。
僕が彼と会って思ったのは…本当に良い人だった。この人だったらあくあ姉さんを任せても大丈夫だと親みたいなことを思ってしまったほど。
「ほら、あくたんも弟くんの所為で別れることになっちゃったんだよ」
「そ、そんなことを言われても…」
「だから責任取って、私たちのことを面倒見てね」
「あ、あてぃしのことも面倒みて」
「…え……」
その日からあくあ姉さんもマリン姉さんもすごく甘えて来るようになったのだった。
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